お疲れ様です! ギタリスト×作業療法士の二足のわらじを履く男、、、 ”ギターセラピスト”のフジオカタクトと申します。
世の中は新型ウイルスで大騒ぎになり、自宅で過ごす時間が増えた方もいるでしょう。こんな時こそギターを弾く時間が増えた!と前向きに捉えていきたいですね。
今日はこのコラムを読んでくださっているギタリストの方にお伺いしたいのですが、
- アルペジオでよく間違った弦を弾いてしまう
- ピッキングの強さが安定しない
- 単音弾きで狙った弦と違った弦を弾いてしまう
こういったことで悩まれたことはないですか?
今回のコラムはギタリストが一度は悩む問題(?)、
「ピッキングを安定させる」にはどうすれば良いかということを考えていきたいと思います。

ちなみに僕は上記の3つ、全て当てはまっていました。笑
僕はかれこれ14年ほどギターを弾いてきましたが4年前くらいから長めのスランプに陥っていました。どれだけフレーズの練習をして、その場では弾けるようになったとしてもリハーサルやライブ本番でミスをすることが多くなったのです。
ずっと原因がわからず、いろんな練習をしてみてもなかなか改善することはありませんでした。自分と他の人と何が違うんだろう、、、と悩みに悩み、自分にはギターは向いていないのかとまで思いました。
そんなとき、作業療法士の視点で腕や手先を使う時に大切なことを思い出したのです。 それは腕の基礎である、「肩甲骨を安定させる」ということでした。
そんな肩甲骨について、まず簡単に説明したいと思います。
肩甲骨って名前は聞いたことあるけど実際どんな形をしているか知らない人が多いのではないでしょうか?

骨の形は三角形をしていてよく見ると宙に浮いたようになっています。

こんな感じのアングルから見るとわかるかと思いますが実は肩甲骨は体幹とは直接くっついていないのです。体幹とは鎖骨を介して繋がっています。
そんな浮いた構造の骨に腕がくっついているのです。 見るからに不安定な物じゃないですか?!笑
骨だけで見るとポロッと取れちゃいそうですよね。
じゃあこんな不安定な肩甲骨をどうやって固定しているのか。

実は肩甲骨の周囲には大小様々たくさんの筋肉がついていてポロッと取れちゃわないように体に固定してくれているのです。すごい構造ですよね〜。 筋肉たちの非常に緻密な設計で、肩甲骨は正しい位置を保つことができています。 ここでは全ての筋肉を紹介することはしませんが、僕が「ピッキングを安定させる」ために重要だと思った筋肉を紹介しようと思います。
それは「菱形筋」という筋肉です

菱形筋というのは大菱形筋と小菱形筋という2つの筋肉からなっています。ここを分けて考えていくと細かい話になってくるので、今回は2つまとめて菱形筋と呼ばせていただきます。 菱形筋は肩甲骨を背骨側に寄せて安定させる役割を担っています。
僕の場合、右側の菱形筋が左に比べて衰えており、肩甲骨の位置が本来のあるべき位置から外向きに離れてしまっていました。(おそらく普段の姿勢の悪さが原因。。。) 現代人は猫背の人が多いので、肩甲骨の位置は外向きに離れてしまっていることが多いです。そうなると菱形筋が本来の力を発揮できず、どんどん衰えていってしまいます。
菱形筋に限らず、肩甲骨周囲の筋肉が弱くなると緻密なバランスで正しい位置を保っていた肩甲骨が不安定になってしまいます。
土台となる肩甲骨が不安定な状態になるとそこに連なる上腕、前腕、手部も安定した動きが難しくなります。腕ですら安定して支えられていない状態でピッキングなんて繊細な動きが安定してできるはずないですよね〜。
しかし逆を言うと、肩甲骨が正しい位置で安定すれば上腕、前腕、手部の操作性・安定性も上がると言えます。 つまり肩甲骨周囲筋(今回は菱形筋)をバランスよく鍛えればピッキングも安定する!って話です。

では最後に僕が考案したギタリストに特化した(?)菱形筋のトレーニングを伝授したいと思います!
1、まずはハードケースを用意します。
ダンベル代わりです。笑
ハードケースがない人は普通のギターケースでもエフェクターボードでもカバンでもなんでもいいです。 重すぎると肩へ負担が強くなりすぎるので重くても5〜7kgに留めましょう。

2、ハードケースを持ちます。

3、肩の付け根から腕全体を回転させ、ハードケースを体の真後ろまで回します。そして肩甲骨の内側を背骨に寄せていくようなイメージで動かしていきます。



ポイントは肩の付け根から腕をしっかり回した状態で、肩甲骨を内側へ寄せることです。 ここで5秒〜10秒間キープしてください。回数も2〜3回で十分だと思います。 回数を増やすよりも毎日継続して取り組む方が効果的です!
ちょっとしんどいなって方は無理せず!キープせずとも正しく動かすだけでも効果はあります。 ちなみに物を持ってやった方が筋肉の収縮が感じやすいですが、何も持たなくても上記したように肩甲骨を動かせば菱形筋は収縮しますので、その辺はお好みで!
肩が上がってしまったり、肩の付け根あたりに痛みが出たりする際は力みすぎている可能性があるのでなるべく肩まわりには力を入れず、肩甲骨の内側かつやや上側を意識して肩甲骨を内側に寄せていきます。(最初の方に貼った画像を頼りに筋肉の位置をイメージしてください。) ついでに脇腹あたりにも力が入っている感覚がすればエクセレントです! 痛みを感じたらすぐに中断してくださいね!
肩甲骨周囲の筋力低下は普段の姿勢が悪いことから引き起こされることが多いと思います。
特に運動経験の少ない方や年配の方は肩甲骨周囲筋の筋力が低下しがちなので演奏に支障をきたしている可能性が高いです。 また菱形筋が働いて肩甲骨の正しい位置を取り戻すことができると、肩こりや猫背の改善にもなりますよ!
僕も最近はなるべく毎日この肩甲骨の運動を行うようにしています。 一度でも良いのでこの運動をやってみてください!体が安定することでギター演奏自体が安定する感覚を実感できると思います( ^ω^ )
ピッキングのフォームや練習方法だけでなく、自分の体に目を向けて体の使い方を一から見直してみるのも大切ですよ〜!
今回はちょっとボリューミーな内容でしたがいかがでしたか?少しでも参考になれば幸いです。最後までご覧くださりありがとうございました&お疲れ様でした!
それでは次回をお楽しみに〜!