
みなさんどうもこんにちは!ギター講師のきとうゆうきです。 かれこれギターを10数年弾いているのですが、ここ5年くらいでブルース界隈が世界中でなぜか異常な盛り上がりを見せています。
戦前ブルースやデルタなどの真っ黒などブルースも深みが素晴らしいのですが、今回はどちらかというとジャンルとジャンルをクロスさせたような最先端のブルース。そう、モダンブルースについてご紹介したいと思います。
モダンブルースを考える上で、必ずといっても良いくらい引き合いに出される3大ギタリストが存在します。それが、ジョシュ・スミス、マット・スコフィールド、そしてカーク・フレッチャーの3名です。
日本公演のタイトルが「The Three Princes」という事もあり、ブルース界の新3大ギタリスト的な立ち位置を確立した3人。今日はそんなモダンブルースの名雄についてご紹介したいと思います。
■ 1人目:ジョシュ・スミス
それでは早速Three Princesを解説していきます。 まずご紹介したいのはアメリカはフロリダ州出身のジョシュ・スミスです。
黒いテレキャスターに帽子がトレードマークのブルースギタリストです。 若い頃からギターに目覚め、ファンクやカントリーなど他のジャンルを取り込みオリジナリティーを確立したモダンブルースの雄と言ってもいいでしょう。
○ ジョシュ・スミスの特徴
ギタリストとしてのジョシュの特徴は枚挙にいとまがないのですが...あえて言うなら、カントリーの要素をふんだんに取り入れたブルースギターといったところでしょうか。
ハイブリッド・ピッキングやギャロッピング、そして巧みにメジャーペンタとマイナーペンタをミックスしたハイスピードなフレージングは間違いなくカントリーから影響を受けているはずです。
ピッキングでは再現しづらいフレーズがあったり、急に譜割りを変えたりと耳コピをするのが非常に難しいギタリストの一人でもあります(笑)
○ ジョシュ・スミスのオススメ名盤
ジョシュの作品はライブとはまた違う良さがあります。
どちらかというとブルースロックに近いテイストがあるので驚かれる方も多いと思います。とはいえ、しっかりブルースするところはブルースしているので思い切ったブルースロックというよりは少しエッセンスを取り入れてるイメージです。
僕がおすすめするのはジョー・ボナマッサや後述するカーク・フレッチャーとのコラボ作品が入っている「Over Your Head」。
ジョシュだけでも素晴らしいのに他のスタープレイヤーも聴けるなんて幸せ...
■ 2人目:マット・スコフィールド
あくまでもThree Princesは僕の中では平等なので、紹介する順番は順不同となります。
英国出身のギタリストで、英国ではギタリストアワードを受賞しているスタープレイヤーです。ブロンドヘアにストラト、そしてスラっとした長身という異色のブルースギタリストとなっています。見た目だけ見るとロックギタリストと見間違うほどです(笑)
○ マット・スコフィールドの特徴
カントリー的な要素を取り入れたジョシュとは異なり、マット・スコフィールドの場合は「ブルースなのに洗練された」独自のスタイルを持っています。
ペンタトニックの範囲に収まることなく、コードトーンやミクソリディアンスケールを使ったプレイがとても綺麗な音を奏でてくれます。
また、いわゆる定番系のマイナーペンタフレーズも使うのですが、そこにコードトーンやスケールを加えた一捻りある演奏で聴いていて本当に楽しいです。
僕もよくマットのプレイをコピーすることがあるのですが、本当に「洗練」の一言に尽きるんじゃないかな?と思います。ブルースではあまり使わない16分音符を使ったり、スケールを運用したりとギタリストとして学ぶべきところがたくさんあるはずです。
○ マット・スコフィールドのオススメ名盤
マットの作品は大体チェックしているんですが... スタジオでレコーディングした作品でもライブ感があってめちゃめちゃかっこいいです。
その中でも僕が一押ししているのはライブ盤の「The Trio, Live」です。ギターとオルガン、そしてドラムの編成で「こんな音圧出せる?」と聴く度に圧倒される作品です。
ちなみに、Mad Professorからシグネチュアペダルが販売されていますのでそちらもあわせてチェックしてみてください♪
MAD PROFESSOR ( マッドプロフェッサー ) / Supreme
■ 3人目:カーク・フレッチャー
最後にご紹介するのはThe Fabulous Thunderbirdsの一員でありジョー・ボナマッサのサイドギタリストとしても勇名を馳せたブルースマン、カーク・フレッチャーです。
バンドではブルースロック的な一面も見せていますが、本当に生々しい良いギター弾くんですよこの人。
○ カーク・フレッチャーの特徴
カークといえば、やはりブルースレジェンドの血をもっとも色濃く受け継いだモダンブルースギタリストと言っても過言ではないと思います。ですが!カークが得意なのはストレートなブルースだけではないです。
ソロ作では、ジミヘン的なファジーな音色で早弾きしまくるような場面もあるし、早いパッセージで音を詰め込むことにもとても長けています。
ブルースでは特に「間」が大事!と言われることが往々にしてありますが、それだけじゃない。ギタリストとして、ブルースミュージシャンとしての懐の広さがカークの一番の持ち味なのではないでしょうか。
個人的には、カークのブルースが最も譜割りが難しく楽譜化するのに一番苦労したギタリストでした(笑) 3連やシャッフルのフィールが独特で、後乗りという言葉だけで片付けられない説得力が宿っている気がします。
○ カーク・フレッチャーのオススメ名盤
僕が思うカークの名盤というと...2010年にリリースされた「My Turn」です。
1曲目の「El Medio Stomp」のリフはきっとどこかで聴いたことがあるはずです。
ハートフルな作品からゴリゴリのブルースロックまで、作風は広いものの全編を通してカークのギターが炸裂しています。