皆さんこんにちは。先日とても悲しいニュースが舞い込んできました。全日本吹奏楽コンクールの中止です。こればかりは仕方がないのかもしれませんが、わたしも何かやるせない気分に満たされてしまいました。そこでこんな時期だからこそ、過去の名演を振り返り、作曲家たちについて詳しく知ってみませんか?今は知識を蓄えて、いつものように楽しく音楽ができるようになるのを待ちましょう!
今回はクロード・トーマス・スミスに焦点を当てたいと思います。そういえばこんな演奏もあったなと思い出したり、新たに聞いてみたりするきっかけになればいいなと思います。それでは行きましょう!
1、スミスってどちらさま?
クロード・トーマス・スミス(以下略称 スミス)は、二十世紀中期に活躍したアメリカ合衆国の作曲家です。吹奏楽の楽曲を、高難易度のものから教育的な簡単なものまで125曲ほど残しています。大学時代にホルンと作曲を学んだあと、高校教師と一緒に出版社の編集長を兼務。そのおかげで自己出版に力を入れられた様です。アメリカ軍楽隊と関係が深く、たくさんの曲を委託されており、その中には皆さんご存じの名曲も含まれています。

2、スミスといえば
皆さんスミスの楽曲というと、何を思い浮かべますか?多分皆さん、あの三曲を思い浮かべたのではないかと思います。その三曲について語っていきましょう!
Ⅰ. フェスティバル・ヴァリエーション
スミスの吹奏楽曲の中で一番の知名度を誇る楽曲です。二十世紀の吹奏楽で記念碑的な作品といわれることもあります。この曲は、アメリカ空軍ワシントンバンドの委託作品で、初演の際からかなりの大反響を引き起こしました。曲に頭のホルンがとてもかっこいい一曲です。吹奏楽コンクールにおいても、幾度となく演奏され名演を生み出してきました。やはりここで特筆すべきなのは、2013年の精華女子高校の演奏でしょう。家にいる時間が長い今、聞き直してみるのも面白いのではないのではないのでしょうか。
Ⅱ. 華麗なる舞曲
こちらも根強いファンが多い曲です。この曲は、アメリカ吹奏楽界で最高の実力を誇るアメリカ空軍軍楽隊の演奏技術と音楽水準の限界に挑戦した楽曲です。こちらは初演での評価が二分するようですが、容易に演奏できるような曲ではないのは確かです。ただでさえ難曲がたくさんあるスミスの楽曲の中で、一番の難易度だといわれています。曲後半のピッコロトランペット・ソロが、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。吹奏楽コンクールでは2009年精華女子高校、2011年岡山学芸館高校の演奏が記憶に新しいですね。
Ⅲ. ルイ・ブルジョワの賛歌による変奏曲
この曲は、上記二曲よりも知名度が落ちるでしょうか。それでもかなり有名な曲です。アメリカ海兵隊バンドの委託で作曲したようです。曲中心部のコルネットソロでは、奏者の技量が試されます。個人的には一番好きな曲でもあり、吹奏楽コンクールでは精華女子高校、岡山学芸館高校などがあげられます。皆さんのお気に入りはどれですか?
3、ホルンいじめ問題
スミスの曲(特にフェスティバル・バリエーション)では、ホルンの楽譜がかなり難しいことが知られています。スミス自身がホルン奏者であったからというのもありますが、ワシントンバンド主席ホルン奏者であった人物がスミスのライバル的存在だったことから、わざと難しく書いたというエピソードがあります。いくらライバル視していたとしてもやりすぎでは?と思ってしまうほど難しくなっています。時代を経て、たくさんの人がとばっちりにあっているということですね。
いかがでしたか?スミスの楽曲はもちろんこの三曲以外にも名曲がたくさんあります。難しいというイメージがあるスミスの楽曲ですが、実は小中バンドでも演奏できる教育的な曲もたくさん残しています。そのようなところからも、スミスが世界の吹奏楽界に与えた影響はかなり大きいようですね。 みなさんもこの機会にぜひ聞き直してください!!
Music never stops!

A.リード&C.T.スミス 東京藝大ウインドオーケストラ