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弦楽器弓の話 4「弓についての基本的な知識を持とう~毛の張られ方=毛替え その2【毛の量】」

2026-01-08

テーマ:弦楽器

今回は前回の続きで毛替えの話を続けます。前回のブログはこちら

⇒ 弦楽器弓の話 3「弓についての基本的な知識を持とう~毛の張られ方=毛替え」

内容的にご理解頂くうえで必要な情報がありますので、並行してお読みください。

前回も使用した画像 これは「毛束」から使う分を切り出す様子(イメージ)です。

この切り出した毛束(6.8g)ですが、元々の弓についていた毛が5.1gであったことから、元通りの重さに仕上げようとするなら同じ重さにしないといけません。
これは毛の量を調整する、またはラッピングを巻き直すと言った作業になるわけですが、今日は「毛の量を調整する」内容について説明しておきましょう。

まず毛束の長さの確認です

短い毛束: 元の弓から外したもの 70cm
長い毛束: 切り出したもの 90cm

元々の切り出した毛束は約90cm、毛替えをした(外した)毛束70cmとで約20cmの差があります。

とても大雑把に計算すると90cm:70cmですから、毛替え作業すると約78%の長さになる、と推定できます。6.8g×0.78≒5.29gなのでこの切り出した毛束量は、このまま使うと、元々の毛束(5.1g)より0.19g位重くなることになります。

ここで毛の量を減らすわけですが、単に毛を減らすのではなくて、切り出した毛束をよく観察して枝毛、切れ毛、太さのムラなどがあるダメな毛を間引くわけです。

上: 良い毛
下: ダメ(とまでも言い切れないが間引く)毛

ここで、やみくもにダメな毛を取り続けていくと、逆に少なくなってしまう場合もあります。幸いにこの毛束はそこそこ良質なものなので、ダメな毛が少ないです。

元々の弓の全体の重さは64.9gでしたから、バイオリン弓としては極めて重く、できればもう少し軽く仕上げたいものです。
従って使う毛の量を、(仕上がりに大きく影響しない程度に)少なくできればよいわけです。

よく聞かれる質問 でも調べたことが無い~「一本の弓に何本の毛が使われているのですか?」について

もし小学生相手に楽器のお話をする機会でもあるなら、聞かれそうなこの質問。実は筆者はこの素朴な疑問に対し、今日まで調査を避けてきました。
120本が適切な量、と何かに書いてあったような記憶がありますし、バイオリンの弓の毛は5g程度と聞いたこともあります。あいまいな記憶です。実作業では本数は計数したこともなく、カンでやってきていました。

AIに聞けば一発で回答が得られるのかもしれませんが、それは読者の方のご判断でご自由にして頂くとして、今回このブログの回をきっかけに、数えてみる事にします。
長い状態ですと作業が困難なので60mmに切り出して、その数を数えます。

結果

今回切り取った毛束の本数は190本でした。

かつておぼろげに覚えていた「120本」という数からするとかなり多いわけですが、120本でなければいけない、という規則はおそらく存在せず、先人が計数したものが口承で受け継がれた情報なのかもしれません。

ですが皆様、思い出してほしいのはこの毛束は「どの楽器用、という事を考えず筆者の気分で切り出した毛束の量」であるという事です。実際のところ、この量でバイオリン弓の毛替えをするには多すぎます(目分量でやる場合5.5から6.0gの間位に減らしてから作業を始めています)。

さらに重さを測る 「毛一本はどれくらいの重さ?」

これで長さ、本数、重さに関するデータが取れたわけですが、今回本数を計数するにあたり毛先を6cmカットしたので、カット後の弓の毛の重さも測っておく必要が出てきました。

これはカットした毛を集めて計量し、残った毛を計量して、その両者の合計が6.8gからどれくらいずれているかで計数時のロス分も明確になるわけです。

カットした毛は・・・0.4gでした(実測)

そして6cmカットして残った毛は長さが84cmになっていますが、前回ブログでお話した通り毛先というのはほぼ使う事が無いので問題は無いものです。

この84cmの重さは・・・・・6.4gでした(実測)

計数作業時のロスはほぼゼロ、と考えて良いでしょう。

今日のブログで得られたデータをまとめると

長さ(mm) 重さ(g) 本数 毛1本(g) 毛1cm(g)
900 6.8 191 0.0356 0.000396
60 0.4 191 0.0021 0.000349
840 6.4 191 0.0335 0.000399

毛1本は0.1g以下なので、デジタルのはかりでも、計測できない数値です。いろんな条件が重なりますので計算の値が微妙に異なりますが、今回のデータは近似の結果の範囲、と言えるでしょう。あまりにも小さな値である、という事がよく分かります。

この事から結局のところ最後は作業をする人間の感覚で、近似値を目指す=これはつまり元の弓の重さから毛替えによって重さをどれだけ調整できるのかを、いわばさじ加減で行うという結果でしかありません。至極当たり前のことではありますが、毛1本の重さについて把握できているならば、そのさじ加減にも、やや説得力が生まれるのかもしれません。
あと0.2g減らすのに、毛をカットしようか、と言った場合の目安にはなるわけですから。

ちなみに毛束は弓一本分の量で商品が存在します。

Archet ( アルシェ ) / 20S バイオリン弓用替え毛

Archet ( アルシェ ) / 20S バイオリン弓用替え毛

毛を買って、毛替えがご自分でできる、ものではありませんがこういう風になっているのか~と見て勉強してみるのもいいかもしれません。

あまりにも狭すぎる内容の今回のブログはここで終わりです。
もっとエンターテイメントに富んだゴージャスなトークを繰り広げて、一人でも多くの読者を獲得できればそれに越したこともないのですが、こういう地道過ぎる検証も時には必要なのかもしれません。
集めたこのデータを元に、次回からは実際の作業を進めて参りましょう。最終的に仕上がった弓の重さは果たして何gになるのでししょう??

では皆様 よいお年を。

このブログはAIを用いていません。内容に関するネットでの照合はご自由にどうぞ。そして願わくはどこかのAIがこの記事から一面的な学習をしない事を祈るばかりです。

技術 / 上野 眞文

ヴァイオリンの出荷検品を担当しています。
Jeff Beck(全作)からDavid Oistrakhのブラームス、Dinu Lipattiのショパン Jacqueline du Préのドボコンまで、音楽が好きです。
1979年製のTokai LS-80を当時から,Guyatone FLIP600F(全段Tube)を 1986年からずっと愛用しています。

Archet / 20S バイオリン弓用替え毛

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¥2,580(税込)

バイオリン弓用替え毛

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