WARM AUDIO / WA-84 Premium Stereo Package
WA-84は、小口径コンデンサの良さをそのまま出してくれるマイクで、Premium Stereo Packageはカーディオイドに加えオムニカプセルが付属する点が嬉しいです。
ドラムのトップ(オーバーヘッド)で使ったときの第一印象は「解像感」と「粒立ちの良さ」でした。
また、シンバルの高い音域成分が非常にクリアに立ち上がり、スティックのアタック感やシンバルの粒一つ一つが生々しく録れました。
小口径らしくトランジェント特性に優れ、タムの立ち上がりも速く、スナッピーのザラつき感もよく録れるので、現代的なミックスにも馴染むのではないかと思いました。
そして、オムニカプセルが付いていることで、ルームトーンや空気感をきれいに拾いたいときに選択肢が広がると思います。
例えば、アンビエント寄りのレコーディングではオムニカプセルで柔らかく包み込むように録ると、後処理で自然な定位が出しやすいと思います。
一方で激しめなロック等でキレを前面に出したいときはカーディオイドで距離を取りつつ高めの位置からステレオペアを組むと良いのかなと思いました。
ステレオパッケージとしてのマッチングも良好で、左右のバランス崩れが少ないのも嬉しいです。
注意点は、低域の厚みがあまり強くない点です。
トップでキックのボトムを期待するのは不向きかと思います。
キックやロータムの重みは別マイクで補完したほうがミックスが締まるように思います。
また非常に明るく録音できるので、反響が多いルームでは距離や角度で調整しないと金属的に聞こえることがあります。
個人的には、WA-84はスモールダイアフラムの鋭さを活かして、シンバルの質感とタムのアタックを明確にしたい現場で多用したいです。
ドラム録りで「空気感+粒立ち+明るさ」が同時に欲しいならこのマイクは非常に良い仕事をしてくれると思います。
■ WARM AUDIO WA 84 Premium Stereo Package Snare by Rento Kimura
■ WARM AUDIO WA 84 Premium Stereo Package Top by Rento Kimura
WARM AUDIO / WA-87jr SE
WA-87jr SEは大口径コンデンサの傾向を持ちながら“jr”でコストを抑えたモデルです。
U-87タイプの暖かさと芯のある中域を狙った設計で、ドラムのトップに使うと「太さと艶」を同時に得やすいのが魅力でした。
特に中域がしっかりしているため、タムの胴鳴りやスネアのボディ感をトップで程よくカバーしたい時に便利です。
シンバルの煌きも出るが、WA-84ほど鋭くはなく、丸みのある高域で耳当たりが良いです。ロック系で存在感のある音が欲しい時に映えるマイクかと思います。
セッティングとしては、やや高めのトップ位置から若干ナナメに向けてステレオで使うと、キット全体のバランスが自然にまとまるように感じました。
ダイナミックな演奏でもクリップしにくい許容量があり、SPL耐性も実用域で安心感がありました。
気をつける点は明瞭さと重厚さのバランスです。
ルームがデッドすぎると中域の「厚み」が逆にこもって聞こえる場合があるので、EQで少しハイを持ち上げて抜けを作ったりなど工夫も必要です。
個人的には、WA-87jr SEは録ってそのままでもドラムが太く聞こえるのが嬉しい点でした。また、オーバーヘッドでありながらボディ感を残したい、ライブ感のあるロック/ポップス向けにも合う印象です。
■ WARM AUDIO WA 87jrSE Snare by Rento Kimura
■ WARM AUDIO WA 87jrSE Top by Rento Kimura
WARM AUDIO / WA-47jr SE
WA-47jr SEは、U-47系をイメージしたキャラクター寄りの大口径マイクで、「中域の前への出方」と「暖かさ」が特徴です。
ドラムのトップに使うと、キットの存在感をグッと前に出してくれるため、ミックスで“ドラムだけで存在を示したい”場面に強いのかなと感じました。
特にスネアの上からタムの胴、シンバルの中域成分を豊かに拾うため、耳に残るリズムセクションが欲しいトラックで効果的かと思います。
設置はやや近めでも問題なく、ステレオで左右をしっかり振るとキットの中心に厚みが出ます。
アグレッシブに録りたいジャンルや、生々しさを強調したいときに有効で、ミックスでのEQ手数が少なく済むことが多かったです。
音が前に出やすい分、部屋鳴りなどには気を付けたいのと、セッティング時に位相や角度を細かく詰める必要がありそうです。
欠点らしい欠点は少ないと思うのですが、低域の量感はWA-87jr SEに比べ控えめに感じる場面があると感じました。
キックの重みやロータムの胴鳴りをトップで期待するタイプの人は、キック専用やロータム専用マイクを併用した方が良いと思います。
個人的には、WA-47jr SEは「ドラムを前に出して曲をドライブさせたい時」の選択肢かなと思います。
音楽的な色付けが欲しいとき、またライブ的な存在感を重要視する制作で多用する一本にもなると思います。
■ WARM AUDIO WA 47jrSE Snare by Rento Kimura
■ WARM AUDIO WA 47jrSE Top by Rento Kimura
WARM AUDIOの魅力
「良い音」を手に入れられるコスパの高さ
ドラマーにとって録音機材は非常に重要だと思うのですが、WARM AUDIOは、コスパ良く録音する音の品質をワンランク引き上げてくれます。
特にドラム録りでは、
- キックの低域
- スネアのアタック
- シンバルの空気感
これらがミックス前から立体的に録れるのが嬉しいです。
どれも本家モデルを意識したサウンドキャラクターで、コスパ良くその質感になるのが強いと思いました。
ジャンルを選ばない「楽器感の強さ」
WARM AUDIOの機材は“無機質に綺麗に録れる”というより、楽器の歌い方をそのまま出してくれるタイプなのかなと思いました。
ドラマーとして実感している強みは
- スナッピーの粒感がリアル
- キット全体が前に出る
- シンバルのハイの成分
- ルーム感が上品に乗る
どのジャンルでも“ドラムの個性”をそのまま出してくれます。
特に今回試させていただいた3セットは
- WA-87jr SE → 曲を支える太いトップ
- WA-47jr → スネアやキットの“前に出る”中域
- WA-84 → シンバルの粒が綺麗な空気感
楽器のキャラが明確になるため、ミックスで「何を足すか/何を引くか」が判断しやすい音になると思います。
結果、良い演奏がより良い最終音源に繋がりやすいという流れができます。
「録った瞬間に気持ちいい音」が手に入る
Warm Audioを使っていて特に嬉しかったのは、生で叩いてる時の「気持ちよい鳴り方」がそのままマイクに入る点です。
トップマイクの場合は特に違いが大きく、“叩いていて気持ちいい録れ方”をします。
演奏者としてはこれが本当に重要で、
- テンションが上がる
- いいテイクが生まれる
- ミックスも楽になる
のサイクルが生まれると思っています。
値段以上の質感で「自宅・プライベートスタジオ」の武器になる
私のようにプライベートスタジオがあったり、動画収録・SNS発信用に音を録るドラマーにとっては、WARM AUDIOはコスパ最強クラスです。
プロ現場のクオリティに寄せつつ、値段も現実的で買い足しやすいです。
- 最初の1本 → WA-87jrSE
- シンバルの解像度を上げたい → WA-84
- キャラが欲しい時 → WA-47jrSE
などの選び方がおすすめです。
まとめ
WARM AUDIOは、
「ドラムを録ると、自分の演奏の魅力がちゃんと出る」
という安心感があります。
- 太さ
- 明瞭さ
- 空気感
- 楽器の存在感
WARM AUDIOは“ドラマーが感じる気持ちよさ”と“エンジニアが扱いやすい音”の両立ができているのが最大の魅力です。
ぜひ皆様もお試しください!
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