はじめに
筆者がVOLT476を使用し始めてから、4カ月が経ちます。そこで、実際に使って分かったVOLTの特徴について、簡単にまとめてみることにしました。現状、日本国内におけるVOLTのレビューはあまり多くないので、購入を検討している方の助けになればと思います。
UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / VOLT 476 USB Recording Studio
概要
Universal Audio(ユニバーサル・オーディオ)は、プロ御用達の音響機器やプラグインを多数リリースしてきたメーカー。そんな同社が手がけるエントリー向けオーディオインターフェイスが「VOLT」シリーズです。
筆者が使用しているVOLT476は、4イン4アウトの充実した入出力端子を備えたモデル。このシリーズの最大の魅力である、ビンテージプリアンプと、1176コンプのエミュレーション回路ももちろん搭載されています。
外観もスタイリッシュで高級感があり、木目調のサイドパネルがデスクに置いても映えるデザイン。まさに「眺めたくなるインターフェイス」です。
使用感レビュー
ここからは、実際に使って分かったことについて、じっくりレビューしていきましょう。
● 良かった点
入力端子が多い
もともと、製品選びでは入出力数は4つ以上にしようと決めていました。ギターの信号をスプリッターで分岐させたり、録音後にリアンプしたり、ということを考えていたので、イン/アウトが2つでは足りなかったのです。
実際使い始めてみると、とにかく入力が多いことが嬉しい!ケーブルの抜き差しがいらないのは、こんなに快適なのだと実感しました。
筆者は楽曲制作にKORGのハードシンセ、microKORG 2を使っているので、背面のインプットを2つ使ってステレオで録音できるようにしています。これだけでも4イン4アウトにした価値があったというものです。
スタンドアローンで使える
パソコンに繋がなくても使えます。これがかなり便利。
筆者は、ギターアンプとしてVOXのMV50を使用しているのですが、同機種用に販売されているキャビネットは持っていません。そこで、MV50をVOLTにつなぎ、モニタースピーカーで音を出すことで、キャビネットスピーカーのある環境を再現できるんですね。
ギターを弾きたいとき、わざわざパソコンを起動するのは少し手間ですし、もったいないです。スタンドアローンなら、もっとシンプルに練習システムを構築できます。
こうやって使用する際に、スピーカーの片方からしか音が出ない場合は、VOLTの「MONO」ボタンを押してください。ステレオ出力を持つエフェクターなどからVOLTにつなぐときは、「MONO」モードにしなくて大丈夫です。
ON/OFFスイッチがついている
上記の内容と重なりますが、ON/OFFスイッチがあることで、パソコンとインターフェイスを完全に分離して使うことができます。スタンドアローンで使うときは、パソコンはつけずにVOLTをONに。反対にパソコンのみ使いたいときは、VOLTのスイッチをOFFにしておけば良いわけです。無駄な電力消費も抑えられるのでおすすめです。
● 気になった点
76コンプで音量が上がる
76コンプをオンにすると、音量がかなり上がります。これはどのモードでも同じ。76コンプの仕組み上、インプットを持ち上げないとコンプがかからないためでしょうか。
音量が上がるとよく聞こえてしまいがちなので、本当に音が良い方向に変わっているかは、慎重に見極めないといけませんね。いったん録音して、音量を揃えてから聴き比べてみてもいいと思います。
ということで、比較動画を作ってみました!手順は以下の通り。
- ① クリーントーンのギターを、マルチエフェクター「G1 Four」のルーパーに記録。
- ② 76コンプなし、VOC 、GTR、FASTの4パターンで録音。
- ③ DAW上で音量を揃える。
各モードの違いが分かると思うので、ぜひご覧ください。
背面インプットのゲイン調整ができない
これは製品価格を考えても仕方ない点ではあるのですが、4つの入力端子のうち背面の2つにはプリアンプが搭載されていません(76コンプもありません)。そのため、入力ゲインの調整が楽器側でしかできないのです。これが少し困るんですよね。
先述の通り、筆者はmicroKORG 2を常時接続しているのですが、シンセ側のボリュームを最大にしても、DAWに入力される音量は結構小さいです。もちろん音割れするよりは良いですし、録音後に音量調整すればいいだけではあるので大きな問題ではないんですが、若干の不便は感じます。
とはいえ、この価格帯ではどの製品も、プリアンプの搭載は2基までですし、そもそもインプットが2つしかないものもあります。それを考えると、現状でも十分という感じですね。
おわりに
VOLTの76シリーズは、176、276、そして最近発売された876などもありますし、76コンプが搭載されていないシリーズもあるので、選択肢が非常に豊富ですよね。今現在、VOLTの購入を悩んでいるのは初心者の方が多いと思いますので、そういう方向けの選び方をお伝えして終わろうかと思います。
初めてのインターフェイス選びで、考えてほしいことは次の2点です。
- ① 楽器や歌の録音で、76コンプを使いたいか。
- ② 買い換えることなく、長く使い続けたいか。
まずは①についてですが、これはそもそもVOLTシリーズがあなたに最適かどうか、という話になります。当たり前ですが、録音で76コンプを使わない場合、76シリーズを選ぶ必要はありません。そしてさらに、録音自体を行わず、ソフトシンセのみで制作を行う場合は、VOLTシリーズである必要すらありません。近い価格帯では、Audientの製品などがいいでしょう。
次に②について。初めてのインターフェイスは、今後長い間使っていけるものを選びたいのか、とりあえず様子見で安いものを選びたいのか、というところを考えなければなりません。ここで決めたいのは、インターフェイスの入出力です。長く使うなら、イン/アウトは多いほうがいいです。録音したい楽器も増えていきますからね。反対に、しばらく使ったらグレードアップする前提で選ぶなら、入出力は少なくても良いです。
以上の2点を中心に、予算とあわせて考えていけば、あなたに必要なオーディオインターフェイスが見えてくるはずです。
それでは、今回もありがとうございました。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
投稿についての詳細はこちら







厳選!人気のおすすめオーディオインターフェイス特集
DTMセール情報まとめ
機能で選ぶ オーディオインターフェイス
DTMに必要な機材
UNIVERSAL AUDIO
人気スタジオモニター徹底比較

