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ギター初心者のための“手元コントロール術”―ボリュームとトーンを使いこなそう

2025-11-18

Theme:sound&person, sound

ギターを始めたばかりの頃、多くの人が意外と見落としがちなのが「ギター本体に付いているボリュームとトーンのコントロール」です。
アンプやエフェクターのつまみをいじることはあっても、手元のノブを演奏中に操作することはあまりないかもしれません。
しかし、実はこの“手元のノブ”を上手に使いこなすことで、同じギター・同じアンプでもまったく違うキャラクターの音を作ることができます。

この記事では、ギター初心者の方に向けて「ボリュームノブ」と「トーンノブ」の基本的な使い方と応用法をご紹介します。

ボリュームノブの使い方

まずはボリュームノブから見ていきましょう。
ボリュームノブを回すことで音量を調整できることは誰でも想像できると思いますが、実はそれだけではありません。ボリュームノブを操作することで、音量だけでなく「歪みの量」や「音のキャラクター」も変化するのです。

たとえば、歪ませたアンプにギターを繋いでボリュームを 10 → 8 → 6 → 4 → 2 と少しずつ絞っていくと、音量だけでなく歪みも徐々に減っていくのが分かります。

つまり、ギターのボリュームは“ゲインコントロール”としても使えるわけです。ソロでは10でしっかり歪ませ、アルペジオでは4くらいまで絞ってクリーンに──こうした使い分けを覚えると、曲中のダイナミクスが格段に豊かになります。

また、ボリュームを絞ると高音域が減衰し、音が少しマイルドになります。これを“ハイ落ち”と呼びます。PU(ピックアップ)の種類によってはこのハイ落ちが強く、抜けの悪いこもった音に感じることもあります。

そんなときに便利なのが ハイパスコンデンサー の取り付けです。

前半はハイパス無し、後半はハイパスありです。

ハイパスを入れることでボリュームを下げても高域が保たれるようになり、より自然なサウンドでボリュームコントロールができるようになります。部品自体は数百円程度で、はんだ付けできる方なら簡単に取り付けが可能です。抜けの悪さが気になる方はぜひ一度試してみてください。

MONTREUX ( モントルー ) / SILVER MICA 250PF [8752]

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さらに、ボリュームを使った演奏テクニックとして有名なのが 「ボリューム奏法(バイオリン奏法)」 です。
弦を弾いたあとにボリュームを上げることで、アタックを消した滑らかなサウンドが得られ、まるでバイオリンのような柔らかい立ち上がりを表現できます。

トーンノブの使い方

次に、トーンノブについて見てみましょう。
「トーンって0にするとモコモコするだけで、あまり使いどころが分からない」という方も多いと思います。実際、筆者も初心者の頃はほとんど触らずにいました。
しかし、トーンをうまく活用できるようになると、音作りの幅が一気に広がります。
トーンノブは、ギターの高域成分を削って音を柔らかくする“ローパスフィルター”のような働きを持っています。使い方のポイントは「いかに抜けと温かみのバランスを取るか」です。

たとえば、ストラトキャスターのハーフトーン(ピックアップを2つ同時に使うポジション)は、カッティングやクリーンアルペジオに最適な歯切れのよいサウンドを出せますが、場合によっては高域が強く出すぎて耳に痛く感じることもあります。
そんなとき、トーンを4〜6くらいに軽く絞るだけで、ギラつきを抑えた落ち着いたサウンドにすることができます。

前半はTone全開、後半は5まで絞ってます。
アンプやエフェクターで高域を調整するよりも、手元のノブでサッと調整した方が実践的です。
また、ボリュームを絞ったときにハイパスコンデンサーを付けている場合、高域が強く残りすぎることがあります。そうしたときもトーンを軽く下げてあげると、耳障りな高音をうまくコントロールできます。

さらに、トーンの効き具合は内部のコンデンサーの種類や容量値(例:0.022μF、0.047μFなど)によって変化します。容量が大きいほど高域の減衰が強く、容量が小さいほど控えめな効きになります。

コンデンサーは安価で交換も容易なので、音の違いを体験してみるのも面白いでしょう。お気に入りの組み合わせを見つけるのもギターの醍醐味の一つです。
ちなみに、ジャンルやプレイスタイルによっては「トーンポットを使わない」という選択肢もあります。特にメタル系ギタリストの中には、トーン回路を取り外して高域の抜けを最大限に確保する方も多いです。自分のスタイルに合わせて構成を変えてみるのもアリですね。

ポットのカーブについて

「ボリュームやトーンをいじってもあまり変化を感じない」という経験をしたことはありませんか?
それはもしかすると、ポットの“カーブ”の違いが関係しているかもしれません。
ポット(可変抵抗器)には主に Aカーブ(オーディオテーパー)Bカーブ(リニアテーパー) の2種類があります。

Aカーブは人間の聴覚特性に合わせてゆるやかに変化するタイプで、手元での細かなボリューム調整に向いています。一方、Bカーブはつまみの回転角に対して直線的に抵抗値が変化するタイプで、変化が急で分かりやすいのが特徴です。

多くのギターでは、ボリュームにAカーブ、トーンにBカーブが採用されていますが、これはメーカーやモデルによって異なります。もし自分のギターのノブを回しても反応が鈍い、あるいは変化が極端だと感じる場合は、ポットの種類を確認してみるとよいでしょう。

より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください↓

⇒ 関連ブログ:『POTのホットなラボ / 第1回「Aカーブ」「Bカーブ」』

筆者は演奏中に手元でダイナミクスを細かくコントロールしたい派なので、Aカーブのポットを愛用しています。プレイスタイルや好みによって選ぶことで、操作感が格段に向上します。

まとめ

ギターに付いているボリュームとトーンは、単なる「音量つまみ」や「高音カット」ではなく、音作りの中心ともいえる重要なコントロールです。
アンプやエフェクターに頼らなくても、手元の操作だけでクリーンからドライブ、シャープからマイルドまで幅広いサウンドを作ることができます。
演奏の最中でも、即座に対応できるのも魅力です。
ギターをさらに“楽器として使いこなす”ために、ぜひ今日からボリュームとトーンの活用を意識してみてください。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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kouhei

千葉県出身。ギタリスト兼ベーシストとしてロックを中心に様々なジャンルを演奏するマルチプレイヤー。またDTMにも精通しており、ドラムプログラミングやBGM制作、カラオケ音源制作なども手掛ける。
Twitter https://twitter.com/ike_kohei
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