ギターを始めたばかりの頃、誰もが一度は経験する「初心者あるある」。
今回は、そんな悩みや失敗を10個ピックアップし、それぞれの原因と解決法を詳しく解説します。
自分に当てはまるものがないかチェックしてみてください!
01 弦を強く押さえすぎて指が痛くなる
ギター初心者の多くは、「ちゃんと音を出さなきゃ」と思うあまり、必要以上に力を入れて弦を押さえてしまいがちです。その結果、指先が痛くなるのはよくあることです。
特に初心者のうちは、指先の皮膚がまだ柔らかいため、少し弾いただけでも痛みを感じやすいのは仕方のないことです。ただし、無理に力を入れすぎると、音が詰まったり、疲労が溜まりやすくなったりする原因にもなります。
すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、まず意識すべきなのは“左手のフォーム”です。
たとえば、オープンCコードを押さえるときに、指の腹で弦を押さえてしまうと、他の弦に触れてしまい、音がビリついたり、きれいに鳴らなかったりします。
なるべく指を立てて押さえることで、最小限の力で弦を押さえられるようになり、隣の弦に触れることなくクリアな音を出すことができます。力任せではなく、正しいフォームを意識することで、痛みの軽減と音の向上を両立させることができるでしょう。


02 ピックの持ち方が安定しない
ピックを浅く持ちすぎて、ストローク中にズレたり飛んだりしてしまうのも初心者によくある悩み。これはリズムのブレや音のばらつきにも直結します。
対策としては、ピックをやや深めに持つことがおすすめ。筆者は、ピックの先端が1mm程度しか出ないくらい深めに持っています。

もちろん持ち方には個人差があるので、自分に合ったバランスを探してみてください。また、ピックには形状や厚さなどさまざまな種類があります。いろいろ試してみて、自分にしっくりくるものを見つけましょう。
参考までに、筆者はJAZZ型と呼ばれる先が尖ったピックを愛用しています。ティアドロップ型やおにぎり型に比べて、細かい動きに強く、アルペジオや単音弾きに向いているのが特長です。
03 ミュートがきちんとできていない
ギターの演奏において、狙った弦だけを鳴らし、不要な弦をしっかりミュートする技術は非常に重要です。しかし、初心者のうちはこの「ミュート」がうまくできておらず、意図しない弦が鳴ってしまったり、全体のサウンドが濁ってしまうことがあります。
特に歪み系のサウンドを使っている場合、少しのミスでもノイズや余計な音が目立ってしまいます。
正しいミュートのためには、右手と左手の両方を使った「複合的なミュート」が必要です。ピッキングしない弦は手のひらや親指、あるいは使っていない指で軽く触れておき、左手でも意図しない音が出ないよう細かく気を配る習慣を身につけましょう。


04 メトロノームを使って練習しない
ギターを始めたばかりの頃は、コードを押さえることやピッキングに精一杯で、「リズムを正確に取る」という意識が薄くなりがちです。しかし、どれだけ運指やコードがきれいにできていても、タイミングがズレていては音楽として成り立ちません。
特に初心者のうちは、無意識のうちにテンポが走ったりもたついたりするものです。そこで重要なのが、メトロノームを活用することです。
まずはゆっくりとしたテンポ(BPM=60〜70程度)で、4分音符をしっかり鳴らして練習しましょう。コードチェンジの練習も、ピッキング練習も、必ず一定のテンポで行うクセをつけることで、リズム感が自然に養われます。
05 練習時の姿勢が悪くなる
ギターやベースの練習中、音や手元に意識が集中するあまり、姿勢が崩れてしまうことはよくあります。特に初心者の場合、指板をしっかり見ようとして猫背になったり、肘や肩に余計な力が入ってしまったりすることが多く見受けられます。
こうした悪い姿勢が習慣化すると、身体に負担がかかるだけでなく、演奏にも悪影響を及ぼします。たとえば、「座っているときは弾けるのに、立った途端にうまく弾けなくなる」といったケースは、座り姿勢と立ち姿勢のギャップが大きいために起こります。
理想的なフォームは、背筋をまっすぐに保ち、肩の力を抜いたリラックスした状態です。座って練習する場合でも、ストラップをつけて立ち姿勢に近づけることで、正しいフォームを身につけやすくなります。
椅子に座るときは浅く腰掛け、足裏をしっかり床につけるようにしましょう。
フットレストを利用するのも効果的です。
また、長時間の練習でも姿勢を保つために、鏡の前でフォームを確認したり、こまめに体を伸ばしてリフレッシュすることも効果的です。
良い姿勢は演奏の安定感や集中力を高めるだけでなく、疲れにくくし、見た目にもスマートな印象を与えます。上達のためには、音だけでなく“体の使い方”にも意識を向けてみましょう。
06 過度なエフェクトをかけて練習している
練習時にリバーブやディレイ、歪みなどのエフェクトをたっぷりかけて弾くのは、気持ちよくプレイできる反面、上達を妨げる要因にもなりかねません。特に初心者のうちは、派手なエフェクトが演奏のアラを隠してしまい、ミスや不正確なピッキング、リズムのズレに気づきにくくなることがあります。
例えば、強めのリバーブやディレイがかかっていると、多少音を外しても違和感が薄れ、ニュアンスやタイミングの乱れをごまかせてしまいます。これでは正確な運指やリズム感が養われず、実際のアンサンブルやクリーンな音色で演奏する場面になったときに困ることになります。
練習では、なるべくクリーンかつドライな音で、自分のピッキングやタッチ、リズムをしっかり確認できる状態で行うことが大切です。エフェクトを使う場合も、軽めの設定にとどめ、自分の出している音を正しく聴く意識を持ちましょう。
もちろん、エフェクトを駆使したサウンドメイクは音楽表現の一部として重要ですが、それを活かすためにも「素の演奏力」を磨くことが基本です。音を飾る前に、まずは音そのものをしっかりコントロールできるようにしましょう。
07 練習曲が“いきなり難しすぎる”
「この曲が好きだから弾きたい!」という気持ちは素晴らしいのですが、技術的に難しすぎる曲から始めると、基礎が身につかず伸び悩みやすくなります。
筆者も高校時代にYngwieやPaul Gilbertなどの速弾きギタリストに憧れて、ソロばかり練習していましたが、音楽学校に入ってからバッキングやコードワークで苦労しました…。
まずはシンプルなコードの曲から始め、基礎をしっかり身につけた上でテクニカルなプレイに挑戦するのが、遠回りに見えて最短ルートです。
08 弦のチューニングをしない(できない)
「大体合ってるから大丈夫」とチューニングをおろそかにしていませんか?
これは、音感を歪ませてしまう非常に危険な習慣です。
どれだけ技術を磨いても、音程がズレていれば聴き手には「音痴」にしか聞こえません。チューニングが合っていないまま練習を続けると、コード感覚や耳が正しく育たなくなります。
練習の前には必ずチューニングを確認するクセをつけましょう。
チューニングに関してのコラムも公開しております。ぜひそちらもチェックしてみてください。
⇒ ギター&ベースのチューニング講座|初心者がやりがちなミスと正しいやり方
09 メンテされていないギターで練習している
「弾きづらいな」と感じるとき、それは自分のせいではなく“ギターの状態”が原因かもしれません。レッスン中、生徒のギターを見てみるとネックが反っていたり、弦高が高すぎたり、オクターブチューニングがズレていたりすることがあります。
そんなギターで練習しても上達は難しいです。ぜひ一度、正しく調整することをおすすめします。正しく調整されれば、驚くほど弾きやすくなり、弾けなかったフレーズもスムーズに弾けるようになるはずです。
10 弾けた“つもり”で練習してしまっている
ギターの練習においてよくある落とし穴の一つが、「弾けたつもり」になってしまうことです。たとえば、フレーズを何となく通して弾けたからといって、満足して次に進んでしまう。これは非常にありがちなミスです。
しかし、そうした“感覚的な達成感”は実力にはつながりません。実際には、タイミングがズレていたり、音がクリアに鳴っていなかったり、リズムが不安定だったりするケースが多いのです。特にバンド演奏で他の人と合わせてみると「あれ? 思ったより弾けてない…」という現実に直面することも。
重要なのは、自分の演奏を客観的にチェックすることです。スマホなどで録音・録画して見返すと、自分では気づかなかったミスが浮き彫りになります。また、「テンポを一定にキープできているか」「音の粒が揃っているか」「フォームが崩れていないか」といったポイントを意識しながら練習すると、より本番に強いスキルが身につきます。
“なんとなく弾けた”ではなく、“正確に再現できる”状態を目指すこと。それが、真の意味で「弾けた」と言えるレベルへの第一歩です。必要以上に気を張らず、失敗やつまずきを前向きに捉えて、少しずつ改善していきましょう。
ギターは続ければ続けるほど楽しくなる楽器です。焦らず、着実にステップアップしていってください!
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