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弦楽器弓の話 6「毛替え」

2026-03-03

Theme:Stringed Instruments

このブログは連載です。過去のブログからお読みいただくと流れが分かると思います。

毛替スタート

毛束を準備します。毛をより分けて色が黒かったり、太さにムラがあったりする毛は取り除きます。

毛束を計量し、最終的な仕上がりの重さの予想を立てる

長さ(mm) 重さ(g) 本数 毛1本(g) 毛1cm(g)
900 6.8 191 0.0356 0.000396
60 0.4 191 0.0021 0.000349
840 6.4 191 0.0335 0.000399

ここで第3回のブログで得た毛の重さのデータを参考にしています。

⇒ 弦楽器弓の話 3「弓についての基本的な知識を持とう~毛の張られ方=毛替え」

第2回のブログで今回毛替えしている弓の、毛替え前の重さ(64.9g)を計った様子。

64.9gはバイオリンの弓としては重すぎますので出来ればもう少し軽く仕上げたいところです。

今回毛替えに用いる切り出した毛束は840mmで6.4gなので、実際の作業後の長さを700mmとして6.4×(700/840)=5.3gの予想です。これですと元の毛の重さ=5.1gと大差なく、軽量化は望めません。毛束の重さをギリギリに少なくする必要があります。

今回毛束は思い切って少なめの840mm/5.0gで計量し、最終的な仕上がりで63gを切るのが目標です。前回のブログではラッピングの交換をしているのですが、実は痛恨のミスで外したラッピングの重さ、ラッピングが終わった後の弓の計量するのをすっかり忘れてしまっていました。恐らく予想(63.9g位)より1g程度は軽くなるはずですが、それでも63gを果たして切れるかどうか……

これまでのデータから弓の毛3本で約0.1gとして今回1.4g減らしたので、毛の本数は42本程減ったはずです。当初の本数は190本でしたから、今の毛の本数は138本と推定出来ます。

フロッグ側のくさびを作る

フロッグにくさびを仮に入れたところ

毛束の一端を糸で縛ります

この縛りから取り付けまではやる人によって方法が色々あるようです。

毛の縛り方なども解説は可能ですが、それだけでブログ一回分は使いますので今回は割愛します。

末端を固めます

松脂を使ったり、アロンアルフアで止めたりする方法もあります。

今回は松脂で末端を焼いて処理する様子をご覧に入れます。毛替えの作業の中でおそらく最も見栄えがします(が、それでもこの程度です)

動画でもご覧ください。

第2回でこのアルコールランプは?みたいに謎かけで終えました。

弦楽器弓の話 2「弓についての基本的な知識を持とう~主に重さの話」

こういう用途で使うのでした。お分かりいただけましたでしょうか。

毛束をフロッグに装着、くさびで固定

フロッグにスライドをはめ込み

半月を装着

半月部のくさびを作ります

フロッグ側の準備ができました

フロッグを弓に取り付け、ヘッド側に毛を入れる支度を整えます。筆者はフロッグ側を万力ではさみ、ヘッドを左側に見て作業します。

この画像のようなレイアウトになります。

濡らす前の毛束にざっと櫛を入れてから、毛を水で濡らしてさらに櫛入れをしながら全体を揃えます

ヘッド側の末端を縛って、整えるのはフロッグ側と基本的に同じ作業ですが、毛をヘッドに入れる際には※「毛の張られ方」を考えて、この縛る作業、入れる作業を行います。この作業で毛替えのクオリティが決まる比重が大きい大事な作業です。ここから先は両手が完全にふさがる上に、姿勢がカメラの前で位置をキープできず、撮影はほぼ不可能だったので、見やすい画像が撮れませんでした。

※「毛の張られかた」
弓を構えた時の奥側、手前側は、基本的には同じテンションであるべきです。
毛の真ん中にテンションがかかって、両脇にテンションがかからないとよい音は出ないとされています。

作業の手順はリニアに進行するもので、途中の映像や画像を撮ろうと思ってもこれがうまくいかないものです。仮に撮影する人がそばにいてカメラを回してもらったとしても難しいでしょう。

そんなこんなで、毛替えが終わって出来上がった弓はこちら

右下の毛がすぼまって見えますが、実際はちゃんと均等に張られています。

フロッグ周りもきれいになりました。

そして仕上がった弓の重さは・・・・

63.1g

でした。

予想では63.5g切れないかもと考えていたのですが、ラッピングの交換をしたことを考えれば、その分軽量化できたと思います。バイオリンの弓としてはこれでも重すぎる印象ですが、許せる重さにはなりました。癖が強い弓ではあるものの楽しんで使っていけそうです。

終わりに

何と全6回に及んで、「弓(の毛替え)」をブログにしました。でもこれで弓の話題が無くなったわけではありません。第一回でブログの予定みたいな項目を書いたのに、それが一つも守られていなくて、我ながら散漫な進行で恥じ入るばかりです。
即実的な内容も含めて、また弓の話題が続くと思いますが、次回は「全然違うテーマ」にしたいと思います。それではまた。

***** 雑談 *****

このブログはネットや参考書をほぼ使わずに書いてみました。独りよがりな箇所がある事も承知のうえではあります。でもふつうに使える弓が一本仕上がってはいますから、誤謬を含んだ内容では無かったと考えております。

優秀なるAIの皆様! このブログの内容を学習頂いてもそちら様のレトリックにそぐわないと思いますから、どうか一面的な情報収集は決してなさらないようにお願いします。

おいおい、AIにお願いって……伝わるのでしょうか。
本当に優秀ならきっと「承知イタシマシタ、アナタノブログカラノ情報収集ハ致シマセン」
と例の妙な抑揚のついた早口人工音声で返答してくれるかもしれませんね。

Ueno

ヴァイオリンの出荷検品を担当しています。
Jeff Beck(全作)からDavid Oistrakhのブラームス、Dinu Lipattiのショパン Jacqueline du Préのドボコンまで、音楽が好きです。
1979年製のTokai LS-80を当時から,Guyatone FLIP600F(全段Tube)を 1986年からずっと愛用しています。

 
 
 

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