

さて今回は何です?
レコーディング!
え?前回やりましたよね?
前回は僕のバンド、ザ・キャプテンズのレコーディングだったので今回はホーリーのお話を聞きたいです!
まぁそうなりますよね…語れるかな…?
レコーディングの経験豊富でしょ?
それなりにありますけど…プレイヤーに徹する、といえばカッコいいですけど、あまり深く関わったりしないので…傷彦さんみたいにプロデューサー視点で見たりしないからなぁ。なので、一つの作品に絞ったりせず、いままでのレコーディングについて振り返ってみようかな。
それもいいね。レコーディングの歴史を振り返る訳だね。
あくまでも、自分の経験談ですし、30年以上前の話からになるので、かなり記憶間違いもあるかもしれませんが…一番最初のレコーディング経験はいつだっけな?大学生の時ですけど…その時のメンバーに、出たばかりだった Nirvana の「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」を薦めてもらったことを覚えてるので1991年かな?因みに、傷彦さんの最初のレコーディング経験はいつですか?
1995年くらい?YAMAHAの4トラックのカセットMTRを入手して一人でちまちま宅録してた。ほどなくしてYAMAHAのデジタルMTR、たしかMD4に移行した。
ありましたね。MD使ったレコーダー。懐かしい。で、その時は、所謂リハスタジオでレコーディングしました。あの頃…今でもですけど、レコーディング対応の部屋があるリハスタジオが結構ありました…よね?
ウチの田舎にはないぞ!
ウチの田舎にもありませんでした。というか普通のリハスタすら無かった(笑)で、そのスタジオでレコーディングパックとでもいえばいいのかな?6時間とか8時間とかまとめて部屋を予約してレコーディングするパターンがほとんどでしたね。スタジオのスタッフさんがレコーディングエンジニアをしてくれるパターン。
あ、大学の頃なら仙台にいたから、そういうスタジオもそれなりにあったかも。
で、その時の記録媒体は、勿論アナログテープでしたね。で、録音出来るトラック数も限りがあって…あの時は16トラックぐらいだったかな?なので、前もってトラックをどう振り分けるか決めてからレコーディングしてましたね。
あー、デジタル全盛の今ならいくらでも録れるもんね。後から思いついた音をいくらでも追加出来る。
そうですね。でもあの頃は限りがあったので…勿論ピンポン録音すればトラックは増やせるし、メジャーな方々はもっと多くのトラック数を使える環境だったと思いますけど、アマチュアに関していえば16トラック…スタジオによっては32トラックぐらいだったと思います。なので、ドラムに何トラック使うのか?ギターやボーカルは何本重ねるのか?前もって計画してやってましたね。
トラックシートとか書いてね。
どういうフレーズを録音するかも前もって吟味してね。で、トラック数もそうですけど、テイク数も限られてて…限られるというか、基本、残せるのはワンテイクでしたね。録音媒体がテープなので。
それはシビア!今だと、何度か録音してその中からいいテイクを選べるけどね。
勿論テープを惜しみなく使えばいくらでもテイク残せますけど…予算が結構掛かっちゃうんですよね。なので、録音したらその都度、残すかどうか決断を迫られるという…
もう一回やったらさらにいいテイク録れるかもしれないけど、このテイクも捨てがたい…悩むよね。
そうなんですよね。勿論部分的にやり直すことは出来ますけど…パンチイン・パンチアウトでね。さらにいうと、時間との闘いでもあるので…時間内に録り終えないといけない。もう一度録り直したいけど、何度もテイク重ねる時間は無い…どこかで妥協点を見つけないといけない…
勿論今でも時間内に終わらせなきゃいけないけど、そういう意味では今よりシビアだったかもね。テープでのパンチインは前後にある程度空白が必要だったなあ…(遠い目)
でしたねぇ…今ならどんなところでも違和感無く直せる…いい時代だな。で、なるべく時間を掛けない為にも、最初にドラムとベースとリズムギターを「せーの」で録ってましたね。それも重ねたとして、2テイクまで、かな。
バンドに相応しい録り方。
ですね。なので、レコーディング前にしっかりと練習してました。そういえば…今でも覚えてるんですが、その時に自分が最後の一音を間違えたことがありまして…ホンマにありえへんミス…何故間違えたか今でも分からない(苦笑)ドラムとギターがいいテイクだったとしても、全員やり直し…申し訳なかったな。
つら〜。今ならすぐに修正出来ちゃうけどね。デジタルって、チート。
そのスタジオはレコーディング用の部屋が一つしかなくて、ドラムもベースもギターも同じ部屋でアンプ鳴らしながら録ってたので、当然ギター用のマイクにもドラム用のマイクにもベースの音が入っちゃってたので…もし他の部屋でアンプを鳴らせてたら簡単に修正出来たでしょうけどね。
まあ、痛い目みて学んだことは身につくからねえ。
そんなこんなで?なんとかベーシックトラックを録り終えて、その上からギターソロを何本か重ねて、次にボーカルやコーラスを重ねるんですけど…ギターソロやボーカル等に関しては細かな修正は出来たはず…なんですけど、なんせ予算乏しいインディーズバンドなので、なんとか一日で終わらせる為にかなり焦ったと思います。
あるある。
その時は4曲録ったんですけど、確か一日でミックスまで終わらせた記憶…一日というか8時間パックくらいかな?あれ?12時間だったかな?
どちらにしても、早いよね。
ですね。ミックスは2時間くらいで終わらせた記憶…
録った音のバランスを整える作業ね。4曲2時間は早いね。
で、軽くマスタリングまでやってもらって…出来上がった音はカセットテープで納品されたのかな?まだCD-Rとか無かったので…最高音質のメタルテープとかで貰ったのかな?多分…
メタル!懐かしい!オープンリールテープとか貰っても困るもんね。
困る困る(笑)で、貰ったテープを家でダビングしてライブハウスで販売するなり配布するなりしてましたね。あの頃は。
90年代くらいだと、やはりカセットテープが一般的だったよね?
そうですね。中にはCDでリリースするバンドもいましたけどまだハードル高くて、カセットテープが多かったかな。所謂「デモテープ」てヤツ。
そうそう。インディーズショップに持ち込んで委託販売お願いしたり。
今検索してみたら、その時のスタジオはまだ健在ですね。大阪四ツ橋にある「LM Studio」。懐かしい。また行ってみたいな。で、最初のレコーディング経験はそのスタジオだったんですけど、その後に利用スタジオが変わっちゃって…同じ大阪市内なんですけど、「M4 Studio」というところ…検索したらまだ営業されてますね。因みに、2年前かな?大阪行った時の宿が近所だったので行ってみた時の写真がこちら。
この階段…何度上り下りしたことか。
ホーリーにとってはエモい写真ってところかな。
ですね。しかし、オーナーさん変わったのかな?検索だと名前が変わってました。で、そこで何度かレコーディングさせてもらったのですが、そこはアナログではなく、デジタルでしたね。
お。時代の変化だね。
まぁ、デジタルといっても、記憶媒体は「DAT」でしたけどね。デジタルで録音出来る磁気テープ。
DAT!あったね!
ありましたよね。今はもう生産されてないみたいですけど。で、そのスタジオでは「DAT」によるデジタル録音でした。確か(苦笑)
90年代後半くらい?
半ばから後半にかけて、ですかね。
であれば、そうかもね。
そのスタジオにDATテープがずらっと並んでた覚えがあるので、多分そうかと…で、DATテープによるデジタル録音になったんですけど…録音手段はあまり変わってなかったかな。磁気テープに記録していくカタチなので。
巻き戻しが速くて、パンチインがラクになるのが利点かな?
後、音質が良くなったかな。いや…音質じゃないな。音質劣化が無くなったというべきかな。
そうだね。アナログテープの音質はまた違う良さがあるもんね。
ですね。さらにいうと、コストも下がったはずですね。アナログテープに比べると。なので、トラックやテイクも重ねやすくはなってたと思います。
助かるねー。
とはいえ、やはりスタジオの8時間パック等を利用してたので、際限なくレコーディング出来るはずもなく…やはりベーシックは、基本2,3テイクで終わらせてたかな。で、上に重ねていく手段も同じ。完成した音源はDATテープで貰ってましたけど、誰もDATプレイヤーを持ってないので、スタジオでカセットテープに落としてもらって、各自家でダビング…90年代は大体そういうカタチでしたね。
カセットテープの…インデックスカードっていうんでしたっけ?レコードやCDでいうところのジャケット部分に各々趣向を凝らしてね。当時のバンドでは、メンバーで今も一緒にバンドやってる「らいむらいと」のお嬢がイラスト描いていたはず。あの人美術の先生目指してたから絵が得意なんですよね。
流石だねぇ。で、話戻るけど、DATプレイヤーは普及しなかったからね。すぐMDの時代でしょ。
そうですね。周りにも所有してる人はいなかったと思います。スタジオ以外で見た記憶が無い…結局2000年に上京するまではM4 Studioで何度かレコーディングさせてもらって。一度ライブハウス発信のオムニバスアルバムに参加する時に違うスタジオでレコーディングさせてもらいましたが、その時も流れは一緒でしたね。因みに、そのオムニバスが自分にとって最初のリリースだったはず…初めて流通された作品。
お。なんて作品?
「心斎橋的音楽箱」。赤盤と青盤があって、我々は赤盤でした。確か。バンドは「POP SICK MACHINE」名義かな。
探してみようかな(笑)
止めて下さい(笑)で、2000年に上京して…最初はセルフでレコーディングしたんだっけ?デジタルMTRを使って。
ザ・キャプテンズも同じ頃に同じようなことをしてた!
ナカーマ(笑)自分は一度に8トラック録れるMTRを買ったんですよね。どこのヤツだったかな?ローランドのVSシリーズではなかったんですけど。
流行ったね。VSシリーズ。CD-R焼ける機種とか。
あったあった。ちょっと割高だったんですよね。そのVSが最初のデジタルMTRになるのかな?90年代後半?あれ以降少しづつ増えていきましたね。デジタルMTR。で、それを使ってレコーディングして…でもやはりデモテープとして売ってましたね。カセットテープで。2000年代アタマくらいまではテープも結構残ってましたよね?
そうかもね。インディーズバンドのデモ音源にCDはまだハードル高かったかも。
で、その次は所謂レーベルが絡んできまして、本格的なレコーディングでした。
お。ついに。
その時はお世話になったのがキングレコード内のレーベルだったので、キングの関口台スタジオを使わせてもらいました。めっちゃ豪華なスタジオ。
メジャーな方々が使う様なスタジオだよね。
でしたねぇ…その時は一日ではなく数日押さえてもらってたので、割とゆったりとレコーディング出来た記憶。ベースアンプも他のブースで鳴らしたので、初めてレコーディングした時の様な失態も無く…(笑)ベーシックに一日。ギター重ねるのに一日。ボーカル録りで二日…とかかな?合間にゲストプレイヤーに来てもらって鍵盤重ねたり。ん?そんなに使ってないかな?
スキル上がってる!
ま、いうてもインディーズなのでそれなりの予算でしたけど、割と余裕持って進めさせてもらった覚えがありますね。ベース何度も撮り直しさせてもらったなぁ。何度もテイク重ねた曲とか覚えてます(苦笑)レコーディング機材も本格的で…めっちゃ立派なオープンリールデッキだった記憶。
オープンリールでのレコーディング、僕は経験してないなあ。ちょっと羨ましい。
そうですね。今振り返ると贅沢な経験でした。因みに、その関口台では二回レコーディングしてまして。あそこは常設の機材…ドラムとかアンプとか無いんですよね。
ああいう本格的なスタジオだとそうだよね。
それまではリハスタジオを利用してレコーディングしてたので、そういった機材は置いてあるヤツを使ってましたけど、関口台では自分達で調達しなくてはいけなくて…で、アンプ等レンタルするんですけど、二回目のレコーディングの時にマネージャーがベースアンプをレンタル手配するのを忘れまして(苦笑)
分かりやすいポカを(笑)
非常に自分らしいエピソードですけど(苦笑)で、仕方なく、その時のエンジニアさんが所有してたPODを使ってレコーディングしたんですよ。LINE6の。
何年くらいの話?
2002年かな?
ちょうど出始めた頃かな?流行ったよね。LINE6のPOD。赤くて豆のカタチした画期的な機材。
現行のPODはこちら
自分は知らなかったんですけどね。PODという機材を。初めて「アンプシミュレーター」というものを使ってラインレコーディングしたんですけど…全然イケるやん、と思った思い出。その頃は既に「SANS AMP」も使ってましたけど…あれも出た時はアンプシミュレーターというカテゴリーでしたよね?
現行のSANS AMPはこちら
そうだったかもね。で、LINE6のPODはそれをさらに推し進めた感じかな。
ですよね。で、そのレコーディングは、プレゼンに出す為のデモ録りだったので、本チャンではちゃんとアンプ鳴らして録るつもりでしたが、その話は流れちゃったので、それきりに。で、その後バンドも解散、と。
ほろ苦いね…。
その次のバンドから本格的にデジタルなレコーディング…ということになるのかな?
なるほど。結構長くなってきたので、続きは次回にしない?そう、すべては?
愛ゆえに!
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