
楽器ではなく自らの体から音を出すボーカリスト。
練習方法や体調管理などは他のパートよりも個人差があり、中にはかなり特徴的なものもあります。
今回はプロのボーカリストたちが行っている体調管理や練習法の逸話が本当なのか、またそれはアマチュアボーカリストが見習うべき行為なのかどうか調べていきます。
■ 稲葉浩志(B’z)
ファンの間に限らず、稲葉さんのストイックな姿勢は有名ですよね。
50代中盤にも関わらず20代の頃と変わらぬ声量やライブアクションを見せてくれる稲葉さんは体調管理にも相当気を使っているそうですが…
○ 鍋料理ばかり食べている
稲葉さんは体を冷やさないように夏でも鍋を食べているというウワサがあります。
実はこのウワサ、本当ではあるのですが体調に気を使っての事ではなく鍋が好きだからという理由でした。
中でも鶏肉が好物で確かに夏でも食べていると認めていました。
しかし、そのウワサが独り歩きして『稲葉浩志は夏でも体を冷やさないように我慢して鍋を食べる』というような伝わり方をするようになり、本人は苦笑いをしていました。
普通に冷たいものも食べているとの事です。
○ 楽屋はガムテープで隙間を埋めてエアコンの風を入れない
これも真実のようですが、そういう会場が過去にあったということです。
ガンガンにエアコンが効いていた時に寒くてやったようですね。
実際は控えめながらもエアコンは使うようですし、夏場にエアコンを切ったら具合悪くなっちゃうので使うと言っていました。
ただし、エアコンが喉を乾燥させるのは本当で加湿器を持ち歩いているボーカリストは多く、稲葉さんもリハや本番前には加湿器で喉のケアをしています。
■ 桑田佳祐(サザンオールスターズ)
サザンの桑田さんと言えばあの特徴的なハスキーボイスが魅力です。
なかなか真似しようと思ってもできるものでもないし、できたとしても桑田さんの出来損ないみたいになるのでカラオケでも桑田さんのように歌える人は多くはありません。
あの魅力的な声はどのようにして作られていったのでしょうか?
○ ウォッカでうがいをした
桑田さんが若い頃に憧れていた洋楽ロックのシンガーのようなハスキーボイスになるため、ウォッカでうがいをしていたということがあったようです。
このエピソードだけを読んで真似するのはやめましょう。
声帯を傷付けてしゃがれ声になるものの、喉の状態が戻れば声も元に戻ります。
スナックのママなどがしゃがれた声なのはお酒とタバコ、それに大きな声で話すので日々声帯に負担がかかって乾燥しているせいです。
通常は1週間もあれば治るのですが、休みの日だけでは治らず、さらに休みの日も飲んでいることもあり慢性的にあの声になってしまっているのです。
つまり桑田さんのあの声はウォッカでうがいをしたからではなく、何年も歌いこんだ結果、あのような魅力的な声になったのです。
ちなみに若い頃の桑田さんはもっと声が枯れていたという説もありますが、あれは当時のサザンが超ハードスケジュールだったからだと考えられます。
本人も当時は忙しくて体調が悪い日も多く、まともに歌えていないステージがよくあったと語っています。
ウォッカうがいに限らず喉にわざと負担をかけるような行為は声帯ポリープなどができてしまう可能性も高める危険行為です。
枯れたところでどうせ元に戻ってしまうので絶対にやめましょう。
■ TAKUYA(UVER world)
稲葉さんに負けず劣らずストイックな体調管理で知られるのがUVERworldのTAKUYAさんです。
ライブの前日だろうがライブ後だろうが、体力維持のために毎日10キロのランニングを欠かさないという徹底ぶり!
もちろんそれだけではありません
○ グルテンフリーな食生活
主に小麦粉を使った食材を食べないグルテンフリーな食生活ですが、現代社会を生きるにあたって小麦粉を食べないというのはかなりストレスになってしまいますよね。
このグルテンフリー、なんとなく健康によさそうなのはわかるのですが、ボーカルとどういう関係にあるのか分かる方は少ないかと思います。
私もTAKUYAさんのエピソードをきっかけに知りました。
食物アレルギーの中には食べた直後に体調が悪くなるものもあれば、遅延型アレルギーというちょっと遅れて(数時間~数日後)症状がでるものがあるのです。
しかも症状としては一般的な食物アレルギーのように激しいものではなく、なんとなく体調が悪いという程度のものなのでほとんどの人は自分がどの食材に対して遅延型アレルギーが出るか知らずに生きています。
そして、この遅延型食物アレルギーが出ると喉がむくむことがあり、ベストな状態で声が出せなくなってしまいます。
TAKUYAさんは常にベストな状態で歌うため、多くの人は気にしていない遅延型アレルギーを防ぐべくグルテンフリーな食生活をしているのです。
実際にグルテンフリーにしてから喉の調子がいいと語っていました。
しかし、小麦製品を食べないというのは生半可な気持ちで真似できるものではありませんね。
まとめ
3人の実力派ボーカリストの逸話についてまとめました。
真似したいもの、真似してはいけないもの、真似したくてもできないものなど色々でしたね。
ボーカリストである限りプロだろうがアマチュアだろうが喉は楽器のケアと同じように大切にしなければなりません。
最善を尽くすのはバンドメンバーやリスナーに対する最低限の礼儀でもあります。
生活に支障がない範囲でプロが行うケアを真似していきましょう。
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