推奨サブウーファー
推奨サブウーファー
オリジナル(英語)はQSCサイトにあります。翻訳した内容のため、ニュアンスは異なる場合があります。
私はDJをしているので、多くのサブウーファーを所有してきましたが、このサブウーファーはすべての期待に応えてくれました!低音はクリスプでクリーンな音で、サブウーファーの後ろからの低音がまったく感じられません。近いうちにもう一台購入する予定です。QSC、素晴らしい製品をありがとうございます!!
最近、K10.2を購入し、クライアントに少し部屋を揺らすような低音を提供したいと思っていました。部屋を揺らすような低音を出せて、しかもほとんど歪みがないものを探していました。他のブランドも試しましたが、どれもQSCの音質に匹敵するものはありませんでした。私は他のDJの友人におすすめを聞きましたが、皆が同じことを言っていて、すでにQSC K10.2を持っているなら、QSCのサブウーファーを選ぶのが間違いないと勧められました。義足を使用している私にとって、K15やK12、さらに181を運ぶのは少し大変だと思ったので、最も理にかなった選択をしました。それが新しいKA212Cです!K10.2を購入した時に一度聞いたことがあり、資金が足りなかったのでKS212Cの購入資金を貯めました。どこで演奏しても、ウェディング、カーショー、クルーズナイト、どんな会場でも、クライアントとそのゲストに最高の音質を提供できていると実感しています。ほとんど毎回、音質についての褒め言葉をいただき、年配の方々も「音が大きすぎず、音楽が素晴らしかった」と言ってくれます。それが勝利の組み合わせでないなら、何が勝利の組み合わせなのでしょうか?素晴らしい音楽、素晴らしい音響システム、そして満足したクライアント!QSC、最高の音響システムを作ってくれてありがとう!
クリーンで、丸みのある、シンプルなサウンド。それがこのサブウーファーの簡潔な評価です。QSCシステムの一部として、このサブウーファーは素晴らしいです。カーディオイド構成はステージをクリーンに保ちながら、ハウスでの低音の存在感を向上させます。QSCはこのユニットに関して、間違いなく計算をしっかりと行っており、設定は非常に簡単です。クロスオーバーの選択や、他の212とリンクする際にも問題はありません。私は音楽を演奏したり、さまざまなジャンルでのライブサウンドを提供していますが、このサブウーファーはまさに完璧に機能します。
最初は、3人編成のクラシックロックバンドに2x12インチ・サブウーファーを使うことに懐疑的でしたが、サウンドシステムの軽量化と簡素化が必要でした。QSCの製品が素晴らしいことは知っていたので心配はしていませんでしたが、1台のKS212Cサブウーファーから出力される音には本当に驚かされました。低音はキックドラムとベースに十分すぎるほどで、ミディアムサイズの屋外会場でも問題ありませんでした。カーディオイドパターンにより、ステージ上で自分たちの音を明確に聞くことができ、モニターのミックスも改善されました。適切なステージボリュームを維持しながら、自分たちの楽器やボーカルをしっかりと聞くことができるようになりました。QSC、ありがとうございます!
こんなに小さなサブウーファーで、驚くべきパワーとクリアな音が得られるなんて信じられません。私たちはこれらのサブウーファーを2台使用して、最大350人規模の小規模な会場でライブバンドと一緒に演奏しており、完全に満足しています。以前は6年間QSC Ksubsを使っていましたが、新しいカーディオイドサブウーファーは、前のモデルをあらゆる面で超えており、特にパワーと音質が向上しています。最大の利点は、音のパワーとクオリティの向上ですが、私が一番気に入っている点は、カーディオイド設計のおかげでステージ上の音が非常にクリアになったことです。ショップで試したときは大差を感じませんでしたが、実際に使ってみるとその違いがはっきりわかります。QSCの素晴らしい仕事です。ライブキックドラムも非常にうまく処理してくれます。超ファットでパンチのあるサウンドです。ぜひ手に入れてください!
Chilly Source
今回は、知人の結婚式にてQSC CP12(メインスピーカー)、KS212C(サブウーファー)をレンタルしました。150名ほどの来賓者の来る、カジュアルな結婚パーティでした。用途してしてはラウンジライクなDJプレイと、ギター・キーボード・ドラムの3ピースバンドでのジャズライブの余興用でした。
続きを読むBy Christopher Anet (2020年12月7日)
ライブに行ったとき、サウンドエンジニアが複数のサブウーファーを近づけて設置しているのを見たことがあると思います。何か理由があるのでしょうか。
音速の定義について思い出してください。音の伝達速度(音速)はC=fλ(f:周波数、λ:波長)で表され、測定条件が海面レベル、21℃、標準大気圧のとき秒速344mとなります。波長とは、周期性のある波において、同じ位相にある波の山、谷、ゼロ間の距離になります。音源から出た振動は空気を圧縮して伝搬します。この空気の疎密波が鼓膜と共振して音として感知します。人が聞くことができる周波数(20Hz~20kHz)の波長はおよそ17メートル~17ミリメートルです。
相互連結現象というのは理論上は大きさに関係なく起こります。ここでは低域のサブウーファーで起こる相互連結現象をみていきます。相互連結現象は2つ以上のサブウーファー・ユニットが同じ信号を生成し、中心軸が近く、同じ方向を向いていて、サブウーファー・ユニットの中心軸の距離より波長が短い場合に起こります。この状態で合成された音は、複数のサブウーファーが1つの大きなサブウーファーとして働き、1つの音波として伝搬します。2つのサブウーファーの場合、中心軸が近く、1/4波長と1/2波長の間にあるとき、相互連結現象は起こります。波長が短い(周波数が高い)ほど、現象が起こる中心軸の距離は短くなります。
左図のように中心軸が1/2波長より離れている場合、相互連結現象は発生しません。右図のように、近い場合に発生します。2台のサブウーファーを1/2波長より離して設置した場合、出力差は3dBです。2台のサブウーファーを近づけて設置すると、出力差は+6dBまで増加します。
この現象を具体化するためにQSC KS118アクティブ・サブウーファーの仕様を見てみましょう。周波数特性(-6dB)は41Hzから98Hzに拡張されています。先に述べたように、まずサブウーファーが生成する最も高い周波数のときの波長(C=fλ))を計算します。
1/2波長@98Hz=1.75m
2台のKS118サブウーファーの中心軸を1.75m以下の距離に設置すると、相互連結現象により出力を+6dBに増やすことができます。
以上からお分かりのように、サブウーファーを使用した相互連結現象の利点を応用するのは比較的簡単です。サブウーファーが生成する最も高い周波数のときの1/2波長より短い距離に2台のサブウーファーを設置するだけです。サブウーファーの数を最小限にして低域における高いSPLを得られる相互連結現象は、ツアー、音楽プロダクション、DJ、音響設備会社などにとって、大きなメリットとなるでしょう。
オーストラリア発
TAGVオフィスにある壁。Keith HaringとJean-Michel Basquiatへの敬意を表した壁絵が描かれていて、人気があります。写真提供p1xels
QSC製品の代理店であるTAGは、QSCのスピーカーにペイントをほどこす「More Than A Black Box」アート・プロジェクトの詳細を発表。
この企画の構想はTAG社が2019年に新しいVictorianオフィスを開いたときに生まれました。TAGVオフィスの広い側壁はアートの展示にも最適で、以前にもオーストラリアのストリートアーティストFintan Mageeの「The Refugee」を含むストリートアートが展示されていました。TAGが入居したとき、壁はNychosによるカンガルーの解剖図が描かれていました。
ストリートアートのエクスパートであるDean Sunshineと写真家p1xels、さらに8名のストリートアーティストの協力により、ある計画が立てられました。それは、National Gallery of Victoriaで開催されたKeith HaringとJean-Michel Basquiatの展示会に合わせて、壁を刷新するというものでした。3週間に渡り行われた作業により、モンゴルのアーティストであるHeescoによる二人の肖像画、Conrad BizjackとCheheheによる背景画、さらにDvate、Sabeth、Phibs、Ling、Dukeの5人によるグラフィティが描かれました。このコラボレーションは、QSCマーケティング・マネージャーNicholas Simonsenに感銘を与え、彼はアーティストと継続して仕事をしたいと考えました。
「壁面のアート創作が開始されたとき、クリエイティブな創作中に音楽を聞けるようにQSCのペアスピーカーを設置しました。壁が素晴らしい色で蘇っていく現実離れした経験にチーム全体が感動していました。最初に思いついたのは、アートと同様に、QSC K.2スピーカーをそのサウンドのように鮮やかに彩ることです。豊富な経験を持ったアーティストがK.2スピーカーをキャンバスとして使うことにより、単なる「黒い箱」以上の存在になります。
CheheheによるQSC K.2スピーカーペインティング。写真提供p1xels
2月の終わりに郊外で行われたCan’t Do Tomorrowアート・フェスティバルにおいて初披露されたスピーカーは、TAGVオフィス壁アートプロジェクトに参加したアーティストCheheheがペイントしました。Simonsen氏「Cheheheのスタイルは理想的で、スピーカーボックスを「アート」で装飾しました。最初のコンセプトでは、スピーカーグリルだけペイントしようと考えていましたが、Chehehe氏はスピーカーキャビネット全体が素早く、鮮やかにキャンバスになることを証明してくれました。」と語っていました。
幅広い層の観衆がWinnebagoのCrossroadsに集い、若者に熱狂を与え、年配の方もクリアで心地良いサウンドを楽しんでいます。
米国イリノイ州Winnebago(2020年7月9日)
イリノイ州WinnebagoではCrossroads Community Churchが、過去数年間、様々な場所を借りて集会を行ってきましたが、自らが所有する教会を建てることになりました。新しい教会では、PAシステムを組み上げる必要があり、ボランティアが牧師と教会で演奏するバンドのために、セットアップを行いました。建物に関する詳細な分析の後、イベント運営会社のWhite Train Entertainment社は、QSCのラインアレイが新しい教会の条件に最適だと判断しました。KLA12を両サイドに4台吊り下げ、KS212C指向性サブウーファーペアをステージ下に設置、さらにK8.2をモニター用に2台、フロント用に2台設置しました。
「収容人数は200名弱、Crossroadsにとってはラインアレイに置き換えるのは大きなチャレンジでした。」White TrainのJeremy Rollefson氏がコメントしています。「システムインテグレーターとして、2010年からQSCを使用してきました。ライブサウンド分野で複数の資格を持ち、ツアーエンジニアとしての経歴もあります。現代の教会では、日曜礼拝以外にも多くのイベントが行われているため、PAシステムは、過酷に使用されています。
KLA12ラインアレイを使用するという決定に至るまで、Rollefson氏は各要素のバランスを特に考慮しました。「礼拝において、重要な要素の1つは美観。吊り下げたラインアレイはポールマウントや積み重ねたスピーカーよりすっきりと見えます。」
「次にカバレージと位相について考えました。天井が低くて反響が大きい空間においてラインアレイは全ての音域とスペース全体をカバーするのに理想的なシステムです。QSC KLA12は、この価格帯で最も正確なレスポンス特性を持っています。5つのボックスで構成されたシステムの場合、垂直方向に90度、水平方向に90度のカバレージを持ち、消費電力も低く、長期的に考えても費用対効果が高いと言えます。
低音に関して言えば、美観を考え、サブウーファーをステージ下に取り付けたかったのです。ステージの下には、高さ50cmくらいの空間があるため、KS212Cが十分収まります。3600Wアンプを搭載、周波数特性は44Hzまでカバーするデュアル12インチウーファーは18インチに匹敵する出力を誇ります。
サブウーファーを選択するとき、出力だけが重要な項目ではありません。教会のホールのような空間では、低域のタイトさと明瞭さが重要な要素となります。コントロールされた低音は耳というより体全体で体感させます。KS212Cは、通常はサブウーファー領域では持ち得ない指向性をツインドライバーによりコントロールして作り出します。音響エネルギーを集中させ、後方の出力を前方の出力と比べて最大15dBまで下げて指向性を作っています。
K8.2は小型でパワーがあり、広いカバレージを持っているので、ステージ下のサブウーファーの間にK.8.2を2台設置しました。
全てが設置され調整され、その結果に大変満足したようです。「私がサウンドエンジニアとして行った最初の礼拝では、予想以上の結果となり、多くの感謝の言葉をいただき、礼拝参加者にとって新しい教会は心温まる場所となりました。幅広い層の観衆がCrossroadsに集い、若者は興奮している様子でしたし、シニア層にも明瞭で心地良いサウンドを届けられました。
システム全体が期待以上であり、その質の高いサウンドに驚きました。教会の礼拝へ最適になるように調整されていますが、他のイベントにも柔軟に対応できます。」Crossroads Community Churchのサウンドエンジニア・リーダーのJeffrey Schleich氏がコメントしています。
「礼拝のリーダーとして、過去15年以上、様々な環境に設置されたいろいろなタイプのサウンドシステムを経験してきました。QSCのシステムは素晴らしく、礼拝のサウンド環境を大きく変えました。部屋全体を満たすサウンドは参加者全体に心地良いリスニングレベルになって届いています。」礼拝ディレクターのMelissa Bushman氏がコメントしています。まず気がついたことは、モニターに気を取られる必要がないということです。従来のシステムでは、音量を補うために大声を出していました。今はバランスが良く、快適、集中できます。最高ですね。」
「White Train Entertainmentが持つQSCとの信頼はすでに確固たるものでした。Crossroads Community Churchでの成功は、最近の一例となりました。何度もツアーを上手くこなしてきたという経験から、QSC製品の品質と耐久性には自信を持っています。」とRollefson氏。「設置されたシステムが優れた性能を発揮する。それは、QSCが守り続けてきた価値によるものです。そして、顧客が満足していれば、私も幸せです。まさにウィンウィンの関係ですね。
繁忙期には、4つのステージ・パフォーマンスが同時に行われることもありますが、どのステージでもQSCは確実に最高のサウンドを届けます。
テネシー州、ナッシュビル。(2019年8月15日)
Kid Rock’s Big Ass Honky Tonk&Rock 'n' Roll Steakhouseは5階建てのビルに4つのステージを持つナッシュビルで最大の(斬新な)エンタテインメント施設です。QSCが設置した、統合オーディオ機器によるライブサウンドはオーディオマニアも納得です。「ビル全体ではトータル2000人、メインホールだけでも2階席と合わせて600人収容可能です。繁忙期には、4つのステージで同時にパフォーマンスが行われ、1日に16組のバンドそれぞれが4時間の演奏を行うこともあります。バンドの入れ替えが激しいため、PAシステムには高い柔軟性と信頼性が求められますが、QSCは確実にこの要求に応えてくれます。」とサウンドエンジニアのJosh Hastick氏。
メインホールのステージでは、両脇にKLA12ライン・アレイが置かれ、KW181サブウーファーがサウンドを補助しています。8台のK10.2がモニターとして使われ、さらにKW181が設置されています。メインホールと2階席の中間に16台のAC-S6Tがサテライトスピーカー(CXD4.3パワーアンプにより駆動)として設置され、メインスピーカーに合わせてディレイをかけてドライブしています。さらに大勢の観客が座るバルコニー用にK10.2とK12.2が置かれ、KW181サブウーファーで低域を補完しています。
3階と4階、さらに最上階にあるBARのPA機能は独立しています。3つのステージに設置されたPAシステムは全く同じ構成となっており、メインスピーカーとしてE112(CXDパワーアンプがドライブ)、KS212C指向性サブウーファーが両脇に設置され、モニターとしてK10.2、さらにCXDパワーアンプがドライブするAC-S6Tがサテライトスピーカーとして設置されています。さらに、最上階のバーにあるテラスにはAD-S12スピーカーが10台、AD-S112SWサブウーファーが4台、設置されています。
ナッシュビルにあるGC Pro社のGreg Glaser氏はプラン、機材の搬入、設置まで重要な役割を果たしています。GregとMike Mill(Honk Tonk Centralのサウンド・スーパーバイザー)はQSCのシステムを推進しました。
再びサウンドエンジニアのHastick氏のコメントです。「メインホールの壁と2階席上には、窓があり、天気によって開けたり閉めたりします。席が埋まっていて窓があいていると、デッド(残響が弱い)になり、空席が多いときに閉まっていると、ライブ(残響が強い)になります。KLAシステムは両方に問題なく対応することができます。アレイは良くチューニングされていて、誰かが最上階のBARで歌っても問題が起きないように設計されているのです。もし、偶然マイクをステージに向けてしまってもフィードバックが起こることはありません。」
サテライトスピーカーからの音は、メインスピーカーから出ている音と同じタイミングで観客の耳に届かなければなりません。QSCはディレイを使用してこの問題を解決しています。ディレイはミキサーを使わずにCXDシリーズのアンプ内で調整されています。設定は簡単。ラップトップを繋いでスピーカーのプロファイルを選択するだけです。
QSCの地元代理店、HWP社のKevin Duthu氏によると、「スピーカーの設定は、上のフロアーに設置しているE112システムでも有効です。QSCのシステムでは、スピーカーの設定を、測定用マイクからのデータに基づいて行っています。フルレンジ向けの設定、ダンスミュージック用の設定、壁との距離、サブウーファーの有無などに基づいて「ボイス」とも呼んでいる設定をします。実際の作業は、E112を設置して、CXDアンプを使用して音出しをします。これで99%の仕事は完了です。」
しかし、「上の階はメインホールより小さいため、より厳密な低音の管理が必要となります。KS212Cは、この要求を満たすのに理想的なサブウーファーです。指向性サブウーファーであるKS212Cなら、複雑な調整をすることなく、電源を入れてすぐに使えます。低域の音響エネルギーは低音が必要なダンスフロアーに向けて広がり、テーブルの上のグラスや、ステージ裏にある鏡を振動させることもありません。しかも、ボスの突然の指令により、たとえ不本意に音量を上げてしまっても、サウンドはパンチが効いていて明瞭です。」
「他のメーカーも素晴らしいライブサウンド機材を作っています。しかし導入後、時間と努力を費やしてサポートしようとするメーカーは多くありません。QSCのシステムは信頼性が高く、しかもここやあらゆる環境で問題が起こったとき、常にサポートしてくれます。」
By Christophe Anet(2020年2月4日)
このブログでは、サブウーファーアレイにより指向性を実現するいくつかの試みについて説明し、なぜQSC指向性サブウーファーが素晴らしい性能を発揮するのかを解き明かしていきます。まず、サブウーファーの定義から始めましょう。サブウーファーは低音(低周波数領域)専用のスピーカーです。メインスピーカーがカバーする領域より低い20Hz~120Hzを扱います。
1950年代中期、複数のスピーカーメーカーが音飛びが良い密閉型ウーファーを作り始めました。サブウーファーが一般的になったのは、1970年代、映画「大地震」に使われたSenSurroundの登場からです。1980年頃から、カセットテープ、CDの登場によりレコードの針飛びから解放され、サブウーファーは広く使用されるようになります。1990年代に入ると、ホームステレオ、カーオーディオ、PAシステムにも採用され、2000年代からは、ナイトクラブやコンサート会場で広く使われるようになりました。
一般的なサブウーファーの音響エネルギー分布は、球状になっています。一般的なサブウーファーから出力される200Hz以下の音響エネルギーは指向性がありません。低域の波長はサブウーファーの本体のサイズより長く、音響エネルギー分布は全方向に広がります。
図に一般的なサブウーファー2台を並べて、出力される音響エネルギー分布を示しています。無指向性であることが分かります。
X軸は周波数、Y軸は指向角度を表しています(0degはセンターです)。信号強度は色分けして表されています(各周波数に対して最大強度のとき0dB)。
1950年代以来、サウンドエンジニアは問題を解決するべく、最小2台構成でサブウーファーアレイを作っていました。ディレイ、位相、出力レベル、スピーカー間の距離を細かく調整し、サブウーファーにも指向性を持たせるように調整しました。
上記の方法で正しい指向性パターンを作るには、音響物理学の法則を理解し、パラメーターを調整しなければなりません。これは多くのサウンドエンジアとプロダクション会社にとって時間がかかる困難な仕事でした。
2台のサブウーファーを使って指向性パターンを実現するには、複数あるパラメーターから1つずつ着目して調整する必要があります。
下図にある、グラフから140Hz(破線)より上の高域ではサブウーファーの指向性が乱れ、機能していないことが分かります。さらに、指向性を生む背面域の減衰は、70Hzでのみ有効であることも分かります(青い領域)。
ディレイ時間を短くした場合、前方向の指向性は改善されています。しかしながら、音のキャンセル効果がコントロールされず、拡散しています。側面の低音は減衰できていますが、真後ろ方向では音が大量に拡散しています。このセットアップでは不完全です。
ディレイを長く設定すると、横方向の減衰には効果が薄く、サブウーファーの比較的高音域は、ほとんど無指向性になっていて、大量の低音が後ろ側に拡散しています。
サブウーファーアレイによる設定の難しさを解決するため、QSCは常に良好な指向性を持つサブウーファーとユーザーが設定しやすいセットアップ方法を開発しました。QSCの高機能DSPを使用して、背面方向にはウーファー2台による理想的なキャンセル効果を生むようにし、同時に、前方向では2台による完全な指向性を実現しています。結果、放射パターンは理想的な指向性を示し、前後の音レベルの差は15dBとなっています。
QSCが提供する指向性サブウーファーは2機種あります。軽量コンパクトなKS212Cは、1台で指向性を実現できるように1800WクラスDアンプと12インチ・ロングエクスカーション・ドライバー(ウーファー)を2台搭載。複数台により指向性を実現するKS118は、3600WクラスDアンプと18インチウーファーを1台搭載。DSPコントロールメニューからサウンドを調整します。
高機能DSPの効果は素晴らしく、適切な設置方法、極性、出力レベル、ディレイが設定され、効果的に指向性を実現しています。このシステムにより、ステージ上に低音を適切な場所に届けます。
実際に設置してテストした結果、サブウーファーアレイでも指向性を作ることは不可能ではないことがわかりました。しかしながら、設置スペース、ディレイ、極性、出力レベルなどのパラメーターを精密に調整できないと、満足な結果は得られません。
QSCは、複雑なセットアップを簡単にし、全てのユーザーが満足するように、いつでも良好な指向性が得られる使いやすい、多くの用途で使用できる製品を開発しました。
様々な音楽を扱う人たちにとってQSCは素晴らしい存在
米国カリフォルニア州ロサンゼルス(2019年4月11日)
素晴らしい音楽を上質なワインに例えるなら、ロサンゼルスを拠点に活躍する音楽集団「Flight of Voices」はソムリエです。優れた音楽を多数準備し、音楽を選ぶ手助けをしています。Malibu’s Saddlerock Gardensから伝統のVillage Studios、ビバリーヒルズにある全体がピンク・ソルトでできた部屋でのコンサートまで、幅広い個性のある屋内外の会場で演奏しています。それにはパワフルで軽量、使いやすいPAが必要です。彼らはパートナーとしてQSCを選びました。ミックスダウンとレコーディングにはTouchMix-30 Proを使用。メインにK12.2パワードスピーカー、サブウーハーにKS112、そしてモニター用としてK10.2を3台使用しています。
創業者でオーナーでもあるSophie Ills氏、共同オーナーのAlex Nimier氏、サウンドエンジアのRobert Richardson氏に話を聞きました。
山の上、洞窟、スタジオなど、私たちは、いろいろな場所でコンサートを行います。毎週Guitar Centerから機材をレンタルしていたときも、いつもQSCを使用していました。会場が常に変わるため、Flight of Voicesのサウンドシステムは、拡張性があり会場の雰囲気にフィットし、小回りがきく必要があります。私たちが行うショーは観衆が12人から200人と様々です。屋内、屋外にかかわらず、同じセットアップで使用できます。システムのサウンドは素晴らしく、K12.2は2000Wもの出力があります。最大規模の観衆のときでも十分な音飛びがあり、少ない観衆のときでも、演奏のニュアンスが伝わるハイファイなサウンドを届けます。他のスピーカーと違ってボリュームを落としても明瞭さが失われることはありません。
聴く人が多岐に渡っているだけではなく、様々なジャンルのサウンドを組み合わせ、毎回異なる音楽体験を届けています。ジャズシンガーとフォークシンガーを組み合わせたり、ソウルシンガー、ラテンパーカッションなどともセッションを行っています。同じ組み合わせのアーティストが何度かショーを行うこともありますが、初めてのメンバーで演奏することもあります。
TouchMix-30 Proはたくさんの便利な機能を持っています。様々なボーカルと楽器に対して素早くセットアップできるシーン設定、会場毎のハウリング防止とルームチューニング、タブレット端末からのリモートコントロールなどです。「WiFiルーターに接続してネットワークをセットアップします。iPadでTouchMixをコントロールしながら会場を動き回り、各スポットのサウンドをチェックします。演奏の邪魔になる長いケーブルを観客の足下に這わせる必要はありません。iPadの操作画面はTouchMix本体と全く同じです。二つの間に動作状態の違いや遅れなどはありません。実際にショーの最中にTouchMix本体を操作する必要はほとんどありません。
TouchMixの音質は、プリアンプ、EQ 、コンプレッション、エフェクトなど全てが一級品です。会場とアーティストが様々なため、チャンネル毎にEQ を設定し、全てをサウンドに凝縮、必要に応じてコンプレッションやリバーブをかけます。これらの調整はいつも素早くできます。
先週土曜日に行われたVillage StudiosのMoroccan Ballroomでのコンサートでは、8人のミュージシャンが演奏しました。フラメンコギター、カクテルドラム、ウッドベース、サックス、フルート、クラリネット、アコースティックギター、グランドピアノ+ボーカルによる演奏は素晴らしいの一言。そしてQSCのサウンドシステムは会場にぴったりで、とてもマッチしていました。
Flight of Voicesチームは、TouchMixシリーズを高く評価しています。特にマルチトラックレコーディング機能とステレオミックスをコンピューターを使用せずに直接ハードドライブに保存できる点です。我々の根幹はライブです。しかし、およそ6ヶ月前、様々なアーティストを組み合わせて、オリジナルだけでなく、カバー曲に驚くような編曲をし、YouTubeビデオのセッションを作り始めました。
セッションのときは、照明と撮影もやります。セッションのレコーディングには後で編集可能なトラックを、確実に作ることができるシステムが必要です。TouchMixに接続したハードドライブに保存できるので、ラップトップは必要ありません。TouchMix-16は軽量小型だけでなく、十分すぎる性能があります。
その軽さは魅力的ですね。屋内外問わずに、搬入はとても楽です。様々なジャンルの音楽に関わっている人にとって、QSCは本当に素晴らしいものだと思います。
米国カリフォルニア州ロサンゼルス(2019年2月11日)
1993年からRolling Stonesの一員としてツアーやレコーディングをしてきたベーシスト、Darryl Jones氏は、パワードスピーカーK10.2に単一指向性を持つパワードサブウーハーKS212Cを組み合わせ、ギタリスト兼バンドリーダーのMike Stern氏と一緒にヨーロッパ・ツアーを行いました。
最近行ったヨーロッパ10カ国のツアーでは、Mike Sternに加えてドラマーのKeith Carlockとサックス奏者のBob Malachも参加。そこでK10.2パワードスピーカーとKS212Cパワード・サブウーハーのペアが採用されました。
「K.2シリーズ・パワードスピーカーは低音を本当に美しく再現するタイトなサウンドを持っているね」とDarryl Jones氏がコメントしています。「KS212Cパワード・サブウーハーから、ローエンドを鳴らすための出力は、それほど大きなものである必要はありません。それでも、普通のベースアンプからは聞こえないような低音を発生させます。」
Darryl Jones氏は、彼自身のソロ活動と同様に多種多様なアーティストとレコーディング、演奏をしています。彼はMiles Davisと5年間にわたり、ツアーとレコーディングを行い、1983年に大きくブレイクしました。その後、Stingの最初のソロバンドに参加し、Peter Gabriel、Madonna、Herbie Hancock and the Headhunters、Eric Claptonなどとも演奏。彼自身のDarryl Jones Project、リーダーを務めるStone Raiders、3 Brave Souls、Chi Town Social Club、そしてMiles Electric Band(Miles Davisフュージョン時代のオールスターバンド)とも共演しています。
K.2シリーズのスピーカーは、Darryl Jones氏が演奏する音楽のジャンルに応じて調整でき、パワフルながらもバランスの良いサウンドを提供します。「もっとフュージョン向けのベースサウンドが欲しい場合は、よりクリーンなプリアンプを使用するんだ」と彼は言います。Darryl Jones氏はMike Sternツアーで、AvalonプリアンプとQSC K.2とKS212Cを使用してプレイしたこと があります。「もちろん良い音がするベースは重要。自身の会社であるJones Musical Instrumentsで自分がデザインし、製造したベースを演奏した時は、EQさえも使用しませんでした。」
「よりダーティなサウンドを求める場合は、チューブアンプを使うだけで温かみのあるサウンドが得られます。スウェーデンのベーシストJonas Hellborg氏が開発に携わるWarwick Amplificationによって作られたNeveのような暖かさと丸みを持つプリアンプを使いました。K.2シリーズのスピーカーの前にこのようなプリアンプがあれば、それだけで素晴らしいサウンドの完成です。」
多くのベースプレーヤーがそうしたように、Darryl Jones氏はJaco Pastoriousの音を真似ることに最初は夢中になっていました。しかし、Danny Wilsonが70年代後半にJeff Lorberと演奏しているのを聴いて、Danny WilsonのベースMusic Manによる、G allien-Kruegerのアンプヘッド、PAスピーカーから出力するベースサウンドを聴いたとき、それがJaco的なサウンドではないことに気づきました。Jacoは確かにとても美しく、特別なサウンドを作り出しました。しかし、Danny Wilsonの演奏を聴いたとき、「いや違う。Danny Wilsonの演奏こそ、真のベースサウンドだ」と思い、そしてそれが自分が欲しかったベースサウンドであることに気がつきました。そして、K.2シリーズスピーカーを使って、そのサウンドを手に入れられたのです。
Darryl Jones氏のQSC K.2とKS212Cの組み合わせは、大きな出力のサウンドを得られます。しかし、Darryl Jones氏は「別にただ大きな音を出したいわけではないんだ。十分なヘッドルームを持つKS212Cサブウーハーなら、クリーンかつ十分なパワーによる思い通りのベースサウンドが得られるんだ。」と強調しています。
By Lee Glynn. 2018/04/03
今回はQSC KS212Cサブウーハーを使って、単一指向性サブウーハーの特徴と、ライブ機材に入れるとどのようなメリットがあるのかを紹介します。
単一指向性サブウーハーの利点について聞いたことがあっても、ライブサウンドにとって単一指向性であることがどのくらい重要なのかを認識している人は少ないと思います。今までは単一指向性サブウーハーは存在せず、選択の余地がありませんでした。しかし、KS212Cがリリースされ、ライブに急速に使用されるようなると、以前のように低域を相殺させるようなセッティングは必要がなくなりました。KS212C単体で単一指向性が実現できるようになったのです。DJ、ライブ・ミュージシャン、演奏会場のオーナーに対して、単一指向性サブウーハーが最高のサウンドクオリティと共に、どのようなメリットをもたらすか報告したいと思います。
単一指向性サブウーハーの利点を理解するには、その効果について知る必要があります。
単一指向性について考えるとき、PAシステムのカバレージ、またはマイクの録音エリアを表すハート型をイメージすると分かりやすいと思います。(下図参照)
例えば、単一指向性マイクは、下図のハート型エリアの通り、その指向性によりマイクの後ろより前のほうがよりクリアに音を捕らえることができます。
では単一指向性サブウーハーの利点とは何でしょうか?
マイクの指向性パターンのように、単一指向性サブウーハーは自分の後ろ側に漏れる無駄な音を減らし、音量が落ち込んだり、周波数特性が低下したりするのを防ぎます。これにより聴衆やダンスフロアの人が聴くサウンドの音量バランスや音質が向上します。
つまり、壁の近くに設置したスピーカーの裏側から発され、壁から反射してくる音がほとんどゼロになるということです。屋外では全てが観衆に向かって出るようになり、明瞭にサウンドを聴くことができ、音域も広がります。フェス会場では低音を感じることができないことも多いのですが、単一指向性サブウーハーなら感じられるはずです。
下図では普通のサブウーハーと単一指向性サブウーハーのエネルギー分布を表しています。この図から、ライブ会場のセットアップでは単一指向性サブウーハーを使用したほうがより優れたサウンドが得られることは明らかです。
今日まで、単一指向性サブウーハーは製品として販売されていませんでした。サウンドエンジニアが様々な機材を駆使して調整したり、サブウーハーの配置を変えたりして対応してきました。
このような方法をとらなくてはいけないと考えるだけで疲れてきます。
QSCのチームが今までのライブ会場セットアップの常識を変えてしまう解決策を生み出しました。もうPAシステムを設置するのに物理学の学位を取得する必要はありません。
QSC KS212Cは、世界で最初の最上位クラスのシングルボックス単一指向性サブウーハーです。ライブ会場のオーナー、フェス運営会社、サウンドエンジアに単一指向性のメリットを提供します。以前のように特定周波数をキャンセルするためにPA機材に角度をつけて設置する必要もありません。また、それによる信号のロスもありません。
ライブで演奏している人、会場内の観衆など、ハイクオリティーなサウンドを求めている人にとって素晴らしいオールインワンのソリューションです。
小規模コンサート会場で演奏するとき、低音を必要な所にだけ鳴らすのに理想的なサブウーハーです。また、ステージでの調整は必要なく、低音を管理したり、余分な低域を少なくすることができます。
3600WクラスDパワーモジュールを搭載。大音量フルパワーで演奏することができます。さらに、最新のDSPテクノロジーとデュアル12インチ・ドライバー、6次バンドパス・チャンバーにより、キャビネットの前後で15dB以上の音響エネルギー差を実現しています。
単一指向性はどうして必要なのでしょうか?
まだその音を聴いていないなら、そのメリットに驚くと思います。15dBの差は明らかです。この単一指向性は簡単な操作で実現できます。また、キャスターとハンドルによって簡単に運べます。
15dBという数値がどのくらいの差なのか想像できない場合、30Wと1000Wの差と考えると理解できると思います。単一指向性サブウーハーを使用すると、確実に観衆に音声が届けられます。
不快な唸り音や不明瞭な音はほとんどありません
サウンドエンジニアはステージ上で発生する可能性がある不要な低域について良く分かっています。それが、不明瞭なミックスを作り、ステージでの唸り音が、楽器の音やミックスを聴きにくくしてしまいます。この不要な低域の大部分はサブウーハーの後ろ側に発散する低音によって引き起こされます。QSC KS212Cサブウーハーはステージ上の唸り音を著しく減少させ、ステージ上で低域が拡散するのを防ぎます。そうしてマイクが拾う低音を減少させることにより、ミックスをクリーンに保ちます。
野外コンサートやライブ演奏ではサウンドに何らかの制約があるのは当たり前です。低音は非常に遠くまで届くため、近くの住民や他のステージで演奏しているアーティストから苦情が出ることもあります。単一指向性サブウーハーはその問題を解決し、低音がステージの後ろ側と住宅地には響かないようにすることができます。これが単一指向性サブウーハーの最も大きなメリットです。
QSC KS2112Cサブウーハー
デュアル12インチ単一指向性サブウーハーKS212C
By Craig Leerman, 2018/04/26
KS212Cは、デュアル12インチ・コーン・トランスデューサー、クラスDアンプを搭載した1800W出力を持つ単一指向性サブウーハーです。6次バンドパス方式設計を採用、ウーハーの両側にポートチャンバーを設けることにより迫力のある低音を生み出します。
音飛びの良いサブウーハー、最新のDSPテクノロジー。これらの技術全てを密接に結びつかせることにより、指向性を持たせ、キャビネットの前後で15dB以上の音圧レベル差を実現しています。さらにQSC独自のTFRTM(Turbulent Flow Reduction)ポートデザインにより最適なレゾナント・チューニングと高速エアーフローを可能にしています。
最大出力音圧レベル132dB@1m(ピーク)、周波数特性39Hzから118Hz(-10dB)を実現。
厚く塗装されたバーチ製エンクロージャーはサイズ幅39.4x高さ62.2x奥行85.1cm、重量40.1kg。M20ソケットに35mm径のポールを差し込みスピーカーを設置することができます。アルミ製ハンドルと4個のキャスターにより設置しやすく、可搬性に優れています。また、別売アクセサリーとして専用カバーが用意されています。
今回のレビュー用にQSC社のK10.2フルレンジ・パワードスピーカー・ペアを用意しました。
この新しいサブウーハーを箱から取り出して最初に目に付いたのは、3インチの大型キャスターでした。殆どのサブウーハーはキャスターがついていないか、別売になっています。KS212Cに付いているキャスターは丈夫な上、演奏中に振動したりカタカタと音を出したりしません。デュアルポートが印象的なキャビネットの外観は美しく、ゴム足がついていて、対面にはゴム足を受ける溝があり、積み重ねたときに位置を固定できます。キャビネットはフロントポートをつかんで簡単に立たせることができます。逆に設置状態から移動用に倒すのも簡単です。リアパネルにポートが2つあり、コントロールパネルに対しバランス良く配置されています。左側に電源コネクター、ファン、電源スイッチがあり、右側にはTRS/XLRコンボ端子とXLR出力が2チャンネル用意されていて、コントロールノブ1つで両チャンネルとも調整できます。使いやすいディスプレイと2つのプッシュボタン、メニューを選択する大型のノブが搭載されています。単一指向性特性は工場出荷時に精密に調整され設定は固定されています。クロスオーバー、ディレイはDSPを利用して調整することができ、さらに設定した内容はシーンとして保存と呼出ができます。KS212Cには2つの基本的なシステム構成が用意されています。1つは一般のPAシステムで使用されている構成。左右それぞれ1台、または複数台を左右両サイドのスピーカーとして使用します。もう1つはサブウーハーとして1台のみを設置し、ステレオトップと組み合わせた構成です。その際にはAB入力にミキサーからのステレオ信号を送ることにより、チャンネルAB「thru」出力端子経由でフルレンジスピーカーにステレオ信号を送ることができます。サブウーハーが2台も必要ない小規模な会場にはちょうど良いかもしれません。
コントロールとI/O(リアパネル)
開梱してからシステムセットアップまではとても簡単。すぐにデモトラックを再生することができました。エンクロージャーの後ろ側に回ると期待通りに、高い減衰率を実感。サウンドエンジニアの1人が「1台のボックスで強い単一指向性が得られるのは素晴らしい。サブウーハーを2台以上積み上げて同じ結果を得ようとすると結構大変だからね。」と言ってました。KS212Cは殆どの音楽ジャンルに必要な音量を得られ、その低音はしっかりとしてタイト。小さなボックスからアタック感のある音を鳴らします。
キャスター付き。移動は簡単。保護用に専用カバーが用意されています。
予め評価する項目を全て確認した後、KS212Cをいろいろな会場に設置してテストしました。最初のテストはある会社のイベント会場で行いました。ミーティング・セッションの前後にロビーで音楽を流しながら発表を行うという内容でした。このイベントの会場設置はここ数年、毎年行っていて、最近の音楽で構成された曲目に少し低音を効かせたいと思っているのは分かっていました。ロビーのコーナーに三脚を使用してK10.2ペアを設置。それから少し離れたところ、壁の真ん中あたりにサブウーハーを置き観葉植物で隠しました。1台でも十分な低音が得られ、強い単一指向性により低音はそのまま、お客様とバーテンダーの会話は邪魔しません。これは普通の無指向性サブウーハーではできないことです。次のテストは同僚のサウンドエンジニアが関わっている教会のバンドと共に行いました。前のテスト同様、K10.2フルレンジスピーカーをペアでスタンドを使用して設置し、KS212Cは重低音が得られるようにステージの中央前に横置きに設置しました。
演奏を行うステージは小さく、床から70cm程度の高さにあり、ステージスカートが設営されていました。友人のサウンドエンジニアが「ステージ前に置くと低域のサウンドによりステージがガタガタと振動してしまう」と忠告してくれました。「でもKS212Cは単一指向性が強くそのような問題は起きない。しかも1台しか使わない」と言ったら、冗談だろうって言われました。
テストトラックを再生した瞬間、単一指向性のすごさにサウンドエンジニアの表情が驚きに変わりました。やがて彼の顔はにんまりとしてそれが他のバンドメンバーにも伝わりました。彼らが先に会場に到着してステージとKS212Cの回りを歩いたときには、低音に指向性があるなんて信じていなかったようです。次の会場では、KS212Cを壁面から1m離れた所に設置して単一指向性が本当にうまく働くかどうかテストしました。我々の耳には指向性があることがはっきりとわかりました。さらに全員の一致した感想として出たのは、KS212Cをペアで使用するとステージ上の低音抜けをうまく避けることができるということです。
最後にテストしたのは、ホテルの大会場で行うDJ機材との組み合わせです。長期にわたるイベントの最後に行われる300人以上が参加するディナーとダンスパーティでKS212Cを評価しました。いつもは18インチ・フロントロード・サブウーハー・ペアと共にK10.2と同じ性能の小型フルレンジスピーカーをペアで使用しています。チームメンバーも同様に、KS212Cは、2台の大型サブウーハーによる構成と同じかそれ以上の性能を発揮するだろうと期待していました。そしてその通りの性能を発揮してくれました。ダンスフロア前方の床に、スタンドを使用して観衆より高い位置にK10.2を設置しました。KS212Cに搭載されているディレイは、サブウーハーより数メートル後ろにあるトップと同期させるのに役立ちました。いつものように、イベントが始まる2,3時間前にDJが到着したときにはシステムの設置は完了していました。DJはサブが1台しかないのを見て直ぐに、これでは不十分だなと感じているようだったため、彼がコンピューター・プレイバック用機材を設置した後すぐに、何曲か再生してみるようにお願いしました。彼は十分な低音が響くBruno Marsのモダンダンスセレクションを選択しました。私はステージのDJステーション横にいる彼の隣に立ちました。彼は首を振ってやはり低音が足りないと言ったため、私はダンスフロアまで確認しに行こうと言いました。そしてそこで彼の驚く顔を見たのです。ダンスフロアには予想以上の十分な低音が響いていました。イベントの開催中、後で彼のコメントを聞きました。彼は通常のPAシステムのような低音を感じることができなかったことに少し不満を持ちました。なぜなら、今まではステージで響く低音がDJステーションまで伝わってくるのを感じていたからだそうです。しかし、筆者としてはステージでのパフォーマンスは大きく改善され、特に低音ノイズが拡散することが少なくなったことは特筆に値すると思います。KS212Cは素晴らしいコンパクトサブウーハーです。必要なユニットを追加することにより、大きな会場にも使用できます。低音はタイトで、単一指向性によりステージ上での低音拡散を防ぐことができるため、スピーカー配置の自由度が増します。また、軽量で1人でも運べます。ポールを取り付けるとサブウーハーの上に他のスピーカーを設置することができ、非常にコンパクトで安定したシ ステムを構築できます。今回のレビューでは率直な感想として、既存のサブウーハーを試した後、KS212Cと取り替えて使ってみることが、その価値を分かってもらう一番よい方法だと思いました。
サブウーハーから出力される低域は、サウンドのコントロールが最も難しく、放射パターンは、側面、後ろを含む全方向において無指向性です。
通常、音響エネルギーの殆どが観衆の方向だけではなく、望まない方向に及びます。後ろに拡散するエネルギーはほぼ無駄になり、近隣に迷惑をかけることもあります。さらにライブ演奏にフィードバックを引き起こし、振動によりレコード再生などに影響を与えることもあります。
サブウーハーが持つ無指向性の問題を解決するテクニックはいくつかあります。昔から行われているその方法は非常に複雑です。単一指向性パターンを作るために、複数のサブウーハーと、アンプを使用し、綿密に計算したシグナルプロセッシングによりディレイと音の大きさを決め、低音域を干渉させることにより、打ち消し合わせなければなりませんでした。
無指向性による余分な低音解消のため、壁に対して、または角にサブウーハーを設置する技術についてある程度知られていると思います。これは無指向性サブウーハーには有効でも、単一指向性サブウーハーには効果がありません。KS212C単一指向性サブウーハーの場合、フロントとリアのポートから出る音響経路を確保するためにトップとサイドにスペースが必要です。このスペースによりフロントとリアポートから出る音が干渉し、指向性パターンが生まれます。
KS212Cを壁から全ての方向に対して最低50cm以上離して設置します。過去の経験からステージの下には置かないほうが良いという結果が得られています。どうしても置かなければならない場合、ステージ上に置いたときと同様、エンクロージャーから周囲50cmの範囲に何もない位置に設置してください。
最初に音の伝達の仕方は周波数により異なります。サブウーファーは200Hzより下の周波数しか再生せず、その低音は全方向に拡散します。音は観衆に対してだけでなく、サブウーファーの後ろにある(硬い材質で、固定されている)壁に向かっても拡散します。注目すべきはこの点です。
サブウーファーが後ろの壁との間にスペースを空けて設置され、その距離がある周波数の波長の1/4に等しいとき、壁から反射される音により、前方へ向かう同じ周波数の放射エネルギーをキャンセルする働きをします。
音の伝達速度(音速)は、音速C(海面レベル、21℃、標準大気圧)は344m/sです。
C(音速)= fλ(f:周波数、λ:波長)
この式から、ある周波数に対して1/4波長を計算することができます。例えば、ギターの一番低い音(6番弦E)は約83Hzです。この場合の1/4波長は1.0mとなります。
サブウーファーを壁から1.0m離して設置したとき、前方の周波数特性は83Hzで大きく下がるのを確認することができます。この現象を「低域における、くし形フィルターキャンセル」と呼びます。EQを使用してもこの現象は修正できません。このように壁に対するサブウーファーの配置が低域全般の音質に大きな影響を与えます。
QSC KSシリーズ・サブウーファーの仕様を見ながら数値で表してみましょう。KSシリーズはコンパクトなエンクロージャーにシングル12インチウーファーを搭載。41~108Hzの幅において広い周波数特性(-6dB)を持っています。サブウーファーが再生する低域の両端である40~110Hzの範囲を考えます。
1/4波長@40Hz=2.15m
1/4波長@110Hz=0.78m
実際のサブウーファーの低域周波数特性に基づいて、この2つの計算結果をガイドラインとします。
この低域周波数のキャンセルを避けるため、壁に対してできるだけサブウーファーを近づけるといいかもしれません。ところが、壁に近づけ過ぎると低音がブーストされるという問題があります。バランスを取るため、低域周波数特性の調整が必要となります。
実際、ほとんどのケースでサブウーファーを壁から離す必要があります。
上の計算結果を利用し
・壁から0m~0.78mの距離に置く
・2.15m以上離す
が選択肢となります。0.78mと2.15mの間に置いてしまうと、明瞭さ、パンチ、タイトなダイナミクスが失われ、さらにいくつかの音が完全に失われることさえあります。また、最終的なサウンドを確認するために、低域周波数再生が全体に渡って変わらないことをチェックする必要があります。
推奨される指向性サブウーファーの設置方法
QSCのKS212Cや2台以上で構成されたKS118は指向性を持っています。搭載したDSPが複雑な処理をおこない、2台のエンクロージャーの後ろでそれぞれのウーファーを互いに作用させると、音波のキャンセルが起こり、同時にエンクロージャーの前では必要な合成が起こります。結果として、放射パターンは理想的な指向性(ハート型)になり、後ろに比べて前の音響エネルギーは15dB高くなります。
指向性サブウーファーと壁の間には最低限の距離が必要となります。KS212CとKS118(最小2台構成)を正しく運用するには、壁から0.5m以内には設置しないようにします。
サブウーファーは多くのライブ公演先やスタジオのPAに使用されています。リスニング環境とパフォーマンスを向上させるために、サブウーファーを会場のステージに置くのがとても重要なポイントになります。また、優れた低音のリスニング体験を提供するために設置する壁との距離は簡単に計算できます。必要に応じて、計算して実際に役立ててください。
多くのAVレンタルまたは固定設備音響システムでは、同じオーディオコンテンツを再生する多数のスピーカーのセットアップを必要とする場合があります。これを実現する最も簡単な方法は、多数のパワードスピーカーをデイジーチェーン接続することです。
QSCパワードスピーカーは、2種類の外部出力を備えています。QSC K.2、KW、およびKLAシリーズは、スルー(パラレル)出力を備えています。入力端子の近くにある出力端子で、矢印で示されています。これらのラインレベル出力から、それぞれ次のパワードスピーカーの入力に配線します。このとき送られる信号は入力されたものと同じ信号であるため、元のスピーカー側で設定されたゲイン調整の影響を受けません。これをプリゲインと呼びます。
注:KLAシリーズには出力が1つあり、単に「ライン出力」とラベル付けされていますが、実際にはプリゲインの「スルー」出力です。
2つ目のタイプとして「ミックス」出力(古いKおよびKWモデルでは「ライン出力/ポストゲイン」)があります。このラインレベル出力は、すべての入力チャンネル(A、B、C)のポストゲインミックスを生成します。3つのチャンネルのいずれかのゲインを調整すると、Mix Out信号は影響を受けますが、DSP処理は行われません。QSC K.2、KWおよびCPシリーズは、このミックス出力を備えています。
妥協のない音質を維持しながら、安全にデイジーチェーン接続できるパワードスピーカーの数をチェックしてみましょう。
■ スルー出力
プリゲイン「スルー」出力を使用して、大量のスピーカーをデイジーチェーン接続できます。最終的に数十ユニットを接続すると、ケーブルの長さに応じて、回線レベルの信号損失が発生します。
注:CPシリーズは「スルー」出力ではなく、「ミックス」出力のみを備えています。
■ ミックス出力
ポストゲインミックス出力では、ゲイン回路を通るために常に小さなノイズが追加され、このノイズはデイジーチェーン接続されたスピーカーを追加するたびに増大します。ミックス出力を使用する場合、デイジーチェーン接続は最大4台までにすることをお勧めします。CPシリーズにはミックス出力しかないため4台までとなります。
■ 使用例
一般的な使用方法として、チェーン内にある最初のスピーカーだけミックス出力を使用する「ミキサー」として、それ以降はスルー出力を使用して、複数スピーカーをデイジーチェーン接続します。この方法はミックス出力を1つだけしか使用していないため、一番安全であり、スルー出力を使用して数十台のユニットをデイジーチェーン接続できます。
KSシリーズ、アクティブ・サブウーファーは全機種に強力なDSPを備えており、クロスオーバー周波数(ローパス)など多くの有効なパラメーターを調整できます。KSサブウーファーを有効に働かせるためには、適切なクロスオーバー周波数を選択し、サブウーファーとフルレンジスピーカーの両方に正しい設定をする必要があります。
したがって、QSCサブウーファーとスピーカーを最大限に活用するには、クロスオーバーを適切に調整することが重要です。
大きな部屋や屋外では、聴衆全体に適切な音を提供するために、メインステージまたはイベント会場から比較的離れた場所に追加のスピーカーを設置する必要がある場合があります。サテライトスピーカー、またはディレイスピーカーとも呼ばれるこれらのスピーカーが、メインステージのスピーカーとのディレイ時間を適切に調整されると、音楽はクリアで、エコーがなく、アナウンスも明瞭になり、パフォーマンスを楽しむことができます。
いくつかの基本的なことから始めましょう。まず、ディレイスピーカーを含むすべてのスピーカーは聴衆に向けて、適切な方向にセットする必要があります。音は344 m /秒(または1128フィート/秒)で移動し、その速度は主に温度により変化し、湿度の上下でもわずかに変化します。 20度(基準温度)では速度は344 m / s、5度では334 m / s、35度では352 m / sです。メインスピーカーの音と、ディレイスピーカーの音が聴衆に到達するまでの時間に差が生じる場合、ディレイスピーカーの音をメインスピーカーの音と一致させる必要があります。
そのためには、遠くに設置したディレイスピーカーの音を遅らせる必要があります。これを達成する方法は? K.2およびKSシリーズでは、搭載されたDSPを使用して、メートル、フィート、またはミリ秒単位でディレイ時間を設定することができます。各ディレイスピーカーを設定する最も簡単な方法は、メインスピーカーとディレイスピーカーとの距離を測定し、ディレイを必要とする各スピーカーに値を入力することです。非常に低い、または高い温度(5度または35度など)で使用する場合は、音速の変化を考慮して調整してください。
¥25,800(税込)
在庫有
¥3,180(税込)
在庫有
¥2,980(税込)
在庫有
¥6,580(税込)
6/18頃予定
2025/03/31
コスパ最高!
投稿者名Reviewed by:FOX 【埼玉県】
販売開始されて早い段階で2台購入。現場使用の後に追加で2台購入、計4台運用中。
固めの音質で音量感も十分。高校体育館や1000名キャパのホールなど、ダンスものだと4台あれば十分でした。
この性能から見ると、コンパクト・軽量で扱いやすいサイズ感だと思います。
ラインアレイと組み合わせての使用では、従来の苦労は何だったのかと思うほど扱いやすい出音に仕上がっています。
QSCのスピーカー全般、クセなくしっかり鳴ってくれる好印象です。国内ではまだシェアの確立に苦労しているようですが、代理店の動き方次第で化けるブランドだと思っています。
レビューIDReview ID:67ea5bb1f43e2b005800000f
2021/08/17
スペック通りです!
投稿者名Reviewed by:オーナーMI 【東京都】
東京ライブハウス上野untitled を経営しています。
以前から興味があり、緊急事態宣言で予約が少ないので、メンテ兼ねてで導入しました。
以前は、ELX115で、サブ無しでしたが、QSCのE115と共にメインを入れ替え、これにいたしました。
指向性が凄いです。飛ばしたく無いところには低音が飛びません。
ビル内への低音漏れの配慮から入れていなかったサブですが、全く漏れないので安心して使えます
ステージ側(反対側)や、ホールの外へは低音が漏れず、ホールのみ爆音、重低音にする事ができます。
ステージの人は、全く低音が飛んでこないんで、ホールの音心配になるんじゃないでしょうかと思います。
デカくて置き場に困る
以外はデメリットはありません。
あとは、佐川の人から、重くて一人で運べませんと電話が来ました。
ずっとこう言うの探していました。最高のサブウーファーです!
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