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シンセサイザー鍵盤狂 漂流記 ~音楽を彩った電気鍵盤たちとシンセ名盤の数々~その40

2021-06-28

テーマ:sound&person

シンセサイザーの使い手ジェフ・ローバー

ジェフ・ローバーはアメリカではスムース・ジャズの騎手といわれ、高い人気を誇っているキーボーディストであり、作曲家であり、プロデューサーでもあります。1977年に自己のグループ「ジェフ・ローバー・フュージョン」を結成。同名義でレコードデビューをしています。
私はスムース・ジャズのカテゴリーにはあまり興味はありませんが、ジェフ・ローバーは稀代のシンセサイザーの使い手であり、楽曲制作におけるシンセサイザーの使い道が優れていると考えています。それに加え、彼の作り出すメロディーラインはワンアンドオンリーです。今回はその辺りにスポットを当て、話を進めていきたいと思います。

■ 推薦アルバム:ジェフ・ローバー『イッツ・ア・ファクト』(1981年)

私が最初にジェフ・ローバーの音楽に触れたのは1981年。緊張を強いられる仕事の中、疲れたメンタルをリセットするにはもってこいの音楽でした。40年前にスムース・ジャズというカテゴリーがあったかどうかは知りませんが、当時はかなり洗練された音楽だと感じた記憶があります。

推薦曲:『Tierra Verde』

なめらかなメロディーラインをその後、大ブレイクするケニーG(Sax)が奏でています。当時、こういった音楽や形態をメローと呼んでいました。ジョージ・ベンソンの2枚組ライブも「メローなロスの休日」なんて邦題が付けられていた時代です。笑ってしまいますが…。

■ 推薦アルバム:『プライベート・パッション』(1986年)

キャリン・ホワイトとマイケル・ジェフリーズをフィーチャーし、全米9位のヒットを記録した「ファクツ・オブ・ラヴ」を含む、ジェフ・ローバー最大のヒットアルバム。

ジェフ・ローバーは87年、ブラバス・クラブで自身のグループと共に来日。メンバーはジェフ・ローバー(kb)キャリン・ホワイト(vo)マイケル・ジェフリーズ(vo)デビッド・コーズ(ts)ジミー・ベーリンガー(g)アレック・ミルステイン(b)。ライブでは最初にジェフ・ローバーが1人で現れ、ヤマハのCP-80エレクトリックグランドピアノをソロで演奏しました。タイムが少しズレている部分もあり、プロでも最初は調子がでないんだな~と思いました。その後、フルメンバーでの演奏はシンセサイザーを大胆導入したゴリゴリのエレクトリックポップミュージックでした。

私が一番印象に残っているのはシーケンスフレーズが流れる中、ベーシストのアレックス・ミルステインがシーケンスベースラインを実際のベースで弾いていたことでした。機械的なベースラインを人間が弾くと今までに見たことない運指になり、その指にクギ付けになりました。見た目では非常に弾きにくそうな運指でした。

また、この時期はヤマハのデジタルシンセサイザーDX7が全盛でFM音源の音が大幅に導入されていました。ジェフの得意とするマリンバ系の音がシーケンスバッキングで流れていました。ジェフはショルダーキーボードでも演奏しましたが、アナログ系シンセの音にMIDIで重ねたFM音源のシロフォン(歯切れの良い木琴)を加え、ソロを弾いていました。当時のジェフ・ローバーサウンドにとってFM音源は欠くことのできない重要なアイテムでした。

ジェフ・ローバーミュージックに導入のデジタルシンセサイザーヤマハDX7

ヤマハDX7

1984年、シンセサイザーの世界を塗り替えたヤハマのデジタルシンセサイザーDX7。

推薦曲:『ファクツ・オブ・ラブ』

全米、9位を記録した大ヒット曲。ジェフお得意のベースラインに乗った小柄ながらファンキーなキャリン・ホワイトの熱唱をライブでは聴くことができました。この曲でも前述したFM音源によるマリンバ系のシーケンスバッキングが聴け、FMエレピ以外でもヤマハDX系の音が世界に受け入れられている事実を目の当たりにしました。

■ 推薦アルバム:マイケル・フランクス『ブルー・パシフィック』(1990年)

キーボーディストのジェフ・ローバーがマイケル・フランクスをプロデュース。これまで、ありそうで無かったマイケルのアルバムです。ジェフ・ローバー印をサインしたかのようなイントロから始まるこのアルバム、実際にはジェフ・ローバー色はそれほど強くありません。転調が多くみられ、作曲面でジェフがマイケルに与えた影響がうかがえます。マイケルのアルバムは、ある種の洗練がアルバム全体を覆っていますが、ロブ・マウンジーのプロデュースとはまた違がった、新しいマイケルの一面を引き出すことに成功したアルバムだと思います。この後もマイケルはジェフとコラボしていることから、相思相愛であったことが想像されます。

推薦曲:『アート・オブ・ラブ』

リズムボックスのイントロからジェフ・ローバー特有のフィル・イン的装飾フレーズが…。マイケル・フランクスのアルバムにあって、ジェフ・ローバーワールドに突入。刹那、ジェフお得意のマリンバ音によるシーケンスフレーズもフューチャー。ボーカルが聴こえたところでマイケル・フランクスのアルバムと気付き、マイケルワールドに引き戻される。

今回取り上げたミュージシャン、アルバム、 推薦曲、使用鍵盤

  • アーティスト:ジェフ・ローバー、マイケル・フランクス
  • アルバム:「イッツ・ア・ファクト」「プライベート・パッション」「ブルー・パシッフィック」
  • 曲名:「Tierra Verde」「バック・イン・ラブ」「アート・オブ・ラブ」
  • 使用機材:ヤマハDX7、エレクトリックグランドCP- 80、イミュレーターIIなど

コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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音楽ライター / シンセ鍵盤卿

高校時代よりプログレシブロックの虜になり、大学入学と同時に軽音楽部に入部。キーボードを担当し、イエス、キャメル、四人囃子等のコピーバンドに参加。静岡の放送局に入社し、バンド活動を続ける。シンセサイザーの番組やニュース番組の音楽物、楽器リポート等を制作、また番組の音楽、選曲、SE ,ジングル制作等も担当。静岡県内のローランド、ヤマハ、鈴木楽器、河合楽器など楽器メーカーも取材多数。
富田勲、佐藤博、深町純、井上鑑、渡辺貞夫、マル・ウォルドロン、ゲイリー・バートン、小曽根真、本田俊之、渡辺香津美、村田陽一、上原ひろみ、デビッド・リンドレー、中村善郎、オルケスタ・デ・ラ・ルスなど(敬称略)、多くのミュージシャンを取材。
<好きな音楽>ジャズ、ボサノバ、フュージョン、プログレシブロック、Jポップ
<好きなミュージシャン>マイルス・デイビス、ビル・エバンス、ウェザーリポート、トム・ジョビン、ELP、ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、佐藤博、村田陽一、中村善郎、松下誠、南佳孝等

 
 
 

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