シェリル・クロウがまだ新人の時代、1994年のある日のこと。バンドが所有していた、ほぼ全ての機材がツアー直前に盗まれてしまうというアクシデントに見舞われた。しかしこの事件がきっかけとなり、以下のいきさつによってシェリルが手に入れた「代わりのギター」は、後に彼女のメインギターとなる。
シェリルがテキサス州オースティンでライブを開催した時、バンドの機材が盗まれた記事を読んだ1人の男性ファンがシェリルに近づいてきた。手には少しだけ使われた形跡のある1959年Fenderカスタム・テレキャスターがあった。そして彼女に、盗まれたギターの代わりとして、それを使うよう勧める。
ファンの男性は、このカスタム・テレキャスターはかつて自身の母親が所有していたものだとシェリルに説明する。彼の母親もシェリルのファンであったが、乳がんで亡くなってしまった。このテレキャスターは持ち主を失ってしまったが、これからも誰かによって演奏され続けるべきだと彼は思い、シェリルへ申し出たのであった。シェリルは彼が持ってきたそのギターを、盗まれてしまったギターの代わりとして受け入れた。そして現在に至るまで、それは彼女のお気に入りのギターのひとつになっている。
この興味深い背景を持ったギターは2011年にFenderカスタムショップに運ばれ、細部まで正確に再現されることになった。そして一番最初に完成したレプリカが彼女の元へ届けられた時、オリジナルの個体と間違えたほどの出来栄えであった。そしてシェリルはそれ以来、ずっとこのカスタムショップ製のレプリカを愛用している。
60本限定で生産されたこのモデル、その内の1本にはシェリルのサインが入り、既に販売されたが、この売り上げは2012年10月にナショナル・ブレスト・キャンサー・ファンデーション(アメリカ国立乳がん財団)へ寄付された。
彼女のファンのみならず、ロックファンなら一度は目にしたことがあるこのカスタムテレキャスター、サウンドハウスにも近日入荷予定です。ご期待ください!
Fender CUSTOM SHOP NEWS