SUMMIT AUDIO TLA50:ゲインが不安定で音量が変わるという症状で診断。当初は安定して動作しており、GR(ゲインリダクション)も普通に効いていましたが、暫くすると効かなくなる症状が出始めました。挙動的にはGRが効くか否かの違いですが、GRを効かせたパラメータ領域でその症状が現れると、確かに指摘どおりの挙動を示します。
挙動が掴めれば原因はほぼ断定でき、電子パーツの特性不良などではなく、回路上での接触不良の可能性が高いため、SW(スイッチ)やPOTの接触不良、或いはパーツの半田付け状況に問題があるとみて、信号を通したまま天板を開けて各部構成パーツを押さえたりしながら、不安定要素のチェックを開始しました。
暫く調査していると、今度は不安定ではなく、GRが効かなくなったままの状態に陥り、パーツの実装面からは異常は見つからなくなってしまいました。そうなると、今度は半田面を調べてみることになります。PCBの裏面にアクセスするには構造的に少々手間が掛かりますが、原因はほぼ半田不良に絞られてきたので、観念して電源を落とし、全ての接続を外した後分解に掛かりました。
この分解では、POT交換などは行わないので、PCBがフロントパネルに結合された状態で外す方向で、フロントパネルとリアパネルの固定ネジ、内部アースの固定ネジ、それとコンボジャックのロック金具を外すことにより、ようやく基板を浮かして裏返し、半田面を調べられるようになります。
そこでざっと全体を見渡しても、特にこれはという箇所が見つからないので、端から入念に半田付け状況をチェックしていくと、GRポット周辺のカップリングコンデンサのリード部分に僅かな動きが見られ、その部分を拡大鏡で覗き込むと、一見綺麗に付いている半田ですが、実はブリントパターンから浮いて、いわゆるイモ半田状態となっていました。
これは当初発生していた挙動に明らかに合致。半田付けして一件落着しました。
MANLEY MSLCHPMS:症状は電源は入るものの音が出ない。検証してみるとメーターランプや真空管のヒーターは正常に輝いており、電源投入時に動作するリレーの音も確認出来た。基本的な電源回路は正常な模様だが、肝心な音声回路が両チャンネルともアクティブにならない状態。ラインセレクトをスルーにした時のみ音が通り、電源を切った時と同じ挙動しか示さない状態だった。
先ず内部をざっと目視した処では、半田の状態も含め何の異変も見受けられず、この様な時に最初に想定される真空管や半導体素子の動作不良だが、それが原因で両チャンネルとも音が出なくなると言うのは考え一寸難い。ヒーターやメーターランプの電源は生きているものの、やはり共通回路となる電源部を疑い、電子パーツが実装された状態で電源を落としてテスターで導通チェック。
ダイオード特性はOK、続いてハイワットの抵抗素子の特性チェックに入る。というのも、このモデルに限らず回路デザイン的にワッテージの大きい抵抗素子を使う理由は、そこに大きな電流が流れたり、高耐圧が必要な場合など、他よりもストレスが大きい環境に置かれる為で、故にダメージを受ける可能性も他より高いといえる。抵抗値を測り素子の表示値と照らし合せながら順に調べて行くと、表示より異様に高い抵抗値を示す素子が浮上。それはオーディオ回路に電力を供給している5W級680Ωの抵抗素子で、内部で断線していた。
その抵抗を交換すると各部機能は回復し、今の処真空管も問題無い様子で無事復活となった。
DBX 1066:フォンジャックが奥まで挿さらない所がある。ジャック穴を外から覗く限りでは別段障害物も変形もない様だが、一応天板を外してジャック周辺を調べても、特に異常は見られなかったので、若干強めにプラグを差し込んでみると正しい位置まで挿し込める様になり、その後はスムーズに抜き差し出来る様になった。結局の所新品状態のジャックの馴染みの問題だった為、念の為各部のジャックに活性化処置を施して完了とした。
HHB RADIUS40:EQをONにすると低域が減衰するのだが、不意に正常に戻ってみたり、減衰の度合いが変化する事もありと不安定な状態。ショックや使用時間、ボードをたわませるなど特定のアクションで状態が変化する様な傾向が全く無く、不規則に不具合が見え隠れしている。状態的には低域フィルター周辺動作が乱れている事は確かだが、フィルターそのものには問題なく、半田浮きやワイヤリングの問題も全くなし。と言う状況の中で、現象が出ている時を見計らってオシロで信号の状態を追っていくと、最終的には低域のブースト/カットのPOT周辺に一番異常を感じる。POT以外に素子不良や断線は見当たらないが、POTそのものも断線やショートは無く、回転させると正常に抵抗値が変化している。しかし唯一不審な点として、POTの中点が低い抵抗値を持ってGNDに落ちかけている兆候があるが、回路上はその様な配線はされていない為、一旦フロント周りのつまみからメインパネルとサブパネルを全て外しての調査となるが、該当するPOTを外して調べてみると、やはり正常。そこでもう一度元通りにPOTを装着してみると、今度は短絡しかけていた中点が正常な値になっていた。結局目に見えた短絡ポイントを実際に目の当たりにする事は出来なかったが、結果的に考えられる事としては、この中点とPOTの金属部分を短絡させる微細な異物が付着し、信号ラインが不安定にGNDラインと接触していた形になっていて、半田を外す時に半田と一緒に微細な異物諸共吸い取り機に吸収され、原因は消滅してしまったものと考えられる。念の為POTのピン周辺をクリーニングした後組み立て、動作チェックを無事完了したが、非常に稀なケースであった。
TL AUDIO 5013:L-chの音が、EQをOFFにした時だけ異常に小さい。小さいながらも音は出ているので、接触不良関連を疑ってジャックやSW、POT、真空管ソケット等を調べてみたが特に問題なく、試しに真空管も入れ替えてみたが改善せず。再度パーツの状態を詳しく調べてみると、カップリングコンデンサらしき電解コンデンサの頭部中央に微かに穴が開いている物があった。特に過熱や破裂等の形跡もなく、何故穴が開いていたかは定かではないが、此処から電解液が蒸発して容量抜けを起こしている事が考えられる為、このコンデンサを交換してみると正常な出力レベルを得る事が出来た。
CREST PERFORMANCE CPC1223:電源LEDが点灯しない。確かに回路は動作しているがLEDが点灯しないので、天板を外してLEDが実装された状態で基板の裏面からLEDのリードの電圧を測ると出ていなかったので、LEDに繋がるプリント配線の断線を疑って回路を調べてみたが特に断線は無く、むしろショート状態だった為LEDを外してLED単体の導通を調べてみると、短絡反応が現れたが、もう一度測定すると正常に戻って、電圧を掛けると点灯するようにもなったが、リードに当てたテスター棒の押さえ方によって短絡したり離れたりと言う珍しい症状が確認された。いずれにしても不安定なのでLEDは交換にて対応したが、原因はLED製造時の単体不良で樹脂に封入されている内部金具の電極のギャップが異常に狭過ぎていたものと思われる。
BBE 882I:片方のchから音が出ない。検証すると、WET時もバイパス時も全く音が出ない状態だった。シェルを外して内部を見たが部品面からでは判断出来ないため、ボードを外して半田面から調査していくと、INPUTジャック付近の半田面で導通不良箇所が確認された。その部分を修正して完了となった。
SUMMIT AUDIO DCL200:L-chのみノイズが出る。検証すると、まずは時々ヒスノイズが増大する事と、筐体に振動を与えるとショックノイズが聞こえると言う症状が確認された。R-chは問題無い事と、機械的な振動の影響を受けると言う事は真空管に問題がある可能性が高い為、真空管を交換してみた。やはりショックノイズは真空管交換で解決したが、時々増大するヒスノイズの現象は治まらなかった。ただ、真空管を押さえたり離したりすると状況が変化するので、如何にも真空管周辺が怪しいのだが、ソケットの接触不良でもなかった。最終的に信号回路上の抵抗の1本の、片方のリードに半田が馴染んでおらず、芋半田に近い状態になっていた。その部分を再半田する事により無事完了となった。
KT DN360:大分使い込まれた様子の物であったが、当初現象が現れず、暫く検証を繰り返した結果、I/Oボードの、入出力コネクタ周辺の接触不良らしき、僅かな音の途切れを確認。故障箇所の予想範囲が絞られた所でI/Oボードを外して裏面から半田面を良く調べてみると、やや劣化している傾向が見られた。そこで端から半田ポイントを修正していくと、リレーのリード部分の半田を修正する瞬間に一瞬半田が弾けてリング状の影が確認できる箇所が幾つか確認された。ルーペで見ても判別が難しい物であったが、結果的に半田クラックがあった事が判明。問題と思われる範囲全てを半田修正して完了となった。
SUMMIT AUDIO DCL200:5分位で音が出なくなる。検証した所、5分では症状は再現しなかったが、10分を過ぎた頃に突然出力がダウンした。その状態で天板を開けて内部を調べてみると、ch-2のみ、chあたり2個装着されている純正のOPアンプICが2個とも異常過熱し、レベルメーターは触れていたが、DC漏れと共に出力が途絶えていた。OPアンプ交換後、状態を観察した所、異常過熱は無く、出力も安定して、無事完了となった。
NEVE 33609:中でカラカラ音がする。この状態では電源も投入できないので、まずは天板を開けて内部を調べてみると、内部に金属製の大きな異物が転がっていた。まさかこんな物が外部から紛れ込む筈が無いので、内部のパーツの状態を調べてみると、左右のモジュールの形状の違いを発見。最終的にこの異物はモジュール上のトランジスタの放熱パネルと判明。このパネルはネジ止めではなく、丸いトランジスタの外形に合わせた、嵌め込み式のアルミパーツで作られた物だった為、逆さ方向にやや大きな衝撃が加わって外れたものと推測される。幸いにも衝撃によるその他ダメージは無く、装着後は正常動作が得られ、完了となった。
AMEK 9098CL:中でカラカラ音がして動作しない。内部を調べてみると、電源モジュールのケース内で差し込み式の小型ヒューズがソケットから外れて転がっていた。このヒューズは直径約8mm、高さ約5mm程度の円柱形の特殊ヒューズで、電源モジュール内に4個、ソケット装着されている内の1個が外れた物であった。他の3個は正常に装着されており、正しく装着されていれば余程の衝撃でも加わらない限り外れない状態だった為、この1個のみが初めから差込みがあまく、浮いていた物と思われる。
BBE SONICSTOMP:ツマミの調子が悪いと言うもの。検証すると、PROCESSのツマミを回すと一部重くなるという症状が出ていた。このエフェクターはツマミがアルミダイキャスト本体のざぐり部分にやや沈み込む構造になっており、ツマミの僅かな芯ブレの影響で特定位置まで回した時に本体のざぐりの内側に接触して引っ掛っていた事が原因で有った。そこで一旦ツマミを抜いて、POTを固定している六角ナットを緩めてガタ分の許す限り当たる部分と逆方向に寄せて締めなおした所正常となった。
PHONIC T8300:ステレオで出力されない。検証する以前に、送付された箱から出す時点で、内部から小さくコトッと言う音が聞こえた。傾けたり戻したりすると、やはり時々同じ音がする。このままで迂闊に電源を入れるのは危険な行為なので、天板を外して内部を覗いてみると、ch-2側の内部コネクタがソケットから外れていた。コトッと言う物音はこのコネクタに因る物と判明。コネクタ接続してあっさり完了となった。
BSS FDS388:電源が入らない。先ずは電源SWをONにしておいてACコードの先端から導通を測定すると断線症状が確認出来たので、先ずはヒューズ、ヒューズホルダー、電源SW、配線接続、電圧セレクトSWと、各部パーツ単体で調べていったが異常無し。と言う事は電源トランスの断線しかないと思ったが、電圧セレクタの回路を辿りながらトランスの電極を調べて導通を調べると、何とこちらも異常無し。当然トランスの二次側もその先の回路も異常無し。もう一度仕切り直しで、今度はテスターリードの一端をACプラグの先端に固定して、端から順々に通電範囲を伸ばしていくと、電圧セレクタのターミナルからトランスに繋がるプリント配線で導通が途絶えた。この回路はプリント配線にターミナルが半田付けされているだけで、裏側から見ると確実に半田されていてスルーホール内にも染み渡っていたのだが、結果的に表側のランドとスルーホールの接合面で微細に断線している事が判明。表側のランドとターミナル金具を半田で結合する事で完了となった。
KLARK TEKNIK DN360:チャンネル間のレベル差が6dB位有る。検証すると、指摘の様にレベル差が確認出来た為、天板を外して内部を調べて見ると、先ず目に付いたのがI/Oボード上の仕様外の配線とプリント配線のパターンカット痕。接続先を見ると入出力、chA,BそれぞれXLRジャックの2番と3番にクロス接続されていた為、容易にユーザーによる3HOTから2HOTへの変更痕と言う事は分かったが、特に見たところ半田不良や断線と言った疑いも無かった。しかし、何故か入力の2番の線材を微妙に動かすとレベル差が無くなったり出たりと言う変動が見られた為、I/Oボードを外して基板のB面も調べてみたが、パターン切れや半田浮きなどは全く見られなかった。唯一、他のポイントと比較すると、この1箇所のみ裏側の半田面の盛り上がりが少ない。
此処に原因がありそうなので一旦半田を綺麗に吸い取ってみると、小さなリード片がでて来た、その他には問題なかったが、このホールは通常の両面基板の様に表と裏のランド間を結ぶ為の銅箔の筒がホール内部に形成されておらず、代りにリード片で裏表を接続してあった。たまたま此処に極性変換時の半田作業を施した時に、このリード片が外れてしまったか折れて短くなってしまって、リードがホールの裏まで届く為の長さを失ってしまって半田に微かに接触するに止まってしまった様だ。その為この部分で接触不良を起こし、バランスで接続されるべき信号配線がアンバランスになってしまった為に6dBのダウンに繋がっていたと言える。リードを確実に裏まで通して配線し直して無事完了となった。
ARX 8PRE:症状はノイズが乗るということ。検証すると、何も接続しない状態で各chから若干のハムノイズが確認出来た。暫く調べているうちに天板を押すと状態が変化する事が判明。調査の結果フロントパネルの内側に張り出した造型部分に3端子レギュレーターのリード1つが微妙に接触している事が原因であった。この為電圧不足が発生してリップルを招き、ハムノイズの発生に繋がっていた事が判明。リード修正にて完了。
HHB RADIAS20:L-chだけノイズが目立つ。残留ノイズについて異常は感じられず測定値でも-71dBと良好だったが、左右のGAINに若干のばらつきがあり、GAINが低い分GAIN POTで感度を上げる事になり、その結果ノイズフロアが上がってしまった物と思われる。最終的に原因は真空管のGAIN不足と判明、真空管交換にてFIXとなった。
DBX 2231:電源を入れて暫くするとch-1が上がらなくなる。初回の検証では現象が出ず、ランニングテストしようとして一旦場所を変えて電源を入れた所片chのみ電源が入っていない様子。このモデルはトランスが独立しているので、どちらかのchの電源だけ落ちると言う事も考えられる。その為ch-1出力リレーのみがOFFになって信号はBYPASSと同じスルー回路からそのまま出て行く事になる。最終的に整流回路直後で電圧が出なくなる事があると言うことが判明。調査の結果トランス二次側のコネクタの内部金具の接触不良によって、中点付き2極のHOTがあるうちの1極側の二次電圧しか加わっていなかった為に整流回路への供給電力が半減し、レギュレータICが時々動作しないと言う現象が発生していた。コネクタ内のコンタクト金具のバネ圧調整によって改善する事が出来た。
DBX 165A:GAINが上がらない、上げても音が歪む。モノトーンの信号を入力して検証すると、0dB未満ではさほどではないが0dB以上になると急にクリップする状態だった。パーツの実装状況や半田付け状態は良好だった為、信号を入力して動作させた状態でオシロスコープで波形を観測しながら入力回路から順を追って信号を追いかけていくと言う地道な作業によって歪みが発生するポイントを追い込んで行き、最終的にトランジスタ2個の特性不良を発見。その為有るGAIN以上になると動作電圧不足を起こしてクリップを発生させていた。トランジスタ交換後GAIN及びメーター指示等の調整をして完了。
HHB RADIUS10:4chのみ信号が出て来ない。入力は正常に動作している様で、INPUTゲイン調整に応じてシグナルやクリップインジケーターは変化するが、出力が全く出ていなかった。先ずは出力回路周辺の主なパーツの実装状況をチェックしたが特に異常無し、真空管チェック、ICチェックも全て異常無し。となると残るはCR(最小単位の抵抗とコンデンサ)しかないので地道に信号を端から追いかけた末に突き止めた原因は、抵抗素子のカーボン皮膜又はリード接合部の劣化が原因と思われる自然断線。RADIUSシリーズで真空管以外の素子不良は滅多にお目にかからない事例で、難易度の高い一例である。
KT DN405:3HOTを2HOTに変更依頼。本体背面の表示は3HOT/2COLDとなっていてデフォルトでは3HOT設定になっている事が判るが、このセットは極性設定について親切な設計になっており、天板を開けるとXLRコネクタの付近に設定用ジャンパーピンがあり、2HOT/3HOTの他にBAL/UNBALも表示印刷があってユーザーが任意に設定し易い構造になっていた。作業はピンセットでジャンパーピンを抜いて差し替えるだけなのでそれこそ1分で完了してしまう作業だった。
DBX QUANTUM:CHKSUM ERRが頻発する。今迄の例ではCHKSUM ERRは滅多に出るものではなく、発生した場合でも殆どはハードリセットによって回避出来ているが、今回の物は十数分検証した時点でも何度も発生しており、時には電源投入直後からフリーズ状態でリセットさえ効かないケースも確認された。勿論初めての症例だが、内部電源ケーブルのコネクタ周辺を動かしてみると微妙に様子が変わる事が判った。結局内部電源ケーブルのコネクタ部分で接触不良が起きていた為にインターフェースが正常に動作していなかった事が判明。コネクション部分を念入りに活性化した後は1度も現象が出なくなりFIXとなった。
DBX QUANTUMII:入力に何も接続しない状態でジーッというノイズが出力される。初回の検証ではノイズは確認出来なかったが、ディスプレイ内のディジタルI/Oのレベルメーターがフワフワと変動したり不規則な動作をしていた。当然電源は正常に入って起動も正常に行われているのだが信号を入力してみると何も出力されない。コネクタやPOT関連の接触不良もなし、そのままの状態で試しにリセットしてみた所今度は無入力状態でピーっと言う発信音が鳴る様になった。こうなると症状的にはディジタル処理を行っているCPUボードの問題と思われる状況だったが、一通り全てのパーツの状況を確認すると、電源基板内の幾つかの電解コンデンサの頭部が若干膨らんでいる様子。CPUボード内部には15Vや+5Vの内部電圧が正常に掛っているかどうかを示す表示LEDがあり、何れも正常に点灯しているので電圧関係に異常は無い様子で電源ボードの不具合は疑い難いが、どうしてもコンデンサの若干の膨らみが気になるので怪しいコンデンサを全て交換してみた所正常動作する様になった。結果から推測すると、電解コンデンサの容量低下が原因でスイッチング電源からの発振ノイズが高いレベルで漏れ、データバスやアドレスバスに侵入して思いも寄らない誤動作を招いていた物と思われる。
DBX 566:ch-2が発振する。オシロスコープで波形を観測しながらチェックした所、僅かなレベルだが拡大すると6~7MHz位の高周波が出力信号に重乗している事が判った。動作上は特に不審な点は見つからず各回路は正常動作している様だが電源回路を含む至る所で高周波が確認出来た為電源部の整流回路を調べた所、発振防止用と思われる小容量のコンデンサが動作不良を起こしていた模様で、電解コンデンサとチップセラコンを交換してFIXとなった。
BSS FDS318:煙が出た、その後ノイズしか出ない。内容的にはかなり厳しそうな状況が推測されたが、先ず天板を外して焼け跡を探してみると電源回路内の平滑コンデンサに被っているフィルムが変形している箇所を発見。そのコンデンサ周辺には電解液が漏れた形跡と過熱した形跡が伺われた。コンデンサの特性をチェックすると半ばショート状態になっていた。この為に内部電源電圧がドロップして動作不良を起こしていたと推測されるが、その他回路には異常はなく、該当コンデンサの交換で解決。
DBX 160A:信号が出力されない。電源を入れてみると各ランプは点灯して一見正常の様子だが、実際音を入れてみると電源を入れた直後だけ一瞬出てすぐにブンと言って出なくなってしまうという珍しい現象。原因は電源トランス二次側のコモンに当たるセンタータップが内部で断線していた。
AMEK 9098DMA:L-chのゲインが異常に高い。パーツの外観上に異常は無い為トランジスタ周辺から調査し始め、ICも調査したがどれも異常は無かった。最終的にゲイン調整のロータリースイッチ内で信号がリークしている事が判明した。SWを分解して調査した所、長年の操作で僅かな磨耗によって発生した微量の金属粉がグリスに混入して導電塗料状に変質した為に信号がSW内の微細なプリント端子間をリークしていた。
DBX 786:数時間使用すると片chプツプツノイズ。エージング後検証すると数秒間隔でプツ、プツという。内部は電源ユニットを中心に結構温度上昇しており、更に704Xデジタルボードがプリアンプ・モジュールの上部を覆う形で装着されている為大分熱くなっているが、触れない程ではないので熱暴走の可能性は低く、何らかの不具合による動作不良を起こしていると言える状態だ。アッテネーター回路や入出力回路の可能性も低い為プリアンプ・モジュールの故障と断定して交換、エージングを行って異常無き事を確認。
LINE6 POD2:電源を入れるとPの文字が点滅してどのボタンを押しても反応せず、PHONEからはブツ、ブツと言うノイズが出る。内部を調べてみるとDC5Vラインのレギュレータに入る前の電源ラインに装着された電解コンデンサが破損していた。外観は過電圧が印加されて破裂したような状況で、上部が割れて内部の絶縁紙が飛び散っていた。コンデンサ交換にて問題はFIXしたが、コンデンサが破裂した原因は判断できなかった。
HHB RADIUS40:シンバルなどの音で歪む。10KHzの周波数を入れてオシロスコープで観測した所、高調波歪みの様な信号の乱れが確認された。原因は3本装着されている真空管の特性不良で、3本全てを交換する事により良好な状態を得る事が出来た。結果から推測すると真空管1本1本の僅かな歪成分が加算増幅された結果大きな歪となって現れていたものと思われる。
ART DIO:10分位使用したら右チャンネルの出力が極端に小さくなる。DBX QUANTUMを使用して検証した所電源投入直後から症状が出ており、情況はすぐに把握する事が出来たが予測がつかない。先ずアナログ入力を疑ってフォン・コネクタに挿したプラグを動かしてみた所一瞬音が出始めた。紛れもない接触関係だったがキャビを開けてみると現象は出なくなってしまった。半田関係をよく確認したが異常は無い。とするとフラットケーブルに異常ありと仮定して調べてみるとフラットケーブルの被覆を形成している紙状の絶縁被覆に僅かな傷があり、それがI/Oボードに接触していた。その部分を絶縁処置してOKとなった。
SUMMIT TLA100A:ノイズが乗る。検証してみるとハムやヒスノイズと言う大人しい物ではなく、時々バリバリッとメーターが振り切るレベルで出てくる。筐体を振動させると振動に従って出るので現象的には半田関係のクラックや接触不良と言った所だったが、真空管に触るだけで現象が激しく発生する事が判った。こうなるとソケットの接触不良と言うのが一番考え易く、その場合数回抜き差しするだけで大分状況は変わる物だが今回は違った。真空管の内部回路が接触不良を起こしていて、その部分がコネクトピンに加わる微妙な応力に反応していた様だ。真空管を交換して解決。
DBX MINIPRE:XLRコネクタが抜けない。MINIPRE本体に装着されているコネクタ単体の問題で、PUSHノブ金具の成型不良の為にノブを押してもロックが開かない状態になっていた。先ず本体のキャビネットを外してコネクタの裏からロックを開けてケーブルを外し、後は正しく成型されたPUSHノブと交換して完了。
DBX 160S:メーターの動作がおかしい。既にメーターは全く振れない状態になっていた。仮に良品のメーターを端子に当てて見ると反応するのでメーター単体の故障であることはすぐに判明した。そのままメーター不良と言う事で交換してしまえば即座に完了だが、何故動かないかが判明しないまま廃棄処分するのも心許無いので分解して調べてみる事にした。見た所スプリングその他に異常は見られないが、センターバランスが不安定なので軸受け部分周辺を良く見ると、針に近い位置の半田接合部で明らかに半田が効かずに当たっているだけの状況を発見。デリケートなメーターを壊さないように慎重に半田付けした所復活。直ったメーターはテスト用に保管する事にした。
DBX 160S:電源を入れてもすぐにヒューズが切れる。取り敢えず容量の高いヒューズを装着する事によって動作状況を見る事が出来たが、各部のLED等も正常に点灯しておらず、何処かのパーツの不具合によって電源が過負荷になって各部が動作不良を起こしている様な状態が見受けられ、当然信号も通らなかった。過負荷状態のまま通電チェックする事はその他の回路にも悪影響を与える危険性が有る為、速やかに電源を落として静特性で調査する事にした。先ず電源部そのものに異常が無い事を確認した上で、メインボード上の何処に不具合が潜んでいるか判定する事になるが、回路中で一番複雑且つ電力消費量が多い中心格のVCAを交換してみた所あっさりと全ての回路動作が正常に復帰した。VCAはパッケージになってダイキャスト・ケースの中に樹脂封入されている為それ以上調べる事は出来ないが、何らかのきっかけで暴走した結果内部がショート状態になった物と思われる。
DBX 166XL:ch-2ピーク・リミットが消えない。音も歪む。ツマミを動かしたりすると時々消える事もあるという。症状は出ていたが、パーツの状況や基板を動かしてみたりしても変化せず、何処が原因で不具合を起こしているのかさっぱり予測がつかない現象だ。表面に異常は確認されない為、裏面から状況を探るべく基板を外してみた所、XLRコネクタを固定してある物と同じ形状のビスがコロリと出てきた。結果的にそのネジが信号経路を短絡して誤動作を引き起こしていたという事が判明したが、ネジが異物として基板の裏に挟まっていた例は非常に稀である。
SUMMIT TLA100A:電源入らず。メインヒューズが飛んだらしく付いていない。そして内部を開けてみるとICが一つ焼け爛れて割れている。先ずはそのICを交換した後、電源を入れる前にトランジスタや整流ダイオードのショートが無いかどうか一通りチェック。電源が過負荷にならない事を確認した後に電源を入れると、メーターランプが点かない。調べるとランプが断線していたので交換して再度電源ON。ランプは点いたが音が出て来ない。続いて数種類ある内部電源の各電圧を測定すると、不自然な電圧変化が目立つ。最終的に複数のレギュレータICやオペアンプICの動作不良を発見したが、一連の不具合のきっかけになった大元の原因を特定するには至らなかった。
DBX 160A:ビールをこぼして電源が入らなくなった。最初に電源が入らなくなった原因は漏電による電源トランスの断線と思われるが、内部に液体が侵入してからそのままの状態で相当期間放置されていたらしく、基板もケースも至る所激しく腐食して膨れ上がっていた為、完全にお手上げ状態で修理不能となってしまった。この例では直後にケースを開けて、手の届く範囲だけでも中に溜まった液体を拭いて乾かし、2~3日以内にサービスを依頼されればトランス交換だけで復活させられた可能性が高いと思うと残念だ。精々緑茶程度までの添加物の少ない液体であれば十分乾燥させるだけで腐食を食い止められる可能性が高いが、特にアルコール等の酸の強い液体は数日間で致命的な腐食が発生する可能性が高いので、直ぐにサポートを受けられない場合は、過激な方法だが再び真水で注意深く洗い流してから乾燥させた方が好結果に繋がる可能性が高い。しかしこの様な作業は内部に溜まった電荷による感電や新たな破損に繋がる可能性があり、非常に危険な行為の為推奨する訳には行かないので、あくまで自己責任で安全に処理できる条件と再起不能の覚悟が前提となる。
DBX MINIPRE:全く音出ず。OEMではないがARTのTUBE MPと非常に良く似たモデルで、今回初の受付け。原因は情け無い程単純な製造ミスで、真空管がソケットに良く入っていないまま組み立てられていた。真空管ソケットを調べると、ピンがズレたまま強引に押さえつけられと思われるピンの曲がりや、ソケット内のコンタクト金具の変形が見られた。故障箇所を見つける時間よりも真空管を正しく装着する為にその変形した金具を修正する方が時間が掛かってしまった。
ART TUBE MP:時々しか音が出ない。新品にありがちなこの手の症状は時々音が出なくなるのが一般的だが、今回の症例ではボリュームを動かすと時々音が出る事が有るが、終始殆ど音が出ないという明らかな接触不良箇所を秘めた内容だった。カバーを外して動作させ、信号を入れた状態でコントロール・ボードにそっと触れただけではっきりした症状で信号がON/OFFする為メイン・ボードとコントロール・ボードを結ぶフラットケーブルに問題が有ることがすぐに判明した。先ずは問題のフラットケーブルの半田付け部分に異常無き事を確認した後、一旦基板からケーブルを外し、更に基板に挿す為に使用されている先端のハウジング部分を分解すると、1本の配線の芯線が先端でUの字に折れ曲がっていてコンタクト金具に正しく挟まっておらず、この部分で接触不良を起こしていた。
DBX MINIPRE:何も繋がない時にチリチリというノイズが出る。ユーザー自身も故障ではないと思うが一寸気になるので一応検査してくださいと言う要望だったが、確かに何も繋がない状態でゲインを上げるとサーッと言うヒスノイズに混じってチリチリというノイズも不定期に聞こえる。この類のノイズは時々ICやダイオード、時にはコンデンサの特性不良等で実際に故障箇所が存在していて発生する場合も有るが、今回の場合は故障ではなく、入力端子に何も繋がない状態では端子自体がアンテナ状態になってノイズを拾うという現象が出ていると言う物だった。
DBX 160:SN劣化。初期型の2Uハーフラック・サイズの160が6台纏めてのメンテナンス依頼だった。どれも致命的な動作不良は起こしていなかったが、ケミコンの劣化を始めアースレールの曲がりや破損があり、電源のリップル増加やアース不完全にまつわるSN低下が見られた。今回は老朽化した該当部品を交換した所全てのセットで問題ないレベルまで回復したが、もし現在入手不能のVCAやIC等の専用部品が死亡してしまっていた場合はその時点で修理不能になってしまう可能性を秘めている。しかしこのモデルは殆どの回路がディスクリートで組まれており、汎用性の高い電子パーツの使用比率が高い為、故障内容によっては少々金額が張る場合は有るものの、水害や落下等による破損以外では修理不能と言うケースが殆ど無い珍しい機種と言える。初代160特有の「カパッ」と効くと言われるコンプレッションは長年愛用しているエンジニアの方々にとってはどうしても掛替えの無い機種の様で、余程の劣化が無い限り未だに依頼を承る事がある。
DBX 2231:時々歪む。特性を調べてみると、指摘されたチャンネルで+15/+6モード切替を行っても正常に切り替っていない事が判った。SWの導通状態は元より、半田不良やコネクション状況、プリント配線の状態までも綿密に調べたが異常なし。結局回路を端から追いかけていって、最終的に見つけたのはモード切替回路中にある小容量コンデンサの特性不良に因るリークが原因であった。しかもリークの仕方が不安定な為、その後のICに続く入力信号ラインのレベルを不定期に変動させていた為、ロジックのスレッシュに時々引っ掛かったり外れたりと言う、如何にも接触不良の様な曖昧な動作を作り出していた。
DBX 160S:両chノイズ。検証してみるとゲインやリダクションのボリュームを操作する度に信号にノイズが乗る、いわゆる「ガリ」であった。機種的にも比較的新しい為POTの劣化と言うのはあまり考えられない筈なのだが、このセットはあまり空気の良くない場所で長時間使い込まれていた為か、機器の内部全体に煤煙が原因と思われる薄褐色の汚れがあり、ノイズの原因はPOTの内部にあるカーボン皮膜の表面に汚れが付着した物と推定出来る。このガリオームに関してはそれ程重症ではなかったので接点復活材によるトリートメントで完全に回復させる事が出来たが、もっと進行してしまった場合には要交換という可能性も出てくる。
DBX 166:ch-2ピーク・ストップランプが点灯しっぱなし。依頼を受けたモデルは相応の年期に加え輸送頻度も多いようで、カップリング・スイッチの破損、LED断線、スイッチ周りに付いているモールド部品の剥がれ、キャップ欠損、電源回路内の平滑コンデンサの劣化、基板止めネジ緩みと、電子部品に留まらず各部機構部品を含めた多くの構成部品に対してオーバーホールの必要が有り、費用もかなりな物になったが、幸いディスコンで入手不能なオリジナル・パーツは無事だったので完治するに至った。
DBX 576:動作不良。原因は-15Vラインのダウン。そのラインに繋がっている何処かのチップ・コンデンサかICがショートしているに違いないと見たが、フラットケーブルが直付けだったり基板を外し難い構造なので故障箇所を探し当てるのに時間が掛かりそう。腰を据えて基板を全て外した後プリント配線を頼りに端から追って行き、最終的にはやはりチップ・コンデンサのショートを発見。
LINE6 POD2:動作しない。ACアダプターは勿論正常、内部電源回路も正常の様で各レギュレーションICの出力電圧もきっちりと出ているのだが肝心のデジタル回路がまるで立ち上がっていない様子。最終的にROMチップを搭載しているICソケットの接触が良くなかった様で、一旦ROMを抜いて接点をクリーニングした後装着してリセットしたら難なく直ってしまった。
DBX DDP:高域発振及びノイズ大。結局不具合はI/O回路とは全然離れた電源トランスと基板間のコネクタの不具合で、電源トランス二次側に出ているコモン(0電位端子)を含む3ピン中の1ピンが接触しておらず、コモンと片側出力のみの接続となっていた為、動作はする物のトランスが過負荷状態になって異常に唸っていた。
SUMMIT EQP200:旧機種のEQP200の出力はキャノンのみだが、3番ホットでしかも内部で1と2が
短絡されていてアンバランスとなっている。(古いモデルだからかも知れないが)リアパネルにはその旨明記されていないので2番ホットのキャノンを使用した為全く音が出ずに故障と判断されてしまった。
DBX 576:火を噴いて動かなくなったと通報あり。送ってもらった所、焼損箇所は基板の電源回路の一番入り口にある高周波ノイズ対策用のチップ・コンデンサだった。正常なチップ・コンデンサが焼損する条件としては耐圧を超える電圧が掛かるか、MHz帯の高周波が高いレベルで掛かるかの何れかになるが、100V電源電圧に異常は無いと言う証言と、同じコンセントから使用している他の機器は正常であったという経緯から判断すると何れも当てはまらない様なので残る可能性として考えられる事はたまたまこのチップ・コンデンサが規格通りの耐圧を持っていなかったか、チップ・コンと基板との隙間に異物等が混入していて絶縁性が落ちていた?という薄い可能性になって来てしまうがやはり不思議。その後のメーカー・モディファイでこのチップコンは実装廃止になっていた。
DBX 480:ドライブラック店頭展示完了。いきなり開梱して慌てて繋ごうとしてもさっぱり判らないが、日本語マニュアルを参照して理解しながらセットアップすればリモートのリンクに行き着くまでさほど難しくは無い。使い勝手も思ったほど煩雑ではなく、色々操作している内に色々なパラメーターにアクセスして設定を変えられる様になる。
DOD SR460H:ヘッドフォンアンプ ボリューム・ノブに触るとハムが出る。原因はボリューム回路の不良ではなくボリュームPOT本体が筐体のGNDに良く接地されていない事が原因だった。フロントパネルの塗装のボリュームが当たる部分を磨いた所解決。
DBX2015(1U15バンド2CHの古いEQ):ゴソゴソノイズ有り。ICやトランジスタを調査した所、最終的に故障の原因は専用ICで有ることが判明。明らかに国産のディスコンモデルである2015に使われている専用ICなので入手不可に付き、やむなく修理対応不可として返却。
DBX QUANTUM:IN/OUTボリュームのガリ。POTの接触不良以外に内部の電源ラインの接続ケーブルのコネクタが至る所接触が怪しくなっていた。ハーネスやPOT内部の接点金具の活性化で問題は解決する事が出来たが、接触不良の発生要因としてタバコのばい煙と思われる汚れが内部各所にあり、この汚れが悪影響を及ぼしていた物と思われる。
PEAVEY Q231FX:片チャンネル音出ず。原因は内部電源コネクタの接触不良で、コネクタの加工が悪く、メス側金具の一部が変形していてしっかり接触していなかった。恐らく工場出荷時の完成検査時には金属の表面が真新しい為僅かに接触している程度でもパスしたのであろう。
DBX 2231:EQ効かず。到着した時点では現象は出なかったが暫くランニングテストを行なった所EQがバイパスされた状態になった。原因はリレードライバ回路内の一部のコンデンサのリーク(特性不良)による物だった。
DBX 166A:片chコンプ効かず。一見コンプ回路不良の様子で色々追っていく事になったが最終的には単にサイドチェイン・インサート・ジャックの接触不良で、ジャックに何も接続されていない時にはショートしているべき接点が導通不良を起こしており、その部分を磨く事でFIXした。
DBX 160A:電源入らず。内部+15V電源ラインの小さなノイズ・フィルター用タンタル・コンデンサが焼損した為に電源トランスに異常な負荷が掛かり、トランスの一次側が断線していた。コンデンサの焼損で考えられるのは耐圧オーバーによる焼損だが、耐圧が規定通りなくて焼けたのか不意に異常な電圧が掛かったかは不明。
DBX DDP:チェックサム・エラーが頻繁に出たり誤動作する。調べてみるとデータ・バックアップ用バッテリー・ホルダに緩みあり。ホルダの金具を締めた所問題は無くなったが、バッテリーが正常に装着されていないと誤動作を起こす事がある様だ。
DBX 160XT:ハムノイズ。古い機種の割に綺麗で状態は良かったが、ハムが乗るとのクレーム。なかなか掴み所が無く、あちこち調べる度に状態が変化して良くなったり悪くなったり。GND端子をフレームに落とすとハムは無くなるのだが本来はそんな事はしなくても出ない筈なのでグランド配線周りを中心によくよく調べた所、結局ボードやパーツにはなんら異常は無く、フレームの一部の出っ張りと基板の信号回路の一部が触ったり離れたりしている箇所を見つけて無事FIXに至った。
DBX 1066:ヒューズ切れで交換してもすぐ飛ぶ。以前ノイズフィルター用のタンタルコンデンサがショートして電源が過負荷になる例があったが、今回はICの1個がショート状態になって電源に過負荷をもたらす原因になっていた。IC交換後は暫くの時間ランニングテストを行っていたが問題なく動いていたのでICそのものに不具合の要因があった物と思われる。
DBX 2231:片チャンネルで時々音が出なくなる。検品当初はなかなか現象が出ず、信号を通してモニターしながらそっと基板をたわませたり、内部のコネクタを少しづつ揺すったりしているうちに一瞬だけLチャンネル側から音が出なくなった。明らかにケーブルに触れた事によるごく僅かな応力で再現した為コネクタのオス、メス間の導通不良が原因であると断定。コネクタの接点部に活性化処理を施し、再度現象が再現しない事を確認した後ランニング・テストを行って終了とした。
DBX DDP:アナログボード不良。測定器で端から丹念に導通を調べていった所偶然にも目に見えないプリントパターンの形成不良を見つけた。場所は基板の表と裏に印刷されているプリント配線の表側と裏側を結ぶ為のスルーホール部位の断線で、肉眼では確認できないレベルの微かな断線が潜んでいると判断して修正した所、無事解決となった。
DBX 160SL:片方のチャンネルがNG。現象はch-2でレベルを上げていくと時々チャリチャリと断続的なノイズを発するようになっていた。入出力回路に異常は無く、ヘッドアンプからも同等のノイズは発生していなかったがVCAを過ぎると出てくる。最終的に原因は160SLのみに搭載される超高級V8 VCAだった。
HHB LADIUS20:ガサガサノイズ。チェックすると無入力状態でボリュームを上げるとミキサーのVUメーターが極端に上がった。これは発振かと思いオシロで調べた所、両チャンネルとも可聴帯域を越えた高域で見事に発振していた。内部を覗いて見ると、GEの真空管(SOVTEKよりグレードが高い筈)が装着されていたので標準グレードのSOVTEKと交換した所解決した。結論から察するに超高域迄特性が伸びた真空管を使用すると回路内部でフィードバックを起こしてしまう傾向が有るのかも知れない。
DBX 166A:THRESHOLDの位置を同じにした時にCH-1とCH-2で効き方が違う。検証した所コンプの動作に問題はなかった。先方様に詳細確認した所ゲート側の動作を指摘している様だったので再度チェックしたが特に異常は無かった。ゲートはカットオフのカーブが急峻な為、一定の基準信号等でチェックした場合ツマミのクリック位置の微妙な違いから左右のLEDレベルメーターの点灯数が異なり、効き方が大きく違うように感じて故障と勘違いされてしまった様だ。
SUMMIT DCL200(旧タイプ):突然全く音が出なくなって操作不能になった。それまでにも少しづつ音質が劣化して来ていたとの証言も加えられていた。調査したところ内部ヒューズが2本とも断線していたので試しにヒューズを装着して電源を投入した所数秒で飛んでしまった。電源回路は正常に動作しているので何処かで過電流を起こしている様だ。ヒューズが飛んだ直後にあちこちの部品を触ってみると4個ある内の1個のVCAが他の3個と比べるとほんのり暖かい。そのVCAが不具合を起こして過電流を起こしていると判断して交換したところFIXとなった。
LEXICON MPX500:時々オーバーロードして歪む。時々現象は出るが後は正常に戻ってしまってなかなか原因を特定出来ない。この機種はサーフェス・マウント基板で殆どチップ部品で構成されている為、時々現象が現れるという場合は半田不良の可能性が非常に高いのだが、明らかに半田が付いていない場合はともかく、ピッチも線幅も非常に狭く密集しているLSIリードの半田不完全を見つけるのは難しい。念の為全てのフラットIC周辺の半田を修正した所FIXとなった。
DBX 160SL:コンプ掛かりっ放し。最初の1度だけ現象が出て、VCAを上から軽く押してみた所現象が出なくなってしまった。基板を外して問題のVCA周辺を重点的に調べた所VCAのリードの半田付け部分に僅かなクラックが入って導通不良を起こしていた様だ。念の為その部分以外のリードの半田を吸い取っておいてVCAを手で動かして見るとリードが僅かにスライドしている事が確認出来た。
SUMMIT TPA-200B:片チャンネルMIC信号通らず。波はあるが必ず現象が出るので、兎に角現象が出るまでテストして欲しいという依頼。見た所半田付け情況に怪しい部分は無く、基板を撓ませてみたり軽いショックを与えてみても症状は出て来ないので時々様子を伺いながら数週間に渡り毎日通電するという地道なテストを続けていたのだが、遂にある朝電源を入れたところ僅かしか音が出ないという現象が現れた。この状態が回復してしまわない内に出来るだけ多くの手掛かりを掴まなければならないので慎重に調査に入った。なにしろ基板に触れただけで回復してしまいそうな様相なのでうかつにオシロのプローブなど当てられない。先ず途中のHI-Z INからは正常に通るので、それより前段である事が判明、次にLINE/MIC切り換えやPAD SWは正常に切り換わり、正常動作していた為SWによる接触不良を起こしていない事も判った。PHASESWも異常なし。切り換えリレーも問題なしで機械的接点を持つ可動部は全て異常無しという所まで確認して、後はオシロでそーっと信号を追ってみるしかないと思い、場所を移動する為電源を切った瞬間の電圧変動で一瞬フッと音が出て回復してしまい、そのまま現象は消えてしまった。状況から唯一JENSENのカップリング・トランスが最有力候補として残った為、トランスの不具合と断定、交換して暫くランニングテストを行った後先方様に納品。その後数ヶ月経過するが異常は発生していない。
DBX 234:左右のレベルが違う。始めはモノトーンでテストした為左右のレベル差は見られなかった。次にスイープ信号で周波数特性を調べてみると左右でロール・オフの特性に違いが見られた。しかしロー、ミッド、ハイのどのレンジも同じ様な特性差を持っているので何処かの回路が壊れているという様子ではない。何処かの抵抗値を変更するとか方法が無かろうかと思ってメーカーに問い合せて見ると、以外にもPOT(ボリューム素子)のばらつきが原因との事なのでPOTを交換してみると僅かな差はあるものの実用上問題ないレベルに収まった。結果から判断するとPOTが4連になっていて相互の回転角度に対する特性カーブの組み合わせがそのままロール・オフ特性に影響する為左右のPOTの特性差がそのまま現れてしまっていた事になる。
PEAVEY TUBEFEX:故障交換用ボードが入荷したので早速交換した所動作せず。リセットを繰り返してもDSP INITIALIZE ERRORのメッセージを繰り返すばかりで反応なし。ソケットに装着されているICを交換してリセットした所どうやら動くようにはなったが、チューブMODEのLED表示が一箇所も点灯しない。リレーは切り換わって音も変わるので表示回路の不具合という所まではすぐに行き着いたがどうも信号がおかしい。さらに調べた所コネクタの中のあるべき筈のPINが14本中2本も不足していてLEDを光らせる事が出来ないでいた。意外にも新品のボードの修理の為に時間を費やす事になってしまった。
DBX 166A:ステレオ・カップルにすると音が出て2MONOにすると音が出ない。DBX機はステレオ・カップルにするとコントロールがch-1のマスターに移る為、ch-2が壊れていてもマスター側から制御されてしまうのでわからなくなってしまう。結局故障箇所はアウトプット・ゲインとピーク・ストップ・コントロールのPOTが割れていた。
DBX 初期型160:動作不良に付きオーバーホール。一番困ったのはメーター不良だった。最終的にメーターそのものの故障と判明したが、このメーターは165A用と良く似ているが互換性がなく、交換で対応する事が出来ないのでメーターを分解した所、メーターの可動部を支えているコイル・スプリングが半田付け部分で折れて外れていた。このコイル・スプリングはコイルに続く導線の役目も兼ねているので折れてしまうと通電しなくなってしまう。微細なスプリングなので下手をするとぐちゃぐちゃになってしまうので慎重に分解し、しっかり半田付けして修復完了。
DBX 586:CLIPが頻繁に点灯。そのクレーム自体はICのPINの間に余分な半田が付いてショートしているのを見つけてすぐに直ったが、POTのガリも調べてほしいというので念のため交換して、いざ動作チェックに掛かると、何故かCH-Aだけ規定のツマミの位置でドライブのゲインが低い。原因は交換したPOTの可変率のカーブが違う事が解った。勿論POTに刻印されている5KΩのCカーブという特性表示を確認した上で交換したのだが、正確には05KCという刻印の最初の0にカーブに関わる深い関係があり、同じ表示の05KCのPOTと交換した所OKとなった。
DBX 160SL:両チャンネルともゲインリダクションがかかりっぱなし。検証してみるとTHRESHOLDツマミの上にある緑/黄/赤のLEDの内、赤が点いたままでゲインリダクションが常に効いているという表示になっていた。それでも各パラメーターの操作は可能で、出力もそれに応じて変化はするものの、全てのパラメータの動作はどれも異常なのだが何故かL,Rとも症状や狂い方が全く同じという共通点が有った。結局信号回路に異常は無く、内部電源ユニットから供給されている数種類の電圧に分かれた直流ラインの内の一つが死んでいる事が判った。調査は電源回路に移行し、最終的にはレギュレータICの放熱板をヒートシンクに固定している部分の絶縁材に金属異物が混入して絶縁破壊を起こしていた。