
みなさんどうもこんにちは、ギター講師のきとうです。
今日はギタリストのみならず、ミュージシャンに全力でお勧めしたい本についてご紹介したいと思います。
おすすめ本その1:9番目の音を探して / 大江千里
僕はふらっと旅に出た。
長く曲がりくねったこの道は
いったいこの先どの闇へと続くのだろう。
- 引用元:大江千里 / 9番目の音を探して
こんなに格好のいい本の滑り出し、初めて見たかもしれない。
たとえばフィクション小節の場合は、僕らの想像を掻き立てる非日常を与えてくれますよね。
こちらの本はゴリゴリのノンフィクションながら、僕らを音楽の世界へ誘ってくれます。
■ この本が最高な理由その1:大いなる決意・決断
この本の主人公は著者かつアーティストの大江千里さんです。「格好悪いふられかた」で一躍有名になり、渡米前はジャズアレンジ楽曲をリリースされており現役でバリバリ演奏活動をされている方ですよね。
成し遂げていない人には成し遂げていない人の、成し遂げた人には成し遂げた人なりのそれぞれの悩みや葛藤が存在します。どれだけ有名になったとしても、その人なりの苦悩って絶対存在しますよね。
大江千里さんの場合は後者の葛藤が付き纏っていたみたいです。
ジャズに対する憧れが強くあって、でも現在ピュアなジャズを演奏することができない(大江さん的には)というところが長年つっかえていたようです。
そんな葛藤を冒頭ではリアルに描いています。
僕はなった事がないからわからないけれど、大衆に受け入れられたスターはきっと孤高のカリスマを羨むし、孤高のカリスマはスターのことを羨むのでしょうね。
ただ、キャリアを築いた人であればあるほど、現状を脱却するのは難しいですよね。
アーティストとしての地位を確立した大江千里が海外へ留学するという決意をするというのは、生半可な覚悟ではないことでしょう。
大学へ行くとなれば、仮に編入出来たとしても2年。
アメリカの大学は平気で5年行く人も多い(学業が難しすぎて)ので、5年以上の歳月をかける人も少なくありません。
実際に僕も18歳から2年ほど住んでいましたが、周りの留学生は英語学習期間含め6年でやっと卒業できました、みたいな人は多いです。
そういった現実的な事を考えれば考えるほど、大江千里さんの人生をかけた覚悟をひしひしと感じることができます。
■ この本が最高な理由その2:ミュージシャンのリアルな葛藤や苦悩
ギターでもベースでも、楽しい日もあれば辛い日もありますよね。
特にレベルが上がれば上がるほど、ハードルがどんどん高くなっていき苦悩することもあるかもしれません。僕も毎日ハードルと戦っています。
自分との戦いと、他人との戦い。
ニュースクール大学へ入学した大江千里に待ち受けていたのは両方からの洗礼でした。
プロミュージシャンだとしても、ジャズに特化した優秀な人材が集まっているニュースクール大学の中ではなかなか脚光を浴びられなかったようです。
中には18,19の若者なのに凄まじい腕前を持っていて、「あいつは下手だからやりたくない」みたいなダイレクトな悪口を言われたことも。こんなん言われたら、誰だって心がおれそうになりますよね(笑)
毎日いろんな人の評価に晒されて、実力の違いを痛感します。
しかし、そんな中でも自分のペースを崩さずに膨大な練習をこなしていきます。
およそ全てのミュージシャンが感じたことがあると思う、先の見えないレースを延々と走っている気持ち。また、そんな気持ちを振り払うように楽器と向き合うこと。誰しも一度は経験したことがあるはずです。
■ この本が最高な理由その3:徐々に構築していく友人関係
アメリカと日本。 友人の構築の仕方もコミュニケーションもまるっきり違う異国ですよね。
どれだけ英語学校に通ったとしても、より専門的な内容で外国人と議論を交わそうとすると相当な英語力と実力が必要になってきます。
最初こそ実力や言語の壁があってわだかまりがあった大江千里さんですが、徐々にミュージシャンの輪が広がっていきます。そして、自分でプロジェクトを立ち上げたり、ライブの仕事が来るまでに至ります。
練習は地味な作業の繰り返しです。好きな練習をするだけならいいかもしれませんが、より効果的に実力をあげる為の布石として好きではない練習をすることは皆さん経験されているんじゃないでしょうか。
ということで、今回はミュージシャンの大江千里さんのニュースクール大学留学のドキュメンタリー作についてご紹介させていただきました♪
本書の中ではかなり具体的な練習方法やどんなところで苦労しているのかをリアルに語られています。きっと読んだ後は襟元を正されるような気分になることでしょう!
僕も練習や実力で悩む時によく本書を読むようにしていますので、是非チェックしてみてください♪それではまた。
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