ギタリスト・ベーシストの皆様。グラフィックイコライザーはお持ちでしょうか?歪系や空間系のエフェクターなど、音色が劇的に変化するエフェクターと比較しますと「地味」という印象は拭えません。「同じお金を出すのなら派手なエフェクターが欲しい」という気持ちもよくわかります(かつての自分)。また「アンプについてるイコライザーで十分じゃないの?」なんて思っている方もいるかもしれません(やはりかつての自分)。なのですが、声を大にして言いたいのが「グライコこそ最強にして必須のエフェクターである」ということ。なぜそんなにグライコ推しなのか、その理由について解説していきたいと思います。

グライコの魅力①
基本の音をしっかりと作り込める
ギターにしても、ベースにしても「基本となる音」が肝心です。アンプにつなぎ、ボリューム、ゲインを調整し、アンプ付属の3バンドイコライザーを好みの値にセッティングして、ガツんと鳴らすでもよいのですが、それだけでは物足りないなにかを感じることもあるものです。
そんなときに役立つのがグラフィックイコライザー。音に厚みが欲しいときには「1kHzあたりをほんのりと持ち上げる」や、ヌケをよくしたいときには「200Hz付近をちょっと減らす」など、細かな調整が可能です。
かっこよい演奏は、しっかりとした「基本の音」があってこそ。そこではグラフィックイコライザーが役立つものです。
グライコの魅力②
バンドで際立つ音を作れる
「ギター単体で弾いていると気持ちのよい音なのに、バンドになったとたんヌケの悪さを感じる」といった経験ありませんか?その原因のひとつは「ベースやドラムの音との競合」かもしれません。そんなときにはベースの音とかぶりがちな100Hz付近を下げてみると、ギターの音がスッと抜け出すはずです。
あるいは、「ギターがボーカルの邪魔をしている…」などと言われたときには、2kHz付近をカットすることにより、問題が解決するかもしれません。グラフィックイコライザーはギターの音作りだけでなく、バンド全体としてのサウンドメイキングに役立つアイテムなのです。
グライコの魅力③
ソロを弾くときのブースターとしても便利
上で述べた通りですが、ギター単体でかっこよい音と、バンド全体を考えたときによい音は若干異なるものです。ということは、グラフィックイコライザーでギターが目立つ音を作り込んでおけば、ギターソロで目立てるということになります。
ソロで歪み系のエフェクターを踏む方も多いと思いますが、歪系エフェクターの魅力を最大限引き出すのにもグラフィックイコライザーは役立ちます。地味と思われがちなエフェクターですが、「目立ちたい」と考えている方にも魅力的なアイテムなのです。
グライコの魅力④
ハウリング防止に役立つ
「ステジオでの練習中、ギターが妙にハウる…」といった場合にもグラフィックイコライザーは役立ちます。えてしてハウリングは特定の周波数帯が問題を引き起こしているもの。その帯域をちょっと下げればギターがハウることなく練習に集中できます。せっかくお金を払っているのですから、ハウリングにヒヤヒヤしながら練習なんてもったいない。是非ともグライコを導入しましょう。
ここまで紹介してきた通り、ギタリスト・ベーシストにとって、グラフィックイコライザーの導入にはさまざまなメリットがあります。また、グライコを使い続けていると、「周波数と音の関係性が見えてくることも」も大きなポイントです。「ココが美味しい」といったことが感覚的につかめると、音作りに深みが増します。それはギタリスト・ベーシストにとって、大きな武器となるもの。これこそがグラフィックイコライザーの最も魅力的な部分と言えるのかもしれません。
グラフィックイコライザーの悩ましいこと
ここまでやグライコのよい面ばかりを紹介してきましたが、全てがよいことばかりではありません。当然のように悩ましいポイントも存在しています。グライコ導入時の悩みといえば、兎にも角にも「使い方が難しい」です。
歪系や空間系エフェクターと異なり、グラフィックイコライザーの効果はわかりにくいものです。なおかつ、大量のスライダーがついており、「どこをどうすれば自分好みの音になるのか」を理解するまでにはそれなりの時間を要します。「買ってはみたけれど使いこなせなかった…」なんてケースもあるものです。
グライコを使いこなすためのポイントは、「まずはスライダーを極端に上げ下げしてみる」です。そうすれば、多かれ少なかれ音の変化を感じられます。その経験が積もり積もって使い方のカンとなっていくものです。
もう一つのポイントは「最初は上手く使えなくて当たり前」と割り切ること。「使いこなすのは無理」と諦めずに、とりあえず使い続けてみてください。しばらくすると、なくてはならない存在となるはずです。この記事を読んでグラフィックイコライザーが気になった方はぜひ導入を検討してみてください。新たな世界がひらけるはずです。
おすすめのグライコ
BOSS ( ボス ) / GE-7
使い勝手に優れたギタリスト向け定番イコライザーです。調節できる周波数は100Hz、200Hz、400Hz、800Hz、1.6kHz、3.2kHz、6.4kHzの7バンド。それぞれの帯域を±15dBの範囲で調節できます。ブースト・カットの効きがよいため、積極的な音作りが可能です。
ベーシストは姉妹品であるGBE-7をチェックしてみてください。ベースに美味しい50Hzから10kHzの帯域を調節できます。

GE-7/GBE-7ともにバイパス方式はバッファードなことには留意が必要。オン・オフの切り替えを頻繁に行う方にとっては、オフ時の音の変化が気になる可能性があります。
MXR ( エムエックスアール ) / M108S 10 Band Graphic EQ イコライザー
ギターもベースも楽しんでいる方におすすめのグラフィックイコライザーです。対応している周波数帯が31.25Hzから16KHzと幅広いことが特徴で、ギターとベースそれぞれにとって重要な帯域をカバーしています。10バンドで、調整できる範囲は±12dBと細かな調節をしやすいことも魅力です。
トゥルーバイパス方式で、オフ時の音の変化を気にする方にもおすすめ。スライダーはLEDが内蔵されており、ライブハウスなど暗い場所でも設定を着実に確認できます。筐体は高級感・重厚感があり、持っていると気分が上がるエフェクターのひとつです。
電源が18Vのみ対応なことには注意が必要。本体にはACアダプタが付属していますが、18Vの出力可能なパワーサプライを持っていない場合には電源周りがごちゃつきがちです。また、幅124mmとそれなりに大きいことも覚悟しておく必要があります。
BOSS ( ボス ) / EQ-200 GRAPHIC EQUALIZER
メモリー内蔵で設定の保存ができるグラフィックイコライザーです。バッキングやソロなど、シーンに合わせた音の作り込みを行えます。設定の呼び出しは簡単に行えるため、ライブなどで頻繁に音色を切り替えたい方にも便利です。ディスプレイを搭載しており、イコライジングの状態をグラフィカルに表示するなど、視認性・操作性も考慮されています。
中心周波数は30~12.8kHz、32~16kHz、28~14kHzの3種類から選択可能。ギター・ベースの両方に使用できます。10バンドで、細かなサウンドの調節が可能です。
注意点は消費電流が170mAと比較的大きいこと。パワーサプライで電源を供給する予定の方は、電流容量の最大値などをチェックしてみてください。
Effects Bakery ( エフェクツベーカリー ) / Choco Cornet EQ
出費を抑えつつ、グラフィックイコライザーを試してみたい方におすすめのアイテムです。グライコとしては比較的リーズナブルな価格が特徴。安めの価格帯とはいえ機能は十分で、ギターの音色をしっかりと調節できます。マスターとボリュームがそれぞれ搭載されており、オン・オフ切り替え時の音量を一定に保ちやすいことも魅力です。
5バンドのため、音を細かく調整したい方には物足りなく感じる可能性があります。一方で、つまみが少なく扱いやすいことは大きなポイント。エフェクターを使いこなすのが苦手な方やこれからグラフィックイコライザーを使ってみたい方におすすめです。
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