今回は材質の異なる3種類のビーターを試してみました。やはり材質が異なるだけで、音色や感触などに大きな差が表れます。未体験のものがあれば、ぜひ実際に試してみてください。新たな発見があるはずです!(★による評価は担当者の独断と偏見で行いました。ご了承ください。)
■TAMA / CB90W
ヘッドにヒットする部分がウッドのビーターです。ラップっぽく言ってみました、はい。第1回で使用したCB900PSのシャフトを流用しているため、実際とはヘッド中心部の色が異なります。性能は同じですのでどうかお許しください。
恥ずかしながら、実はウッドビーターを試すのは初めてです。当初の予想通り、アタックはなかなか強めですね。ただ、ビーターの頭が重すぎないせいか、嫌なベチベチ感はなく、フェルトばかり使う私でも気持ち良く叩けました(ヘッドはREMOピンストライプクリアを使用)。ヘッドとの接地部分だけをウッドにしているため、軽めのアクションで、とてもコントロールしやすいです。ウッドビーターはハードロックやヘヴィーメタルで使用するイメージが強かったのですが、CB90Wならジャンルを限定せず、コントロール性能はそのままにアタックだけ強調したい時に使えます。音色は比較的さっぱりしていて、カラッと乾いた音が心地良いです。
- 音量
- ★★★☆☆
- アタック
- ★★★★☆
- コントロール
- ★★★★☆
- 重量
- 約89.7g
■TAMA / CB90R
こちらも同じくシャフト流用のため、実際とはヘッドの色が異なります。ビーターヘッドだけ取り換え可能なのはTAMAの強みでもあります。決して私がケチなのではありません。
ラバー製のヘッドは、ウッド同様、かなりアタック音が強調されています。ただ、ウッドとはアタックの質が違うように感じます。ウッドほど尖ってはいないものの、フェルトほど丸すぎない、かといってその中間というわけでもなく、ラバー独特の硬さがあります。全体的に低音のふくよかさよりは、やはり粒立ちの良さが際立ちます。
音色は、ウッドがさっぱりしているのに対して、ラバーは粘り気がある印象です。もちろんアタックを求めてメタルに使用するのもありですが、ネオソウルやアシッドジャズ系で、じめじめとしたウェットな楽曲にも使いたくなります。ビーターヘッドは比較的重めなので、シャフトの長さを調整してうまくコントロールする必要があります。
- 音量
- ★★★★☆
- アタック
- ★★★★☆
- コントロール
- ★★★☆☆
- 重量
- 約96.7g
■VIC FIRTH / VIC-VKB1
まるで焼印を入れたお饅頭のような、おいしそうな見た目のフェルトビーターです。完全に見た目に惹かれて試してみました。ヘッドの頭はしっかり重みがあり、硬めのフェルトです。力いっぱい踏み込まなくても、自重だけでかなり鳴ります。ドラムヘッド全体が鳴らせるようなイメージで、かわいい見た目とは裏腹にとてつもなくパワフルです。
科学的な根拠はありませんが、他のビーターでは聴こえなかった低音成分が出ているのではないかと思うくらい、ずっしりとした奥深い低音が響きます。コントロールに関しては、第1回で登場したDW / SM101と似ており、軽いビーターに慣れている人は、その重さに多少の苦戦を強いられるかもしれません。高速フレーズは難しいものの、ゆったりしたフレーズであれば軽く踏むだけで芯のある音が出るので、使いこなせれば出番は多いと思います。

実はVIC-VKB1は写真のように、ロゴ面を横に向けて、サイドで叩くこともできます。正面に比べて、アタックが若干強くなる印象です。正面ほど地を這うような低音ではありませんが、他のビーターと比べると十分パワフルです。4つ打ちでどっしりと構えたい時には正面で、多少細かいフレーズが出てきたらサイド、と使い分けられます。
正面
- 音量
- ★★★★★
- アタック
- ★★★☆☆
- コントロール
- ★★☆☆☆
サイド
- 音量
- ★★★★☆
- アタック
- ★★★★☆
- コントロール
- ★★☆☆☆
- 重量
- 約95.8g