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Rock’n Me 5 洋楽を語ろう:マッシュアップの美味しい世界

2021-11-11

Theme:sound&person

こんにちは。洋楽を語りたがるジョシュアです。
これまでのコラムでは特定のアーティストを深く検証してきましたが、今回は嗜好を変え、「マッシュアップ(mashup)」と呼ばれるリミックス作品について語っていきます。

マッシュアップという言葉は聞いたことありますでしょうか?簡単に言うと、2曲以上の楽曲をリミックスした作品(またはその過程)のことです。単純に曲を重ねるだけでなく、ヴォーカルや楽器だけの音源(未公開音源の場合もあります)や自分で演奏した音源を用いて、「Aの曲でBが歌う」という、時代やジャンルを超越した異次元的な共演が実現するようになりました。YouTubeの普及とともに、音源だけでなく動画のマッシュアップも進化し、耳にも目にもありえない作品が次々に公開されています。

細かい解説はさておき、この手法を実感していただくのが一番ですので、某料理サイト風にそのレシピを紹介します。

■ The Final Teen Spirit Mashup

ハードロックな人にもグランジな人にも☆
仕上がりの動画を見れば、美味しい仕上がりに納得◎

■ 材料(動画1本分)

①ヨーロッパ”Final Countdown” プロモーション・ビデオ1本
スウェーデン出身のハードロック・バンド、ヨーロッパによる1986年の全世界的ヒット曲♡♡♡キーボードのイントロがあまりにも有名♪

②ニルヴァーナ”Smells Like Teen Spirit” プロモーション・ビデオ1本
グランジ・ムーヴメントの代表格、ニルヴァーナによる1991年の代表作♫♫♫この1曲で人生が変わった人は多いはず (#^:^#)♡

■ 作り方

●①のイントロで、②のBメロのヴォーカルを混ぜる♬
●①のAメロ・Bメロ・コーラスで、②のヴォーカルを混ぜる♬
●①のギターソロで、①の演奏・動画と②のカート動画を混ぜる♬
●①のギターソロ後のコーラスで、①と②が時空を超えて共演する♬

■ コツ・ポイント

●2つの動画をしっかり混ぜましょう♬♬
●それぞれの元ネタ動画を知っていると、味わいが増します(^_^)

■ 最終動画

要領は分かりましたか?このような調子で、有名曲をマッシュアップするDJアーティストが増えています。明らかな素人から明らかなプロまで、そのレベルはマチマチですが、私がお勧めのマッシュアップ・アーティストはBill McClintockとDJ Cummerbandの2人です。

Bill McClintockの特徴は「ありえない組み合わせなのに、混ぜると旨い」という、ラーメンで例えるならばダブルスープのブレンドです。一例としては、ヴァン・ヘイレンとAC/DCのダブルスープ...ではなくて共演です。エディ・ヴァン・ヘイレンのバックでマルコム&アンガス・ヤング兄弟が弾くという、夢のようなダブルスープは、これまで誰も口にしたことがないはずです。だいたいエディもマルコムも天国にいますしね。

■ Bill McClintock “Thunderjump”

または、「ポップの王様」マイケル・ジャクソンと「ギターの神様」エリック・クラプトンの共演、その名も”Billie Cocaine”があります。あの世からマイケルを引きずり出して共演が実現している場は、この世ではなくパラレル・ワールドなのでしょう。

■ Bill McClintock “Billie Cocaine”

一方、DJ Cummerbundの特徴は「たくさん組み合わせて、くどい位にコテコテとする」のが特徴で、ラーメンでいえば二郎系でしょうか。彼の代表作…なのかどうか分かりませんが、410万回以上の再生回数(執筆時点)を誇るのがEarth, Wind & Ozzys。その名の通り、1970年代のファンク・バンドであるアース、ウィンド&ファイアー(以下、アース)の大ヒット曲”September”(最近はコーヒーのコマーシャルでかかりまくっています)とオジー・オズボーンのデビュー作の代表曲”Crazy Train”を組み合わせたものです。

■ DJ Cummerbund “Earth, Wind & Ozzys”

アースのプロモーション・ビデオは時代を感じさせるもので、大編成バンドが宇宙的な服装を身にまとい、残像を多用した編集となっています。一方、今やすっかり王者となったオジーのプロモーション・ビデオでは、まだ初々しいオジーを拝めます。ギターソロを取るのは故ランディ・ローズかと思いきや、天才少年ギタリストとしてギネス認定された日本人ギタリストの宮澤佑門…カテゴリーや時間軸も無視した展開にはただただ笑うしかなく、音楽をジャンルで語ることへの無力感をひしひしと痛感します。

あるいは、”Jump”を素材にした料理...ではなくてビデオも作っていて、Bill McClintockとはまた異なった、哀愁が漂う味わいとなっています。合わせ素材は、1976年のディスコ・ヒット、グロリア・ゲイナーの”I Will Survive(恋のサバイバル)”、ヴァン・ヘイレンの他の曲もトッピングされています。あ、この動画を味見するとき、他のものを食べていてはダメです。吹き出しますから。

■ DJ Cummerbund “I Will Jump”

…このように書いていても元ネタを知らないと、味の良さが伝わらないかな、と不安になってきました。悪いことは言いませんので、これを機に元のアーティストを召し上がってください。舌が肥えますよ。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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Joshua

1960年以降の洋楽について分かりやすく、かつマニアックに語っていきます。 1978~84年に米国在住、洋楽で育ちました。2003~5年に再度渡米、コンサート三昧の日々でした。会場でのセットリスト収集癖があります。ギター・ベース歴は長いものの永遠の初級者です。ドラム・オルガンに憧れますが、全く弾けません。トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズに関するメールマガジン『Depot Street』で、別名義で寄稿しています。
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