
ロックバンド、QUEEN(クイーン)のボーカリスト、フレディ・マーキュリーを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」。フレディ・マーキュリーという、唯一無二のパフォーマーの光と影をドラマティックに描いた映画は、ゴールデングローブ賞で2冠に輝くという偉業を成し遂げました。2019年以降もヒットし続けるのではと言われております。
まだまだ、これから観に行かれる方も多いと思いますので、映画の内容にはあまり触れませんが、作品の中で登場するフレディ・マーキュリーのソロ・アルバム「MR.バッド・ガイ・フレディ・マーキュリー」。

映画の中ではあまり内容に触れられておらず、現実でも少々ニッチな作品です。しかし、聴いてみると研ぎ澄まされたような美しいメロディーと、シンセのアレンジが光る高貴なポップセンス。クイーンのレコードで聴けるような、ダイナミックなロックとは違い、もっと幅広い層に訴えるようなフレディの歌がここには詰まっています。中でも、化粧品のCMで使用された「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー (I Was Born to Love You)」は、耳にすれば「あの曲か」と思われる方も多いはず。フレディの死後、クイーンのバンド演奏を追加したバージョンがTVドラマで使用され大ヒットしたことで、クイーンの人気曲の1つとしても知られています。
そんな魅力的な曲が詰まったソロ・アルバムを、久々にカーステレオのCDで聴きたいと思い探しましたが、廃盤になっているようです。諦めかけていたその時、リサイクル店でレコード盤を見つけ、リーズナブルな価格で入手。
ということで、フレディ・マーキュリーが、クイーンとは違ったカリスマ性を見せたソロ・アルバム『Mr.バッド・ガイ』 (Mr. Bad Guy)のレコードから、AMERICAN AUDIOの VERSAPORTを使ってハンドメイドのCD-Rを作成してみることにしました。
AMERICAN AUDIO (アメリカンオーディオ) / VERSAPORT

ジャケットの中には、ピンナップやポスター風の歌詞/解説が入っていました。フレディがアイドルとしても人気の高い存在であることを改めて感じさせられます。

さて、PCを立ち上げ、VERSAPORTを接続。以前のブログでご紹介したとおり、接続は簡単です。フォノ・イコライザーが搭載されていて、レコードプレーヤーを直接つなぐこともできます。今回は自宅オーディオのスピーカーから音を出しながら取り込むため、オーディオ・プリアンプのAUX出力から接続しました。PCの録音ソフトを立ち上げて、録音を開始します。
さて、それでは録音を楽しみながら、このアルバムの内容に少しだけ触れていきたいと思います。


オープニングは弾けるようなシンセと、力強いフレディの歌の相乗効果が楽しめるエレポップ。いかにも80年代のポップナンバーといったアレンジですが、あまり古く感じないのは、フレディの歌の存在が大きいからでしょうか。
「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」は、上述した通り、フレディ・マーキュリー作品の大人気曲です。クイーンによるロック魂溢れるバージョンもいいですが、このシンフォニックなシンセを主体とした、ポップなアレンジはとても上品。フレディの紳士的な魅力に溢れていると思います。化粧品のコマーシャルで使用されるのも納得の美しさ。普段クラシックを聴いている方には特におすすめしたいバージョンです。この曲におけるフレディのボーカル、本当に素晴らしいです。
「恋のかけ橋」は、ほんのりゴスペルチックな軽めのファンク。フレディのルーツと、巧みなポーカルテクニックが楽しめる、A面ラストに相応しい実に楽しいナンバーです。
録音を一時停止して、B面にひっくり返して、後半戦スタートです。

B面は、フレディのクラシカルな趣向が爆発した、力強いアルバムタイトル曲「MR.バッド・ガイ」でスタート。シンセサイザーによるオーケストレーションが、ドラマティックに展開していきます。ニルヴァーナ(1960年代イギリスのバンド、カート・コバーン率いるニルヴァーナとは別)のような美しさが、ブリティッシュ・ロックファン心をくすぐります。
「男のパラダイス」はアルバム中もっともロックした、クイーンを思い出させる曲です。エンディングはお得意のオペラ洋式美で締め、フレディ・ワールドが全開です。
「人生にはもっと意味があるはずだ」と力強く歌われる感動的なロックバラード「生命の証」。シンセ・アレンジの美しさと、フレディの声が美しく絡んでいて、このアルバムのハイライトと言えると思います。

大団円を飾る「明日なき愛」は美しいバラード。フレディの絞り出すようなボーカルが切なく響きます。今日しかないかもしれないという歌詞をソウルフルに歌い上げている様は、妻だったメアリーのことを歌っているのでしょうか。悲しくも感動的な歌です。映画を観た後に聴くと涙が込み上げてきそうです。
さて、録音が終わりましたら今度はカーステで聴けるようにCD-Rに焼きます。盤だけでは寂しいためジャケットをスマフォで撮影してエクセルで作成。

表と裏ジャケットは帯がついたままにして撮影。ケース裏側に入れる部分は1980年代のCDソフトをイメージして、ライナーの邦題表記部分を裏ジャケットと合成してみました。こんな裏ジャケありましたよね?最後に特典のピンナップを小さくコピーしたものを添えて完成。
カセット時代を思い出すような、手作り感あふれる仕上がりですが、あくまで私的な再生を目的につき、かえって温かみがあっていいかもしれません。

実に上品なこのアルバムが、カーステで聴ける幸福感は格別です。もっと注目されてほしい、秘宝箱のようなこのソロ・アルバム。
しばらく車内BGMはこの一枚になりそうです。