世界中を巻き込んだコロナパンデミックは、音楽業界にも多大な影響を及ぼしています。主催を抱えれば中止・延期を覚悟せねばならず、依頼を待っても全然来ないという状況がプレイヤー達の頭を悩ませます。
高音質なLive配信をしようと思って業者を調べると...高い!公演毎に払ってられないというのが現実だと思います。
「では、全部自分でやれないか?」と、たくさんの主催コンサートを抱える筆者は考えました。機材は専門用語が多く難しい...僕も先月くらいまではそう思っていました。もちろん奥は深いのですが、ちょっと高音質のLive配信を実現するところまでのハードルはかなり低いのです!3つのステップに分けて解説します。

まずは最も簡単な方法から
【第1ステップ】
「スマホに直接接続させて使えるコンデンサーマイクでインスタグラムのLive配信」
これが一番簡単です。YouTubeのLive配信をスマホでやるとなると、チャンネル登録者が1000人以上必須などとハードルが高いですが、インスタには人数による制限がありません。また、直結タイプのコンデンサーマイクは、20,000〜35,000円くらいのものをオススメします。あまりに安いと内蔵マイクとさして変わらなかったり、逆にさらに高額なものを狙うなら、オーディオインターフェースを使用した本格設備を使う方が合理的です。
「オーディオインターフェースをパソコンにつなげてYouTube Live配信」
スマホほど手軽ではありませんが、パソコンを使うと同じ価格帯で高音質なYouTube Live配信が実現可能です。2万円以内のオーディオインターフェース、2万円程度のマイク(オーディオテクニカ、AKGなどオススメ)とパソコン、ネット環境さえあればすぐにできます。YouTubeは、パソコン発信だとチャンネル登録数によるLive配信機能の制限がありません。また、ファンタム電源必須でオーディオインターフェースを介して使うマイクの方が、スマホ直結タイプよりも高音質な場合が多いです。
➡︎ オーディオインターフェイス
➡︎ audio Technica コンデンサーマイク
➡︎ AKG コンデンサーマイク
【第2ステップ】
第1ステップを経験すると「なんだ。俺でもできるじゃないか!」と自信がつきます。そうすると何かと欲が出てきます(笑)
「より立体的な音像を目指したい」
これを目指すには複数のマイクが必要です。ヴァイオリンやサクソフォンなどであれば“ピンマイク”、ピアノであればスティックタイプの“指向性コンデンサーマイク”、全体の音をまとめて拾うためのボーカル用コンデンサーマイク。(ちなみに筆者はオーディオテクニカで揃えていて、AT4050、AT4021×2、ATM35を使用しています)
マイクはご予算と用途に合わせますが、インターフェースはキャノン端子が4つ付いているものをオススメします。もう予算が限度いっぱいで絶対買い足さないならいいですが、欲が出そうな人は最初からハイグレードモデルの方が安上がりです。
audio technica / AT4050
audio technica / AT4021
audio technica / ATM35
【第3ステップ】
こうなってくると次は映像です。この先は“沼”ですので覚悟してください(笑)
「Live配信中にも映像を切り替えたい」
ビデオカメラを介した高画質配信やスイッチング(画面切り替え)をリアルタイムで行うとなると、ビデオミキサー、ビデオスイッチャーが必須です。ところがこれらは10万以上するものが多く、非常にお高い...
欲しい絵面の数だけのカメラ(2〜3台)、ビデオスイッチャーが必要な上、絵面にもっとこだわり、デジタル一眼レフカメラを接続して配信している方も。これも一度見てしまうと導入したくなる代物です。
筆者も色々調べたところ、Blackmagic DesignのATEM Miniが革命的なビデオスイッチャーのようですので、入荷を首を長くして待っているところです。
Blackmagic Design / ATEM Mini
中止や延期が怖くてコンサートを開きにくい状況ですが、Live配信も有料のプラットフォームを用いたハイブリッドコンサートにすれば、刻々と変化するコロナパンデミックに対応していけるのではないでしょうか。ICT(情報通信技術)を用いた活動が求められる昨今、自力でどれだけたくさんの領域をカバーできるかが明暗を分けます。演奏家の皆さん、この苦しい時期にも充実した活動を続けながら乗り切りましょう!