はじめに
今回はWARM AUDIOから登場の完全アナログ・リングモジュレーター&LFOペダル、RingerBringer をレビューします。90年代のMoogerFooger MF-102をオマージュしつつ、現代の要望に応えた進化版。ギターだけでなく、シンセにも使える汎用性は?サウンドの個性や操作感、独自機能を中心に深掘りします。
基本情報・スペック
- 製品名:RingerBringer
- メーカー:WARM AUDIO
- エフェクトタイプ:アナログ・リングモジュレーター + LFO付き(CV / エクスプレッション対応)
- 発売時期:2023~24年頃
- 価格帯:¥35,800-
- 主な特徴:
- 100%アナログ設計(TL072, LM13700 op-amps+トランジスタ)
- LFOセクション:Amount,Rate, **波形切替(Sine/Square)**付き(周波数 0.1-25 Hz)
- モジュレーター:Mix, Frequency, Lo/Hi レンジ切替(Carrier0.6 Hz ~80 kHz)
- Driveノブで入力レベルやドライブ感調整が可能
- CV / EXP入力:Rate, Amount, Mix, Frequency / Carrier In/Out, LFO Out搭載
- True-bypassまたはバッファード、電源は9 V DC / バッテリーも対応(消費100 mA)
実際に使ってみた感想(サウンド編)
● リングモジュレーション(低キャリア帯)
テンポに合わせたトレモロ風揺れが得られ、LFO波形とDriveで木琴のような温かみある揺らぎも。
● 高キャリア帯
不協和を含む金属的な倍音やエイリアス効果が得られ、近未来的なサウンドデザインに◎。
● LFO波形切替
S波:滑らかな揺れ
四角波:断続的・パーカッシブな揺れで、エグいリズム感も演出可能。
● Driveノブ
ドライ入力を増幅しつつ、適度な倍音が加わってニュアンスに深みが出ます。レベルを上げすぎなければ歪みも自然。
使い勝手・操作性
- コントロール豊富で自由度が高い反面、初心者にはやや複雑かも。ラベリングとLED表示で視認性◎。
- エクスプレッションやCV対応で、ペダル以外の機器との連携もスムーズ。シンセユーザーにも魅力的。
- スチール筐体+木製サイドパネルで重厚かつ高級感あるルックス。サイズは中型、ボード組み込みには要検討。
- 個人的には、ノブを触るのも演奏表現の一つだと思っているのでノブを触った瞬間のフィット具合もすごく良いです。
他機種との比較
- MoogerFooger MF-102再現モデルとして:
Moogよりサイズも小さく、コストパフォーマンス◎。音のキャラクターも近く、「モジュレーションの遊び場」として実用的 - デジタル / 小型リングモジュレーターとは違い、音の質感に圧倒的な差があり、実験性や偶然性を重視するならこちらが好まれる傾向。
どんな人におすすめ?
- 音の実験やサウンドデザインを好むギタリスト / シンセ奏者
- CV / EXPによるライブでの即応性や表現力を求める方
- 想定外の倍音や音響効果を楽しみたいクリエイティブ派プレイヤー
動画
WARM AUDIO RingerBringer を使用し今回は、Moog Little Phatty、を使用し動画を撮らせていただきました。
■ RingerBringer+Moog Little Phatty
■ RingerBringer+Moog Arp Mode&Reverb
総評・まとめ
WARM AUDIO RingerBringer は、アナログリングモジュレーションの魅力を余すところなく引き出しつつ、現代的な接続性と操作性を兼ね備えた逸品。MoogerFooger MF-102の香りを手軽に味わいたい方にとっては、ほぼ完璧な選択。実験的な音作りを愛する方なら、長きにわたり愛用できる“遊び道具” となるペダルです。
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