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歌の、秋 - 『Sugar なキモチ 第44回』

2019-10-25

テーマ:Sugarなキモチ

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歌は、スポーツ的な要素と、芸術的な要素とが混ざり合い、1つになったものだなぁと、この秋感じているSugarです。
「~の秋」という言葉にはたくさんのバリエーションがありますが、18度前後の気温が人の集中力・感受性を維持しやすいからだと言われています。

紫式部

私の中で、歌の50パーセントを占めているスポーツ的要素とは、スポーツの世界に勝ち負けがあるように、白黒はっきりとした世界観です。私が青春時代に経験した器械体操でも、着地が決まったか決まらなかったか、回りきったか回りきってないのかによって、はっきりと点数がつきます。こういう側面が歌にもあると思います。

メロディに音程が届いたのか届かなかったのか、リズムにノれたのかノれなかったのか、ビブラート出来るか出来ないか又はしないのか...など、上手い下手に関る要素がいくつかハッキリとあります。これらはカラオケ採点で測れる要素でもあります。多くの人が歌のスポーツ的要素に重点を置き、悩み、ボーカルレッスンなどに通うようになったりするのではないでしょうか。

金木犀

では残りの50パーセントを占める芸術的要素とは何なのかというと、表現力だと思っています。

芸術、表現という言葉を前にすると面食らってしまう人がきっと多いですよね。
しかし私たちは日々の中で声を通して多くの表現活動をしています。
例えば、沿道で走り去るマラソン選手に応援の気持ちを伝える時には、その距離を越える大きな声、応援の気持ちを伝える力強い声で「がんばれー!」と言ったりします。

また、妻が夫に眠る前に優しく「おやすみ」という時には、相手との近い距離感や関係性、夜眠る前の時間から、内緒話のような小さく息まじりの声になったりするわけです。
このことから私たちは普段、相手との距離、時間帯などの“場”と、相手との関係性や想いなどの“気”によって声を使い分けていることがわかります。これは立派な表現です。
もし、“場”と“気”を間違えて、勢いよく「おやすみー!」と眠る夫に言ってしまったら、ちょっとおかしなことになりますね。

ハロウィン風の生花01

さて、自分が学生と仮定して、今教室の椅子に座り黒板の方向を向いて机の上に荷物を取り出しているとしましょう。そこに視界の中には入らない後ろのドアから、仲良しの友人が入ってきます。

「おはよう」
文字で書くとこれだけの情報ですが、その言い方によっては、その子が今日どんな気分なのか手に取るようにわかる時がありますね。
気分良くルンルンと「おはよう」という日と、暗く弱々しく「おはよう」という日には、大きな違いが出てくると思います。
声の音量・トーン・音程などから判断し、感情を受け取る能力を私たちはすでに持っているということです。
ここから分かるように文字で書いただけの「おはよう」と同じように、歌い手には歌詞という存在があり、それをどの声で「おはよう」というかは歌い手に完全に任されているのです。

今度は自分が親だと仮定して、子供が通っている学校から電話がかかってきたとしましょう。それまで午後のワイドショーを見てお菓子を頬張っていたとしても、電話に出る時にはおそらくシャキッと姿勢を正して、挨拶するときにはお辞儀なんかしたりして、感じのいい声を出そうとするはずです。
相手からは姿は見えておらず、声だけの情報が伝わる時でさえ、私たちは体や表情ごと整えることがあるということです。
なぜなら、声は想像以上に多くのことを語るということを、私たちはすでに知っているのです。

ここまでくれば、声で曲を表現するということが身近に思えてきたのではないでしょうか?

京都の町角

大切なのは、歌おうとしている曲の歌詞の“場”と“気”を読み解くことです。
主人公は誰なのか?男か女か、何歳か、どんな性格か、嬉しいのか悲しいのか、今何を1番言いたいのか。
「君」「あなた」などの相手が出てくるなら、それは誰なのか?主人公とどんな関係なのか、何をしている人なのか、目の前にいるのか遠くにいるのか。
曲が描いているのは、都会か郊外か田舎か、家の外か内か、季節はいつか、時間はいつか、暖かいのか寒いのか...などなど、歌詞が教えてくれる“場”と“気”を理解することで、初めてその曲に最も適している声の音量・トーンがわかり、時にはアドリブのように音程までも動かすことが自然に行えるようになるのです。

栗

私は歌詞の読み解きを先にしっかりやることで「こんな声が出したい」という衝動をしっかりと押さえながら、残り50パーセントのスポーツ的課題を克服することが大事だと思っています。
声はいつでも心を映すものであってほしいと願いながら、歌を教えています。

考えてみれば、実際に声を出し始める前に詞の世界とじっくり向き合うという時間は、どこか読書とも似ていますね。
「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」...日本の秋は、歌を極めるのに最適な環境なのではないでしょうか。

ハロウィン風の生花02

秋の植物Memo
1枚目:道端の“紫式部”
2枚目:一斉に咲き始め、町に香りを漂わせる“金木犀”
3枚目、6枚目:鮮やかなハロウィン風の生花
4枚目:“ザクロ”の実がたわわになる、京都の町角
5枚目:“栗”の木の下

Sugar

シンガーソングライター、コラムニスト、ボーカル講師、パン作り講師、京都の町のイベントプロデュースに携わるなど、現在活動は多岐にわたる。慶應義塾大学在学時から活動し、TV番組等にも出演。2017年秋からはSugar.songwriterとして京都を中心とした音楽活動を開始。大の愛犬家。2018年には日韓国際結婚。
website https://sugarmusic.theblog.me
instagram sugar.songwriter

 
 
 
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