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RECORDING KINGを愛する偉人たち-第3回:21世紀型サイケデリックSSWの新鋭、アンジェリカ・ガルシア

2018-03-20

Theme:Guitars

2016年にワーナー・レコードから1stアルバムをリリースして華々しくデビューを飾った注目の若手シンガー・ソング・ライター(以下SSW)、アンジェリカ・ガルシア(Angelica Garcia)。
サイケ・ロック・チューン「ORANGE FLOWER」のように、若さでグイグイ押していくナンバーを、クールに歌うその声に吸い込まれていくような1stアルバム「MEDICINE FOR THE BIRDS」は、サイケ・ファンの方にも喜ばれるような名盤と言えるでしょう。

LAで育ち、17歳で家庭の事情によりヴァージニアへ引越し。そこでの環境に馴染めず、孤独に耐えながら過ごした日々に培われたダークな感性と、若きエナジーが共存した2010年代型のサイケ・ロック集ともいうべき作品です。
サイケとは言え、決してドリーミーな方向になるのではなく、切実さをパワーに変えていく10代ならではの刹那の模写で、アメリカのリアルな光と影を投影していくソング・ライティングが、多くの共感を生んだのか、アルバムは非常に高い評価を得ています。
時空を超えたラーガ・ロックの「Little Bird」、美しくも脱力感溢れるブルージーなアシッド・フォーク・ナンバー「The Devil Can Get In」、ビョークのような力強くユーモアのある歌い方が印象的な「Twenty」、21世紀型のアシッド・フォークとも言うべき「Call Me Later」での叙情溢れる美しいコード進行、幻想的でメロディアスなサイケ・フォーク「Red Moon Rising」、など、全編に幸福感と切なさが入り交じる、ハッピー・サッドな音世界が感動的です。

またルーツをさらけ出すような楽曲が並んでいるのに、決して泥臭くなり過ぎない内容でアルバムを仕上げたチャーリー・ピーコックのプロデュース・センスも注目すべきところです。
もともとジャズ畑で活躍しているプロデューサーとの事ですが、アーシーなテイストをふんだんに含んだリフとメロディーが、洗練されたサウンドに完成し、シド・バレット在籍時のピンク・フロイドやフェアポートコンベンションの1stアルバムを彷彿とさせるようなナンバーも飛び出したりするところも、聴き応え充分です。
また、そのアレンジに呼応するような、タフでいて同時に繊細にも聴こえる孤高のボーカルスタイルを最大限に引き出しているプロダクションが素晴らしい1枚です。
この1stアルバムとは思えない程、完成度の高いアルバムを聴いていると、これからの活動に否が応でも期待せざるをえません。

そんなアンジェリカは現在最新アルバムを制作中との事です。CDだけでなくLPもリリースされた1stアルバム同様、次作もLPのリリースも期待したいところです。

新鋭SSWアンジェリカが愛用しているギターの一つに、RECORDING KINGのアコースティック・ギターがあります。シングルOカッタウェイタイプのギター、RP1-16Cは、シャープなルックスが魅力的で、ソリッド・アディロンダック・スプルースによるトップの仕上げはビンテージ感たっぷりです。手にとってみると思わず「Call Me Later」を弾いてみたくなります。

広大なアメリカでの切実な体験から生まれた、アンジェリカのアメリカーナとも称される歌とレコーディング・キング。
彼女のアルバムとRP1-16Cの音色を聴いていると、まだまだアメリカン・フォークの奥深さの、ほんの片隅にしか触れていない自分に気づかされます。

アメリカン・ルーツ・ミュージックそして、今日歌い続けられるアメリカーナの世界にもレコーディング・キングありです。

それでは、そんなサイケデリックな新鋭アンジェリカ・ガルシアのミュージック・ビデオをお贈りしてお別れしたいと思います。

Ichihara

45歳にしてオヤジバンドにベーシストとして参加。バンドでサウンド・ハウスの存在を知りその勢いで入社。 趣味はUKロック、60年代ソウルやソフトロック等のレコード・コレクション。最近はSPレコードも愛聴しています。ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイとP.I.L.を愛する永遠の29歳。

 
 
 

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