ライターとしての活動を始めた際、記念すべき最初の記事として執筆したのが、MR.BIGのドリル奏法で使用されているMakita製電動ドリルについての解説コラムでした。
当時はMR.BIGの解散ツアーが発表された頃でそれに合わせて書いた記憶があります。
▼当時の記事はこちら
「MR.BIGが使っていたMakitaドリルを解説してみた!」
ドリル奏法自体はかなりマイナーな奏法ですが、筆者自身何故か2〜3年に一度ドリル奏法を行う機会があります。
そして今回、再びドリル奏法を使う機会が巡ってきました。せっかくなら改めてしっかり向き合い、準備からコツ、安全面まで整理しておこうと思い、この記事を書くことにしました。
ライブパフォーマンスでドリルソロを取り入れてみたい方、あるいは「興味はあるけど怖くて手を出せていない」という方の参考になれば幸いです。
ドリル奏法とは?
ドリル奏法とは、その名の通り電動ドリルを使用してギターを演奏する特殊奏法です。
ピックを取り付けたビットを高速回転させて弦を弾く方法や、ドリルのモーター音そのものをギターのピックアップで拾い、効果音として使用する方法があります。
この奏法を広く知らしめたのは、MR.BIGやRacer Xで活躍するギタリスト、Paul Gilbert でしょう。
1991年リリースのアルバム『Lean Into It』に収録されている名曲
「Daddy, Brother, Lover, Little Boy(The Electric Drill Song)」
のソロパートでは、電動ドリルを使ったソロが収録されています。
また、Paul Gilbert以外にも、Van HalenやB’zの松本孝弘氏などが、楽曲中で電動ドリルを使用した例があります。
ただし、この2人の場合は弦を弾く用途ではなく、主にモーターノイズのみを効果音として使用している点が特徴です。
ドリル奏法をする上で必要なもの
- 電動ドリル
- ピックを取り付けたビット

筆者が愛用しているのは、Paul Gilbert本人が使用しているものと同型の Makita 6012HD という古いモデル(画像中央)です。
とはいえ、必ずしも同じモデルを用意する必要はありません。バッテリー駆動の電動ドリルであれば、ホームセンターで販売されている一般向けモデルでも問題なく使用できます。
むしろ、本格的な業務用モデルよりも、DIY向けのドリルの方が
- 軽量
- コンパクト
- 価格が手頃
といったメリットがあり、ドリル奏法用途には扱いやすい場合も多いです。
本人使用のドリルについて詳しく知りたい方は、先ほど紹介した過去記事を参考にしてみてください。
また、「弦は弾かずにモーターノイズだけ楽しみたい」という方には、以下のような商品の代用もオススメです。
ERNIE BALL ( アーニー・ボール ) / Power Peg Pro USB-C
こちらは日々の弦交換にも使えるため、無駄になりにくいという利点もあります。
ピック付きビットについて
ピックを取り付けたビットに関しては、作り方を解説している動画があるので、基本的な構造はそちらを参考にすると良いでしょう。
動画ではおにぎり型ピックを1枚使用していますが、筆者は本家同様にピックを3枚重ねて使用しています。

ちなみに、昔は3枚仕様だったPaul Gilbertですが、MR.BIG再結成後の機材紹介動画を見ると、4枚に増えているようです。
個人的な感覚としては、3枚の方が抵抗感とコントロール性のバランスが良く、扱いやすい印象があります。このあたりは好みで調整してみてください。
ドリル奏法の準備
1. バッテリーはフル充電しておく

バッテリーが満充電に近いほど回転数が安定し、モーターノイズを拾った際の音抜けも良くなります。
特に古いMakitaドリルの場合、ニカドバッテリーが使われていることが多く、長期間放置するとメモリー効果によって性能が低下します。
しばらく使っていない場合は、リフレッシュ充電を行うか、新しいバッテリーへの交換を検討しましょう。
2. ビットとチャックは確実に固定する

ここが緩んでいると、演奏中にビットが飛んでしまう危険性があります。
必ずしっかり固定し、演奏前・演奏中も時々緩みがないか確認しましょう。
チャックハンドルを使って固定できる場合は使いましょう。
3. 使わないときは安全装置をかける
意図せずトリガーに触れてしまうと非常に危険です。
トリガーロックがある場合は必ず使用し、長時間使わない場合はバッテリーを外しておきましょう。
ドリル奏法のコツ

1. 回転方向は時計回りがオススメ
Paul Gilbert本人の映像を見ると、基本的に時計回りで回していることが分かります。
特に重量のあるドリルでは、時計回りの方が重力方向の力を相殺しやすく、安定したピッキングが可能になります。
反時計回りだと下方向に力が働きやすく、コントロールが難しくなる場合があります。
軽量なドリルであれば好みの方向で構いませんが、迷ったら時計回りを試してみてください。
※時計回りと反時計回りでモーターノイズの音が変わるので気になる方は比較してみてください。
(前半が時計回り、後半が反時計回り)
2. ピックの角度は浅めに
弦に対してピックを浅めの角度で当てるのがポイントです。
角度がつきすぎると、余弦に当たりやすくなり、ノイズが発生しやすくなります。
3. 演奏する弦の下側にビットを引っ掛ける
安定したピッキングの最大のコツがこれです。
演奏する弦の下側に軽くビットを引っ掛けることで、弦を支点にでき、コントロールしやすくなります。
4. ピックは深く入れすぎない
深く入れすぎると抵抗が増し、扱いづらくなります。
また、高速回転するピックがボディに接触し、傷を付けてしまうリスクもあるため注意が必要です。
演奏時の注意点
チャックで弦を巻き込まないように注意する
金属製のチャックの場合、弦に当たってしまうと弦が削れてしまい、最悪の場合は弦が切れてしまう恐れがあります。
慣れないうちはビットを長めのものにする、もしくは樹脂製チャックが採用されている電動ドリルを使用することをオススメします。

ビットが緩んでいないか時々確認する
ビットが緩んでいると、演奏中にビットが飛んでしまう恐れがあり非常に危険です。
演奏前だけでなく、演奏中もこまめに確認するようにしましょう。
また、ビットにピックを固定しているボルトやネジ類も同様に緩みがないかチェックしておくことが大切です。
トルクは最小に設定する

電動ドリルによっては、回転トルクを調整できるモデルがあります。
ドリル奏法では強いトルクは必要ありませんし、万が一弦やボディ、衣服などを巻き込んでしまった際のリスクを考えると、トルクは最小設定にしておくのが安全です。
特に初めてドリル奏法を試す場合は、必ず低トルク設定から始めるようにしましょう。
袖の長い服や長髪の人は巻き込みに注意する
高速で回転する電動ドリルを扱う以上、衣服や髪の毛の巻き込み事故には十分注意が必要です。
袖の長い服は避け、長髪の方は必ず束ねるなど、事前に対策をしてから演奏するようにしましょう。
実際に、Paul Gilbert本人も過去に電動ドリルに髪の毛を巻き込まれてしまったことがあると語っています。
おわりに
今回はドリル奏法について、準備から実践、注意点まで詳しく解説しました。
決して万人向けの奏法ではありませんが、一度決まればこれ以上ないほどインパクトのある演出ができるのも事実です。
その分、扱いが難しく危険も伴う奏法ですので、実践する際は十分に注意しながら、ぜひこの記事を参考にチャレンジしてみてください。
安全第一で、ライブパフォーマンスのスパイスとしてドリル奏法を楽しんでもらえたらと思います。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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