今年もあと4ヶ月を切りましたが、暑くて部屋に篭りたくなるこの時期、ぜひ「弾いてみた動画」を制作してみませんか?
弾いてみた動画を作ってみると、自分の演奏を客観視する良い機会になります。また、動画を見た方から応援のメッセージを頂くとモチベーションアップにもつながります。
今回はエレキギターを例に「宅録の弾いてみた動画」の環境構築や動画制作をご紹介しますので、少しでも参考になれば嬉しいです。

必要なアイテム
01 パソコン
使用する作曲ソフトや動画編集ソフトの動作要件を満たすスペックが望ましいです。
メモリ16GB、ストレージは最低でも500GBあると安心ですが、近年のPCは機能が充実している分、本体のシステムにメモリやストレージ容量を食われてしまいますので、ご自身の予算の許す限り余裕のあるスペックを選ぶと良いです。
ノートパソコンであればスタジオでの録音の際にも持ち運べて便利です。
スマホでの録音や編集も可能ですが、今回はPCを使用します。
02 オーディオインターフェース
パソコンに楽器の音を取り込むための機材です。エレキギターを録る際はHi-Z入力が搭載されている機種が望ましいです。定番機種には大体付いています。
Hi-Zとは、ざっくり言うとギターやマイクの微弱な信号を安定した信号に変化させる機能です。
歌ってみたを録りたい方も、この入力が付いた機種を買うと良いです。
価格帯によって機能や入出力の数、音質が変わってきますが、定番の2〜3万円代の機種で十分です。
UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / VOLT 276 USB Recording Studio
クリアな音質はもちろん、内蔵回路によってビンテージ風サウンドでの録音も可能な機種です。Universal AudioのインターフェースにはLA-2AコンプやLX480リバーブなど、業界で有名なエフェクトプラグインがいくつも付属しています。
これ一台あれば録音する分には音質、エフェクトともに困りません。
MOTU ( モツ ) / M2 オーディオインターフェイス
少し高価ですが、数十万円クラスのオーディオインターフェイスに使用されるパーツが採用されています。クリアな音はもちろん、液晶モニターを搭載し、入力信号や音割れの有無を一目で確認することが可能です。
私もこちらと同じシリーズ(M4)を使用していますが、視認性の良さに助かっています。
03 ソフトウェア
主に2種類のソフトを使用します。
一つ目は作曲ソフト(DAW)です。
ギターの音作りや録音等を行います。詳しい音の調整は後ほど説明します。
フリーのものや付属しているもの(オーディオインターフェイスは、購入するとDAWのライセンスが付属してくることが多い)でも大丈夫です。
今後作曲にも挑戦してみたい方向けに有料のものもご紹介します。
アカデミック版と呼ばれる、高校や大学など在学証明ができれば大幅割引されるDAWもありますので、学生の方はチェックしましょう!!
STEINBERG ( スタインバーグ ) / Cubase Elements 14 DAWソフトウェア ダウンロード納品
日本での使用率がトップクラスに多いソフトです。最上位版に比べるとトラック数などに制限がありますが、弾いてみた録音で使用する分には十分なスペックです。
Apple Logic Pro
有名なソフトですが、macのみで使用することができます。現時点でアップデートが全て無料であり、エフェクト類も充実しているため、macユーザーの方はこちらを購入することをお勧めします。
二つ目は編集ソフトです。こちらも無料のもので問題ありません。
Aviutl2
最近リリースされた有名編集ソフトの進化版です。無料なのに多機能で使いやすいですが、WindowsPC限定です。
iMovie
Macのみで使用できる無料の編集ソフトです。ドラッグ&ドロップの直感的な操作で使いやすいです。
04 カメラ
iPhone等で十分です。
Full HD(1080p), 60fpsで撮影可能であれば問題なく綺麗に撮ることができます。
またスタンド等があると安定した撮影ができて便利です。
05 ギターとギターケーブル
自分にあったものを選びましょう。ケーブルは安いもので十分です。値段が高いものは音質が良く、ノイズが少ないです。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / GIC030R/BLACK

CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / GIC030N
PROVIDENCE ( プロヴィデンス ) / H207 3.0m S/S EF
06 モニターヘッドホンやイヤホン
スピーカーよりも音をダイレクトに聴くことができ、音の調整に役立ちます。
あまり大きな音を鳴らせないので、重宝しています。
SONY ( ソニー ) / MDR-7506 定番スタジオモニターヘッドホン
モニター用のヘッドホンやイヤホンは特定の帯域が誇張されることが殆ど無く、正確に音を聴き取ることが可能です。
動画制作
ざっくり説明するとこのような流れです。
- ギターとオーディオインタフェースを繋いで演奏をDAWに録音し、同時に演奏の様子をカメラで撮影する
- 録音したファイルを書き出す。また撮影した映像をパソコンに移す。
- 動画を編集する。書き出したファイルと映像をタイミングよく合わせる。
- 動画を書き出し、ミスや音割れがないかをチェック→完成
01 録音・撮影
ギターの音には、必要に応じてエフェクトを掛けます。
例) noisegate → amplitube5 → EQ → compressor → reverb(Bus)

肝になるのはアンプシュミレーターです。ギターらしい歪んだ音を作るのに使用します。

またEQではローカットという作業をします。これはボワボワした低音成分を取り除くために行います。それでもボワボワしてしまう方は、500Hzあたりを少しカットしてみましょう。
エフェクトはプリセットを使用すると楽に音が仕上がりますが、慣れてきたら自分でいじって理想の音を探すのも楽しいです。


撮影にはスタンドなどを活用し、ブレや見切れている部分がないよう調整しましょう。
私のオススメのアンプシュミレーターはこちらです。
IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / AmpliTube 5 MAX v2 ダウンロード納品
アンプやキャビネットの種類がとても多く、音のブレンド、マイクのセッティング位置など細かい設定も可能です。扱いは少し難しいですが、DAW付属のアンプシュミレーターに飽き飽きした方は試してみてください。
02 ファイルの書き出し、移動
録音したファイルを書き出しますが、その際にチェックするのが音割れ(クリップ)です。
DAWのミキサー画面で、マスタートラックに赤い表示(音のクリップ)がないか確認しましょう。
音割れは、楽器のサウンドや演奏のニュアンスが台無しになります。音割れしている場合は音量を下げて書き出します。
またパソコンに録画、録音したファイルは、弾いてみた関連専用フォルダを作り、そこに保存しておくとデータの整理が楽になります。
03 動画編集
音声と動画をタイミングよく合わせます。演奏した曲やアーティスト名の字幕を付けると、視聴者が分かりやすくなります。
04 動画を書き出し、ミスや音割れのチェック
動画を書き出して確認します。いくら録り音が良くても、稀に動画編集ソフトの設定のせいで音割れしていた、なんてこともあります(体験談)ので、念入りに聴いてみてください。
音声、動画ともに問題が無ければ完成です。
まとめ
ここまで見てみると少し手間のかかる作業に感じますが、「録音した音と映像を合わせる」方法はピアノや歌など、様々な音楽動画の制作に活かすことができますので、チャレンジしてみてください。少しでも参考になれば幸いです。
参考程度に私の弾いてみた動画をアップしてありますので、ぜひご覧ください。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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