はじめに
いきなりですが、この写真をご覧ください。

これは、Viola Bass。Epiphoneから発売されている、ショートスケールのベースです。
EPIPHONE ( エピフォン ) / Viola Bass Vintage Sunburst
見るからに個性盛り盛りなこのベースについて、実際に使った感想を書いていきます!
……今のうちに述べておくと、筆者の音楽活動は作詞・作曲をメインにしており、ギターやベースといった楽器の腕前は素人同然、というより、素人そのものです。
ということで、今回の記事についても「素人が何か言ってるな〜」という感じで、ゆる〜くお楽しみください。
Viola Bassってどんなベース?
まずは概要の紹介から。
Viola Bassは、ポール・マッカートニーの使用でも知られる「HOFNER Violin Bass」をもとに、
HOFNER ( ヘフナー ) / Violin Bass Cavern 61
Epiphoneが独自のデザインで再現した1本です。本家のViolin Bassよりは、ボディが一回り大きいとのこと。
先に述べたようにショートスケールで、ボディもコンパクト。テールピースにはお洒落な意匠が施されていますが、細かいオクターブチューニングなどできないのは相変わらずです。
縦に並んだ2つのピックアップはミニハムバッカー。Epiphoneらしさの表れとも言えるでしょう。コントロールは2ボリューム1トーンで、音作りの幅を確保しつつ、複雑になりすぎない設計です。レスポールのようにツマミが4つもあると、迷子になってしまいやすいですからね。
触って分かるViola Bass
見た目で分かる情報はこのくらいにして、実際に触って分かった特徴を書いていきましょう。
手に取った感じはかなりギターに近く、抱え込みやすい形状をしています。
後述しますが、Viola Bassは指弾きよりもピック弾きが似合う楽器です。スケールが短いこともあり、自然とギターっぽい弾き方、構え方になってくるのですが、そうするとこのサイズ感が大きなメリットになってきます。
少し気になるのは、くびれのこの部分。

角ばっており、背面にコンターなどもないので、体に刺さってきます。立奏で低めに構える場合は問題ないのですが、高めで抱えたり、座って弾く場合には負担になると思います。
筆者はDTMでの使用がメインなので、これは痛いです(二重の意味で)。
また、ヘッド落ちは確実にあります。ショートスケールでホロウ構造なので、避けようもない宿命です。左手で支えながら弾いてください。
地味ながらも嬉しいポイントとして、スケールが短いためチューニングがしやすく、操作性にも優れています。手が届きやすい設計は、初心者にも扱いやすい魅力のひとつです。精密なチューニング機構こそ高級モデルに譲る部分はありますが、その分気軽に楽しめる一本だと思います。
先ほども少し書きましたが、Viola Bassは指弾きよりもピック弾きが圧倒的に似合う楽器です。その理由は、Viola Bassは弦のテンションが低いから。
ショートスケールあるあるですが、弦の張力が小さいために、高域成分が出にくくなっています。ですから、指弾きをすると輪郭のない音になりがちなのです。
ピック弾きに切り替えるとアタック感が強調され、ラインの見えやすいベースになります。
音色の特徴としては、「ポンポン」という中域の存在感が挙げられます。ホロウボディらしい弾むようなサウンドで、好みは分かれるかと思います。低域の出やすさ、高域の出にくさと組み合わさり、悪く言うと締まりの無い音になってしまうので、「ジャズベースが至高!」という方には向きません。反対に、音数の少ない小編成のバンドで立体感を持たせたい場合は、おすすめです。
さて、少しだけViola Bassのサウンドについて触れましたが、ここからはもっと踏み込んで、この不思議なベースの音作りに迫っていきます。
その前に、Viola Bass本体のサウンドについて気になる方は、こちらの短い動画をご覧ください。指弾き・ピック弾きの音色変化や、ピックアップによる音の違いが分かります。
どうする?Viola Bassの音作り
ベースの音作りに関する情報は、ネットの海を探せばいくらでも漂っています。ただ、そのノウハウのほとんどは、一般的なロングスケール・ベースの使用を前提に蓄積されたものであろうことには、留意が必要です。
「だから役に立たない」というのではありません。「セオリーから外れても良い」ということです。せっかく個性まみれの1本を選んだのですから、そのサウンドメイクだって唯一無二を目指しても良いはずです。
とはいえ、なんの道標もないのは心細いですから、ここでは筆者が気に入った音作りについて書きます。この記事を参考に、「たしかに良い音だ」と真似るも良し、「全然だめじゃないか」と反面教師にするも良しです。
使用するアンプは、真空管よりもソリッドステートのほうが合いそうな印象です。あくまでアンプシミュレーターを通した際の感想ではあるのですが、ショートスケール+ハムバッカーの太すぎるサウンドは、真空管アンプだと膨らみすぎてしまう感じがあります。
その点、ソリッドステートの場合は、ピック弾きのアタック感が程よく際立ち、扱いやすい音になる気がします。
当然、つなぐエフェクターやアンプの設定でいくらでも変わるので、それぞれの好きなアンプで弾くのが一番です。実際、SansAmp系のエフェクトを挟んだ時は真空管を使う方が好きだったので、臨機応変にといったところです。
エフェクターを用いた音作りでは、イコライザーの設定が重要になると思います。
Viola Bassは、低域たっぷり・高域少なめという特性を持っています。そしてこの低域というのは、スピーカーでは再生しにくい周波数なのです。特にスマホのスピーカーなどでは、全然聞こえません。ということで、イコライザーを使って補正をしていきましょう。
基本的には、やるべきことは2つ。
- 100Hz以下を抑える。
- 800Hz以上をブーストする。
これだけです。この他、状況に応じてハイカットしたり、中域を調整したりしてみてください。アンサンブルに混ぜる場合は、200Hzあたりをカットするとスッキリしてきます。
もちろん、具体的な数字は参考程度に見て、鵜呑みにしすぎないでくださいね。
ちなみに、筆者はベース用のペダルエフェクターは所持していないため、LINE録音後にDAW上でEQをかけています。波形を見ながらコントロールできるので、筆者のようにベースの音作りに慣れていない人にとっては便利です。
おわりに
今回は、Epiphoneが仕掛ける唯一無二の一本「Viola Bass」について書いてきました。
実は、筆者がこのベースを手に入れたのはつい最近で、まだまだ研究途中。
それでも、このベースを選んだことを後悔はしないだろうと、強く感じています。
Viola Bassに興味を持ってコラムを読んでくれている皆様が、いつか実感とともにこの記事を思い返してくれることを願っております。
今回もありがとうございました。
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