『弦楽器検品担当者のブログなのに、プロフィール欄に「Tokai LS80 1979年製」と書いてあって気になる』とおっしゃる方がいましたので、今回は全くの番外編。私物のTokai LS80 1979年製をお見せする内容とします。

ギター好きの方であれば、この型番だけでどういうものかお分かりかとは思います。「Gibson Les Paul 1958年製の完全コピー」みたいな広告展開でやってしまった、日本のエレキギター文化のひとつの頂点だったと言えるのでしょう。
こういう内容はもうすでにAIでお調べいただける時代になりました。もう私などは何も書かず、語らず、それでも誰も困りはしないでしょう。
でも何かしらこのブログから得られそうなネタがあれば幸いです。
なお、Tokaiからは現在でもレスポールのコピーは販売されています。現代のトーカイもかなりのクオリティですし、むしろ当時よりスペック面での研究は進んだと考えると、今のトーカイの方が良く出来ている面も多々あります。
でも今回ご紹介するLS80はその源流付近に位置する存在ではあります。
この楽器を入手した頃
1979年、昭和54年。筆者は高校2年生。当時、青森市にあった「文明堂楽器店」で購入した楽器です。店頭に並んでいた在庫ではなく、通り寄せてもらいましたが、当時のお店の責任者だった下田専務さんが、「虎目の出ているギター欲しいでしょ?」とわざわざメーカー=東海楽器に手配してくれたものだったのです。こちらの心の中はお見通しだったというわけです。
そして届いた楽器はこちら。

このTokai LSが発売された当時、手書きのカタログが存在していました。
見開きの新聞紙位の大きさのカタログで、冊子になっていなかったものです。この画像が上下で分かれているのはスキャンするのがこれが限界だったからです。

実際にギターを手に入れるまではこのカタログを穴のあくほど読み込んで、想像を膨らませていたのでした。
不思議と言えば不思議、偶然と言えばそれまでですが、後年1990年代勤務していた楽器店時代。70年代東海楽器に勤務されていたH氏、そしてこのカタログを書いたデザイナーのF氏と、仕事を一緒にする時期がありました。世界が狭いのか、つくづくTokaiに縁があったのか。
ヘッド

1,6弦のペグ穴の配置が1mm程度開いている、トラスカバーの位置が少しナット寄り過ぎ、ヘッドのツキ板がプラスティック、などアラ探しはできるものの、よくぞここまでの再現度ではあります。
手書きカタログにも書いていますが、クルーソンタイプのペグである事がヘッドのデザインに大きく関わっている事は言うまでもなく、バランスのいいデザインだと思います。
ヘッドの角度

ヘッド角はカタログには18度、とありますが後年本家のヘッド角は17度だったことがグレコなど他のコピーモデルの研究データで明らかになったようです。
ボリュート無しのマホガニー1ピースネック。形状も秀逸な加工だと思います。
ペグ

ペグは2コブのクルーソンタイプ。50年代は1コブのはずなので、この2コブはもう少し後の60年代以降のギブソンの仕様になると言えるでしょう。
手書きカタログにも書いてありますがこのペグボタン、色見がなかなかのものです。白過ぎず黄色過ぎず。勿論本物のように縮んだりはしていませんが、実にオールドレスポールのフレイバーを感じさせてくれるパーツなのです。
ナット、フレット

20年ほど前にナット水牛に交換しています。元々の牛骨が劣化してしまったので。だから色が黒いのです。
フレットはオリジナルですが、すり合わせをやっているので高さは低くなりましたがまだ大丈夫そうです。フレットエッジバインディング。ギブソンらしさ(トーカイなのに)を感じられる重要なポイントです。
ネックの幅、グリップはやや太めですが実に「ギブソン」なのです。長年弾いているせいか、このギターのネックが自分にとってのデフォルトになってしまいました。
ローズ指板、白蝶貝インレイの指板もとても良い仕上げだと思います。
ボディ

当時虎目のギターは数が少なく、上級のLS200などに虎杢(削り出しのもの)が用いられていました。しかしこのLS80は前述の通り、取り寄せして貰ったギターなので20万円のLS200程のバリ虎ではないにしても、8万円で虎杢のギターを手にする事が出来たわけです。虎が出ているレスポールはやはり魅力的です。
バック

バック材は現代では希少な1ピースのマホガニーです。産地は不明ですがホンジュラスマホガニーではないでしょう。何故ならこのギターはとても重いからです。
細かいパーツの変更
オリジナルのトグルスイッチは白でしたが茶色のものに変えています。

リアピックアップはDImazio PAF、フロントはセスラバーに交換しています。
もちろんオリジナルのピックアップも大事に保管しています。

これだけのスペックを備えた「コピーモデル」のTokaiレスポール。これが発売されてすぐ、意匠関係での本家クレームなどいろいろな経緯を経てLove Rock時代へと変遷していくわけで、ごく短い間だけの「Les Paul Reborn」でした。
Tokaiも含めてGrecoのMint Collectionなど日本メーカーの圧倒的な熱量がやがて本家を突き動かし、後のGibsonの数々のオールドリバイバルへの刺激になった存在だったかもしれません。
今日最後にお見せするのは、当時店頭でつけたであろう楽器用のタグです。

タグの下部が剥がれていますが、ここに当時はLS80 と書かれていたと記憶しています。
こういうレベルの楽器がずらり並ぶ中に本家のGibson LesPaulは確か30万くらいでショーケースの中に鎮座していました。それでもこのTokai は見劣りする楽器では無かったので誇らしい気持ちになったものです。
今回はここまでです。

あれ?音は聴けないの?というお声が聞こえてきたらまたの機会に。
ちなみに筆者のピックはべっ甲のリッチーピックです。

これも40年くらいたっています。大分小さくなりました。
レスポールなのに・・リッチー? まあいいではありませんか。
名城商会 ( メイジョウショウカイ ) / 本鼈甲ピック ベース型Ⅱ(リッチータイプ) 1.2mm
まだサウンドハウスでも手に入りますよ。







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