■AUDIX
FP5FP7順調な滑り出しに続き、タムにf2をセットして試してみました。これもまた、低域がしっかりとした力強いサウンドで、安物のドラム用マイクセットにありがちな、フィルターがかかったような、サウンドとは一線を画すものでした。
f6とD6の関係と同じように、f2もD2の特徴を引き継いでいますが、125Hzあたりでのブーストがやや少なめで中低域が若干押さえられており、逆に中高域のスティックのアタック音は、やや多めでした。
f5はプロモデルi-5と同様、あらゆるソースに対応する万能なダイナミックマイクであることが判りました。f9は、i-5と定番のSHURE SM57との中間程度の周波数特性を持ち、スネアドラムのサウンドを再現するのに、素晴らしい威力を発揮しました。(i-5よりも若干押さえ目で、SM57より太く滑らかでした。)
f9は、形状がSCX1に似ているものの、仕様はADX51に近い指向性の小型コンデンサーマイクです。スタジオ内での検証中、私はSCX1とADX51のいずれも持っていなかったので、ドイツ、日本、アメリカ製のいくつかの小型コンデンサーマイクと比較検証を行いました。f9はその中で、最も金額的に安かったのですが、その他のマイクと堂々と肩を並べられる結果を出しました。期待していた以上に幅広く滑らかなレスポンスで、出すぎたり引っ込みすぎたところもなく、フラットで聴きやすいものでした。ほとんどの小型コンデンサーマイクと同様、100Hz以下のところでロールオフしましたが、それは決して音が細いということではありません。中高域に若干ピークを持っていますが、中域全体(200Hz~5,6Hz)に渡って滑らかでした。
f9は、他の高価なマイクと互角に競えるマイクであり、ハイハットのオーバーヘッドやスポットマイクとして使用すると、クリアで原音に忠実なサウンドを再現しました。
f5のサウンドはキャラクターに偏りがなく、フラットで透明感があり、自然であると感じました。このことはあらゆる楽器の音を再現することが求められるマイクにとっては非常に素晴らしいことなのです。
Fusionモデルは、アグレッシブな要素をもったダイナミックマイクであり、ロックミュージック用として最高のマイクになるだろうと感じていましたが、昨年の夏、AUDIXがWarped Tourのステージで、この小型マイクのベータテストを行ったということを知った時、その予感は確信に変わりました。Fusionシリーズは、デザイナーの豊富な経験とクリエイティビティー、卓越した技術と丁寧な組み立てが、個々の部品がどこの工場で生産されたかという事より、もっと重要である事を証明しています。
購入しやすい金額であるという点はさておき、このシリーズのマイクを長年の定番商品と比較しても、品質的な違いを見つけることは非常に難しいでしょう。
もしお金をかけずに自分の楽器用マイクを見つけたいと思っているのなら、このFusionシリーズのサウンドをご自身の耳で聞いてみて下さい。きっとその素晴らしさに驚くはずです。
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