アコースティックギター(特にガットギター)を持たれたら、一度ボサノバに浸ってみるのは良いと思います。 なんともいえない気だるさが魅力的ですが、コード進行/構成は複雑です。
アントニオ・カルロス・ジョビン作曲、ジョアン・ジルベルト演奏で有名な「イパネマの娘」は
メロディー始まりの音は G なのですが、コードはFmaj7 で構成音はF,A,C,Eです。
全然Gの音が入っていないのですが、楽譜によってはFmaj7(9)のようにテンションコードとして9thのGを含ませている場合もあります。、そういったコードがお洒落な雰囲気を出しているのかなと思っています。
曲途中はGm9 などの9th音も良く登場します。これをGmとかで弾くと雰囲気が出ないと思います。最初は慣れないコードフォームに慣れる必要があります。
さらには楽譜によっては、#11th、♭9thなども登場します。こうなってくると微妙に間違っているのでは?という気がしてきます。実際このあたりのコードはアレンジによって異なるようです。こういった部分での弾き語りは、正直難しいです。 歌っていて合っているのかどうか、悩んでしまいます。
左手の複雑なコードチェンジの中、右手はシンコペーションで弾きます。
弾けるようになるためには、ひたすら聞いて、ひたすら弾くしかありません。弾き語りではギターを暗譜できるくらいまで覚えて、それから歌の練習をしました。ボサノバの弾き語りができると楽しくなってきます。
ボサノバを数曲しっかり練習すると他の楽譜で少々複雑なコードが出てきても、ある程度バッキングができるようになってくると思います。そういう意味でもボサノバの演奏経験は生きてくるのではないでしょうか。
上記は、有名な「イパネマの娘」での解説ですが、他にも日本の歌謡曲、あるいはポップスなどでボサノバアレンジが取り入れられている曲があるので紹介させていただきますと、 中村雅俊さんの「恋人の濡れる街角」、サーカスの「ミスターサマータイム」などはボサノバアレンジされていて、おしゃれな感じがします。
また、フランク・シナトラの大ヒットでその後ジャズの世界にボサノバアレンジで取り入れられた、 「フライミートゥームーン」は、林原めぐみ(エヴァンゲリオンのアニメ声優としても活躍)さんのカバーや宇多田ヒカルさんが初期のアルバムの中でカバーされています。1954年バート・ハワード制作時は3拍子でしたが、ジャズのスタンダートとしてボサノバアレンジされたものは4拍子となっていて、二人のカバーもこの4拍子のボサノバです。
形から入っていた私は「ボサノバはガットギターでなければ」、みたいなこだわりがあったのでが、今はスティール弦で弾いても良いと思っています。実際、セミアコのみならず、ストラト、Gibson系アコースティックギターなどでも弾かれているようなので、そこまでこだわらなくても良いかなと思うようになりました。
ボサノバのバッキングは、動画サイトではセミアコなどでもフィンガースタイルの方もいますが、フラットピックでもOKではないかと最近は思っています。
お洒落な感じの演奏をしてみたいと思われている方、ボサノバの弾き語りはいかがでしょうか。