
これは本物です。
前回の番外編ブログ にてTokai LS80の画像を掲載したところ「あっさりした虎杢だなあ」「トラ出てないじゃん」という声が耳に入りました。

昔はこれでもトラの出たレスポール、と思っていたのでした。確かに80年代後半くらいにもなると「バリトラ」と言う言葉も出てきて、本家Gibsonも躍起になって産地不明な感じのバリトラ材の楽器を市場に出していました。これほんとにメイプルなのか?みたいなあまりにも激しいトラが出たGibson Les Paul Classic Plusに店頭ではたきをかけながら、1993年の筆者は池袋で副店長をしていた店舗でこう思ったものでした。
「自分のトーカイみたいなトラだからいいんだけどな……」
世界中の虎杢好きの皆様を魅了してやまない「虎杢の話」を少し書いてみましょう。この手のお話もAIに勝てない気がするので、あくまでも自分流。お手本みたいな虎杢知識を得たい方は、Geminiとかをお訪ねください。
何が何でもAIの裏付けを信じますか?
お訪ねください、とか言いながら私はGeminiと虎杢の話をしてみるのでした。でもAI仕入れの情報をさも自分の経験で得たかのように話すことはしないように心がけましょう。
私: カタカタカタ(キーボード打った)「虎杢についての情報を調べる」 カチャッ(Enter押した)
Gemini: ピピッ、ピピピピ、キュイーン(こんな音は実際にはしません)
虎杢(とらもく)とは、木材の表面に現れる虎の毛並みのような美しい縞模様をした希少な「杢(もく)」のことです。
木材の繊維が複雑にねじれたり波打ったりする「縮み杢(ちぢみもく)」の一種で、光の当たる角度によって模様の見え方や輝きが立体的に変化する特徴があります。
虎杢の基礎知識
主な呼び名
海外や特定の楽器・家具の分野では、見た目のニュアンスによって様々な呼び名で使い分けられます。
- タイガーストライプ / タイガーメイプル: 最も王道の、虎の背中のような縞模様。
- フレイム(炎): 炎が揺らめいているように見える模様。
- カーリー(縮れ): 波状に細かくカールして見える模様。
- フィドルバック: バイオリン(フィドル)の裏板によく使われることから付いた名。
発生するメカニズム
樹木が育つ過程で、風雪の厳しい環境や自重、地形の傾斜などによる強烈なストレス(内部応力)がかかり、木の細胞(繊維)が規則的に波状に折れ曲がって成長することで生まれます。100本、1000本に数本しか現れない大変希少なものです。
虎杢が現れる代表的な樹種
| 樹種 | 特徴と用途 |
|---|---|
| メイプル(楓) | ギターやバイオリンなどの弦楽器で最も重宝される王道の虎杢材。 |
| ミズメザクラ・マカバ | 日本の国産材。和家具や高級工芸品などに珍重される。 |
| トチ(栃) | 絹のような美しい光沢のある虎杢(栃杢)が、一枚板のテーブルなどで人気。 |
| 屋久杉 | 非常に樹齢の長い屋久杉に稀に現れ、桁違いの希少価値を持つ。 |
注意:混同されやすい「虎斑(とらふ)」との違い
「虎」の名がつく木目には、虎杢(とらもく)のほかに虎斑(とらふ)があります。見た目や成り立ちが全く異なるため、混同しないよう注意が必要です。
- 虎杢(とらもく): 木製繊維の「波打ち」や「ねじれ」によって立体的な光沢が生まれるもの。
- 虎斑(とらふ): ナラやオークなどのブナ科の木を「柾目(まさめ)」で切り出した際、養分を貯蔵する「放射組織」という細胞が表面に帯状に露出したもの。銀色に輝くため英語では「シルバーグレイン」と呼ばれます。
虎杢の主な用途
- 高級楽器: Gibson(ギブソン)のレスポールなどエレキギターのボディトップや、バイオリンの裏板に最高峰の装飾として使われます。
- 高級家具・工芸品: 一枚板のダイニングテーブル、伝統的な和家具、高級万年筆や木製ペンなどの文房具に仕立てられます。
虎杢について、さらに特定の樹種や楽器(ギターなど)の使われ方など、詳しく知りたい項目はありますか?
以上、Geminiさんのレポートでした。
簡潔、箇条書き好きな人に受ける文体、ほれぼれしますね。
この様に現代ではAIに聞いてしまえば、何でも一通り(表層的ではあるものの)、知識が得られるので私が頭を悩ませる必要もないようです。それではまた次回に、ごきげんようさようなら。
・・・・・・シーン・・・・・
おいおい。せめてもう一歩踏み込んでくれよ~と嘆息の声が聞こえたような気がしたので、何かネタを探しましょう。
私がGemini回答で注目したのはやはりここです。
- 高級楽器: Gibson(ギブソン)のレスポールなどエレキギターのボディトップや、バイオリンの裏板に最高峰の装飾として使われます。
何としてでも「高」の文字を入れなければ人々の関心を呼ばない現代社会。「高級」「最高峰」が虎杢の条件なのでしょうか?しかも「Gibson」とか言っちゃってるし。AI、品がないよ。
高級品だけでは無い、お手頃な楽器でも虎杢の楽器があります。
そして日々バイオリンの検品作業をしていますと、虎杢の楽器はしばしば目にします。
Geminiの言う通り、出現の頻度は多くはありませんが低価格のバイオリンでも裏板に虎の出た個体は見かけます。
サウンドハウスのPLAYTECHブランドのバイオリンはおおむね廉価なシリーズです。
現在ラインナップではPVN744E、PVN744A、PVN644はほぼ虎の材が使われています。
まずはPVN644。本文冒頭の写真もPVN644です。なかなかのインパクト。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN644 バイオリン 4/4
PVN744A。薄く見えますが実際はもう少しはっきり見えます。上品な雰囲気。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN744A バイオリン 4/4 Advanced Model
PVN744E。楽器自体が古色仕上げ。この虎も薄めですがこの古色がオールドイタリアンのごとき雰囲気を醸し出します。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN744E バイオリン 4/4 European Model
PVN544でも虎の個体は多いです。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN544 アウトフィットバイオリンセット 4/4
裏板はワンピース。サウンドハウスの商品ページではセンター合わせの2ピースの個体の画像ですがまれにこういうワンピースの個体も出ます。実にいいですね。

PVN344(300番台の分数も含む)、PVN244は本来「素杢」(すもく、と読みます。虎杢などが出ていない材料の事です)の楽器がほとんどですが、時々虎の楽器を見ます。
分数のPVN310(1/10サイズ)で最近こういう楽器が出ました。どちらのご家庭に届くのでしょうか。背景の4/4サイズは大きさの比較で置きました。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN310 バイオリン 1/10
雰囲気はもはや「名機」です。

PVN244でも時にこういう楽器が出ます。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN244 バイオリン 4/4
ワンピースです。これもいいですね。

そして最も価格の安いPVN144。こんな裏板が使われています。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PVN144 バイオリン 4/4
何という美しい裏板、しかも1ピース。
お気づきですね。そう、これは単板の楽器ではないのです。「虎杢の化粧板を貼った合板」をプレスしてアーチを持たせて作った楽器です。
そして究極はこれでしょう。
PLAYTECHの最新型エレキバイオリン PEV244BR です。この虎杢は「プリント」です。印刷した化粧紙を表面に貼っているのです。よく出来ています。実に。
PLAYTECH ( プレイテック ) / PEV244BR エレクトリックバイオリン ブラウン 4/4
PVN144の化粧板、PEV244の化粧紙はニセモノ、とまでは言えないものの、削り出しの虎杢の材料ではありません。でもパッと画像を見ただけでは、本物かどうか分からないレベルのものを作っているわけですからすごい事です。
この様に「虎杢の使われた楽器はいい楽器」と既成概念が世界中に刷り込まれてしまっている現在、虎の出たバイオリン欲しいという需要に応えるべく、こういうバイオリンも沢山作られている訳です。
楽器の杢の話色々書けますが、残念ながらいっぱい書き過ぎるのもそれはそれで良くないので、今日はもう結論に行ってしまいましょう。
皆さんが聞きたい質問はこれですね。
「虎杢。音に関係するの? 虎の出た高価な楽器を買うメリットは?」
Geminiを使わない私の答え
虎杢の出た材料は一般的に硬質なため、音に対して好影響をもたらす要素は、100%ではありません。製作時の材の厚みで音色は決まりますが、厚過ぎると結果鳴らない楽器になってしまいます。
バイオリン(を含む楽器全般)の音は裏板だけで決まるものではありませんし、材料全体の性格、工作の精度、セットアップのされ方、張る弦の種類、使う弓、そして弾き手の個性、が全て音に直結します。素杢の楽器でもよい音の楽器は沢山ありますし、虎杢は見る人の目を奪う要素ではあるものの、音を決定させる要素ではない、と言えるでしょう。
でも楽器選びを目隠ししてすることなどあり得ませんし、仮にそれをやって音の良い(自分が気に入った)楽器を一本選んだら意外に安い楽器だった。という事も起きる事でしょう。そしてその楽器と、落選した楽器を見比べたら、落選した楽器を気に入ってしまうかもしれません。音が良いと感じたのは自分の錯覚、気の迷いだったかも。とさえ考えるかもしれません。人間というのはそういういい加減な生き物です。
楽器やオーディオのような「音質」に関わる買い物は実に決め手に欠けるものではあります。
音も虎杢も関心ないけど、このギター、ピンクで可愛い。と選ぶ女性もいるでしょうし、スピーカーをブランドとデザインで選ぶオジサンもいらっしゃるでしょう。
こう考えてくると虎杢であることを一つの条件と定めたなら、音は使いながら育てていく、という考え方の方が健全かもしれません。
PLAYTECHのバイオリンは価格お手頃ながら、高級品と見劣りしない楽器が手に入ります。ヨーロッパ材使用のPVN744Eは特におススメ。良い楽器ですよ。


きっとご満足いただけるでしょう。あれ?この個体トラ出てないじゃない??
先程も申し上げました通り虎杢=良材とは限りません。こういう素杢に近い質感を味わうというのも上級者的な感覚とも言えるでしょう。
言い切ります。虎杢は全てじゃないんです。でも個体差はありますのでそこはご了承ください。
ではまた次回に。














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