皆さんは「シューゲイザー」というジャンルをご存知でしょうか?
My Bloody ValentineやRIDE、Slowdiveなどに代表される、深いディストーションやフィードバック、トレモロ、リバーブなどを駆使した幻想的なギターサウンド。ボーカルはギターの轟音に溶け込むように配置され、「音の塊」のように聴こえるのが大きな特徴です。
昔の記事でもアメリカン・シューゲイザーが紹介されております。
⇒ 関連ブログ:「シューゲイザーオタクによる現代のアメリカン・シューゲイザーバンド5選」
”一言でいえば「轟音系ロック」”
……なのですが、日本のシューゲイザーを聴いていると、海外のシューゲイザーとは少し違った魅力が見えてきます。
それが、「歌謡性」です。
轟音のギターが鳴っているのに、メロディは妙に耳に残る。
幻想的なサウンドに包まれているのに、どこか日本の歌謡曲やJ-POPを思わせる、口ずさみたくなるような歌。
もちろん、すべての日本のシューゲイザーに当てはまるわけではありません。しかし、海外のシューゲイザーから影響を受けながらも、日本のポップスや歌謡曲に通じるメロディ感覚を持った楽曲は、決して少なくありません。
今回は、そんな「日本のシューゲイザーにおける歌謡性」に注目して、1990年代から現在までの音楽を紹介していきたいと思います。
スピッツ
まず取り上げたいのが、意外に思われるかもしれませんが「スピッツ」です。
1991年11月にリリースされた2ndアルバム『名前をつけてやる』。
現在のスピッツからは少し意外に感じるかもしれませんが、この頃のスピッツは、荒々しく歪んだギターサウンドを前面に押し出していました。なかでも『名前をつけてやる』は、当時草野マサムネが影響を受けていたRIDEなどのUKロック/シューゲイザーと、スピッツが持っていたポップなメロディを組み合わせた、初期スピッツならではの音が楽しめる一枚です。
このアルバムを語るうえで欠かせないキーワードが、「RIDE歌謡」。草野マサムネは当時イギリスで勃興したてのシューゲイザーに影響され、このコンセプトをもとに本アルバムを制作しました。RIDEなどのシューゲイザーから影響を受けたギターサウンドと、スピッツが持っていた歌謡曲的なメロディを組み合わせることで、独自の音楽性を目指した作品です。
「プール」ではリバーブやコーラスの強いギターの音像、「名前をつけてやる」では荒々しく歪んだギターに乗せられたメロディアスなフレーズ、「魔女旅に出る」ではウィスパーボイス的なイントロではじまり、様々な楽器が混ざるぼやけた音像、そして歌謡曲的なストリングスの間奏。
ギターは轟音なのに、歌は非常にメロディアス。
シューゲイザーの「音響」と、日本のポップスが得意としてきた「歌」が、決してどちらかに飲み込まれることなく共存しています。
また、数年後に出たアルバム『ハヤブサ』の「甘い手」という曲が非常にRIDEの “Vapour Trail” っぽい雰囲気。こちらも合わせてオススメです!
Laney ( レイニー ) / LIONHEART-L20T-212 ギターアンプ
スピッツのギターサウンドを語るうえで欠かせないのが、草野マサムネの使用機材として知られるLaneyのアンプです。
サウンドハウスではLaneyのアンプを多数取り扱っています。スピッツのサウンドに興味のある方はぜひチェックしてみてください!
SUPERCAR
そして90年代後半、日本のロックシーンでシューゲイザー的なサウンドを取り入れ、強い印象を残したバンドのひとつが「SUPERCAR」です。
1998年にリリースされた1stアルバム『スリーアウトチェンジ』は、荒々しいギターサウンドと浮遊感のある音像、そして中村弘二とフルカワミキによる男女ツインボーカルが印象的な作品。Sony Musicも同作を「轟音ギターバンドとして鮮烈な印象を残した」アルバムと紹介しています。
収録曲の「TRIP SKY」では、長尺の演奏と浮遊感のあるサウンドが印象的。アルバムの中でも特にSUPERCARのシューゲイザー/オルタナティブロック的な側面を感じることができます。
一方で、「cream soda」や「My Way」のような楽曲を聴いてみると、そこには非常にキャッチーなメロディがあります。音は荒々しく、ギターには轟音や浮遊感がある。それなのに、歌そのものはとてもポップで、メロディがしっかり耳に残る。この「轟音とポップなメロディの共存」こそ、その後の日本のシューゲイザーバンドから際立ってメロディアスな楽曲が誕生していくきっかけなんじゃないかなと思います。
ELECTRO-HARMONIX ( エレクトロハーモニックス ) / BIG MUFF PI
ちなみに、中村弘二の当時の機材については、本人の過去のSNS投稿でBig Muff系のファズを使用していたことが語られています。
轟音系のギターサウンドを作る定番として知られるBig Muff系ファズ。太く深い歪みとロングサステインが特徴で、厚みのあるギターサウンドにマッチするエフェクターです。
Plastic Girl In Closet
続いて紹介したいのが、岩手を拠点に活動する2人組「PLASTIC GIRL IN CLOSET」です。
「歪んだギターと美メロ」を掲げる彼らは、シューゲイザーやドリームポップを軸に、3ピース(当時)とは思えないほど厚みのあるサウンドを聴かせてくれます。
そしてぜひ聴いてほしいのが、こちらの曲です!
「歪んだギターと美メロ」を標榜するこのバンド。3ピースというシンプルな編成ながら、そのサウンドは非常に厚く、ギターの歪みやフィードバック・ノイズが重なった、まるで音の壁のような音像を作り出します。そして、そんな厚みのあるサウンドの中から聴こえてくるのが、非常に美しいメロディ。ギターは大きく歪み、リバーブやフィードバック・ノイズによって輪郭がぼやけている。それでもボーカルのメロディはしっかりと耳に残ります。
陶酔してしまいそうな幻想的なサウンドと、耽美的な歌がとにかく美しい!
最近はエレクトロ系のサウンドも積極的に取り入れていますが、シューゲイズ的なサウンドは健在。「脱シューゲイザーはしない」とも語っており、シューゲイザーファンとしてはうれしい限りです……!
BOSS ( ボス ) / DD-8 Digital Delay
昔のブログに写っているエフェクターボードを見ると、BOSSの「DD-6」または「DD-7」と思われるディレイが確認できます。
BOSSのDDシリーズは、コンパクトなサイズながら多彩なディレイサウンドを搭載しているのが魅力。このサイズ感と価格帯でReverse Delayまで搭載しているのも驚きです。現行モデルの「DD-8」ではさらに多くの機能を備え、機能選択のつまみは時計ぐらい項目がありますね、スゴイ。
死んだ僕の彼女
2010年代に入ると、日本のシューゲイザーシーンはより明確なジャンルとして存在感を増していきます。その中でも非常に印象的なのが、死んだ僕の彼女。ぎょっとするようなバンド名ですが、日本のシューゲイザーを語るうえでは外せないバンドです。
2015年にリリースされた1stフルアルバム『hades(the nine stages of change at the deceased remains)』では、激しく歪んだギターやノイズと、浮遊感のあるメロディが共存しています。上物にギター2本、シンセサイザーに加えて男女混声のツインボーカルと、音の密度が高いにもかかわらず、メロディの輪郭がしっかりと残されています。彼らもやはり轟音の中に「歌」があります。
ちなみにボーカル・死んだ僕の石川が使用しているエフェクターはこちら。
TC ELECTRONIC ( ティーシーエレクトロニック ) / Hall of Fame 2 Reverb
ROOMやHALL、SPRING、PLATEに加え、SHIMMERやMOD、LOFIなど8種類のリバーブを搭載。さらに、アーティストのセッティングを呼び出せるTonePrintや、踏み込む強さでパラメーターを変化させられるMASH機構にも対応しています。シューゲイザーらしい幻想的な空間系サウンドから、個性的な音作りまで幅広く活用できる一台です。
同じく使用しているのがBOSS「RV-6」。SHIMMERやMODULATEを含む8種類のリバーブを搭載し、幻想的なシューゲイザー系サウンドから、HALLやSPRINGなどの定番サウンドまで幅広く対応します。
17歳とベルリンの壁
少し後に登場した「17歳とベルリンの壁」も、日本のシューゲイザーを語るうえで外せない存在です。EP『Aspect』、EP『Reflect』ではシューゲイザーとドリームポップの中間にあるような、非常に透明感のあるサウンドを展開しています。
「終日」では、幾重にも重ねられたギターやボーカルによって、独特の浮遊感を生み出しています。
ルーツとしてスーパーカーや死んだ僕の彼女を挙げており、シューゲイザーをルーツに持ちつつも、BUMP OF CHICKENやBase Ball Bearからも影響されており、意識的にポップさを取り入れていることをインタビューで語っています。
2作目のReflectはAspectを受けてよりそれぞれの方向に洗練させたような雰囲気の楽曲が目立ちます。純度の高いシューゲイザー的な『地上の花』、シューゲイザー的なサウンドを取り入れつつもポップさを強化した『プリズム』は日本シューゲイザーの金字塔です。どちらも、轟音や浮遊感のある音像だけでなく、その中にしっかりとしたメロディが存在しているのが印象的です。
STRYMON ( ストライモン ) / BlueSky V2
ボーカル、リードギターの両方のボードで確認できるのがSTRYMON「BlueSky」。3種類のリバーブに加え、SHIMMERやモジュレーション機能を搭載。透明感のある空間系サウンドから、幻想的なシューゲイザーサウンドまで幅広く作れる定番リバーブです。
PLAYTECH ( プレイテック ) / JM250 Sunburst エレキギター
そして、リードギターのTakuji YoshidaといえばSunburstカラーのJMタイプ!JMタイプのギターは、輪郭のあるきらびやかさと低音の太さを兼ね備えており、シューゲイザーとの相性は抜群です。
PLAYTECH「JM250」は手軽にJMタイプのサウンドを楽しめる一本。浮遊感のあるクリーンから轟音系のサウンドまで、シューゲイザーの音作りにも大活躍です!
MoritaSaki in the pool
シューゲイザーやドリームポップを軸にしながら、ジャンルの枠にとらわれない自由なアレンジが魅力のバンド。リバーブやコーラスを効かせたギターが作る、浮遊感のあるサウンドが印象的です。
一方で、その音像の中でも歌はしっかりと印象的。男女のボーカルが重なることで独特の広がりを生み出しています。また、ギターのリフが単なる伴奏ではなく、ボーカルと並ぶ「メロディ」として耳に残るのも面白いところ。
インタビューでは、メンバーがスーパーカーや死んだ僕の彼女などから影響を受けたことを語っており、この流れを汲みつつも、より自由なアレンジで現在のシーンへとつなげている存在です。
BOSS ( ボス ) / WAZA CRAFT Distortion DS-1W
ボーカルのイシハラリクのボードにはDS-1Wが入っています。
定番のDS-1をベースにしたWAZA CRAFTモデルで、標準の「スタンダード」モードに加えて、より太く力強いサウンドが得られる「カスタム」モードを搭載しています。スタンダードモードで定番のDS-1サウンドも楽しめ、シューゲイザーで重要な歪んだギターに厚みを加えたいときにも使いやすい、一台で二度おいしいペダルです。
日本のシューゲイザーを聴いてみよう、そしてやってみよう
今回はおすすめの国産シューゲイザーバンドを、歌謡性に着目して紹介してみました。普段シューゲイザーを聴かないという方も、これを機にぜひ聴いてみてください。そして少しでも気になったら、ぜひ試しに弾いてみてください!














田渕ひさ子 meets 歪PEDALS
PLAYTECH NOVAシリーズ
LANEY ブランドページ
ELECTRO-HARMONIX 定番エフェクターブランド
UPDATETC ELECTRONIC ブランドページ

