
旅行本ではなかなか紹介されない、ブリティッシュ・ロックファンに向けた『一度は訪れたいゆかりの地』をご案内する旅行ガイドブログ。
第2回目も前回に引き続き、イギリスのロックバンド、ザ・フーのロックオペラ・アルバム「四重人格」を原作とした映画、「さらば青春の光」ゆかりの地へとお連れいたします。
前回はロンドンのハマースミス地区にある、地下鉄Goldhawk's Road駅周辺での撮影場所をご紹介いたしました。
今回はロンドンから少し離れ、イギリス南部の海の街ブライトン(Brighton)へとお連れいたします。
映画の中で印象深いシーンが多く撮影された街の一つです。海の街とあってザ・フーやロックファン以外の方にも、おすすめの観光スポットです。
ブライトンは、ロンドンからNational Rail(通称NR)という、日本でいうところのJRのような電車で行くことができます。
ロンドンから他の地域へ遠出するのはハードルが高いという声も聞きますが、イギリスの電車は駅構内や車内の掲示板が非常に分かりやすくなっている場合が多いです。
ブライトンはロンドンから約1時間-1時間半。ヴィクトリア駅から乗り換えなしで行けます。ブライトンは終点駅なので、そのまま“Brighton”と書かれた電車に安心して乗って行きましょう。

映画の中では、主人公の少年ジミーがロンドンからブライトンへ足を運ぶシーンが2回登場します。
1回目はバンクホリデーを利用してモッズ族の仲間たちと意気盛んに、スクーターで向い、敵対するロッカーズと乱闘を起こしに行く時。


2回目は、主人公ジミーが乱闘で逮捕されてから、ロンドンに帰るも実家から追い出され、失恋。愛車のスクーターも郵便配達の車と衝突したりと失意のどん底に堕ちた時。
彼は一人で電車に乗ってブライトンへ向います。

そんな印象的なシーンの多くが撮影された、ブライトン。私はスクーターでブライトンに行ったことはないため、今回は電車で行く方法をご案内いたしましょう。
まずはロンドンの地下鉄でヴィクトリア(Victoria)駅へ向かいます。地下鉄の駅からNR乗り換えは簡単です。このマークの看板がいたるところにありますから、それを見ながら移動すれば、NRの駅に出てきます。
ブライトンへの電車はLondon Bridge駅から行くことも出来るようですが、私としてはヴィクトリアから行くことをお勧めします。

まず、風格のある駅構内は、映画の中で「5:15」が流れるシーンで登場。電車の終点はブライトンのため駅の電光掲示板でBrighton行きを探して、何番線かを確認して乗れば大丈夫です。
電車が出発してすぐ進行方向に見て左側に、UKロックファンにはおなじみの巨大な建物が目の前に広がります。※写真は帰りに撮影したので、右側に写っております。

そう、ピンク・フロイドのアルバム「アニマルズ」に登場する、巨大な建物。バタシー発電所です。また、ザ・フーの「四重人格」のレコードやCDに付属されているブックレットにも登場し、ザ・ジャムの「ニュース・オブ・ザ・ワールド」のミュージックビデオもここで撮影されています。多くのブリティッシュロック・ファンにとって、目頭が熱くなる光景が広がっていくので、これだけでも充分な思い出になると思います。

ポール・ウェラーの出身地であるワーキング(Working)の駅にも停車します。途中下車しなくても、車窓から駅や駅周辺の景色を眺めるだけでもファン心を馳せながら乗って楽しめると思います。

ロンドンから離れていくと車窓から見えるのは素敵な住宅街、田園風景、山間のキレイな建物などなど…。

景色に心を奪われていると90分もしないうちに流れてくる車内のアナウンス、胸が躍ります。「Ladies and Gents. Brighton....」
さて、電車を降りて駅の大きな改札を出てから目の前の通りを眺めると、早くもその先にある海が見えます。海の方へ真っすぐ歩くと、映画でモッズたちが行進したシーンの海岸沿いの通りに出ます。


通りを出て左側に見えるのは、海上のアーチ状にそびえ立つ遊園地、通称ブライトンピア(Brighton Palace Pier)です。
横断歩道を渡って、通りをブライトンピアに向かって歩いてみましょう。
ザ・フーや映画のファンであれば、映画の行進時の「We are mods!」という叫びや、ザ・フーの歌が脳内再生されるでしょう。
かく言う私もザ・フーの曲を頭の中で脳内再生しようとしましたが、通りに設置されたスピーカーから大音量でボンジョビの「Living On A Player」が流れていました。
ザ・フーや映画に思いを馳せながら行きたい方は、あらかじめ音源とイヤホンを用意した方がよさそうですね(笑)。
さて海岸を眺めると、浜辺の露店、小型アトラクションなどが賑わっています。

途中、海岸に降りてみると、ザ・ジャムのアルバム「セッティング・サンズ」のLPインナー・スリーブやジャケットの裏もここでの撮影だということに気がつきます。


海岸には映画でも見られるように、立縞模様のデッキチェアが、スタイリッシュにたくさん置いてあります。料金を支払えば誰もが自由に使えるようになっています(一人2£位だったと思います。海の監視員みたいなスタッフが徴収しにきました。)。
ロンドンから1時間~1時間半で行けるイギリスのリゾートでもあるブライトン。次回のブログではブライトン・ビーチの象徴ともいうべき、ブイライトンピアーへ行ってみましょう。
旅行を楽しむためのワンポイント!
その1、出国前にBRITRAIL PASSを入手しておきましょう。
NRで様々な駅へ乗り降り自由。ロンドン以外のイギリス各地を訪れてみたい方におすすめのお得なパスです。電車に乗る度に切符を買う手間が省けます!

イギリスでNRの乗車券を買う時、日本みたいスムーズに購入できないケースが多くあります。特に大きな駅では切符の窓口が長蛇の列になっていることも少なくありません。
NRには改札がない駅が多いので、このパスさえあればそのまますぐに電車に乗れて、車内で車掌が見回りに来た時にパスをみせればOK!(※駅や時間帯によっては、入口でも見せる場合があります)。
パスには、1日、3日間、4日間など様々な種類があります。またイングランド限定、スコットランドも乗り降り自由なものや、シニア向けなど豊富にあるため、旅行会社やNRのウェブサイトでも調べてみましょう。ただし!あくまでも外国人向けのパスのため、イギリス国内では購入や内容の変更はできないのでくれぐれもご注意を!!出発前に早めに取り扱っている旅行会社へ申し込みましょう。
その2、あなただけの「5:15」を録音しておきましょう!!
アルバム「四重人格」の2枚目のオープニングに流れるヴィクトリア駅の音。そこに切なくピアノとピートが歌う叙情的なメロディー。あの駅の音を録音しておけば、今頃はそれを流しながら自身の旅情を思い出し、口ずさんでいたであろうと悔やんでおります。
今度行くときはZOOMのハンディレコーダーH1nをもって録音しながら地下鉄から乗り換えたいものです。
手のひらサイズのコンパクトボディに本格的XYステレオマイクを搭載しているため、少しでも荷物を減らしたい海外旅行に最適!
ZOOM (ズーム) / H1n/L(ブルー)ハンディレコーダー
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