■EVH
「Wolfgang Black /
Wolfgang Vintage White」本製品で10作目となるEdward Van Halen (以下Eddie) モデル、その輝きは色あせることを知りません。Ernie Ball/Music Manブランドに始まってPeaveyで成功を収め、現在のFenderでは見事な「フランケンシュタイン」のレプリカモデルを発表しました。勢いに乗る新生EVHブランドがWolfgangの新作を発表するのも時間の問題だったといえるでしょう。
「今までのWolfgangと同じところといえばボディの形状ぐらいだよ。それだってちょっと変わってるんだ。あとの部分は全部作り変えたよ。たくさんの人が、実際に僕が使っているギターと同じ物を欲しがるけど、これこそがまさにそうだよ。なにせ全部作り変えたから時間はかかってしまったけどね。」とEddieは言います。
EVHブランドのマーケティング担当Nick Bowcottは次のように述べています。「2年間も試行錯誤を重ねて研究したんだ。2007-2008年のUSツアーはここ数年では一番の成功だったけど、そのツアーを通してEddie本人にテストしてもらったんだよ。」
カリフォルニア、コロナで製作されているこのギター、通常のFenderの製造ラインではなくJacksonUSAを手がけるチームが作っています。ここにもEddieのこだわりがあるようです。
「Jackson/Charvel USAのカスタムショップのビルダーは非常に良い楽器をつくることで有名だからね。そしてまさに新しいWolfgangのできばえも期待した通りさ。」とEddie。
Nickによれば、Eddieが自分だけのギターを作りはじめた理由は単純明快、常に新しい物を追い求める彼のプレイスタイルに応えてくれる出来栄えのギターが存在しなかったからだそうです。
見てわかるとおり前身のPeaveyのモデルとEVHバージョンは似ていますが、実際に弾き比べてみれば驚くほど違います。
ディテールに色々と変更点があるのですが、簡単にまとめてみましょう。まずこれは前作とよく似ているのですが、ボディシェイプとネックが挙げられます。メイプルトップ、3ピースバスウッドコアのボディの塗装は非常に薄く、低域の鳴りが非常に良いです。またコントロール/トレモロキャビティは無塗装のまま残されています。
ネックの弾きやすさはどのVan Halenモデルのギターや、また本人のデザインしたギターでも話題に上りますが、このモデルのネックはマットフィニッシュのクウォーターソーンメイプルで、軽めのバーズアイの出たメイプル指板です。
指板のRはナット部では12インチラジアス、ハイフレットに向かうにしたがって平らになり、22フレットで16インチラジアスになります。指板の下にはトラスロッドの両側に2本のグラファイト製の補強材が入っていて、ボルトオンのジョイントも非常にしっかりとしています。
フレットは細めのビンテージスタイルで、フランケンシュタインのジャンボフレットとは違います。ステンレススチールで出来ているので手入れや打ち変えの必要が大幅に減らせます。
ボディにダイレクトマウントされた2つのピックアップは手巻きの4芯でアルニコ、ゼブラのハムバッカーです。Eddieはフロント/リアピックアップのそれぞれのサウンドにはっきりしたイメージを持っていようですが、既存の製品の中では満足のいく物を見つけることが出来なかったらしく、Fenderに直接オーダーしています。なおこれらのピックアップは共振を防ぐためにロウに2度づけされています。
Eddieはボリューム/トーンのコントロールにもこだわっていて、250kのポットの留め具も自身で決めたそうです。コンピュータや携帯電話、自動車用の精密な部品を作っているBournというメーカーの物で、MXRスタイルのノブを載せてありますが、その回転は驚くほどスムーズです。
Eddieが唯一変えようとしなかったのは3ウェイトグルスイッチです。上下逆の設定になっていて、アップポジションでリア、その逆でフロントになります。合わないようであれば緩めて向きを変えれば良いでしょう。
ブリッジはEVHロゴを冠したフロイドローズのロッキングユニット-同社初の公式シグネイチャートレモロ!-で、D-Tuna装備、ロックナットの幅は41.2mmです。新しくデザインされたクールなヘッドにはEVHブランドのGotoh製ペグが搭載されています。ペグボタンのパーロイドもとても綺麗ですね。
次のページへ