
無事に上がりました、後編です。
前回はWavesの新製品2種とUADの王道コンプ2種を買ったよ〜これ良いよ〜という内容でした。
今回はあまり有名ではない(と私が思っているだけかもしれない)UADプラグイン4種を紹介して、2025年のBFセールを締めたいと思います。
1つ目 UAD – SSL E Channel Strip Colletcion

1970年代後半から1980年にかけてスタジオ標準コンソールとなったSSL 4000 Eのモデリングです。「タイトで前に出る音」として知られ、チャンネルごとにEQ、コンプ、ゲートが搭載された最初期の「全部入りコンソール」として活躍しました。
とにかく元気な音を元気に出すってことに重きを置いたコンソールです。だからといって積極的に音を変えに行くわけではなく、無駄を削いでタイトに、抜けるようにという引き算方向で音を整え、勢いを活かすというコンセプトです。
実際プラグインになってもそうで、どのパラメータも可変幅が大袈裟じゃないので扱いやすく、感覚でこの辺上げたらこうなるかな……ってやればその通りになります。
コンソール型プラグインを初めて使いましたが、まあ使い勝手のいいことで。
こいつを通すと自ずと
- ローが締まって膨らみづらくなる
- ミッドが前に出やすくなる
- プレゼンスが少しだけ盛られて、派手にならない程度に抜けを作れる
というプリアンプ的効果に始まり、
- ±15dbのレンジ、6db/オクターブカーブを持つ堅実なBROWN EQ
- ±18dbのレンジ、18db/オクターブカーブを持つ大胆なBLACK EQ
- それぞれに異なるハイパス/ローパスフィルター
BROWNとBLACKの2つから選択可能で、直感的にパラメトリックEQの操作ができます。感覚としてはNEVE 1073みたいです。こっちの方が幅が効くと思います。
さらにダイナミクスセクションで、
- SLOW(30ms)、FAST(3ms)のシンプルなアタック設定
- 1:1〜1:∞の無段階のレシオ
- 0.1~4sまでのリリース
を備えたVCAコンプ、Expandと2モードのGateで音の整理ができます。
文字通り全部入りです。これだけで音作りを終えてもいいくらい。
私の今の使い方としては、UADの優秀なプリセットから好みのものを探して、それを微調整するのがメインです。
パートを選ばずに挿してしまいます。なぜなら私の求める音の方向性がそのままだから。
EQとゲートはめっちゃ使っていますが、さすがにコンプは前回紹介した2つに全任せです。使い勝手が段違い。
とはいえこいつのコンプに1176などを重ねても、もちろんいい感じなので結局好みですね。音楽なんてそんなもんかも。
コンソールそのものは生産が終了していますが、1Uのアウトボードとしてチャンネルストリップが発売されました。実機が気になるならありです。お値段?そんな野暮な話しをしちゃあいけない。
2つ目 UAD – API Vision Channel Strip Collection
UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / API Vision Channel Strip Collection ダウンロード納品
立て続けにチャンネルストリップです。今度はAPIから。
先ほど紹介したSSL 4000はタイトさを売りにしていましたが、このVisionは「パンチとアタック」を強調するものです。
VisionはAPIの集大成コンソールであり、今でも販売されているみたいです。メインで活躍したのは4000 Eと同じ1970から80年代。
UADで見かけるまでAPIという会社を聞いたことがなかったのですが、なんだか音響業界ではドンみたいです。
音のキャラクターとしては、低域の芯が太く、中域がグンと前に出て、高域は荒く存在感があって、トランジェントがものすごく速い。つまり、パンチがあってアタックがすげぇ音になるってことです。
実際ドラム(主に金物)に挿してみましたが、まあ〜〜〜気持ちのよろしいこと。SSL 4000は目立たせたい部分を絞ってバチっと鳴らすのに向いていて、API Visionは全体的にドンと前に出すのに向いています。
SSL E 4000と比べるとリズム楽器との相性、音作りの方向性に明確な差があるように思います。SSLよりも積極的に音を作る感じがあるので、とりあえず挿してプリセット選べばお手軽に気持ちよくなれます。
ただ気持ち良すぎてうるさくなっちゃうことはあるので、そこは目と耳で判断していきましょう。リズム楽器が目立ちすぎてもよくないですからね。縁の下の力持ちであるべきです。
構成はSSLとほぼ同じです。プリ部、フィルター、ゲート、コンプ、EQがあります。使い勝手はほとんど変わりませんが、EQに明確な違いがあります。
SSLはキャラの違うBROWNとBLACKがありましたが、Visionはパラメトリックとグラフィックから選べます。より精緻な印象です。
金物マイクやオーバーヘッドは特にピンポイントで削りたい帯域があったりします。そういった時にパラメトリックEQだとその前後も持っていかれちゃうことが多いので、リズム楽器に使う上でグラフィックEQは理にかなっています。さすが、需要をわかっている。
私の使い方はSSLと一緒です。結局GateとEQがメイン。味付けって感じです。コンプは結構タイト寄りなので楽器を選びますが、EQまわりはキャラ付け程度にとどめやすいので、ギターやバッキングのピアノに挿しても問題なく使えます。
3つ目 UAD – API 2500 Bus Compressor
UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / API 2500 Bus Compressor ダウンロード納品
もう2,000文字らしいです。早い。
続いてはAPIのバスコンプです。バスコンプで有名なのはやはりSSL 4000 Gだと思いますが、役割が違うなと使っていて思いました。
API 2500はAPIが誇るフラッグシップのステレオバスコンプレッサー。バスコンプなのでまとめ役です。ステレオなのもそういう理由です。
実機が登場したのは2000年代なので今の音響業界にしては新参者ですが、API伝統のディスクリート回路、トランス、2520オペアンプを惜しみなく投入して、もうすでに不動の地位を築いています。
音のキャラクターとしてはAPIらしく存在感があって、低域が沈まずミッドを前に出し、アタックを潰さずに圧だけ増して、コンプをかけているのに押さえ込むことなく元気です。
SSL Gが「抑えて整える」→音量感を揃えるというふうに捉えるなら、API 2500は「押して載せる」→音圧とグルーヴを作る、という捉え方ができると思います。
ロックやオルタナといったバンドサウンドではかけてちょいちょいっと調整するだけでノリが良くなるコンプです。
2500ならではの特徴として、THRUST回路というのがあります。サイドチェインの調整をする仕組みなのですが、低域に引っ張られすぎないようにすることができるので、
- キックが暴れない
- 低音を潰さずに全体を整える
- 結果としてパンチが出る
というバンド音楽にありがたい挙動です。変化がわかりやすいコンプだと思います。APIらしく積極的です。
また、OLDとNEWという2つのボイスポジションがあり、OLDはAPIらしいフィードバックで太く粘りがあり、NEWはFairchildや1176のようにモダンでクリアなフィードフォワード設計になっています。
総じてAPIのコンプって感じです。荒くてロック。元気をさらに足せる。 今ではWavesのVitaminなどお手軽に元気を出すデジタル由来のプラグインもありますが、こういったアナログ的なキャラを持つもので元気を足すのもまた楽しいです。
ちなみにリダクション量はSSL Gなら3dbくらいまで張り切ってもいけますが、こいつは1~2dbで十分です。これ以上行くと張り切りすぎかも。
そして以下が実機です。お値段はお察しの通り50万円。いやー、コンプって高いね! これがプラグインになって、上手くセールを使えば2,000円くらい! 買わない手はないね!
4つ目 UAD – UAD 175B & 176 Tube Compressor Collection
UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / UAD 175B & 176 Tube Compressor Collection ダウンロード納品
もう終わりが見えてきました。ウィニングランです。
最後はUniversal Audioで締めます。UADプラグインはUniversal Audioです。175Bと176を作ったのもUniversal Audioです。そうです、自家製です。
1960年代初頭、1176が生まれる前夜のUAチューブ・コンプレッサー。設計はBill Putnam本人。
真空管とトランスによるゲインリダクションで、いわゆる「音を潰す」というより
「質感を加えながら制御する」タイプです。
175BはLOWかHIのリミッター寄り、176は2:1〜12:1まで選べる柔軟なモデル。
共通して感じるのは、
- アタックは速いが、刺さらない
- コンプしても奥行きが残る
- 音像が少し太く、前に来る
1176ほどの切れ味はない代わりに、ドラムバスやルーム、ボーカルの色付けに最高。
特に気に入っているのは、アタック・リリースを最速にした時の軽い歪み感を伴った粒立ち。わざとらしくないのに、音がしっかりしてくれます。
これはプラグインの追加機能であるパラレルミックスとも相性が良く、“潰した音を薄く足す”使い方がかなりハマります。
コンプレッションをオフにしてトーンボックスとして使うのも実用的で、真空管っぽい厚みが欲しい時につい挿してしまいます。Fairchild 670みたいな感じです。
なので私はコンプとして使うってよりは音を厚く、それでいてやわらかめにしたい時に使います。なのでリダクション量は0に近いことが多いです。オーバーヘッドのキンキンする部分を丸めたい、けれどもEQやディエッサーだと美味しい部分が消えてしまうって時に、一か八かでかけるとかなり改善できちゃいます。
真空管のアナログサウンド特有の丸みがこれ一つで手に入ります。ドラムの金物やトレブリーなギター、シュワシュワしたシンセなんかにかけてみればローファイ感を得つつ、飛び出ない音を作れるのでめっちゃおすすめです。
あ、Fairchild 670との差は本当に好みです。670の方が味付けに良くて、175B/176はコンプ、リミッターとしての方が正しい使い方に感じます。でも好みです。私はどっちも好きなので、ジャンルや使う楽器に合わせます。
さて、ここまで二部作でお付き合いいただきました、ありがとうございました。
結局プラグインって買い揃えても使わないよね問題がありますが、買うまではどんなものか、気にいるか、手持ちの音源や楽器にハマるかはわかりません。
買ってみて使ってみて、あー微妙だなとなるのも一興です。
とはいえ今回紹介したやつは全部即戦力級です。これ全部揃えるだけでも結構いい音が作れちゃいますよ。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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