はじめに
ご覧頂きありがとうございます。
皆さん昨年末の紅白は見ましたか?サプライズ登場したB’zのお二人、言葉にならない程カッコよかったですよね。もちろん私もB’zの紅白初出場が生で見られて大興奮でした。
しかし、今年5月に「三人目のB'z」と言われたベーシストの明石昌夫さんがお亡くなりになってしまいました。心よりご冥福をお祈り致します。
久々にCDを引っ張り出し、初期のアルバム’RISKY’を聴いていますが、明石さんの打ち込みサウンドは音やリズムの一つ一つが本当に格好良いですね。B'zのお二人の歌やギターの最高の引き立て役のように感じました。
今回はそんな初期B'zを思い出すべく、松本さんの90年代前半のギターサウンドを、当時使用されていたものとほぼ同じ機種を使用し再現してみましたので、皆様にご紹介したいと思います。
使用機材紹介
① ROCKMAN SUSTAINOR Model 100

コンプレッサーと歪みを内蔵したアナログプリアンプです。この機種にはModel 100、Model 100A、Model 200、Model 200 Double ICの四種類タイプがあり、サウンドや本体のデザインに細かな違いが見られます。
松本さんが使用されていたものを調べてみましたが確かな情報は得られませんでしたので、今回はSustaino登場初期のmodel 100を使用しました。
実際に手に入れて驚いたのが案外軽いということです。ハーフラックサイズとはいえもっとズッシリしているかと勝手に思っていましたが、片手で軽々持つことができる重さです。
筐体がプラスチックであるせいか前面のプレートを止めるネジの穴からヒビが入っているなど、昔の機材とはいえ少し耐久性が心配に感じました。ヒビはテープで補強してあります。
30年以上前の古い機種で経年劣化もあると思いますが、音自体は特に問題ありませんでした。
② BOSS ( ボス ) / SD-1 オーバードライブ
お馴染みのBOSSコンです。松本さんがライブで歪みのブースターとして使用していたことを知り、私も入手しました。
前の持ち主の方曰く、90年代前半の物だそうです。よく見てみるとMADE IN TAIWANの文字があります。
BOSSコンの生産は90年代初頭に生産国を日本から台湾へ移したらしいので、この個体も台湾製になっています。
余談になりますが、生産国や時期によって中身の作りやパーツが違い、その中でも日本製は特にクリアな音だと聞きました。松本さんがどこ製のSD-1を使用していたかは定かではありませんが、音質や作りにこだわるなら日本製を選ぶと良いのではと思います。
③ Apple Logic Pro
録音はLogic Proで行いました。またキャビネットシミュレートやエフェクトはLogic Proにデフォルトで入っているプラグインを使用しています。今回の企画で重要なプラグインもありますので、後ほど詳しく紹介します。
機材セッティング(接続順に紹介)
① SD-1

ソロ用のブースターは93年のライブセッティングに基づいてROCKMANの前に置きます。
ツマミは全て11時の方向です。これ以上回すとプリアンプのセクションでクリップしてしまったり、歪みすぎてかなりノイズが乗ってしまいます。
② ROCKMAN SUSTAINOR
まずPREAMP GAINはフェーダーの中央に8のメモリが来るくらいにセットしました。これ以上上げるとクリップしてしまいます(元々歪んだ音色なのでクリップしてもあまり音に変化はありませんが)。コンプは15、OVERDRIVE MDOFIERSは全てオフ、TREB BOOSTはマックスまで上げます。

この機種(Model100)は元々ハイが出にくいモデルなので、マックスまで上げないとあまりに音がこもってしまいます。
DAWセッティング
① Amp Designer
アンプ...Transparent Preamp
キャビネット...Modern American 4×12

今回の企画の肝になるのがこのプリアンプです。このTransparent Preampは音が非常にクリアでパワーアンプのような役割を持ち、入力した音をそのままアンプサウンドとして使うことが可能です。
前回投稿させて頂いた記事のように、歪みエフェクターをプリアンプとして使う際にも役立ちます。キャビネットはモダンなタイプを選択し、抜けの良い音を狙いました。
② ダイナミックEQ

ダイナミックEQは二段階掛けます。
一段目でそれぞれの帯域の量を調整して初期B'zらしい鼻が詰まったような音を作り、二段目でモコモコ感やローの無駄な帯域を削ります。
曲をミックスする際はもう少し細かい調整が必要になりますが、ギター練習用の音としてであれば問題ありません。
③ パラメトリックEQ

最後にハイを少しブーストさせて抜けを良くしてあげます。曲によってはもう少しブーストしても良いかもしれません。
アウトプットで僅かに歪ませてアナログ感を出すと当時の雰囲気に近づきます。
④ その他
最後に曲に合った雰囲気のディレイやリバーブを掛けてあげれば完成です。今回は汎用で音に広がりと存在感を与えるセッティングにしましたが、弾きたいパートやフレーズに合わせて個別に調整すると良いです。

おわりに
私が今回作った音色でB'z初のミリオンセラー「LADY NAVIGATION」を弾いてみた動画のリンクを貼っておきますので、下手くそですがぜひ聴いて頂けますと嬉しいです。初期B'z独特のギターのこもり具合を感じると思います。
またMXRからROCKMANのサウンドが出せるコンパクトエフェクターも登場していますので、是非チェックしてみてください。正直古い実機を買うよりも、こっちを買った方がお財布に優しいです。
MXR ( エムエックスアール ) / MX100 ROCKMAN X100 ANALOG TONE PROCESSOR
昔の機材を実際に使用してみるということは、当時の音楽の雰囲気やアーティストの音の好みを直接感じることに繋がり大変面白い経験になります。ぜひ皆様も気になる古い機材がありましたら、是非手にとっていじってみてください。一周回って新しさを感じると思います。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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