Cheena:今回はいつもより短めに、一つのアクセサリーに絞ってみようと思います。プロフィールも割愛し、さくっと行きましょう。 というわけで今回の話題はこれ。ストリングピロー、Scudではサウンド・オフセット・スペーサーです。
SCUD ( スカッド ) / SOS-EG1
ネモト動画見てきた。すごいねこれ。多弦ベース用欲しいな。
Cheena:概念としてはBFTS(アクセサリー回参照)に近いのですが、MTS(ミネハラ・チューニング・システム)という独自理論に基づくアイテムのようですね。
そしてレビューに曰く、格安ギターのピッチ難を解消するものだとか。高級楽器に導入しても利点はないと言われています。
Hoscoの説明がこちらに。
https://www.hosco.co.jp/mts-theory
そして製作元である、楽器工房ミネハラの公式サイトがありましたよ。
http://www.minehara.com/supertune/supertune1.htm
しかしベース用、欲しいですよね…
問い合わせてみようかな。
ネモトこういうやや古い感じのいかにも「1人で作った個人サイト」大好きだ。こしみずとか。
それはともかく、これは良いアイテムだと思う。
動画内でも説明があったけどフレッテッドは押弦する力で音程がズレるし、それをどうにかする手段がない。フレットレスなら押さえる場所をちょっとずらせばいいけど。ところでこれはスライドした時の弦の撓みに由来するズレは軽減してくれるのかな?指がフレットに当たった時に指を元の方向へ気持ち戻せばいいんだけど、あれ練習しないとすぐにできなくなる。勿論今はできない。
Cheena:おそらくスライドは対応できないでしょうか…
そうそう、MTS関係の特許文書がありました。
https://patents.google.com/patent/JP4383272B2/ja
BFTSはこちらに。
https://patents.google.com/patent/US5955689A/en
ネモトだよねぇ…。
特許文書なんて初めて見た。当たり前だけどわかりやすい。
BFTSは専用のチューニング(チューナーではない)が必要だからそれがないだけでも有難い限り。
Cheena:Google Patentsで特許、CiNiiで論文の大体は読めるし、興味のある分野の最先端が見えるので面白いですよ。
それはそうと、どちらもアコースティックギターへの施工を前提に考えていたようですね。文書内ではどちらも例としてアコギを挙げていますし、何か理由があるのかな。
ネモトアコギの場合オクターブチューニングできないじゃない?ほんの少しでもいいからチューニングに対するネガティブ要素を削りたいんじゃないかと思う。
もしくは完全に枯れた技術で作られているアコギに新たな機構を加える、これに浪漫を感じているとか?
Cheena:両方ありそうですね。
クラシックギターなんかの場合、音はいいけどピッチが微妙…なんて楽器を使うためにこういう置くだけ!みたいな改造を施すという例もあるのかも。
ネモト可逆というのがいいよね。簡単に試せる。
フレット交換にせよ指板交換にせよなかなか踏み切れない部分があるし。
Cheena:しかしまあ良いものを開発したものです。
さて、簡単に設置方法を書いてみましょうか。

まず寸法図を確認すると分かるのですが、弦の構造と太さによりピッチ補正量が変わるため少しずつ構造が異なっていますね。
おそらく読者様にはギタリストが大半と思いますが、3弦をワウンドにする方はAG1を採用した方がいいかもしれません。予想ですが。
今回購入したのはSOS-EG1。これをSelderのストラトだったものとIbanezのAS73Gに積んでみようと思います。

パッケージに記載されている通り、適用対象のギターには厳密な指定があります。
この場合は628~650mmスケールかつニッケル弦。
手順書の訳は
- S.O.S.を弦と指板の隙間に滑り込ませます。隙間が狭すぎる場合は弦を緩めてから入れてください。
- S.O.S.の位置を弦に合わせ、ナットとS.O.S.が密着するように、また弦ごとの補正エリアに入るよう調整します。ナットよりS.O.S.の方が長い場合は端を切って合わせます。
- ナットの弦の溝がS.O.S.より高い場合は以下の調整が必要になります。
1)溝にやすりを掛けてS.O.S.の天面と同じ高さになるよう調整します。(推奨)
2)元の溝の高さに合うようS.O.S.の底面に付属のテープを貼ります。一枚で0.1mmの厚みを得られます。
S.O.S.自体の高さは1.8mmなので2.1mmを超えるナット弦高、フレット高だと使用できないということになります。まあフレットは基本的に1.5mm付近が上限値なので気にすることはないでしょう。
それと、サドルも補正値だけネック側に寄せる必要がありますね。

まずはピッチ難のストラトだったものに。弦はPlaytech製、9-11-16-26-36-46です。
こちらは全体的に状態が悪く弦高がかなり上げ気味だったのもありますが、顕著な音程の上がりが収まりましたね。
テープを一枚追加し弦高を調整しています。
ナットに割れ欠けなんかの問題があるときに簡単に使用できる補正具としてもいいかも。
そしてIbanezのセミアコへ。テープは剥がし、弦はPlaytechを混載、10-14-16-24-32-42。

元から調整がしっかり為されているギターに積むとピッチは逆に悪化する、とレビューなどに書かれていましたが、弦高ベタベタでピッチが上がりづらいこのギターには悪影響が出なかったのでまあ大丈夫そうかな、と。
どこまでプラセボか分かりませんがコードの揺れが収まったようにも感じます。
寸法上はBass VIにも積めるんですが、全弦ワウンドに30inchネックでは開発者の想定したピッチ補正が得られないためやめておこうと思います。バリトン弦張ってたらAG-1で試してましたが…
総評して、楽器性能の底上げを行うパーツというところですかね。 ただ、本家ミネハラ製のものとScud/Hosco製のもので素材が異なったりするようなので、それにより何か差異が出るかどうかという部分はあります。
ネモト詳細なレビューありがとう。
ベースに転用できそうなら買おうと思っていたけどこれは難しそうだわ。いずれ出るのを期待しましょう…
Cheena:ミネハラのものは4弦ベース用、おそらくブラス製で3万3000円でした。多弦の場合はカスタムオーダーという形になりますかね… 公式サイトから画像をお借りしていますが、上の画像左が加工後、右が加工前ということで削り→曲げの作業で作っていると思います。

というか、素材を金属からプラスチックに変更し、Rを問わずインストール可能にし、ある程度切断も可能、というあたりScudのものはかなり簡略化というか汎用化されていますね。
MTSとBFTSと、それにTrue Temperamentのベースが一本ずつ欲しくなってきます。
ネモト確かに。1人1本持って集まりたいわぁ…。 3本持ってても使わなそうw
Cheena:それはそうですねw さて、特殊なパーツ番外編と称しましてチューニング補正システム、Scud SOS/ミネハラチューニングシステムのほとんどの部分を紹介しました。 また続報ありましたら追記しますのでよろしくお願いします。ありがとうございました。
ネモトありがとうございました。
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