
現代はインターネットの時代で、誰もが気軽に自分を発信できる時代となりました。
自分に必要な情報を発信する人をフォローしておけば、こちらからわざわざ検索しなくても、どんどん情報が流れ込んできます。
しかし匿名性を悪用した誹謗中傷や、見たくない情報も流れてくる事もあります。
そんな中で、「自分の事を晒したくない」「批判されるのが怖い」という、インターネットの発信に抵抗がある方も少なくないように思います。
デメリットも多いインターネットの世界ですが、「自分で自分を発信する」という行為は、ネットの世界のみならず、リアルの世界でも得られるメリットがあります。
私はドラム講師を始めて10年になりますが、現在ではドラム講師を始めたての時には考えられないくらい沢山の生徒さんに来ていただき、憧れのプロドラマーと仕事で共演させていただき、夢だった教則本を出版させていただきました。
その成長は、情報発信なしではあり得なかったと断言できます。
私自身が感じる情報発信におけるメリットは3つ。
1、自分の技術と知識が急成長できる
2、自分のブランドが確立できる
3、信用が蓄積される
それぞれのメリットをご説明させていただきます。
1、自分の技術と知識が急成長できる
自己成長に必要な要素はインプットとアウトプットとフィードバックの3つです。
・インプットは「見る(観る)」「聞く(聴く)」「読む」。
・アウトプットは「話す」「書く」「演奏する」。
・フィードバックはアウトプットした結果を振り返り、軌道修正を行う事。
YouTubeでレッスン動画を見たり、ライブを観たり、本を読んだりするのはインプットです。そこで感じたものを自分のフィルターを通して、自分の取り組んでいる課題へ転用したり、発信する事でアウトプットします。
インターネットを使ってアウトプットすると「人に見られる事」を前提にアウトプットすることになるので、適度な緊張感が伴い、脳内でノルアドレナリンが分泌されて、集中力や記憶力が高まります。
また、人に伝える為には、「わかりやすいように言語化する事」が必要になりますので、誰にも見られない状況で自分にわかる範囲だけでやっている時よりも、どんどん外へ向けて発信した方がインプットした情報の処理能力が高まるのです。
そして、SNSなどで発信した情報は、「いいね」などがきて、自分の発信した情報を何度も見返すことになります。
人の脳は重要でない情報は全て忘れるようにできているので、忘れないようにするためには、何度もその情報に触れる必要があります。
「いいね」が来て、何度も自分がアウトプットしたものに触れることにより、脳は「これは大切な情報だ」と判断し、記憶の仮保管庫の「海馬」から、長期記憶の「側頭葉」へ移すので、忘れない記憶となります。
またアウトプットした情報を見返す事で、自分に足りないものが見えてきます。
そうすると次は何をインプットすべきかが見えてくるのです。
今の自分に何が足りなくて、何をインプットすべきかを選択する。それこそが「フィードバック」となります。
2、自分のブランドが確立できる
『価値』というものは、有り余るほどあれば「低く」なり、少ないと「高く」なります。野球のボール自体はたくさんあるので価値は低いですが「イチロー選手のサイン入りボール」の価値は高くなります。
誰にでも出来るような事が出来たり、演奏が上手ければ人気がでるという事でもなく、あなたに魅力的な要素があり、他にはないあなただけの価値があると、お客さんが集まり、仕事がくるわけです。
マーケティング用語で言うと「ブランド戦略」というものになりますが、『ハンバーガーといえばマクドナルド』のような、あなただけの『○○といえば××』を意識して考えていけると良いでしょう。これはあなたの「武器」となります。
自分にしか出来ないものを見つけて発信し続ける事により、自分の武器も磨かれ、周りにも認知されていきます。
認知されるためには、自分で自分を発信しなければ、誰も自分のことを知ってくれませんし、見つけてくれません。
自分の武器を磨くためにも、周りに知ってもらう為にも、情報発信は有効な手段なのです。

3、信用が蓄積される
例えば、レッスン生募集します!という宣伝を目にすれば、ほとんどの人は、その人がどんなレッスンをするのか、「人柄」「話し方」「経歴」「技術」「教え方」などを調べると思います。
現代はインターネットの普及により、ひと昔前の「CDのジャケ買い」のような事をする人は減り、受け取り側は失敗しないように調べるようになりました。
私のドラム教室では「体験レッスン」を実施しておりますが、ホームページやチラシなどで集客をしていた10年前は、この体験レッスンで生徒さんを逃してしまう事も多く、体験レッスンの予約をするだけして、当日にこない…と言う事も少なくなかったです。
しかし、レッスン動画などのドラム情報の発信を始めてからは、体験レッスンで逃してしまう確率が大幅に減りました。
それどころか、『月4回で通おうと考えているのですが…』と、メールでのお問い合わせの時に、もうすでに通う事を前提に連絡をくれているのです。
体験レッスンに来てくれた時も、初めてのレッスンをする前から、次回のレッスン日を決めようとする方も少なくありません。
心理学では単純接触効果(ザイオンス効果)というものがありまます。
単純接触効果とは、わかりやすく言えば、「会う回数が多いほど親密度が増す」と心理状態のことを言います。
YouTubeやSNSで何度も私に会っているような気分になり、初めて会った時には、すでに私に対して親密に思っていてくれているという事なのでしょう。
さらにイベントを開催する時は、「○月○日にイベントをやります」というお知らせの時点で、イベント内容を明かす前にも関わらず「行くので予約しておいてください」と手を挙げてくれる人が増えたのです。
情報発信する前には気づかなかった事ですが、集客は、来てほしい時だけ「こんなイベントやります!来てください!」と必死になってもなかなか振り向いてくれません。
しかし「普段から振り向かせておく」事で、来てくれる確立は大幅にアップします。
来てくださいとお願いして、振り向いたお客さんをなんとかして捕まえるのではなく、自分の持っているものを何でも発信することで、お客さんの方から「もっと見せてください」と思ってもらう事が大切なのです。
これにより私は、「集客は毎日の積み重ねの結果である」つまり、「集客は毎日しないといけない」というのがわかりました。
無意味と感じられる毎日の小さな発信は、地道に積み重ねていく事で「信用」が積み重なり、結果的にお客さんが増えたり、自分のために行動してくれる人が増えるのです。
続けるコツ
情報発信を毎日続けたいけど、自分はコツコツするのが苦手だ・・。という方もいると思います。そんな方のために続けるコツをいくつか紹介します。
① 無理のない目標を立てる
例えば「1日1ブログ書く!」「1日1動画投稿する!」というのは結構ハードルが高いので、「ツイッターで1日1呟きする」という所から始めてみても良いかもしれません。
クオリティが高いものを作ろうと意気込むと自分の中の完成度のハードルが高くなり、続かなくなります。
あくまで大切なのは「毎日続ける事」です。
数多く発信する事が人の目につく確立も高くなりますし、自己成長は壁に一気によじ登るのを続けるよりも、コツコツと階段を一段ずつ登っていく方が、結果的に高い所まで登れます。
そして毎日コツコツ続ける事で、キャパも広がっていくので、1日のうちにできることも増えていきますし、確実にクオリティは上がります。
また、圧倒的な量をこなす事で、熱意やマメさが伝わり、自分の信用度があがるので、仕事につながりやすくなるでしょう。
② 締め切りを作る
時間を決めて進める事により、焦りが生じると、脳内では「ノルアドレナリン」が分泌されます。そうすると集中力や記憶力が研ぎ澄まされ、短い時間で進められるようになります。
「時間ができたらやろう」と思っていても、いつまでも待ってもその時間はやって来ません。
「毎日10時に投稿」「毎週水曜日に投稿」など、締め切りを作るようにしてみましょう。
情報発信のための時間をスケジュール帳に書いて確保したり、隙間時間にこなせるように工夫できると良いでしょう。
ただ1日でも止まってしまうと、続けられなかった事に対しての罪悪感が出てくるので、常にストックを作り、イレギュラーな日にも対応できるようにしておきましょう。
③ 良い時、悪い時に一喜一憂しない
情報発信を続けていると、全く反応がなかったり、すごく伸びたり、様々です。
特に始めたばかりの時はモチベーションを保つのも大変です。
うまくいかない時には試行錯誤は必要ですが、よい時、悪い時に一喜一憂せず、淡々と行うことも大切です。
こち亀の秋元治さんの著書「秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由」では
『何事もなかったかのように、変化なくずっと続ける。これこそが集中力を持続させるコツ』と述べられておられました。
うまくいかなくてヘコんだ時も、大きな仕事を終えて燃え尽きた時にも、翌日からはいつも通り仕事する。それこそが続けるコツなのかもしれません。

他人の悪口、陰口、誹謗中傷は禁止
「ネガティブを発信する」事で、成長は止まり、人間関係を悪くして、自分のモチベーションを下げてしまいます。その理由をいくつか紹介します。
① 悪口談義から抜け出せなくなる
不平不満、皮肉、批評、批判、陰口、嫌味に身を置いてると、なかなか抜け出す事が出来ません。
なぜいけない事だとわかっていながらも「陰口談義」に花を咲かせてしまうのでしょうか。
それは「共感性」と言うものが働いているからだそうです。
共感性は善悪の判断をしないので、陰口や嫌味に対しても共感すると「安心」します。
「自分の気持ちをわかってくれた!」という共感性の安心感から、どんどん言うようになります。
人に陰口を話していると、その話を聞いている方は「きっと私がいない所では私の陰口を言っているんだろうな」と思います。
どんどん信用度は下がり、人間関係は悪化していくでしょう。
② 人への悪口は、自分が言われているのと同じストレスを感じる
人間の脳は、「主語が理解できない」という特徴があります。
相手に悪口を言ったとすると、自分に言われているのと同じ量のストレスホルモンが分泌さるのです。
人に「ありがとう」と感謝すると、自分に対して感謝されたと脳は捉えますし、人に対して「死んでしまえ」と言うと、自分が「死んでしまえ」と言われたと脳は捉えます。
また、人の悪口をいつも言っている人は、ドンドン自分への評価も下がります。
そうすると他人が怖くなっていつも威張ったり、人を批判して、人の評価を下げて「自分は価値がある人間だ」と認識しようとします。
③ 悪口を発信すると、自分に悪口が返ってくる
「作用、反作用の法則」というものがあります。
これは押す(作用)と同じ力で自分に返ってくる(反作用)というものです。
作用、反作用の法則で、ポジティブを発信するとポジティブが返ってきますが、ネガティブを発信すると、ネガティブが返って来ます。
「炎上」というものがわかりやすい例です。SNSなど、インターネットで相手の悪口、誹謗中傷、また相手の感情を刺激するような過剰な反論をすると、自分に2倍~10倍で返ってきます。特にインターネットの場合は不特定多数を攻撃するので、何倍にもなって自分に返ってくるということです。
終わりに
情報発信の最大のコツは「他人のことは気にしない」という事だと思います。
他人と自分を比べない。他人のやっている事に口出ししない。他人の批判をスルーする。
自分のやりたい事に向き合い、自分の武器を磨いていく事が大切なのです。
そのツールとして、情報発信を始めてみてはいかがでしょうか?