こんにちは!
“ギタリスト専門整体師”ことフジオカタクトと申します。
今日も1日お疲れ様です!
皆さんはギターを弾くとき、例えばコードを押さえたりリードを弾いたりしているとき、左手はどんなことを意識して練習していますか?
多くの場合、左手はフィンガリングを意識していると思います。では、その裏側から支えている親指についてはどうでしょうか。
今日は意外と忘れられやすい左手の親指についてフォーカスを当ててみたいと思います。実はとても大切な役割を持っている親指を“縁の下の力持ち”ではなく、“ネック裏の力持ち”と呼んで、グリップや運指の違いによる親指の役割を考えていきたいと思います! それではよろしくお願いします!
■ 親指の特徴
まずは親指の特徴を、解剖学や運動学の視点から見ていきたいと思います。
親指は表面からは分かりにくいですが、3つの関節から成り立っています。今回注目したいのが一番付け根の関節「母指手根関節」です。赤丸の部分がそうです。

この関節は鞍関節と呼ばれる種類で、一方の骨の突き出した関節面が鞍の形(人が馬に乗るときに用いるあれです)をしていて、もう一方がそこにはまり込む形になっています。この関節の特徴として2軸性という特性を持っており、動きを組み合わせることで円運動も可能になります。この動きのおかげで親指はグリグリといろんな方向へ動かすことができるというわけなのです。
また親指をグリグリ動かすためには実にたくさんの筋肉が親指の付け根にはついています。
親指の付け根を見るとぽこっと膨れている感じになっていますよね。これを“母指球”とよび、ここにたくさんの筋肉がついています。(余談ですがこの母指球にある筋肉はひとつひとつの筋肉が小さいので疲れが溜まりやすいです。痛みや疲労がなくても、普段からマッサージをしてあげると手の筋肉の状態が柔らかく良い状態で保てるのでおすすめです。)
ではこの親指の動きがギター演奏、フィンガリングにどう影響しているかをみていきましょう!
■ 親指の位置の違いによるグリップの違い
ギターのネックを持つ際、グリップの仕方の違いによって大きく2種類に分けられます。
それは親指の位置の違いによるもので、親指を6弦側に出して握り込むようにして持つ方法をウエスタングリップなんて呼んだりします。
もう一方の一般的なグリップの方法を仮に“ノーマルグリップ”と名づけたとします。このノーマルグリップにも親指の位置の違いによってグリップの方法が異なってきます。
ひとつは親指を横に開いた状態でのグリップ。もうひとつは親指を立てた状態でのグリップです。
演奏する曲やスタイルによってそれぞれの持ち方があるかと思いますが、それぞれのグリップで親指がどのように働いているかをみていきたいと思います。
まずはウエスタングリップから。
この場合、ネックを握り込む形になるので最初に説明した「母指手根関節」の動きは制限され固定されます。この場合は掌全体でネックを握り支えるような形になりますのでガッチリ固定された状態でのフィンガリングとなり、頻繁な横移動は難しくなります。
親指が担う役割は、「6弦の押弦またはミュート」となります。

ではノーマルグリップの親指を横に開いた状態での親指の働きをみていきます。
この場合、「母指手根関節」は外転位といい外側に開いた状態となります。この時のグリップの固定は弱く、横移動は比較的行いやすいです。しかしこの位置で保持するには安定性に欠けるため、フィンガリングが安定しにくいというデメリットもあります。

最後にノーマルグリップの親指を立てた状態での親指をみていきましょう。
この場合だと「母指手根関節」は対立位といい、親指を内側にした状態となります。この状態の親指はとても安定性が高くなり、また自由度も高いです。それは母指球の働きが強く発揮できる方向だからです。また指は手の構造上、手の中心に集まりやすいようにできています。そのため親指がこの位置にくることで他の指にも良い影響が生まれ、自然とフィンガリングが行いやすくなります。

いかがでしたでしょうか!
自分がギターを弾くとき、親指の位置はどうなっているでしょうか?
無意識だった方はこれを機に、フィンガリングに合わせて親指の位置も意識してみてはいかがでしょうか。
それではまたー!
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