

さて今回は…前回の続きですね。自分の経験を振り返ってみたら思ったより長くなってしまったという…
それだけ経験豊富ということだね。
経験だけはね(笑)
では続きをどうぞ!2000年代に入った辺りだっけ?
ですね。前回が2002年のエピソードで終わってるので、その翌年2003年かな。因みに、その頃傷彦さんはどんなレコーディング環境でした?メジャーで活動してた頃でしたっけ?
ザ・キャプテンズとしては都内の音楽事務所に所属して活動し始めたあたりかな。2005年にメジャーデビューなのでまだインディーズ。
なるほど。自分は、その頃は、今は活休してるナショヲナルというバンドのメンバーと出会って一緒にバンドをやってた頃ですね。リリックスというバンド。で、その時は…町田から二駅の淵野辺という駅にあったレコーディングスタジオでレコーディングしてた…はず。
レコーディングスタジオなんだ?リハスタジオではなく?
そうですね。個人で経営されてる…基本、レコーディング専用のスタジオでした。確か、主にクレイジーケンバンドが利用してるスタジオで、ツアー用の機材とかそこらへんに置いてあった記憶。
あー、そういうのときめくよね。ステンシルでバンド名書いてあったりバックステージパスが貼ってあったりして。
そうそう。見るだけでワクワクしますよね。で、そこでレコーディングしましたけど…確かにデジタルレコーディングではありましたけど、手法は一緒だったかな?ドラムとベースを一緒に録って上から重ねていく、という。で、やはり2、3テイクで終わらせてたと思います。でも、後で割と細かく手直しはしてましたね。部分的に。
うん。僕らもその頃に初めてプロツールスでのRECを経験したはず。
今ではDAWのソフトも色々とありますけど、あの頃はプロツールスがほとんどだった気がしますね。
DAW(シーケンスソフト)一覧
今だとCubase使ってる人も多いのかな。他にも色々と…DAWには詳しくないのであまり語れませんけど、使い勝手も色々あるみたいですね。で話戻りますけど、スタジオは時間単位で押さえるのではなく一日単位で押さえてたので、余裕はありました。そこは深夜でも音出しできたので、エンジニアさんの体力さえ続くなら何時までも録音作業してた記憶…時には泊まり込んでレコーディングしてましたもん。
なるほど。申し訳ない気持ちにもなるよね…。こちらは他のメンバーの出番で休めるからね…。
そうそう。エンジニアさんは、基本、ずっとお仕事ですもんね…そこは宿泊を前提としてるスタジオではないので、その辺のソファや床に寝てたな。若かった(笑)ま、自分はベース故に早めに出番終わるので他のメンバーにお任せして帰宅したりもしてたけど(笑)あ。そういえば、スタジオに転がってたコントラバスを弾いて、後からベースのトラック重ねたりしたこともあったな。結局ボツになったけど。
スタジオに転がってるものって使いたくなるよねー。
アイデア湧いてきたりしてね。なので、トラック数は気にしなくなってましたね。デジタル録音の恩恵。思いつくままフレーズを重ねていってました。時間の許す限り。後はエンジニアさんの体力の続く限り(笑)
エンジニアさんは特に集中力使うもんね。耳も疲れてくるだろうし。
で、淵野辺のスタジオで録音はしたんですけど、ミックス作業は別の場所でした。それまでは、録ったスタジオで完成させることがほとんどでしたけど、この頃から録りとミックスが別の場所、もしくは別の人、というパターンも増えてきた気がします。
あー、僕は初めてマスタリング専門エンジニアの方とお仕事した時に驚いた!
最後まで同じ人にやってもらったほうがいいのかも知れませんけど…その時は、自分達の慣れたスタジオで好きなように録って、その音をレーベルが信頼してる方にミックスしてもらう、というカタチかな。一応断っておきますけど、その淵野辺のエンジニアの方が信頼出来ない、という話ではないですからね。そのレーベルから出てる音源のレコーディングはほとんどその方が手掛けてたので…録りだけは自分達の好きなようにやらせてもらった、というほうが正しいかな。
プレイ時に安心できる環境、大事よね。
そのバンドではアルバム3枚出しましたけど、全部淵野辺で録ってミックスはいつもの方にお願いという流れでした。いつもの方というのは、岩田純也さんなんですけど。その筋では有名なお方。そういえばマスタリングはまた別の場所でしたね。マスタリング作業の為に六本木まで行った記憶…どこのスタジオかは覚えてないです(笑)
都会だということだけは分かる(笑)
めっちゃ都会でした(笑)そういえば、当時淵野辺で録った音をミックススタジオにどうやって届けたんだっけ?今ならファイル便とかありますけど…当時はまだそういうサービスは無かった気もします。
デジタルデータではあるよね?
多分…データCD-Rだったのかな?トラックシートも添付してあって…
うんうん。
で、そのバンドも解散し、いよいよナショヲナルになるんですけど。今活休してますけど。
よく知ってます、そのバンド。奇妙奇天烈で魅力的な。
ありがとうございます(笑)ナショヲナルのレコーディングは…割とばらばらかなぁ。毎回違うやり方だったような気がします。
いろんなやり方に対応できる強者メンバーとも言える。
時代の変化…ですかね。レコーディング方法も選択肢が色々と増えてきましたもんね。2000年代半ばにもなると。
それはそうかも。
順に振り返りますけど…最初は割と大きなレコーディングスタジオ…ガルバスタジオ?ちょっと前にメンバーのカワサキプロがポストしてたから多分そうです。で録って、ミックスはPEACE MUSICで。
お、いいなあ。
このPEACE MUSICって結構有名なスタジオなんですけど…自分行った記憶無いなぁと思ってたら、ミックス作業参加してませんでした。予定が合わなかったし、そもそもあまりミックスに口出しするタイプでもないのでお任せしたのでした。多分(苦笑)写真はガルバスタジオですね。こうして見ると「せーの」で録ってたのかな?
せーの、は良いよねえ。
バンド録音の醍醐味ですよね。この時で…2006年くらいかな?スタジオでは備え付けのアンプが選べたんですが、この時はASHDOWNのベーアンをセレクトしてますね。あまりリハスタジオやライブハウスには置いてませんでしたけど、結構気に入ってたんですよね。
あー、流行ってたかもね。この頃ね。
マイアンプとしてASHDOWNを持ち運んでるバンド仲間もいたなぁ。今だと、この辺りになるんですかね。
ASHDOWN ( アッシュダウン ) / ABM-600-EVO IV
ASHDOWN ( アッシュダウン ) / ABM-810H-EVO IV
その次は、録りは聖蹟桜ヶ丘にあるレコーディングスタジオで録って、ミックスはリリックスの時にお世話になった岩田さんにやっていただきました。
ふむ、安心のエンジニア。
で、その次は、録りは聖蹟桜ヶ丘のスタジオで録って、ミックスはまた別の方にお願いしてましたね。それで二枚くらい作ったかな?その次はよく覚えてます。ザ・キャプテンズのテッドさんにディレクションしていただいたので。
その人、よく知ってます。仕事ができるヒゲの。
ヒゲの人(笑)この時は、ライブハウスを貸し切ってレコーディングしました。渋谷Milky Wayの深夜の時間帯。。そういえば、聖蹟桜ヶ丘のスタジオは普通の民家を改築したスタジオだったので、あまり大きな音出せなくて、ベースはアンプ鳴らさずにライン録音だった覚えが。
普通の民家だとそうだよねぇ。ドラム叩いた時点でアウトだと思うけど。
一応防音されてたので、ドラムはオッケーでしたね。で、この時はライブハウスということもあって、久しぶりにアンプ鳴らせて嬉しかった記憶…ただ、音の被りを極力減らす為に、アンプはステージ横の楽屋に入れて録りました。確か。
あるね、舞台袖の楽屋。おあつらえ向き。
完全な防音ではないですけどね。で、エンジニアは、ザ・キャプテンズでもお馴染みの藤井さん。
Jack zoo Ray Studioの藤井エンジニア!僕らも大変お世話になってます。
藤井さんがノートパソコンとオーディオインターフェースを持ち込んでレコーディングしました。この頃になるとノートパソコン一つでレコーディングするスタイルも増えてきましたよね。
だね!身軽!隔世の感!
で、この時はドラム・ベース・ギターまで録ったのかな?鍵盤と追加のギタートラックは各々宅録でやった…はず。この頃は宅録環境も、少しづつですけど、整いつつありました。
自宅でDTMってやつだね。
そうですね。で、全て録り終えてから、藤井さんのスタジオに行ってミックス作業。その頃になると、ライブハウスやスタジオに機材を持ち込んで録音、後日スタジオでミックス作業、というのが定番化してきた、という感じですかね。
柔軟にやれるよね。
勿論今でも所謂レコーディングスタジオで録音するというパターンもあるとは思いますが…やはり予算等考えるとこのパターンが多くなりますよね。
うんうん。自宅でやれる部分も増えたし。
そういえば…アルバム「OTONOTO」を挟んで次の音源「全部警察」の時は変わった順番で録音しましたね。
変わった順番?
あの時は、ドラムとベースのリズム体を録音するタイミングがなかなか取れなくて…レコ発の日程は既に決まってたので、時間に余裕が無いということで、ウワモノを先に録っちゃったんですよね。
それはウチではやったことないかも。
ウワモノは自宅で録れるので先に録っちゃって、後でそれに合わせてリズム体を録る、という…普通はやらないですよね。勿論テンポを合わせる為のクリックは使用してましたけど、それでも微妙なズレに引っ張られて苦労した覚えがありますね。やはりリズム隊は先に録りたいかも。因みに、この時もライブハウスで深夜の時間帯を貸し切ってレコーディングしました。
なるほどね。他には?ホーリーはそれ以外でも色々とやってるでしょ?
んー…そうですね。「らいむらいと」も似たような感じで、エンジニアさんにスタジオに来てもらって録音して、後日ミックス。で、ミックス作業は立ち合う場合もありますけど、エンジニアさんが自宅でミックス⇒出来た音源を送ってもらって確認⇒気になるところを伝えて修正してもらう⇒送ってもらって確認、の繰り返しで完成させる場合もありますね。
ミックス確認はオンラインで。今では当然だけど、当初はなんか不安だった。やはり顔合わせてメンバースタッフみんなで同じ環境で音聴いて決めなきゃって思い込みがあって。
確かに、どういう環境で聴くかで聴こえ方変わってきますもんね。バランスとか。なので、メンバー全員で立ち会うのが理想なのかなぁ。今サポートしてる「マギー☆フランソワ」さんも同じパターンですね。後は…傷彦さん関係?ソロ活動とか。
お世話になってます!いい仕事するベーシストとして信頼してます。
ありがとうございます!またのご依頼お待ちしております(笑)傷ソロに関しては、事前に送ってもらったトラック…ドラムと簡単なギターに歌が入ったトラックに、自宅でベースを録音して方向性を確認してから、スタジオに行ってレコーディング、というパターンかな。
だね。
一度、確認のつもりで送った仮テイクが良かったので、それがそのまま採用になるというパターンもありましたね。スタジオ行くまでもなかったという。
ホーリーも一応宅録出来る機材持ってるもんね。ZOOMのR-8だよね。僕も持ってるヤツ。
ですね。今は廃番になってるのかな?後継機種は…R12になるのかな?
ZOOM ( ズーム ) / R12 MultiTrak マルチトラックレコーダー
お陰で、自宅で全て終わらせる場合もあって。以前、某アイドルグループの楽曲のベースレコーディングしましたけど、その時は相手とは一切顔合わせることなく終わらせましたもんね。今でもお会いしたこと無いという。
そういうこともあるよね。オンラインで海外の有名スタジオの大物エンジニアにマスタリングお願いできる、なんて噂もこの頃から聞こえてきてた。
相手方と顔合わせることもなくレコーディングするなんて今どきだなぁって思いますが…個人的には、顔を突き合わせて意見交換しながらレコーディングするほうが好みではありますね。古いタイプのバンドマンなので(笑)
昭和の人だから。
後は…今は休学ということになるのかな?「ザ・ショウワーズ」。
長い夏休みかな?
長すぎません?(笑)ショウワーズも変わったレコーディングしましたよね。まさかの中古のラジカセを使って、という。
それな。
録音出来るラジカセを中古で買ってきて、それ使ってスタジオでドラムを録るという…あれはどういう狙いでしたっけ?
ザ・ショウワーズだから昭和の機材で録りたいと。
なるほど。完全なる一発録りなので、ドラムのアキラはかなり苦労したと思いますよ。部分的な修正も出来ないし。で、録音したカセットテープの音をMTRに落とし込んで、後は宅録。ドラム以外はいくらでも修正出来るという(笑)この時は傷彦さんがミックス作業やったんですよね?
はい。素人なりに。
いい感じのガレージ感が出てたと思います。しかし、こうして振り返ってみると、2000年以降でだいぶレコーディング環境も変わってきましたね。
だね。技術の進歩でレコーディングの手段等も選択肢が色々と増えてきたので、予算やその時の都合に合ったやり方でこれからも楽しんでいけたらいいよね。そう、すべては?
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