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GMドラムマップの基本と使いどころ──音源が違っても崩れないMIDI共有術

2025-12-31

Theme:sound&person, sound

バンド活動やサークル内で作曲をしていると、メンバーにデモ音源やアレンジ案を共有する機会は多いですよね。特にドラムパートは楽曲の骨格を形作る重要な要素であり、ドラマーにアレンジを任せたい場合や、細かなフレーズのニュアンスを詰めたい場合には、オーディオデータだけでなくMIDIデータを共有するほうが便利な場面が増えてきます。

しかし、ここでひとつ大きな問題が生じます。それが「ドラムマップの違いによる再生のずれ」です。

ドラムMIDI共有の落とし穴

アレンジがほぼ固まっている段階であれば、2mix音源やパラデータをそのままメンバーに渡せば事足ります。ですが、デモ段階でドラマーに「ちょっとアイデアを追加して欲しい」「このフィルだけ調整して!」というような場合は、MIDIデータを渡してDAW上で直接編集してもらえると非常に効率的です。

ところが、メンバー全員が同じドラム音源を使っているとは限りません

むしろ、LogicやCubase、Studio One など、それぞれのDAWに付属する純正ドラム音源を使っているケースのほうが普通でしょう。また、サードパーティー音源を使っている場合も、Addictive DrumsSuperior DrummerEZdrummer など種類はさまざまです。
そして音源ごとにドラムマップ(どのMIDIノートにどのパーツの音が割り当てられているか)が異なるため、そのままMIDIを渡すとまったく違うグルーヴになってしまうことがあるのです。

例:AD2で作ったビートをLogicで鳴らすとどうなる?

実際に、Addictive Drums 2(AD2)で打ち込んだシンプルな8ビートを、Logic Pro の純正ドラム音源に差し替えて鳴らしてみるとどうなるでしょう。

■ AD2のドラムマップで作った8ビート

■ AD2のドラムマップのままLogicのドラム音源に読み込ませた場合

結論としては、

  • ハイハットがタムに化ける
  • フィルが崩壊する

といった問題が起きます。
つまり、フレーズの意味がまったく変わってしまうわけです。
ドラムは楽曲のリズム的な土台ですから、崩れてしまうとデモの意図すら伝わらなくなってしまいます。

そこで出てくるのが「GMドラムマップ」

この問題を解決する最も一般的な手法が、GMドラムマップを使用して打ち込む方法です。

GMドラムマップとは?

GMドラムマップとは、MIDI音源の標準規格である「General MIDI」(GM)で定められた、ドラム楽器の音色割り当て表のことです。
これにより、異なるメーカーのMIDI音源を使用しても、同じ演奏を同じように再生できるようになります。

多くのドラム音源にはGMドラムマップが搭載されている

大抵のドラム音源ソフトには、内部のドラムマップをGMに合わせる設定が用意されています。

※AD2は設定でGMマップに変更可能

実際にGMドラムマップで打ち込んでみる

試しに、AD2のマップをGMに変更したうえで8ビートを打ち込み、それをLogicに読み込ませてみます。

■ GMドラムマップに変更してAD2を打ち込んだ音源

■ 上記の打ち込みデータをLogicに読み込ませた場合

結果はほぼ同じ内容で再現されました
もちろん音源が違うので完全一致とまではいきませんが、意図したビートを共有するには十分な精度です。

GMドラムマップの強みと弱み

しかし、GMマップにはメリットだけでなくデメリットも存在します。

GMドラムマップのメリット

  • 異なる音源環境でも再現性が高い
  • DAW純正音源でも問題なく鳴る
  • デモ段階の共有に向いている

GMドラムマップのデメリット

最大の弱点は、表現の細かさが犠牲になるという点です。
たとえば AD2 の場合、ハイハットの開き具合がCloseとOpen合わせて8段階でコントロールできるのに対し、GMではOpen / Close の2種類なので、表現幅が極めて限定されます。
つまり、本制作段階での細かい打ち込みには不向きというわけです。

実践的な使い分け

以上を踏まえると、GMドラムマップは以下のように使い分けるのが最適です。

GMドラムマップが向いている場面

  • 曲のデモをメンバーに共有する段階
  • ドラマーにアレンジを依頼する初期フェーズ
  • 異なる音源を使っているメンバー間でMIDIを共有する場合
  • DAW純正音源でとりあえず鳴らしたい場合

GMドラムマップが向いていない場面

  • 本番用アレンジを作る時
  • 音源の持つニュアンスを最大限生かしたい時
  • 細かなベロシティやアーティキュレーションを作り込みたい時

まとめ

GMドラムマップは、異なるドラム音源環境でもフレーズが崩れにくいという大きな利点があります。バンドやサークルで曲を共有する際、デモ段階での打ち込みには非常に相性が良く、ドラマーとのコミュニケーションもスムーズになります。
一方で、ニュアンス表現が制限されるという弱点もあるため、最終的な制作段階では音源側のオリジナルマップに切り替え、細かなアーティキュレーションを詰めていく必要があります。
状況に応じてぜひ使い分けてみてください。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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kouhei

千葉県出身。ギタリスト兼ベーシストとしてロックを中心に様々なジャンルを演奏するマルチプレイヤー。またDTMにも精通しており、ドラムプログラミングやBGM制作、カラオケ音源制作なども手掛ける。
Twitter https://twitter.com/ike_kohei
Instagram https://www.instagram.com/ike_kohei_gt/
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