アナログミキサー編に続き、今回は「デジタルミキサー」にフォーカスして解説します。
近年は、小型・低価格化が進んだことで、ライブハウスやイベント現場だけでなく、バンドや配信環境でもデジタルミキサーの導入が急速に増えています。
一見すると難しそうに感じる方や、「リモート操作は便利そうだけどWi-Fiトラブルが不安…」「デジタルは初期設定が複雑そう…」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、基本的なポイントさえ押さえれば非常に効率的に運用でき、用途によってはアナログミキサー以上に快適な環境を構築することが可能です。
今回は、デジタルミキサーの特徴と価格帯別の選び方を分かりやすく解説していきます。
デジタルミキサーのメリット
まずは、デジタルミキサーの特徴を整理しておきましょう。
① シーン保存・呼び出しが可能
ミキサーの設定(EQ、フェーダー、エフェクトなど)を丸ごと保存できます。
ライブごとにセッティングを再現できるため、リハーサル時間の短縮やオペレーションの安定化につながります。
② 高度な音作りが可能
各チャンネルに
- コンプレッサー
- ゲート
- パラメトリックEQ
などが標準搭載されていることが多く、外部機器がなくても細かい音作りが可能です。
③ モニター環境の自由度が高い
AUX(モニター送り)が豊富で、メンバーごとに異なるモニターミックスを作ることができます。
インイヤーモニター環境などにも最適です。
④ リモート操作に対応
タブレットやPCからWi-Fi経由で操作できるモデルが多く、ステージ上や客席から音を確認しながらミックスが可能です。
そのため
- バンドでのライブやイベントPAを行う方
- モニター環境をしっかり作りたい方
- 配信や録音も同時に行いたい方
- セッティングを効率化したい方
このような用途では、デジタルミキサーの導入メリットは非常に大きいと言えるでしょう。
~5万円:コンパクト&配信・小規模PA対応モデル
ZOOM ( ズーム ) / LiveTrak L6max
ミキサー・レコーダー・オーディオインターフェースが一体化した、超コンパクトモデル。
- 12チャンネル対応
- 最大14トラック録音(SDカード)
- バッテリー駆動対応
- 32bit float録音
小型ながら本格的な録音機能を備えており、配信・宅録・ライブのサブミキサー用途まで幅広く対応します。
「コンパクトに録音・配信まで完結させたい方」に最適な1台です。
Soundcraft ( サウンドクラフト ) / Ui12 Wi-Fi コントロール・デジタルミキサー 12ch
Wi-Fi経由でスマートフォンやタブレットから操作する、リモート型デジタルミキサー。
- 10ch入力(XLR×4、コンボジャック×4、ステレオRCA×1)
- ブラウザ操作(アプリ不要)
- 内蔵Wi-Fiルーター搭載
- EQ / コンプレッサー / エフェクト標準搭載
本体にフェーダーはありませんが、その分コンパクトで設置性に優れ、小規模PAやイベント運用に非常に強いモデルです。
「会場内を動きながらミックスしたい」
「設営スペースを減らしたい」
という用途に最適です。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / FLOW 8
コンパクトな8入力デジタルミキサーで、Bluetoothリモート制御(FLOW MIX)とUSBオーディオインターフェースを備えたライブ配信・小型PA向けのオールインワンミキサーです。
高音質プリアンプと32-bit VFP処理により高音質を実現し、アナログライクな60mmフェーダーで直感的な操作ができます。
- 入力:モノラルチャンネル数:6(最大)ステレオチャンネル数:2(最大)
- 出力:メインLRバス+2モニターバス+2FXバス(合計5バス相当)
- Bluetooth音楽再生可能
- マルチトラック録音可能
~10万円:バンド・小規模PA対応モデル
このクラスになると、ライブやバンド用途でも実用的なモデルが増えてきます。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / DM20 デジタルミキサー モーターフェーダー
モーターフェーダーを搭載した、コストパフォーマンスに優れたデジタルミキサー。
この価格帯では珍しく、物理フェーダー+デジタル制御を両立している点が大きな特徴です。
- モーターフェーダーによる直感的な操作性
- シーン呼び出し時のフェーダー自動追従
- ライブ現場でも扱いやすい操作系
タブレット操作中心のモデルとは異なり、「アナログライクに操作したいが、デジタル機能も使いたい」という方に最適な1台です。
デジタルミキサー初心者のステップアップ用途としてもおすすめです。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / X AIR XR16 リモートコントロール・デジタルミキサー
リモート操作型デジタルミキサーの定番モデル。
タブレットやPCから操作する“ステージボックス型”で、ライブPAの現場でも広く使用されています。
- 16入力(うち8系統 MIDAS設計マイクプリアンプ)
- 内蔵Wi-Fiルーター搭載
- 4系統AUX出力(モニター対応)
- 4系統ステレオエフェクト
- 100バンドRTA搭載
各チャンネルには
- コンプレッサー
- ゲート
- パラメトリックEQ
などがフル搭載されており、「ライブPA用途でしっかり使いたい方」に定番の1台です。
ZOOM ( ズーム ) / LiveTrak L12next
LiveTrak L-12の後継機でミキサー、レコーダー、オーディオインターフェースが一体化した人気モデルで、最大14トラック(12ch+ステレオマックス)同時録音が可能で、SDカード使用、24bit/96kHzの高音質録音に対応。
- 入力: モノラル8ch(XLR/TRSコンボ、マイクプリアンプ搭載)+ステレオ2ch
- 出力: マスター1系統+モニター5系統(各ch独立ミックス可能)
- USB: 14in/4outオーディオインターフェース(DAW連携)
- 各chにCOMP/3band EQ/エフェクト、10シーン保存可能
など、バンド練習やセルフレコーディングに非常に強い1台です。
10万円以上:ライブ・イベントPA向け本格モデル
この価格帯では、ライブハウスやイベント現場でも使用される本格的なモデルが中心になります。
Soundcraft ( サウンドクラフト ) / Si iMPACT デジタルミキサー 32ch
BEHRINGERのX32は、デジタルミキサーの定番として、ライブPAや固定設備用途で長年支持されてきたモデルです。豊富な入出力と高い拡張性が特徴で、コストパフォーマンスが高く、安定した動作から中規模イベントから固定設置まで幅広く対応できる1台として現場でよく目にするミキサーです。
- 入出力端子 マイク/ライン入力(XLR): 24
- マイク/ライン入力 (XLRと標準フォーン(3P)対応の複合型端子): 8
- ライン出力(XLR): 16
- デジタル出力(AES/EBU、XLR): 1(2ch)
- MADI(RJ45): 1
- USB: サーフェイス 2(電源供給用1、データ用1)
- 背面: 1(マルチトラックの録音/再生用)
拡張性に関しても、AES50やUltranet経由でステージボックス(AXと接続)を追加できるため、入出力数やチャンネル配置を現場規模に応じて拡張しやすいです。さらに、iPad/Androidアプリによるリモート操作が可能で、フロントミックスやアンプルームでのモニタリング調整など、ライブ現場での機動性を高める使い方ができます。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / X32 デジタルミキサー
デジタルミキサーの定番としてライブPAや設備用途で長年支持されるモデルで、豊富な入出力と高い拡張性が特徴。
コストパフォーマンスが高く、安定動作で中規模イベントから固定設備まで幅広く対応します。
- 入力: 32chマイクプリアンプ(MIDAS設計、XLR/TRSコンボ、72dBゲイン、ファンタム電源個別)
- 出力: 16系統XLR、AUX6系統、メインLR/モニター
- 処理: 40入力/25バス、16モーターフェーダー(X32標準)、8ステレオFX(KLARK TEKNIK)、32x32 USBオーディオインターフェース
AES50やUltranetでステージボックス拡張が可能で、iPad/Androidアプリによるリモート制御がライブなどで重宝されます。
MACKIE ( マッキー ) / DL16SE 16chデジタル・ラックミキサー
ラックマウント可能な16チャンネルデジタルステージボックスミキサーで、ワイヤレスコントロールが特徴のライブPA・レコーディング向け機材です。
Onyx+プリアンプ搭載で高品位な音質を実現し、「Master Fader SEアプリ」でタブレットから直感的な操作が可能です。
- 入力: 16ch(8 XLR + 8 XLR/TRSコンボ、うち2ch Hi-Z対応)
- 出力: 8 XLR(アサイナブル)+ヘッドフォン
- コンパクト設計各入力に4-band PEQ/HPF、ゲート、コンプ、RTA。出力バスに31-band GEQ/ディレイ。6 AUX/6 subgroup/6 VCA/4 FXプロセッサを搭載
Wi-Fiルーター経由で複数デバイス同時制御でき、ステージ上設置に適した頑丈な設計が特徴で、16x16 USBオーディオインターフェースでDAWマルチトラック録音・再生が可能。バンド練習やヴァーチャルサウンドチェックに最適な1台です。
まとめ
デジタルミキサーは、一見ハードルが高く感じられるかもしれませんが、その分「できること」は圧倒的に広く、現場の効率や音質を大きく向上させてくれる強力なツールです。
今回ご紹介したように、近年はコンパクトで導入しやすいモデルから、本格的な現場対応モデルまで幅広くラインナップされています。
どのモデルを選ぶか迷った場合は、
- 配信や録音重視 → LiveTrakシリーズ
- ライブPA用途 → X AIRシリーズ
- 本格的な現場運用 → X32 / TFシリーズ
このように用途や規模に合わせて最適な1台を選ぶことで、ライブ・配信・レコーディングすべてのクオリティを一段引き上げることができるでしょう。
「操作が難しそう」と感じている方も、まずはエントリーモデルから触れてみるのがおすすめです。
実際に使ってみることで、デジタルミキサーならではの利便性と可能性をきっと実感できるはずです。
ぜひご自身のスタイルに合った1台を見つけて、より快適で自由度の高いサウンド環境を構築してみてください。















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