Greetings! 新米ライターのMarkです。
今回はIK Multimediaが世界に誇るアンプシミュレータープラグイン「Amplitube(アンプリチューブ)」のお話。
最近は後継モデル(兄弟モデル?)の「TONEX」の方が話題になりがちですが、Amplitubeの価値は未だ健在。
使いやすさ・サウンドクオリティ・公式コラボの数・価格のバランスにおいてAmplitubeを明確に上回るプラグインは存在しないのではないでしょうか。
さてそんなAmplitube、コラボメーカー公式モデリングや往年の名機だけを収録しているプラグインではありません。他では見ない変わり種や、若いプレイヤーは知らないようなエフェクト・アンプもたくさんあるんです。
その中から特におすすめ(私のお気に入りとも言う)のプラグインをご紹介します。詳しい使い方が説明されていないものについては補足もしていきますので参考にしてみてくださいね。
■ AmpliTube Brian May 「Red Special」
追加コンテンツ「AmpliTube Brian May」に収録されているエフェクトです。
(単体購入可能。Amplitube5 MAXにも含まれています)
これはですね…なんと普通のギターの音をレッド・スペシャル風に変換してしまうエフェクトなんです。
Red Special
ブライアン・メイと彼の父ハロルドが共同で制作したオリジナルギター。1960年代に完成して以降ブライアンの愛機として使われ続けている。公式レプリカが存在し、サウンドハウスではもっともお手頃なモデルが購入できる。
レッド・スペシャルは本体のみならずピックアップを含めた電気系統も自作のため、既製品のギターにはない独特のサウンドを持っています。
そんなブライアン・メイサウンド/レッド・スペシャルサウンドをデジタル上で再現できるのはファンのみならず嬉しいところ。
UI各部の機能はこのようになっています。
ピックアップは左からリア・センター・フロントで、それぞれに対応するスイッチが上下に配置されています。
上部スイッチはピックアップのオンオフスイッチ。0がオフ、1がオン。レッド・スペシャルのピックアップは「直列配線」されているので、2つ以上オンにするとミックスとは異なるパワー感のあるサウンドになります。
ちなみにブライアンメイは、リアとミドルをオンにした状態を基本セッティングとしているそうです。
下部スイッチはピックアップの位相を逆にする「フェイズスイッチ」です。スイッチを上にするとそのピックアップの位相が逆相になります。
ムスタングでよく知られる「フェイズ・アウト・サウンド」を3シングルで体験できる素敵な機能です。
ボディ最上部にあるスイッチは変換元のピックアップを指定するスイッチです。シングルコイルなら左、ハムバッカーなら右、レッド・スペシャルならセンターにします。
ボディ下部左側はボリューム、右側はオンオフスイッチ。ここはわかりやすいですね。
前述のブライアンメイの基本セッティングを再現する場合は、左と中央のピックアップをオンにすればOK。ここをスタートにして様々なセッティングを試してみましょう。クイーンの曲以外でも役立つとても良いエフェクトだと思います。
■ AmpliTube Brian May 「Star Gate」
追加コンテンツ「AmpliTube Brian May」に収録されているエフェクトです。
(単体購入可能。Amplitube5 MAXにも含まれています)
メイのエフェクト、アンプに最適化されたオリジナルのノイズゲートです。
シンプルなワンノブゲートなのですが単にスレッショルドを決定するだけでなく、インテリジェントに効いている感触があります。標準のノイズゲートがしっくりこないという場合に役立ちます(私はこれをメインで使っています)
■ AmpliTube Brian May 「BM DK/1x6 BM DK」
追加コンテンツ「AmpliTube Brian May」に収録されているアンプシミュレーター/キャビネットシミュレーターです。
(単体購入可能。Amplitube5 MAXにも含まれています)
これはクイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンが制作した「Deacy Amp」のモデリングです。
電気工学を学んでいた彼はSupersonic PR80(卓上ラジオ)の回路を取り出し、Elacの英国製スピーカー2発を収めたキャビネットに接続。9V電池で駆動するギターアンプとして生まれ変わらせました。
ディーキーアンプはメイの手にわたりレッド・スペシャルと共にブライアン・メイ・サウンドの形成に貢献しました。かの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」で使われたのもこのディーキーアンプです。
このプラグインはディーキーアンプの特徴を高度に再現しています。
ゲインやボリュームといったコントロールは一切なし。その代わりアンプの横に9V電池(PP9という大きいもの)が置かれています。
電池の上にあるノブは「電池の消耗具合を調節するノブ」です。
(信じられないかもしれませんが)音響機器は電源の質や種類によって出音が変わります。
特にシンプルなアナログ回路の場合その影響は顕著になるため「ある程度消耗して電圧が落ちた電池の音がいい」として、パワーサプライを使わずに電池で機材を運用していることもあります。BM DKはこの消耗具合までシミュレートしているわけです。
キャビネット設定画面も特別仕様。テーブルの上にアンプと電池が置かれたグラフィックになっています。こういう遊び心もIK Multimediaの魅力ですね。
■ AmpliTube Joe Satriani 「Boston 100」
追加コンテンツ「AmpliTube Joe Satriani」に収録されているアンプシミュレーターです。
(単体購入可能。Amplitube5 MAXにも含まれています)
これは「Rockman X100」のモデリングです。
Rockmanはボストンのリーダー、トム・ショルツが立ち上げたSR&D社のブランド。そのラインナップのひとつとして製造されたヘッドホンアンプがX100です。
X100はポータブルアンプにも拘わらず様々なバンドのレコーディングで使われた歴史を持っており、今なおレプリカ品や状態の良い実物を求めるプレイヤーが存在します。国内だとB'zの松本孝弘さんが著名なユーザーですね。
X100のコントロールはとてもシンプル。
エコーとコーラスのオンオフ、アンプモードの切り替え、出力レベル選択、電源オンオフのみ。Boston 100ではここにインプットレベルの切り替えが追加されました(実機はジャック差し替え式)
1984年生まれにも拘わらずアンプライクなサウンドを実現しているほか「X100ならでは」の絶妙なエフェクトが魅力の一品で、両方のエフェクトをオンにすると太くさわやかなサウンドが鳴り響きます。
ひとたびハマると抜け出せなくなる中毒性。AmpliTube Joe Satrianiを購入した日は丸一日これを弾いてました(笑)
X100は様々なメーカーからレプリカ品が発売されていますが高価な品が多いので、お手軽価格で体験したい人に最適なエフェクトと言えます。
こちらのキャビネット設定画面も特殊仕様。元がアンシミュヘッドホンアンプなのでマイキングはできません。その代わりにサトリアーニ和尚のサングラスが置いてあります。
■ 未知を体験するためにプラグインを活用しよう
マルチエフェクター・アンプシミュレーターはどうしても有名メーカーの定番モデルが注目されがちですが、製品によってはこういった変わり種も存在します。
狙い撃ちで買うばかりでなく「自分が知らない機材」を体験するためにプラグインをディグるのもおすすめですよ!
IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / AmpliTube 5 MAX v2 ダウンロード納品
■ Amplitube5 MAXバンドル製品
IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / AXE I/O + AmpliTube 5 MAX + TONEX MAX バンドル
IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / Total Studio 4 MAX ダウンロード納品
(IK MULTIMEDIAの人気ソフトウェアを一挙に収録した商品。Amplitube5 MAXも含まれています)
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
投稿についての詳細はこちら