ベース弦を選ぶとき、「いつも使っているゲージだから」「定番だから」と、なんとなく同じ弦を選び続けていませんか?
ベース弦はゲージだけでなく、巻線に使われる素材や芯線(コア)の形状、巻き方、コーティングの有無などによって、サウンドや弾き心地が変わります。
「もっとブライトな音が欲しい」
「今の弦は少し硬く感じる」
「新品弦のギラギラした音がちょっと苦手」
「コーティング弦は長持ちするけど、音や感触が気になる……」
そんなときは、ゲージ以外の部分にも注目してみましょう。
ゲージについては、まず現在張っている弦の太さを基準にするのがおすすめです。今回はその先の、音と弾き心地に注目して自分に合う弦を探してみましょう。
さまざまな素材・構造の弦をラインナップするDR Stringsを例に、ベース弦選びで知っておきたいポイントを紹介します。
01 「ステンレス」と「ニッケル」で選ぶ
ベース弦のサウンドを左右する要素のひとつが、巻線に使われる素材です。
代表的なのが「ステンレス」と「ニッケル」。
もちろん素材だけでサウンドが決まるわけではありませんが、欲しい音を探すときの大きな目安になります。
○ ブライトでパンチのある音なら「ステンレス」
ステンレススチールを使用したDRの定番モデルが「HI-BEAM」です。
ステンレスによるブライトでパンチのあるサウンドに加え、ラウンドコアを採用することで高い柔軟性を持たせています。
HI-BEAMを使用するMuseのベーシスト、Chris Wolstenholmeは、新品弦のブライトな音が好きで、HI-BEAMはライブを終えたあとでも新品のセットのようなブライトさを保っているとコメントしています。
輪郭のはっきりした音や、新品弦らしいブライトなサウンドが好きな人は、まずステンレス弦に注目してみるとよいでしょう。
○ 温かいトーンと柔らかな感触なら「ニッケル」
一方、「SUNBEAMS」はニッケルプレーテッドスチールを使用したモデルです。
DRは、ニッケルによる温かみのあるトーンと柔らかな感触、さらにラウンドコアによる高い柔軟性を特徴として挙げています。
「ブライトさよりも温かみが欲しい」「柔らかな弾き心地が好み」という人は、ニッケル系の弦を試してみるのもおすすめです。
○ ステンレスかニッケルか、の2択ではない!
PURE BLUESには「Quantum Nickel」と呼ばれる巻線が採用されており、ニッケルの温かさとステンレスのブライトさやエッジを組み合わせたサウンドと説明されています。
PURE BLUESを愛用するVictor Wootenは、初めてPURE BLUESを試したときから良い音だったと語っており、開封したばかりでも「すでに1日ほど弾き込んだような音」に感じられるところを気に入っていると語っています。
新品弦特有の強いギラつきよりも、少し馴染んだようなサウンドが好みなら、こうした弦を試してみるのも良いです。(筆者も一番好きなモデルです。)
02 同じゲージでも弾き心地が違う?「芯線」に注目
「同じくらいのゲージなのに、この弦は柔らかく感じる...」そんな経験はありませんか?
弦の中心には芯線(コア)があり、その形状も弾き心地を考えるうえで注目したいポイントです。
代表的なのが「ラウンドコア」と「ヘックスコア」です。
○ 柔軟性を重視したラウンドコア
先ほど紹介したHI-BEAMは、ステンレススチールの巻線にラウンドコアを組み合わせています。
DRはHI-BEAMの特徴として、高い柔軟性とスムーズな弾き心地を挙げています。
SUNBEAMSやPURE BLUESもラウンドコアを採用しており、それぞれ異なる素材・サウンドキャラクターを持ちながら、柔軟性も重視されています。
○ しっかりした感触のヘックスコア
一方、「LO-RIDER」はステンレススチール+ヘックスコア。
DRはLO-RIDERについて、HI-BEAMよりもやや硬めの感触で、深みのあるトーンと高域を併せ持ち、スラップ、ポップ、タッピングなどにも適していると説明しています。
つまり、「ステンレス弦なら、どれも同じような弾き心地」というわけではありません。
ゲージや巻線素材だけでなく、芯線にも注目すると、弦選びの幅がさらに広がります。
○ 同じプレイヤーでも、求めるサウンドによって弦を使い分ける
実際にHI-BEAMとLO-RIDERの両方を使用するベーシスト奥田和馬氏は、HI-BEAMでは存在感と心地よいテンション感、LO-RIDERでは力強いローエンドを評価しています。
さらに後ほど紹介するDragon Skin+も使用しており、同じDR Stringsの中でも複数のシリーズを使い分けています。
「どのシリーズが一番優れているか」ではなく、欲しいサウンドや弾き心地によって選ぶ、弦選びの考え方がよく分かる例です。
※ラウンドコア弦は「切る前」に注意!
ラウンドコア弦に交換するときは、弦を切る位置にも注意が必要です。
DRのラウンドコア弦には、丸い芯線と巻線が緩まないよう、芯線の一部を平らにつぶしたアンカーがあらかじめ設けられています。
弦の長さを調整する際、このあらかじめ設けられたアンカーよりもボールエンド側でカットする場合は、切る前に弦をしっかり折り曲げ、新たなアンカーを作ってからカットします。
そのまま切ってしまうと巻線が緩み、弦が死んだりイントネーションが不安定になったりする原因になります。
HI-BEAM、FAT-BEAMS、SUNBEAMS、PURE BLUESなどのラウンドコア弦を張る際は、DRが案内する取り付け方法もあわせて確認しておきましょう。
03 同じ素材・同じコアでも、音は同じじゃない
ここまで読むと、「素材とコアが同じなら、だいたい同じ音になるのでは?」と思うかもしれませんが、そう単純でもありません。
DRの「HI-BEAM」と「FAT-BEAMS」は、どちらもステンレススチール+ラウンドコアという組み合わせです。
FAT-BEAMSでは、通常よりゆっくりとした高圧縮の巻線工程を採用。
DRはその特徴として、より強調された中域、ブライトな高域、深い低域、そして全体的に太くパンチのあるサウンドを挙げています。
つまり弦のキャラクターを決めるのは、素材や芯線だけではなく、どのように巻くかという製造工程も、違いを生む要素になります。
ブライトさや抜けを重視するならHI-BEAM。
より太い低域や中域、パンチ感を求めるならFAT-BEAMS。
スペック上は似ている2つの弦でも、目指しているサウンドには違いがあります。
04 コーティング弦は長持ちするかだけで選ぶもの?
汗や皮脂などによる劣化を抑え、弦を長く使いたい人に人気のコーティング弦。
一方で、「コーティングすると音が変わりそう、指触りが普通の弦と違いそう」と感じ、避けている人もいるのではないでしょうか。
そんな人に注目してほしいのが「Dragon Skin+」です。
○ 表面だけじゃない。芯線から見直したDragon Skin+
Dragon Skin+は、単に弦の表面をコーティングしただけのモデルではありません。
採用されているのが、DR独自の「Accurate Core Technology」です。
一般的な弦は、芯線の周囲に巻線を巻き付けて作られています。
Accurate Core Technologyでは、芯線側に巻線を受けるための溝を設け、巻線をしっかり保持することによって、芯線と巻線をより一体として振動させることを狙った構造になっています。
DRはこの技術によって、トーンや音の立ち上がり、チューニングの安定性を高めるとしています。
さらに巻線には極薄のコーティングを施し、弦の振動をできるだけ妨げずに腐食などから保護するという、長寿命化だけでなくサウンドや弾き心地との両立まで考えられています。

○ コーティング弦が苦手なベーシストはどう感じた?
村田隆行氏は、それまでコーティング弦では演奏のニュアンスを十分に表現できないと感じ、好んで使用していなかったといいます。
しかしDragon Skin+についてはサウンドを評価し、極薄のコーティングによってノンコーティング弦のような感触が得られるとコメントしています。
また、HI-BEAMやLO-RIDERも使用する奥田和馬氏は、Dragon Skin+のStainlessとQuantum Nickelの両方を使用。コーティング弦特有の不自然な感触や、薄膜的なサウンドを感じないと評価しています。
コーティング弦を選ぶときは、何か月使えるのかだけでなく、音や弾き心地とのバランスも重要です。
寿命は魅力だけど、コーティング弦の音や感触が気になるという人にとって、Dragon Skin+は注目したい選択肢です。
05 ダウンチューニングなら、専用設計の弦も要チェック
レギュラーチューニングではなく、ダウンチューニングを多用する場合は、それを前提に設計された弦を選ぶ方法もあります。
DRの「DDT(Drop Down Tuning)」は、ヘックスコア+ステンレススチールに、Dragon Skin+にも使われているAccurate Core Technologyを組み合わせたダウンチューニング向けのモデル。
低いチューニングでも、チューニングとイントネーションの安定性を保つことを目的として設計しています。
Lamb of GodのベーシストJohn CampbellもDDTを使用し、特にその弾き心地を高く評価しています。
ダウンチューニングでは、単に太い弦に交換すると考えるだけでなく、チューニングそのものを想定して設計された弦を選択肢に入れてみるのもよいでしょう。
06 結局、自分にはどのベース弦が合う?
ベース弦は、単純にこの弦が一番いいと決められるものではありません。
欲しいサウンド、好きな弾き心地、奏法、チューニングによって選択肢は変わります。
| こんな人に | おすすめしたい弦 | 仕様 |
|---|---|---|
| ブライトでパンチのある音が好き | HI-BEAM | Stainless / Round Core |
| 温かく柔らかな感触が好き | SUNBEAMS | Nickel-Plated / Round Core |
| 新品弦の強いギラつきが苦手 | PURE BLUES | Quantum Nickel / Round Core |
| しっかりした弾き心地が好き | LO-RIDER | Stainless / Hex Core |
| 太い低域・中域、パンチが欲しい | FAT-BEAMS | Stainless / Round Core |
| 寿命と音・弾き心地を両立したい | Dragon Skin+ | Coated / Accurate Core Technology |
| ダウンチューニングを多用する | DDT | Drop Down Tuning向け |
弦交換のタイミングでは、いつもこれを使っているから...だけで選ぶのではなく、
- どんな音が欲しいのか。
- どんな弾き心地が好きなのか。
- どんな奏法やチューニングで使うのか。
についても、ぜひ一度考えてみてください。
弦を変えるだけでも、いつものベースから今までとは違った魅力を引き出せるかもしれません。
今回紹介したモデル以外にも、DR Stringsではフラットワウンド弦や5弦・6弦用、マルチスケール対応モデルなど、さまざまなベース弦をラインナップしています。
各シリーズの詳しい特徴やサウンドサンプルは「DR ベース弦特集」で紹介しています。
それでも迷ったら「DR弦 診断フロー」もぜひ試してみてください。
楽器やプレイスタイル、求めるサウンド、弾き心地、コーティングの有無など、いくつかの質問に答えていくだけで、自分の好みに合ったDR弦を探すことができます。
















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