カセットテープと聴くと、あなたは何を思い浮かべますか?80年代や90年代の音楽や、古い映画のシーンを思い出すのではないでしょうか。しかし、そんなカセットテープが今、現代において再評価されつつあるのです。この記事ではカセットテープの魅力と、なぜ今再評価されているのかについてご紹介します!

<筆者の所有するIbanez製カセットプレーヤー>
カセットテープの歴史
カセットテープは1960年代にオランダのフィリップス社によって開発された 音楽や音声を録音・再生するためのメディアです。その後、世界中で広まり80年代から90年代にかけて絶大な人気を誇りました。特にポータブルなカセットプレーヤーの登場により、どこでも好きな音楽を楽しむことができるようになりカセットテープは一世を風靡しました。
しかし、次第に新しい音楽メディアが登場しCDやMP3などのデジタル音源が主流となると、カセットテープは徐々に姿を消していきました。しかし、近年カセットテープに再び注目が集まりつつあります。
カセットテープの魅力
では、なぜ現代においてカセットテープが再評価されつつあるのでしょうか?その理由の一つは、カセットテープならではの独特の音質にあります。カセットテープはアナログの音源であり、デジタル音源とは異なる温かみのある音が魅力です。
また、テープの劣化によるノイズが古い映画やアルバムを思い出させるようなレトロで懐かしい雰囲気を醸し出します。

<自宅の物置で発見した若き日の両親によって作られたミックステープ>
さらに、カセットテープは手軽に録音できる点でも人気があります。カセットテープには自分専用のプレイリストを作成できる「ミックステープ」を作る文化がありました。友人や恋人にプレゼントとして贈ることも一般的で手作り感がある特別なアイテムとして親しまれました。
カセットテープとサブスクの音質の違い
では現在主流のサブスクによる配信音源とカセットではどれぐらい音質が違うのでしょうか?
今回は比較対象として筆者所有のカセットの中からTOTOの1stアルバム「宇宙の騎士」に収録されている”Hold the Line”(サビ部分)で比較してみたいと思います。
まず、サブスクを聴いてみます。サブスクの方がスッキリとしたサウンドで聴き馴染みのある音です。では、カセットの方はどうでしょうか?
カセットの方はサブスクに比べて温かみのあるサウンドです。高音の抜け感などはサブスクの方が良いように感じられます。
ここで改めてサブスクを聴いたのですが、1回目ではわからなかった大きな違いを感じることができました。
それは音の情報量の違いです。
カセットの方がサブスクよりも音の情報量が多いように感じられます。
カセットを聴いた後にサブスクを聴くとすごく淡白な印象を受けます。
そこで今度はアナライザーを使って周波数特性の違いを検証してみました。

<↑オレンジの線がサブスクで水色の線がカセットです>
明らかな違いとしてサブスクは1khz〜15khzあたりはカセットよりも出ていますが、15khz以降はガクッと消えています。
それに対してカセットは15khzを超えて20khzあたりでもきちんと再生されています。
この違いが先ほど自分が感じた音の情報量の違いなのではないかと思われます。
カセット=ハイ落ち&ロー抜けというイメージでしたが、実際にはロー抜けなどもなく、高音域の出方に違いはあるもののカセットの方が再生レンジが広いことに驚きました。
カセットテープの現代的な利用
現代においてカセットテープはどのように活用されているのでしょうか。まず往年のアーティストやインディーズアーティストがカセットテープで音楽をリリースすることが増えています。これにより、カセットテープならではのアナログな音質を楽しむことができ音楽ファンには喜ばれています。
また、デザイン性の高いカセットテープやプレーヤーが登場し、インテリアとしても人気があります。
カセットテープの今後
これからもカセットテープは音楽やデザインの面で注目され続けるでしょう。デジタル音源が便利な一方で、アナログな音楽体験や手作り感のあるミックステープの魅力を再発見する人が増えています。また、一部のアーティストの間では、カセットテープがアーティストとファンをつなぐ大切なメディアとして機能しています。
カセットテープは、その魅力を再評価し現代において新たな価値を見出すことができるアイテムです。ぜひ、あなたもこの機会にカセットテープの魅力を再発見してみてください!
〜 おまけ 〜
冒頭でIbanez製のカセットプレーヤーをご紹介しましたが、Ibanezが昔カセットプレーヤーを作っていたのはご存知でしたでしょうか?
カセットプレーヤーと言っても一般的なカセットプレーヤーと違って、ギター用のInput端子があって内部にディストーションとコーラスが内蔵してあり、カセットを聴きながら練習ができるという便利グッズです。
Ibanezのカセットプレイヤー内蔵のディストーションとコーラスを試しにアンプに繋いでみたらメッチャええやんけ❗️
— 航平 (@ike_kohei) January 28, 2023
アンプはFender Twin Reverb pic.twitter.com/ZRfc9Qzb7y
Freak Kitchenのマティアス・エクルンドがバンドの1st Album (APPETIZER)をIbanez製カセットテーププレーヤー(RP200)を使ってレコーディングしたというのはファンの間では有名な話です
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