説明上、発声の区分として、呼吸、声帯、共鳴の3つに分けています。今回は前回に引き続き、呼吸についてです。
■ 哺乳類は鼻で呼吸するようにできている
平常時、吸気を行う場合、哺乳類としては鼻から吸うのが基本となっています。実際、人の場合は鼻だけでなく口からも吸っているケースが多く見られます。特に歌の場合、瞬時に肺に空気を満たす必要性から、口も兼用することが多いと思います。構造的にも寸足らずな喉頭蓋は口からの吸気を邪魔しません。
あくびも明らかに口からの吸気です。あくびの目的は新鮮な酸素を取り込む以外にも様々な役割がありそうですが、肺にたくさんの空気が入る事実は変わりません。不思議なのは犬や猫も同じようにあくびをします。おそらく口の方が効率的に空気を取り込めるからでしょう。ただし本来は、口は食べ物用で、鼻は呼吸用です。そして吸気で発音する動物の鳴き声は、とてもよく響きます。これが意味することは、鼻を使った呼気及び吸気は、発音においても重要な役割を持っているということです。この部分は共鳴の話なので、後ほど触れたいと思います。
■ 発声時の呼気と吸気
実際の発声においては、吸気よりも呼気に神経を集中します。発声の場合は、息を吐くという意識よりは、肺の中を一定気圧で満たすという感覚がよいということは前回書きました。もう少し書くとするなら、声帯が開いた状態で、肺にもそれなりに空気が入っていれば気圧差がないということになります。この状態から声帯を発声スタンバイ状態にして、パンパンの肺を周りの筋肉で少し押すと気圧差ができ、発声と共に空気が漏れてくるという感覚です。発声時の呼気のイメージとしては、寒いときに、「は~」と息を吹きかけるぐらいの感じでしょうか。自然と行っている行為はヒントになるはずです。
また腹式呼吸でお腹が凹む、凹まないという両方の意見がありますが、実用的な発声時においては、まず凹まないと思います。お腹は膨らませた状態をキープし、背中や腰周り、内部の筋肉で、膨らんだ肺を一定の力で押し続けるという使う方が圧倒的に安定します。個人差はあると思いますが、鼻をかむとき多くの人は、お腹は凹ませず、張ったままだと思います。あの感覚もヒントになると思います。
吸気においては、発声が終わったとき、肺を締め付けていた複数の筋肉の緊張が解けて、ゆるむことで自然に空気が肺に入ってくる感覚も重要だと思います。肺にたくさん空気を入れようとする感覚とは逆です。横隔膜はどちらかというと、下げた状態をキープし続ける感じです。実際には多少上下しますが、感覚としては維持です。
■ 発声で利用できる肺活量の範囲
一般に腹式呼吸は、肺の容量を最大限に使った呼吸とも言えますが、歌では肺活量よりも息を吐くためのコントロールが重要で、空気の吐く量を必要最小限にすることが求められます。また呼気を効率よくコントロールできるのは、空気を目いっぱい吸った状態ではなく、もう少し吸えるぐらいの状態から、無理なく吐ける状態までで、それほど範囲は広くありません。息をもっと吐こうとすればできますが実用的な発声には使えません。
■ 胸郭は膨らませておく
胸郭を膨らませたり、縮めたりして行う呼吸は胸式呼吸と呼ばれています。腹式呼吸では肺の容量を最大限に生かすために胸郭は膨らませておいて、積極的に動かさないようにします。そうすることで響きも違ってくるように思います。胸郭の動きを利用する胸式呼吸を積極的に使うと、首周りの筋肉にも影響を及ぼし声帯の状態まで左右するので好ましくありません。
■ 姿勢
無理に理想的と言われる姿勢を作って発声するのは、かえって不自然になるケースが多いので、どうかと思います。ごく自然に楽に深めの呼吸ができていれば姿勢も最適化されているはずです。悪い姿勢では深い呼吸と安定した呼気はなかなかできないはずですから。 極論を言ってしまえば、安定した、よい音質の声が出ていれば、呼吸も姿勢も自然で理想的な状態になっているはずです。見た目の部分よりも音で判断して修正していく方がよいと思います。個人の感覚差が大きいので難しいとは思いますが。
■ 感覚頼みの問題
楽器演奏と違って、発声は感覚頼みになりやすいです。そのため個人差がものすごく出ます。楽器演奏であれば、お手本を見れば違いを確認できることも多いですが、発声で見えるのは、とても表面的な部分だけです。一番重要な体の内部の動きなどは、想像するしかありません。結局教える方も、教わる方も、効率が悪いわけです。少しでも共有できる感覚があれば、そこを取っ掛かりとするしかなさそうです。
発声の区分として、呼吸、声帯、共鳴の3つに分けてみましたが、今回の呼吸は、まだ分かりやすい方だと思います。次回は音源にあたる声帯について書こうと思いますが、声帯まわりの解釈は、人それぞれという感じなので、書きにくいのですが、個人的にはシンプルなものだと思っています。

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