
最近、巷でDTMブームが来ているようです。必要な設備も比較的簡単に手に入るようになり、家で歌を録音したいという人も増えていますね。しかし、録音したけど音がこもっている…音量が変化しすぎる、という悩みを持つ宅録初心者も多いようです。そこで、宅録ボーカルの音質を飛躍的にあげるコツをご紹介します。
■ 音質が下がってしまう二つの要因
ボーカルの音質が下がってしまう要因は、主に以下の2つです。
- マイクとの距離が近すぎるor遠すぎる
- ゲインを上げすぎている
この2つを詳しく説明する前に、まず録音環境について少しお話しします。
■ 録音環境の前提
いくら録音のコツを覚えても、使用している機材がよくなければいい音では録音できません。
○ いいマイクを使おう!
おすすめのマイクはAKGのP220です。
1万円台のコンデンサーマイクではダントツに音が良く、付属品も充実しています。
AKG ( アーカーゲー ) / P220 コンデンサーマイク
○ リフレクションフィルターを使おう!
宅録をする際には、声が壁などに跳ね返ってきた「部屋鳴り」というものが入ってしまいます。これを極力抑えるためにリフレクションフィルターという反響を抑える道具を使いましょう。
CLASSIC PRO CAR900がおすすめです。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / CAR900 リフレクションフィルター
○ ポップアップフィルターを使おう!
ポップアップフィルターの効果がよく分からないから使わない、という人もいますが、これは非常に大切なものなので必ず使うようにしましょう。
これを使うことで、「パ行」や「サ行」などの破裂音を防いで、音質を劇的に高めてくれます。また、後ほど紹介するマイクとの距離を取る際にも活躍するので、持っていて損はありません。
K&M ( ケーアンドエム ) / 23956 ポップガード
おすすめはK&M/23956 ポップガードです。
安定して取り付けられるので、宅録にもってこいです。
■ マイクとの距離が近すぎるor遠すぎる
いよいよ本題です。多くの宅録初心者は、自分の声をできるだけ大きく録ろうとしてマイクに近づきすぎてしまいます。
多くのマイクは単一指向性マイクという正面の音を強く拾うマイクです。このマイクでは、マイクに近づくほど低音が強調されます。これでは、理想の録音である自然な音からは離れたこもった音になってしまいます。
では逆にマイクから極端に離れた場合はどうでしょう?マイクから離れて録音すると先ほど紹介した部屋鳴りが多く入ってしまい、あとで録音した声を加工するのが難しくなります。
○ マイクとの距離は何センチがいい?
マイクから20cmほど離れた場所で録音するのがおすすめです。
○ ポップアップフィルターを目印に!
わたしは、ポップアップフィルターをマイクから10cmほどのところに設置することで距離の目安としています。
ポップアップフィルターを設置したら自分の体をポップアップフィルターから10cmほど離します。こうすることで丁度マイクから20cmの間隔をとることができます。
○ マイクとの距離が近いことで起きるもう一つの問題
録音ではマイクに近づけば近づくほど大きな音で録れます。あたりまえのようですが、これはマイクから少し動いただけで、音に大きな変化が出てしまうということです。歌うときに、自分の動きを気にしていては、感情をこめた歌い方ができません。マイクとの距離を適切にとっておくことでこのような心配をせずにすみます。
■ ゲインを上げすぎている
二つ目の要因は「ゲインを上げすぎている」ということです。ゲインとはギターをやっている人ならわかるかもしれませんが、録音の音量のことであげればあげるほど音量は大きくなります。
この場合は、マイクを繋いでいるオーディオインターフェースのゲインのことです.。
ついつい大きい音で録音した方が気分がよくなり、ゲインを上げすぎてしまう、という初心者の方は多いです。しかし、録音において、大きな音で録ることは重要ではありません。これは大事なことです。
まず、使用しているDAWの音量メーターを確認しながら、その歌のサビの部分を歌ってみましょう。メーターがピークを超えないようインターフェースのゲインを調整してください。
○ ゲインの目安は?
目安としては、だいたいメーターが全体の半分くらいにくるのがちょうどいいと思います。
「そんなに小さな音じゃ使えない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、録音した音はDAW上でいくらでも大きくすることができます。
なにより大切なのは、いい音で録音することであって、大きな音で録音することではありません。
わたしも、宅録をはじめたころは、ついゲインを上げすぎてしまい、そのときは気分がいいのですが後で聞いてみると、耳障りな音だったり、こもった音がして悩んでいました。
■ まとめ
今回の内容をまとめると、このようになります。
宅録ボーカルの音質を上げるコツ…
- マイクとの距離は20cmに保つ!
近づきすぎるとこもった音になってしまう。
離れすぎると「部屋鳴り」が入ってしまい、加工しにくくなる。 - ゲインはメーターの半分くらいまで…
ゲインを上げすぎてピークを越すのはNG。
音量はDAW上で上げることができる。 ※すべての場合に当てはまる設定ではありません。初心者が設定に迷ったときの目安としてお試しください。
■ さらにいい音で録音したい…というひとに
これらの書籍にはここでは説明しきれなかった、ボーカル録音のコツがたくさん紹介されています。知識を集めることで自分の歌をもっと魅力的に届けることができるようになります。宅録をもっと極めたいという人は、ぜひチェックしてみてください。
「歌は録音でキマる!音の魔術師が明かすボーカル・レコーディングの秘密」伊藤圭一
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