お疲れ様です!
ギタリスト×作業療法士の二足の草鞋を履く男、、、フジオカタクトと申します。
今日は初心者の頃に経験したあることを思い出しましたので、そのことについて記事を書いてみたいと思います。
あるとき、ふとフィンガーピッキングを練習しようと思ったときのことです。
どこで読んだのかは忘れてしまいましたが、フィンガーピッキングの右手の構えについて書かれている記事にこう書いてありました。「指は弦に対して平行になるように構えます。」

こんな感じの例が載っていました。
初心者だった僕は言われるがまま、このフォームで練習をしてみました。
しかしなんだか弾きにくい。。。「みんな我慢してこのフォームで弾いているのかな?」と疑問に思いながら、結局フィンガーピッキングの練習は続きませんでした。(練習が続かなかったのは僕の忍耐力のなさが原因です。笑)
そしてもうひとつ。学生時代、ベースの先輩に指弾きのコツを教えてもらった時のこと。
「指は弦に平行になるように構えるんやで!」

こんな感じの構えを教えてもらいました。
僕はギター弾きですが学生の時は時々ベースも弾いていましたので、しばらく教えてもらった通り練習していました。
しかしなんだか弾きにくい。。。「みんな我慢してこのフォームで弾いているのかな?」と疑問に思いながら、結局指弾きの練習は続きませんでした。(2回目)
これらのことを初めて教えてもらったときは「おお、なるほど!指は弦と平行にならないといけないのか!」と素直に受け取っていました。おそらくこの弾き方の方が音色が良い!というところから始まったのだと思います。が、しかし。身体の構造を勉強して知った今思うと、体に負担のかかる誤った弾き方なのではないか、と疑問に思います。
はい、前置きが長くなりましたが今回のお題は「弦と平行にピッキングするために手首で角度をつける」という事についてお話していきたいと思います。
実際、上記した感じで構えている方を時々見ます。
自身が弾きやすいと感じるスタイルがベストです。しかしこれだけは言いたい。。。
「その弾き方、体の使い方的には間違っていますよ。」と。
クラシックな音楽をされている方は演奏フォームを習うことがあるかと思いますが、独学の方なんかは普段あまり気に留めないところかもしれません。
しかし手首の使い方に関していうと、ギタリストに限らず、手を使う楽器の奏者であれば切っても切れない問題だと思います。ここでひとつ知識として知っておいていただけると、演奏がより楽に、自由になれるかと思います!(^^)
まず、「弦と平行にピッキングするために手首で角度をつける」という事は指の向きを弦に合わせるために手首の向きを小指側に向ける動作を行っています。
この動きを運動学用語では「手関節尺屈」と言います。
(尺屈とは小指側に手首を曲げる事で、逆に親指側に手首を曲げることを「手関節橈屈」と言います。)


最初に載せた画像をもう一度見てみると、どちらも手首が小指側に曲がっています。
「楽器を弾く」という動作はとても繊細な関節や筋肉の働き、感覚の統合が必要になります。
しかしこの手関節尺屈や橈屈という動作が生じると、手根骨という骨が橈骨に押し付けられ、手首を固定し安定させる働きが生じます。簡単にいうと手首にある骨と骨がぶつかり合って関節が固定されるということです。
関節が固定されると、例えばノコギリを挽く時とか、力仕事をする時には有効ですが、強い力を必要としない楽器演奏には不向きで不必要なことなのです。
カチカチのギブスをつけて演奏する様子をイメージしてください。絶対弾きにくいですよね。でも実際そういう事が体で生じているのです!
またこの手関節の動作・固定をするために筋肉が働くので、直接的に演奏に必要のない筋肉にずーっと力が入っている状態になります。これでは疲れやすくなってしまいますし、何より関節が固定されているために動きの自由度がかなり制限されてしまいます。
(補足すると、「意識的に、必要以上に手首を固定してしまう」ということに問題があるので、手関節尺屈・橈屈という動き自体が不必要で誤った動きというわけではありません。)
「じゃあどうばいいの?!」という話になりますよね。
僕はピッキング角度についてそこまで神経質になりすぎなくてもいいかなーと思いますが、音色を追求していくとなるべく弦とピッキングは平行にしたい、と思われる方もいらっしゃると思います。音色の探究はとても大切なことですもんね。
ではどうするのか。全身をうまく使ってみてください!
手首だけで角度をつけるのではなく、腕全体、または楽器の位置や構え方を工夫することで手首に負担をかけず、弦とピッキングをほぼ平行に位置するところまで持っていけるかと思います。

少し高い位置で構えるようにし、ヘッド側をあげて角度をつけました。
これ、クラシックギターの構え方みたいですね!あの構えは人間の体の構造と楽器の特徴を考えた、理にかなった姿勢だったんですね。
指は完全に平行にはなっていませんが最初よりは平行に近づいたと思います。

ベースは肩関節の動きで脇を閉じ、ヘッド側を上げるようにして楽器に角度をつけました。
手首の向きを見ると、最初の画像よりも自然で楽な構えになったと思います。
ピッキングという1点のみに着目しすぎると手周辺にばかり目がいってしまうかと思いますが、そうなると体にとって負担の多い不自然で無理な姿勢をとってしまうことになってしまいます。楽器を弾くのには、楽器を含めた全身が繋がっている事を意識するといいかと思います(゚∀゚)
一番良いのは、楽で安定したフォームが取れることだと僕は思います。自分の弾き方を客観的に見てみると、いろんな発見がありますよ〜!
それでは最後までお付き合い頂きありがとうございました〜!