
最近、8cmシングルを集めることにすっかりハマっています。
「8cmCD」と聞いてピンとくる人は、今では少数派かもしれません。CDといえば通常は直径12cmのものを思い浮かべると思いますが、8cmCDはその名の通り一回り小さいコンパクトサイズのCDで、主に1990年代を中心に流通していたメディアです。

左が一般的なCD(12cm)、右が8cmシングル
当時はシングルCDといえば8cmが当たり前で、音楽番組やランキングチャートを賑わせた多くのヒット曲が、この小さな円盤に収められていました。
しかし、2000年代に入ると状況は変わります。マキシシングル(12cmサイズ)への移行が進み、8cmCDは徐々に市場から姿を消していきました。理由はいくつかありますが、主に再生機器の対応問題や収録時間の制限、製作時のコスト面の問題などが挙げられます。
それでも近年、昭和・平成レトロブームの流れの中で、再び注目を集めつつあるのがこの8cmシングルです。懐かしさを感じる世代だけでなく、当時を知らない若い世代の音楽ファンが「フィジカルメディアの温もり」に惹かれて手に取るケースも増えています。
8cmシングルを集め始めたきっかけ
私が8cmシングルを集めるようになったきっかけは、あるアーティストの楽曲がサブスクリプション配信で聴けなかったことに始まります。
いくら検索しても配信サービスには見当たらず、CDアルバムにも未収録。けれど、どうしてもその曲が聴きたかった。調べていくうちに、それが8cmシングルのカップリングとして収録されていたことを知り、試しに購入したのが始まりでした。
実際に手に取ってみると、思っていた以上に小さくてかわいらしい。ケースは縦長の「短冊型」と呼ばれる独特の形で、今のCDとはまったく違う雰囲気があります。手のひらに収まるそのサイズ感は、どこか“音楽を持ち歩く喜び”を象徴しているようにも感じました。
そこから気づけば少しずつコレクションを増やすようになりました。
サブスクやアルバムでは聴けない曲に出会える
8cmシングルを集める最大の魅力は、やはり「ここでしか聴けない音源」に出会えることです。
シングルにはカップリング曲や、アルバム未収録の楽曲が多数存在します。しかも当時は、アーティストごとにシングル用に特別なアレンジを施すケースも多く、アルバム版と聴き比べてみると印象が大きく異なることもしばしばあります。
例えば、コナンの主題歌で知られる小松未歩さん。近年サブスク配信が解禁されたものの、実は公式カラオケ音源は未配信。これらはシングルCDを入手しないと聴くことができません。
また、同じ楽曲でもシングル版ではミックスやアレンジが微妙に異なっていたり、ボーカルの録り直しがされていたりと、音の細部から時代背景を感じ取れるのも面白いところです。
当時のアレンジャーやエンジニアのこだわりを感じながら聴くと、まるで音のタイムカプセルを開けるような感覚になります。
コンパクトで安価、集めやすいコレクション
8cmシングルのもう一つの魅力は、その手軽さです。
中古市場では、状態にもよりますが1枚数十円〜数百円程度で手に入るものも多く、コレクション初心者にも優しい価格帯です。
さらに、サイズが小さいので収納スペースをあまり取らず、棚の一角にまとめて並べても圧迫感がありません。
特に短冊型パッケージのデザイン性は侮れません。アーティスト写真や大胆なタイポグラフィ、当時特有の色使いなど、見ているだけでも時代の空気を感じます。
スマホスタンドやフォトフレームを使ってお気に入りの1枚を飾るのもおすすめです。

自室に並べておくと、ちょっとした“昭和・平成ミュージアム”のような雰囲気になります。
再生にひと工夫が必要? それもまた味わい
唯一の難点を挙げるとすれば、再生環境の問題でしょう。
現在のCDプレーヤーの中には、8cmディスクをそのままセットできない機種もあります。
「アダプター」と呼ばれるリング状の補助器具を使えば通常のCDプレーヤーでも問題なく再生できます。
もしアダプターが付いていない場合でも、ネット通販や中古ショップで簡単に入手できるので、あまり心配はいりません。
こうしたちょっとした手間も含めて、「聴くまでのプロセスを楽しむ」というのが8cmCDの醍醐味だと思います。
ストリーミング再生のようにワンクリックで聴けないからこそ、1枚1枚のディスクに対する愛着が自然と深まっていくのです。
CD全盛期の“音楽を探す楽しさ”をもう一度
お気に入りの1枚を見つけ出す瞬間は、まるで宝探しのようです。
どんなジャケットデザインなのか、どんな曲が収録されているのか、実際に手に取って確認する。
この“探す”という体験こそ、CD文化の醍醐味だったのかもしれません。
8cmシングルを集めていると、思いもよらないアーティストや曲に出会えることがあります。
「この人、こんな曲も出してたんだ」「この時代のアレンジ最高だな」といった小さな発見が、音楽への情熱を再び掘り起こしてくれます。
8cmCDは「時代そのもの」も記録している
音楽だけでなく、8cmシングルはパッケージや印刷物を通して当時のカルチャーをそのまま封じ込めています。
アーティスト写真のファッションやメイク、ロゴのデザイン、紙ジャケットの質感——それら全てが90年代という時代を語る貴重な資料です。
CDというメディアが最も輝いていた時代を象徴する存在と言えるでしょう。
特に、90年代邦楽が好きな人なら、8cmシングルを手に取るだけで“その時代の空気”を感じ取れると思います。
リアルタイム世代でなくても、ジャケットを開いた瞬間のワクワクや、再生ボタンを押すときの緊張感など、当時の人々が味わっていた体験を追体験できます。
まとめ 〜小さな円盤に詰まった大きな魅力〜
私は8cmCD世代ではありませんが、この小さな円盤から感じる“音楽”にすっかり魅了されてしまいました。
サブスクにはない物理的な存在感、再生するまでのちょっとした手間、パッケージを開くときの高揚感。
どれもが、音楽を「聴く」という行為を特別な時間にしてくれます。
もしあなたが90年代の邦楽やアナログ的なモノに興味があるなら、ぜひ8cmシングルを手に取ってみてください。
偶然出会った1枚が、あなたの音楽人生を豊かにしてくれるかもしれません。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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