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RECORDING KINGを愛する偉人たち-第2回:イアン・マシューズ

2018-01-26

Theme:Guitars

アメリカン・グッド・タイムなこだわりが人気のRECORDING KINGアコースティック・ギター。実はブリティッシュ・ロック界で活躍するプレーヤーにもRECORDING KINGのギターが愛用されているのをご存知でしょうか。

今回は、シリーズ第2回としまして、英国フォーク・ロックの超大御所、フェアポート・コンベンションの初期メンバーであり、その後もマシューズ・サザン・コンフォート、プレインソング、またソロにおいてもフォーク・ロックの枠にとらわれずに、心温まるアルバムを約半世紀に亘りリリースしてきたイアン・マシューズの深い森へと入って行きながら、RECORDING KINGのギターに思いを馳せていきたいと思います。

スウィンギン・ロンドンとサイケデリアの渦中で開花したイギリスのフォーク・ロック

イギリス東部のリンカンシャー生まれのイアン・マシューズは、1946年生まれ。故郷を離れロンドンへ渡り、PYRAMIDなるサーフロック・バンドに参加。同年デラム・レコードからシングル「Summer Of Last Year」をリリース。

時代がスウィンギン・ロンドンからサマー・オブ・ラブとも称されたサイケデリアの時代へ移り始めた時にリリースされたこの一曲。同時期の英国サーフロック・バンドCaliforniansのシングルと並ぶソフト・サーフなキラー・チューン。早くもフェアポート・コンベンションのセカンド・アルバムを予感させてくれる素晴らしいシングルです。

翌1967年には、ロンドンにてサイモン・ニコル、アシュリー・ハッチングス、リチャード・トンプソン、そして女性ボーカルリストのジュディ・ダイブルらが結成したフェアポート・コンベンション(Fairport Convention)に男性ボーカリストとして参加。

男女ボーカルのスタイルとなったこのバンドは、1968年6月にジョー・ボイド氏プロデュースのもと1stアルバム「Fairport Convention」をリリース。時代はサイケデリア真っ盛り。後にはインクレディブル・ストリング・バンドやニック・ドレイク等を見出し、イギリスのフォーク・ロックの確立に大きく貢献することになるジョー・ボイドは、それ以前には初期ピンク・フロイドのシングルを手掛けていたこともあり、ややサイケ・シーンに色目を使ったサウンドという印象が強い仕上りです。

しかし、そんなカラフルなサイケ・サウンドにコーティングされたフォーク・ロック・サウンドは、1980年代以降のイギリスのインディーロックに通じるような甘味な脱力感に溢れていて、中でもイアン・マシューズのボーカルがジュディ・ダイブルとの掛け合いで絶妙に絡む、ジョニ・ミッチェル作の「チェルシーの朝」は、サイケ・クラシックとしても再評価に値するナンバーです。フェアポート・コンベンションの代表作ではないですが、イギリスフォーク・ロックの夜明け的な隠れた名盤として人気の一枚です。

このデビューアルバムが発売される前月、女性ボーカリストのジュディ・ダイブルが脱退。そこで登場したのが伝説のボーカリスト、サンディー・デニー。1969年1月にセカンド・アルバム「What We Did On Our Holidays」をリリースするその直前に、イアン・マシューズは脱退。プロデューサーは同じジョー・ボイドですがサイケテイストな前作と比べると、よりフォーク、トラッド感覚を打ち出したナンバーが並ぶ内容。サンディー・デニーの強力なボーカルとイアンの甘い歌がメロディアスなフォーク・ロックに乗るサウンドは、アメリカのミレニウムやサジタリアスのようなカート・ベッチャー・ワークスの作品にも通じる美しさです。イアン・マシューズがリチャード・トンプソンと共作した「BOOK SONG」もその中の一曲であり、この男女のボーカルのハーモニーこそが初期フェアポートの魅力と言えるでしょう。この2作目の発表とほぼ同時期に録音を開始した3作目の「Unhalfbricking」が発売されるときには、イアン・マシューズはグループを既に脱退していますが、最高傑作との声も多いこの3作目には、イアン・マシューズは一曲のみ参加しています。ボブ・ディランのペンによる「Percy's song」でサンディー・デニーと素晴らしいボーカルを披露した、イアン・マシューズの軌跡の1枚としても無視できないアルバムです。

牧歌的なグッドタイム・ミュージックの作品を贈り続けてきたSSW時代。

1969年にカントリー・テイストなナンバーで幕を開けたアルバム「Matthews Southern Comfort」でソロ・デビュー。ほんのりとサイケテイストと抒情性が絡んだフォーク・ロック・ナンバーも含んだ素晴らしい内容で、作曲センス、ボーカリストとしての力量を見せつけ、充実したソロ・デビューを飾りました。

そんな英国シンガー・ソングライターとしての活動をはじめたイアン・マシューズは、このアルバムのバック・バンドと共に、名前もそのままマシューズ・サザン・コンフォート(Matthews Southern Comfort)を結成。英米の古き良き時代への憧憬を感じさせる強力な作品を次々と送り込み、3枚目の「LATER THAT SAME YEAR」からはCSN&Yのカバーでおなじみの「WOODSTOCK」のカバーがシングルカットされ、英チャート1位になる等、黄金時代を築きあげていきます。1971年には「If You Saw Thro’ My Eyes」、1972年には「Tigers Will Survive」といった、心温まるメロディーと歌が魅力的なソロ・アルバムをリリースする傍ら、いよいよ、イアン・マシューズ理想のフォーク・ロック集大成とも言うべき伝説のグループの結成となります。1972年には元リヴァプール・シーンのアンディ・ロバーツとともにプレインソング(PLAINSONG)を結成し、名作「In Search of Amelia Earhar」をリリース。CSN&Yやラヴィン・スプーンフルへのリスペクトを感じる曲やカントリーテイストな曲等のアメリカン・ルーツへの傾倒と、トラッド、フォーク・ロックというアイデンティティが両立しながら、イアン・マシューズの野心とボーカリストとしての力量を見せつけた名盤です。

急激に変化する音楽シーンに呼応しながらボーカリストとしての力量を発揮。

このアルバムをリリースした後、プレインソングはセカンド・アルバムを制作中に解散してしまうのですが、1970年代後半になると、その時代の音であったAORに傾倒した作品を発表していきます。

ロバート・パーマーの作品で幕を開ける「Stealin' Home」(1978年)、「Siamese Friends」(1979年)などで聴けるような、メロウでソフィスティケイトされたサウンドの中でボーカリストとしての魅力を存分に発揮し、ポップ街道のメインストリームを渡り歩いてきたイアン・マシューズ。どれもモダンポップ・ファンからの評価も高いアルバムで、イアン・マシューズ・ファン以外の方にも聴いていただきたい、都会的なサウンドの中にオアシスを感じる作品です。

産業ロック時代とも呼ばれる80年代に入ると、分厚いデジタル・ビートとシンセ音に、これまでになくクールな歌い方が乗ったアレンジにその時代を感じさせる「Shook」(83年)、そして同様にデジタル・ビートが中心ながらヒーリングの要素も少し垣間見られる「Walking a Changing Line」(88年)をリリース。時代に呼応しながらイメージ・チェンジを図った作品を残し、往年のファンを驚かせたものでした。80年代はイアン・マシューズに限らず多くのベテラン・アーティストがデジタル・サウンドの時代の波に乗りながら、時代を大きく反映させたアルバムをリリースしていましたが、80年代も終わりになると自分本来の持ち味を発揮するような名作をリリースする動きが出始めます。最新のトレンドを追いけたサウンドを中心としたソロ・アルバムをリリースしてきたミック・ジャガーがローリング・ストーンズの活動を再開し、また、これまでビートルズらしいサウンドを封印してきたポール・マッカートニーが、そのビートルズ・フレーバーを漂わせたアルバムをリリースするようになるミュージック・シーンの中で、イアン・マシューズも1990年、遂にこれぞイアン・マシューズといったアルバムをリリースすることになります。

フォーク・ロックの偉人として再び…

1990年にリリースされたアルバム「Pure and Crooked」では本来の音楽性を取り戻しています。イギリスでは、アコースティック・ギターやフォーキーなギター・リフを主体としたサウンドの綿毛バンド(日本で言うネオ・アコースティック)が次々と登場する中、アメリカン・ルーツなテイストもまぶされた、堂々たる1990年型のフォーク・ロックを聴かせて、往年の熱心なファンの胸を熱くしてくれました。

その後もプレインソングの再結成でオリジナル期より更に深みを増したブリティ・フォークを聴かせる傍ら、マシューズ・サザン・コンフォート時代の作品のようにアメリカン・フォーク、ブルーグラスへの憧憬と王道のトラッドフォークが交差するアルバム「Skeleton Keys」(1993年)、また、これまでの集大成とも言える作品となった、マシューズ・サザン・コンフォートメンバーのバックアップによる「Zumbach's Coat」等、ファンには喜ばしいソロ・アルバムをリリースしてきました。

また、2010年代にはプレインソングの解散ツアーとして、アンディ・ロバーツと共に来日し、英国フォークの偉人たる姿を見せつけるライヴを披露したり、ジャズ界で活躍するピアニスト、エグバート・デリックスとのコラボレーションによるアルバム「In the Now」(2013年)でグッド・タイム・フレーバー満載のサウンドで新境地を切り拓くなど、精力的な活動を行って来ています。

イアン・マシューズの歌とRECORDING KINGのギター
それはアメリカン・ルーツ・ミュ-ジックへの憧憬。

イアン・マシューズが愛用しているギターのブランドの一つであるRECORDING KINGは、プリ・ウォーとも呼ばれる1930年代黄金期の構造、希少な材料、そしてハンドメイドのこだわりで定評のある歴史あるブランドです。

時代と対峙しながらも、イギリスやアメリカの古き良き時代の音楽への憧憬を忘れなかったイアン・マシューズが行き着いたアコースティック・ギターがRECORDING KING。こだわり抜いて作られたRECORDING KINGのギターが放つオーラは、やはりこのギターにしか出せない味だと思います。RECORDING KINGのギターやバンジョーを抱きながら、イアン・マシューズのアルバムを聴いていると、日常を忘れ、タイムトリップをしてしまうことがあります。そんなグッド・タイム心を擽る、RECORDING KINGを弾きながら、「SAME OLD MAN」を歌い上げるイアン・マシューズの心和むパフォーマンスをお贈りしてペンを置きたいと思います。

Ichihara

45歳にしてオヤジバンドにベーシストとして参加。バンドでサウンド・ハウスの存在を知りその勢いで入社。 趣味は英国ロックのレコードコレクション。ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイとP.I.L.を愛する永遠の29歳。

 
 
 

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